産業医とは?設置基準やメリット、設置事例について解説

産業医とは

執筆者

はじめまして、shirocanと申します。
大学院修了後、フリーター期間を経て、教育系一部上場企業、人材系ベンチャー企業に勤務しました。ベンチャー企業勤務時より、様々な副業や活動を行ない、現在は法人経営のほか、webライター、キャリアアドバイザー、各種試験講師、研修講師などに従事しております。

執筆経験としては、副業系、投資、キャリア、金融、経営、ライフデザイン、中学高校大学受験における各教科の勉強法、各種資格試験の勉強法などがございます。翻訳、校正経験もございます。

文章を書くことが好きであり、はじめは副業で始めたライターのお仕事に充実感や責任感を覚え、約5年続けております。様々なジャンルを執筆する中で、常に学び続けることを忘れず、高品質の記事つくりに邁進しております。

監修者

元々臨床医として生活習慣病管理や精神科診療に従事する中で、労働者の疾病予防・管理と職業ストレス・職場環境の密接な関係認識するに至り、病院からだけでなく、企業側から医師としてできることはないかと思い、産業医活動を開始しました。

また、会社運営の経験を通じ、企業の持続的成長と健康経営は不可分であること、それを実行するためには産業保健職の積極的なコミットメントが必要であると考えるに至りました。

「頼れる気さくな産業医」を目指し、日々活動中しています。
趣味は筋トレ、ボードゲーム、企業分析です。

【保有資格】
・日本医師会認定産業医
・総合内科専門医
・日本糖尿病学会専門医
・日本緩和医療学会認定医

企業が労働者の健康管理を適切に行い、働きやすい職場環境を構築するために欠かせない存在が「産業医」です。労働安全衛生法により、常時50人以上の労働者を雇用する事業場では産業医の選任が義務付けられていますが、初めて選任する企業ではその役割や業務内容について疑問を持つことも多いでしょう。本記事では、産業医の基本的な役割や一般的な医師との違い、選任義務や具体的な仕事内容など、産業医に関する必須情報を網羅的に解説します。

Point

産業医の選任義務と基準
労働者が50人以上いる事業場で産業医の選任が義務付けられている。

産業医の主な役割・職務
職場巡視や面談を通して労働者の心身の健康維持をサポートする。

一般的な医師との違い
企業と労働者の中立的な立場で助言し、原則として医療行為は行わない。

「50名の壁」に直面したら必読!初めての産業医選任ガイド
こんなお悩みはありませんか?
  • 従業員が50名を超えるが、何から始めるべきかわからない
  • 産業医と一般的な医師の違いや、具体的な役割を知りたい
  • 選任義務の基準や、選任しなかった際のリスクが不安

産業医とは?

産業医は、労働安全衛生法に基づき、労働者が健康で安全に働けるよう、専門的な立場から職場環境の改善や健康管理を指導・助言する医師です。職場巡視や健康診断、メンタルヘルス対策などを通じて、労働者の健康を守り、働きやすい職場づくりを支援します。

労働者の健康障害を予防するのはもちろん、心身の健康を保持・増進するためにも、産業医は企業において必要不可欠といえます。

  • 労働基準監督署から指摘を受け産業医を選任することになったが、どこに相談すべきかわからない
  • 産業医の基本的な仕事内容や役割、選任義務など、基本情報がわからない
  • 産業医と一般的な医師にどのような違いがあるのか知りたい

産業医の新規選任を検討している企業から上記のようなお悩みをよく耳にします。
本記事では産業医の選任義務から選任方法、報酬相場など産業医選任を検討されている企業の役立つ情報を紹介します。そして、産業医選任や訪問/オンライン面談だけでなくストレスチェックや職場巡視など、労働安全衛生法に関連する法定義務を満たすサービスについてもご紹介しますのでご参考にしてください。

無料/30秒で完了

【産業医関連のお悩みなら】リモート産業保健/月額3万円~
リモート産業保健サービス資料ダウンロードはこちら



産業医の必要性や重要性

01

労働者が50人を超えたら産業医の選任義務が発生します

労働安全衛生法により、労働者が50人以上の事業場では、産業医の選任が義務付けられているため、初めて産業医を選任する事業場の場合、「そもそも産業医とはどのような方で、どのような業務をお願いできるのかわからない」という声をよく聞きます。
労働者数が多くなるほど産業医の業務量が増えるため、常に働いている労働者の数によって、必要とされる産業医の人数は異なります。
【産業医をお探しなら】リモート産業保健!月額3万円~
産業医選任やオンライン・訪問面談、職場巡視、
衛生委員会の立ち上げ・運営など産業医と産業看護職2名体制で支援

