産業医とは?役割や面談、報酬相場など気になる基本情報をまとめて解説

産業医とは

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産業医や産業保健師など産業保健分野で活躍する専門家チーム

サンチエ編集部

産業医とは?基本情報をおさらい

まずは、「産業医」について基本情報をチェックしていきましょう。

産業医と医師の違い

事業場で従業員の健康管理を行なう医師のことを、産業医と呼びます。事業場で働く産業医と、病院やクリニックなどで働く医師とでは、そもそも仕事内容が異なる点を理解しておきましょう。

産業医と医師で大きく異なるのが、従業員の復職可否の判断基準です。医師は「仕事や日常生活ができるか」という基準で見ますが、産業医は「業務を遂行できるか」という点を見ます。

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産業医による医療行為について

産業医は原則として、医療行為を行なうことはできません。そのため、医師のように診察や投薬などは行なえませんが、体調不良の従業員に通院を勧めるなどの助言は可能です。

ただし、企業内診療所が設置されていて、産業医と医師の両方を担当している場合など、「主治医」として医療行為を行なうケースはあります。

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産業医を迎えるメリット

産業医は従業員への面談や職場巡視、衛生委員会の参加によって、職場環境の根本的な改善を目指します。事業場に産業医を迎えることで、従業員の健康管理やメンタルヘルスケアを適切に行なえるでしょう。

従業員が体調不良になると、業務のパフォーマンスが落ちてしまいます。休職者や退職者が増えることで、他の従業員の負担が増大するのも問題です。

従業員の健康や安全を守ること、働きやすい職場環境を作ることが、個々の生産性向上、企業の業績拡大につながります。

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専属産業医・嘱託産業医の違い

産業医は常駐の「専属産業医」と、常駐でない「嘱託産業医」に分類されます。

専属産業医は週4~5日程度、常勤として働きますが、嘱託産業医は月1回程度の訪問となります。勤務日数に差はありますが、担当する仕事内容はほとんど変わりません。

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産業医の選任義務

事業場の規模が大きくなると、産業医の選任義務が発生します。ここでは、産業医の選任に関する理解を深めていきましょう。

産業医の設置基準

選任すべき産業医の人数は、事業場の規模によって異なります。

常時使用する従業員数が50人以上999人以下の場合は、産業医を選任する必要があります。(嘱託産業医でも可)

常時使用する従業員数が1,000人以上の場合、または有害業務に従事する従業員数が500人以上の場合には、専属の産業医の選任が必要です。

なお、選任人数などのより詳しい情報については、以下の記事で詳しく解説しています。

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従業員数が50人未満の事業場の場合

従業員数が50人未満のとき、事業場に産業医の選任義務はありません。ただし「選任義務」はないものの、「安全配慮義務」が課されている点には注意が必要です。

従業員が50人以上となったら、その時点から14日以内に産業医の選任を行なわなくてはなりません。産業医の選任には時間がかかるため、従業員が50人に達するまでに、ある程度準備をしておく必要があるでしょう。

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産業医の選任義務・選任報告

産業医の選任義務がある事業場で、必要な選任を行なわなかった場合には、法律違反となります。罰則もあるため、安易な考えで選任をあとまわしにするのは避けましょう。

産業医との契約が終わったら、選任報告も忘れずに行なってください。所轄の労働基準監督署に直接提出するか、郵送で提出する方法があります。または、各府省が所管するさまざまな行政手続ができる「e-Gov電子申請」での申請も可能です。

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産業医のおもな仕事内容と役割

企業で働く産業医は、職場のメンタルヘルス対策を推進するために、さまざまな業務を担っています。本章では、産業医の役割・仕事内容について解説します。

産業医の仕事内容と役割(1)従業員のメンタルヘルスケア

職場のメンタルヘルスケアとは、従業員がいきいきと働けるように、企業側から必要なサポートをすることです。産業医はメンタルヘルスケアの要として、企業や従業員にアドバイスや指導を行ないます。

産業医が従業員のメンタルヘルスケアを進める際には、ストレスチェックや職場環境の改善提案などを通して、一次予防(未然防止)、二次予防(早期発見と対応)、三次予防(職場復帰支援)の3段階の措置を適切に講じることが重要です。

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産業医の仕事内容と役割(2)健康診断

従業員の健康診断は、社内で集団検診の形で行なうか、各自が病院・クリニックで受診する形が一般的です。特に体調が悪いと感じていない場合でも、定期的に健康診断を実施することが、企業・従業員の両者に義務付けられています。

従業員の健康維持のためには、健康診断を受けたあとのフォローが肝心です。産業医は健康診断結果を確認し、異常所見が見られた従業員に対しては、就業上の措置や保健指導を行なわなくてはなりません。

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産業医の仕事内容と役割(3)ストレスチェック

ストレスチェックとは、従業員のストレス状態を調べる検査のことです。

従業員においては、自身のストレスの程度を知り、セルフケアのきっかけにするために、事業者においては、メンタルヘルス不調を未然に防止することを目的とした検査となります。