02

健康経営で労働者の生産性向上を目指す

当社では企業様向けの産業保健サポートに留まらず健康経営実現に向けた企業向けの「健康経営支援プラットフォーム」を提供しています。健康経営支援プラットフォームとは、医師や看護師、管理栄養士など医療従事者の力を活用したエビデンスに基づくデジタルヘルスサービス(※を企業や健康保険組合に提供することにより、従業員とその家族の健康増進を実現し、蓄積した健康データを活用してさらに品質の高いサービスを開発・提供していく一連の仕組みを指しています。)をご提供しています。
【健康経営を始めるなら】健康経営優良法人取得支援サービス!
「健康経営優良法人認定取得」が最短3か月で取得可能!現状分析から対策検討・計画策定、施策実行、評価・申請までをワンストップで支援いたします。今ならお問い合わせで年間スケジュールサンプルを無料でご提供します。

産業医の要件とは?

産業医になるためには、医師免許を所有する医師であることに加えて、厚生労働省令で定める一定の要件を満たさなければなりません。(労働安全衛生法第13条第2項)

つまり、「医師」=「産業医」とはいえない点に注意が必要です。産業医の要件については、労働安全衛生規則第14条第2項で規定されています。

  1. 厚生労働大臣の指定する者(日本医師会、産業医科大学)が行う研修を修了した者
  2. 産業医の養成課程を設置している産業医科大学その他の大学で、厚生労働大臣が指定するものにおいて当該課程を修めて卒業し、その大学が行う実習を履修した者
  3. 労働衛生コンサルタント試験に合格した者で、その試験区分が保健衛生である者
  4. 大学において労働衛生に関する科目を担当する教授、准教授、常勤講師又はこれらの経験者
  5. 上記のほか、厚生労働大臣が定める者。(現在、定められている者はいない)

出典:産業医について~その役割を知ってもらうために~|厚生労働省

このように、産業医は労働者の健康管理などを行なうのに必要な医学に関する知識について備えた者でなければなりません。なお、社会や法律の変化に対応するため、日本医師会認定産業医の資格は5年ごとに更新が必要です。

【あわせて読みたい関連記事】

産業医 なるには 産業医になるには?条件や資格、研修をスムーズに受ける方法を

産業医と一般的な医師の違い

産業医と一般的な医師(臨床医)の違いについて、下表で項目ごとに整理してまとめました。
産業医と一般的な医師の違い

産業医 一般的な医師(臨床医)
活動場所 企業や団体などの事業場 病院、クリニックなど
業務内容 労働者の健康維持・増進を目的に、個別面談や職場改善に関する意見や助言などを行なう 検査、診断、治療を通して、患者のケガや病気を治す
立場 企業と労働者の間の中立的な立場 患者に徹底的に寄り添う立場
事業者に対する勧告権 労働者の健康維持のため、必要に応じて事業者へ勧告を行なうことができる 患者の職場環境や業務内容を詳しく知らないケースが多いため、事業者への勧告権はない
労働者の復職可否の判断基準 具体的な業務を遂行できるか 仕事や日常生活ができるか

産業医による医療行為について

産業医は原則として、医療行為を行なうことはできません。そのため、医師のように診察や投薬などは行なえませんが、体調不良の労働者に通院を勧めるといった助言は可能です。

ただし、企業内診療所が設置されていて、産業医と医師の両方を担当している場合などでは、「主治医」として医療行為を行ないます。

日本の産業医の数はどのくらい?

厚生労働省の調べによると、新規で産業医の資格を取得した医師の数の推移は、以下のグラフからもわかるように増加傾向にあります。平成24年度は2,657人だったのに対し、平成26年度には2,806人、そして、平成28年度には3,278人となりました。

新たに産業医の資格を取得した医師数の推移_イメージ

出典:船員向け産業医の役割について│国土交通省海事局

また、産業医を主たる業務としている医師の数は2018年は1,231人だったのに対し、2020年では1,308人となり、医師全体における構成割合は、0.4%でした。2018年と比較すると、産業医を主たる業務としている医師の数は77人(6.3%)増加していると考えられます。

産業医の人数推移

出典:令和2(2020)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況│厚生労働省

しかし、近年の労働者の過重労働やメンタルヘルス対策の重要性から、産業医の役割や業務も役割が変化しています。そのため、産業医が職務をより効率的かつ効果的に実施できるよう、一定の条件を満たした場合には巡視の頻度を減らすことが可能となるなど、制度の見直しも行なわれています。

産業医のおもな仕事内容と役割

企業で働く産業医は、職場のメンタルヘルス対策を推進するために、さまざまな業務を担っています。本章では、産業医の役割・仕事内容について解説します。

Summary

職場巡視と環境改善
職場巡視により安全衛生上の問題を発見し改善を促す。

健康診断の事後措置
健診結果に基づく就業判定や労働者の健康管理を支援する。

面談による健康サポート
長時間労働者やメンタル不調者等への面談や指導を行う。

産業医の職務

労働安全衛生規則第14条第1項で定められている産業医の職務は、以下の9項目です。

  1. 健康診断の実施および結果に基づく労働者の健康を保持するための措置(事後措置)に関すること
  2. 長時間労働者への面接指導とその結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関すること
  3. ストレスチェック、その後の面接指導および結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関すること
  4. 作業環境の維持管理に関すること
  5. 作業の管理に関すること
  6. 上記1〜5のほか、労働者の健康管理に関すること
  7. 健康教育・健康相談など労働者の健康保持増進のための措置に関すること
  8. 衛生教育に関すること
  9. 労働者の健康障害の原因調査および再発防止のための措置に関すること

これらは産業医が果たすべき役割を整理したものであり、労働者の心身の健康を守るための基盤です。実際の現場では、健康診断後のフォローや長時間労働者へのケア、メンタルヘルス対策、職場環境改善の助言など、幅広い活動に発展していきます。

以下では、この法定要件に基づいた具体的な業務内容を確認していきましょう。
出典:労働安全衛生規則|e-Gov法令検索

産業医の仕事内容と役割(1)職場巡視

職場巡視とは、事業場を訪問して、業務内容や作業環境をチェックすることです。

産業医が職場巡視を定期的に行なうことで、安全衛生上の問題点を発見し、職場改善につなげることができます。また労働者の業務内容や作業環境の理解を高めることで適切配置の判断にも役立ちます。

産業医の職場巡視は月1回以上と法律で決められていましたが、2017年6月1日の労働安全衛生規則などの改正により、現在では条件付きで2ヵ月に1回以上に変更されました。

【あわせて読みたい関連記事】

産業医 職場巡視 産業医が職場巡視でチェックしているのはココ!知っておきたい職場巡視のポイント

産業医の仕事内容と役割(2)健康診断の就業判定や事業場への助言を行なう

産業医は健康診断の結果を確認し、異常所見が見られた労働者に対しては、就業上の措置や保健指導を行なわなくてはなりません。
労働者の健康維持のためには、健康診断を受けたあとのフォローが肝心です。

【あわせて読みたい関連記事】

健康診断における産業医の役割とは 健康診断における産業医の役割とは?検診前後の対応や流れを紹介

産業医の仕事内容と役割(3)長時間労働者への面談指導

時間外・休日労働時間が1月当たり80時間を超え、かつ疲労の蓄積が認められる労働者から申し出があった場合、事業者は産業医による面接指導を実施しなければなりません。

上記にくわえ、「研究開発業務従事者」「高度プロフェッショナル制度適用者」に対しては、以下の条件で産業医による面談指導を実施する必要があります。

労働者
(裁量労働制、管理監督者を含む)
研究開発業務従事者 高度プロフェッショナル制度適用者
(1)義務:
月80時間超の時間外・休日労働を行ない、疲労蓄積があり、面接を申し出た者
安衛法第66条の8、安衛則第52条の2
(2)努力義務:
事業主が自主的に定めた基準に該当する者
安衛法第66条の9、安衛則第52条の8
(1)義務:
月100時間超の時間外・休日労働を行なった者
安衛法第66条の8の2、安衛則第52条の7の2
(2)義務:
月80時間超の時間外・休日労働を行ない、疲労蓄積があり、面接を申し出た者
安衛法第66条の8、安衛則第52条の2
(3)努力義務:
事業主が自主的に定めた基準に該当する者
安衛法第66条の9、安衛則第52条の8
(1)義務:
1週間当たりの健康管理時間が40時間を超えた時間について、月100時間超行なった者
安衛法第66条の8の4、安衛則第52条の7の4
(2)努力義務:
(1)の対象者以外で面接を申し出た者
安衛法第66条の9、安衛則第52条の8