常時50人以上の従業員を抱える事業場では、年に1回以上、定期的なストレスチェックを実施する必要があります。

ストレスチェックで高ストレス状態と判断された従業員には、産業医による面接指導が実施されますが、従業員本人が希望しない場合は、強制的に受けさせることはできません。

事業場は従業員が面接指導をスムーズに受けられるように、スケジュールの調整や、不利益な取り扱いはしない旨を伝えるなど、必要な配慮を行ないます。

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産業医の仕事内容と役割(4)職場巡視

職場巡視とは、作業場を訪問して、業務内容や現場の雰囲気をくまなくチェックすることです。職場巡視を定期的に行なうことで、従業員の健康や安全が守られているか、作業環境のどの点を改善すべきか、従業員が適切に配置されているか、という点を確認します。

産業医の職場巡視は月1回以上と法律で決められていましたが、2017年6月1日の労働安全衛生規則等の改正により、現在では条件付きで2ヵ月に1回以上に変更されました。

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産業医の仕事内容と役割(5)休職面談

メンタルヘルス不調で業務に支障が出ている場合や、従業員が休職を希望している場合には、産業医による休職面談が行なわれます。メンタルヘルス不調が認められる場合は、医療機関への受診を勧めるなど早期の対応が求められます。

ただし、休職面談は必ず実施されるわけではありません。従業員が医療機関で診察を受けたあと、そのまま面談を行なわずに休職するケースもあります。

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産業医の仕事内容と役割(6)復職面談

復職面談とは、産業医が休職中の従業員に対して行なうものです。従業員本人と話しながら、現実的に職場復帰が可能なのか、どのような環境であれば復職しやすいのか、という点を判定していきます。

復職面談でよく確認されるのは、通院状況、生活リズム、通勤状況、就労意欲、業務内容の5点です。人事や上司が正確に把握しづらい部分や、専門的な医学的知識が必要な部分をヒアリングして、職場復帰のサポートを行ないます。

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産業医が実施する産業医面談とは?

ここでは、産業医面談で話す内容と、面談のリモート化についてのポイントを押さえておきましょう。

産業医面談で話す内容

産業医面談では、仕事の状況や現在の体調、生活リズム、人間関係などについて話をします。産業医には「守秘義務」があるため、産業医面談で話した内容が、本人の同意なしで企業側に伝わることはありません。

一方、産業医には「報告義務」が存在し、従業員のメンタルヘルス不調が著しく、安全配慮義務を果たす必要があると判断した場合には、企業側に報告を行なうことになります。

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産業医面談のリモート化について

従来は原則対面とされていた産業医面談ですが、2020年11月からリモート化が可能となりました。

ただし産業医面談をオンラインで実施するためには、「医師(産業医)」「情報通信機器」「環境・実施方法」の3つについて、決められた要件を満たさなくてはなりません。

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産業医の報酬相場

専属産業医の報酬相場は、週1回勤務で300~400万円程度、週5日で計算すると1,500万円超となります。

一方の嘱託産業医は、月1回程度の勤務です。日本橋医師会の調査によると、嘱託産業医の報酬基準額は、労働者50人未満の事業場で7万5,000円~、600~999人の事業場で25万円でした。

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産業医に関連する助成金

産業医関連のおもな助成金は、以下のとおりです。
※ただし、いずれも2022年4月22日の時点で受付停止となっています。

  • ストレスチェック助成金
  • 心の健康づくり計画助成金
  • 職場環境改善計画助成金
  • 小規模事業場産業医活動助成金

助成金は、年度によって内容の変更・早期終了の可能性があります。「独立行政法人 労働者健康安全機構(JOHAS)」のWebサイトで、最新情報をチェックしておきましょう。

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産業医との契約方法

産業医との契約は、「産業医を探す→契約締結→選任報告」の3ステップで進めます。

自社の目的に合う産業医を見つけるために、医師会や近隣の医療機関、医師紹介会社などを活用しましょう。産業医と正式な契約を結んだら、産業医選任報告書などの必要書類を用意して、所轄の労働基準監督署に提出します。

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産業医の変更方法

選任した産業医が自社に合わない場合や、コミュニケーションが円滑にできない場合には、産業医の変更も検討してみましょう。

ただし、産業医を変更する場合は、前任者の解任後14日以内に、新しい産業医の選任を済ませなくてはなりません。変更時に慌てないために、必要書類を事前にそろえておくと安心です。

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まとめ

事業場の従業員が50人以上となったとき、産業医の選任をスピーディーに行なわなくてはなりません。しかし、産業医選任のルールを正しく理解していなければ、期限内にすべて終わらせるのは難しいでしょう。

産業医によるメンタルヘルスケアによって、従業員の健康・安全が守られ、働きやすく生産性の高い職場が作られます。産業医の仕事内容についても調べたうえで、自社と相性の良い産業医を見つけ出すことが大切です。

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