参考:長時間労働者への医師による面接指導制度について|厚生労働省

長時間労働と精神疾患や脳・心臓疾患の発症リスクには、密接な関係があるとされています。
産業医は面接指導の結果をもとに、労働者の心身の状態を把握し、必要な措置について事業者へ意見や指導を行ないます。それにより、労働者の疾病リスクの減少や早期治療・回復が期待できるのです。

【あわせて読みたい関連記事】

長時間労働 産業医面談 長時間労働者には産業医面談が必要!時間外、休日労働時間の基準やポイントを解説

産業医の仕事内容と役割(4)労働者のメンタルヘルスケア

職場のメンタルヘルスケアとは、労働者が心の健康を維持し、いきいきと働けるように、企業側から必要なサポートをすることです。産業医はメンタルヘルスケアの要として、企業や労働者にアドバイスや指導を行ないます。

産業医が労働者のメンタルヘルスケアを進める際には、ストレスチェックや職場環境の改善提案などを通して、一次予防(未然防止)・二次予防(早期発見と早期対応)・三次予防(職場復帰支援)の3段階の措置を適切に講じることが重要です。

職場メンタルヘルス実践ガイドブック_産業保健お役立ち資料
【関連お役立ち資料】

【あわせて読みたい関連記事】

ストレスチェックは産業医にお任せ 産業医のストレスチェック義務化はいつから?面談の内容や実施方法、費用を徹底解説

産業医の仕事内容と役割(5)ストレスチェック

ストレスチェックとは、労働者のストレス状態を調べる検査のことです。

労働者においては、自身のストレスの程度を知ってセルフケアのきっかけにすること、事業者においては、メンタルヘルス不調を未然に防止することを目的とした検査となります。

常時50人以上の労働者を使用する事業場では、年に1回以上、定期的なストレスチェックを実施する必要があります。

ストレスチェックで高ストレス状態と判断された労働者には、産業医による面接指導が実施されます。しかし、労働者本人が希望しない場合は、強制的に面接指導を受けさせることはできません。

事業者は、労働者が面接指導をスムーズに受けられるようにスケジュールの調整を行なったり、不利益な取り扱いはしない旨を伝えたりするなど、必要な配慮を行ないます。

【あわせて読みたい関連記事】

ストレスチェックは産業医にお任せ 産業医のストレスチェック義務化はいつから?面談の内容や実施方法、費用を徹底解説

産業医の仕事内容と役割(6)衛生委員会・安全委員会への出席

常時使用する労働者数が50人以上の事業場では、事業場ごとに衛生委員会の設置が義務付けられています。また、以下で示した特定の業種については、安全委員会も設置しなければなりません。

衛生委員会と安全委員会の両方を設置する必要がある事業場では、安全衛生委員会としてまとめて設置することができます。

業種 常時使用する労働者の数 安全委員会 衛生委員会
1 林業、鉱業、建設業、製造業の一部(木材・木製品製造業、化学工業、鉄鋼業、金属製品製造業、輸送用機械器具製造業)、運送業の一部(道路貨物運送業、港湾運送業)、自動車整備業、機械修理業、清掃業 50人以上 必要 必要
2 製造業(1以外)、運送業(1以外)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゅう器等小売業、 燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業 100人以上 必要 必要
50人以上100人未満 義務なし 必要
3 1と2以外の業種 50人以上 義務なし 必要

出典:安全委員会、衛生委員会を設置しなければならない事業場|厚生労働省

なお、衛生委員会や安全委員会は毎月1回以上開催しなければなりません。産業医は構成員として委員会へ出席し、医学の専門家として意見を述べたり、必要時には委員会に調査審議を求めたりすることが望ましいとされています。

産業医が出席できない場合でも、議事録を確認して委員会の内容を把握することで、状況に合わせた助言や指導を行なうことができます。

産業医の仕事内容と役割(7)休職を含む不調者面談

労働者がメンタルヘルス不調や身体疾患の発症により、業務に支障が出ている場合や、休職を希望している場合には、産業医による休職面談が行なわれます。面談により医療機関への受診が必要と判断されたときには、医療機関への受診を勧めるなど早期の対応が求められます。

ただし、休職面談は必ず実施されるわけではありません。労働者が医療機関で診察を受けたあと、そのまま面談を行なわずに休職するケースもあります。

【あわせて読みたい関連記事】

産業医 メンタルヘルス 従業員が休職する際に必要な産業医の面談とは?メンタルヘルス対応に関して解説!

産業医の仕事内容と役割(8)復職面談

復職面談とは、産業医が休職中の労働者に対して行なうものです。労働者本人と話しながら、現実的に職場復帰が可能なのか、どのような環境や条件であれば復職しやすいのか、という点を判定していきます。

復職面談でよく確認されるのは、以下の5点です。

  • 通院状況
  • 生活リズム
  • 通勤に関する懸念事項
  • 就労意欲
  • 業務内容と配慮事項

人事や上司が正確に把握しづらい部分や、専門的な医学知識が必要な部分をヒアリングして、職場復帰のサポートを行ないます。

【あわせて読みたい関連記事】

産業医 復職 面談 産業医による復職面談とは?目的や判断基準と注意点を解説

産業医には「専属産業医」と「嘱託産業医」がいる

Summary

産業医の2つの形態
常勤の「専属産業医」と非常勤の「嘱託産業医」が存在する。

専属産業医の選任要件
労働者1,000人以上の事業場等は専属産業医の選任が必要である。

嘱託産業医の勤務形態
50〜999人の事業場で月1回程度勤務し業務はほぼ同じである。

産業医には、常駐の「専属産業医」と常駐でない「嘱託産業医」がいます。事業場の業種や規模に応じて、選任すべき産業医の種類が異なるので、注意が必要です。

専属産業医とは?

専属産業医とは、産業医として該当の事業場において常勤で働く医師のことです。出勤日数は週4~5日程度が一般的です。

常時1,000人以上の労働者を使用する事業場と、多量の高熱物体や低温物体などの危険物を扱う業務に、常時500人以上の労働者を使用する事業場は、専属産業医を選任する必要があります。

さらに、常時3,001人以上の労働者を使用する事業場は、専属産業医を2人以上選任しなければなりません。

嘱託産業医とは?

嘱託産業医とは、非常勤で勤務する産業医のことです。勤務日数は月1回程度ですが、業務内容は専属産業医とほぼ変わりません。

常時使用する労働者数が50人以上999人以下の事業場の場合、産業医の選任形態は嘱託(非常勤)で構いません。そのため、開業医や勤務医が日常診療の傍ら、産業医としての業務を担うケースが多く見られます。

産業医の選任義務について

Summary

選任義務の発生基準
労働者50人以上の事業場で産業医の選任が義務付けられる。

労働者数のカウント方法
非正規雇用者も含めた常態として働く全労働者が対象である。

未選任時の罰則
選任義務違反の事業場には50万円以下の罰金が科される。

事業場の規模が一定以上になると、産業医の選任義務が発生します。ここでは、産業医の選任に関する理解を深めていきましょう。

産業医の選任義務について

産業医の設置基準と選任人数

選任すべき産業医の人数は、事業場の規模によって異なります。以下の表に、労働者数に対しての設置基準をまとめました。

産業医の設置基準と選任人数

常時使用する労働者数 1~49人 50~999人 1,000~3,000人 3,001人~
産業医の選任義務の別 選任義務なし
(医師等による健康管理等の努力義務)
産業医
(嘱託可※)
産業医
(専属)
2人以上の産業医
(専属)

上記にくわえて、有害業務に500人以上の労働者を従事させる事業場においては、専属の産業医の選任が必要です。

【あわせて読みたい関連記事】

産業医のスポット契約 産業医のスポット(単発)契約とは?費用相場や依頼できる業務、探し方を解説!

常時使用する労働者数が50人未満の事業場の場合

常時使用する労働者数が50人未満の場合、事業場に産業医の選任義務はありません。しかし、「選任義務」はないものの、「安全配慮義務」が課されているため、医学の専門的な意見が求められる場合がある点に注意が必要です。

常時使用する労働者数が50人以上になったら、その時点から14日以内に産業医の選任を行なわなくてはなりません。産業医の選任には時間がかかるため、労働者が50人に達するまでに、ある程度準備をしておく必要があるでしょう。

【あわせて読みたい関連記事】

産業医 意外と知らない!従業員50人未満でも産業医が必要なワケ

労働者数のカウント方法(非正規社員を含む場合)

労働者数をカウントする際には、正社員はもちろん、契約社員、派遣社員、パートタイマー、日雇労働者など、常態として使用するすべての労働者を含める必要があります。

「常態的に使用している労働者の数」が事業場の規模を判断する要素になるため、短時間労働者や短期雇用労働者もカウントしなければなりません。

労働者のカウント方法について、不明な点がある場合には、所轄の労働基準監督署に問い合わせてください。

産業医の選任義務・選任報告

産業医の選任義務がある事業場で必要な選任を行なわなかった場合には、法律違反となります。労働安全衛生法第120条、労働安全衛生法第13条第1項に基づき、選任義務に違反した事業場には、50万円以下の罰金が科せられます。したがって、安易な考えで選任をあとまわしにするのは避けましょう。

産業医との契約が完了したら、選任報告も忘れずに行なってください。所轄の労働基準監督署に直接書類を提出するか、郵送で提出する方法があります。または、各府省が所管するさまざまな行政手続ができる「e-Gov電子申請」での申請も可能です。

【あわせて読みたい関連記事】

産業 医 事業 場 定義 産業医の選任義務とは?常時50人以上の条件・届出・罰則をわかりやすく解説

産業医を迎えるメリット

Summary

職場環境の改善
労働者の心身のケアにより職場環境や作業内容を改善できる。

健康問題の未然防止
メンタルヘルス不調を防ぎ労働者の離職を未然に防止する。

企業の生産性向上
働きやすい環境の構築が個人の生産性と業績アップに繋がる。

産業医は労働者への面談や職場巡視、衛生委員会への参加によって、職場環境の根本的な改善を目指します。事業場に産業医を迎えることで、労働者の健康管理やメンタルヘルスケアを適切に行なえるようになるでしょう。

労働者が体調不良になると業務のパフォーマンスが落ちるほか、休職者や退職者が増えることでほかの労働者の負担が増大するのも問題です。

労働者の健康や安全を守ること、働きやすい職場環境を作ることが、個々の生産性の向上、ひいては企業の業績アップにつながります。

【あわせて読みたい関連記事】

産業 医 中小 企業 中小企業での産業医の探し方は?相談先や選任するメリット、基準を解説

【産業医を迎えた企業の声】

産業医を迎えることには多くのメリットがありますが、実際の企業の声としては次のような内容が聞かれます。

良かった点
  1. 産業保健活動の関連業務がスムーズに進むようになった
  2. 体制が整い、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防げるようになった
  3. 安心感が高まり、エンゲージメントの向上につながった
心配な点・悩んでいる点
  1. 導入時には価格を重視したが、運用が進むにつれて追加コストに不安を感じる
  2. 運用フェーズでの業務効率化や情報の一元管理、専門的なノウハウ提供が十分でないと感じる場面がある

【労働者の多い企業には産業看護職の採用もおすすめ】

前述した声からもわかるように、産業医の存在は職場の健康管理に大きな効果をもたらす一方で、限られた時間や体制だけでは対応しきれない場合もあります。

そこで注目されるのが産業看護職です。産業看護職は、日常的な健康相談やメンタルヘルス不調者への面談、休職者のフォロー、衛生委員会の運営サポートなど、産業保健に関する幅広い活動をしています。

産業医と連携しながら、労働者一人ひとりの健康状態や課題に合わせた支援を実現できる点は、産業看護職を採用するメリットの一つです。

特に労働者数が多い企業では、産業医と業務を分担することで対応の質とスピードが向上し、結果として労働者の定着率や満足度の改善にもつながります。こうした実践的な効果については、以下の導入事例をぜひご覧ください。

【あわせて読みたい関連記事】

リモート産業保健の導入企業_イメージ 【離職率が最大20%→0%】若手社員の「突発的な退職」を防ぐ、産業看護職の活用とは リモート産業保健導入企業_イメージ 【労務担当者1名で産業保健の義務対応を実現】充実の産業医と産業看護職2名体制で100名以上の従業員管理にも対応

産業医に関するその他の情報

産業医の面談についてはこちら

【産業医面談に関連する記事】

産業医面談 産業医面談では何を話す?内容や流れを徹底解説 産業医 面談 実施する意味 産業医面談とは?話す内容や目的、メリットや注意点を解説 産業医 オンライン面談 産業医のオンライン面談が選ばれる理由とは?必要な要件など役立つ情報を紹介 長時間労働 産業医面談 長時間労働者には産業医面談が必要!時間外、休日労働時間の基準やポイントを解説

産業医の報酬についてはこちら

【産業医報酬に関連する記事】

産業医 安い 【医師監修】産業医の報酬相場は?目安費用を徹底解説!コストを抑える選び方も紹介 産業医 東京 東京の産業医事情をご紹介

産業医選任届についてはこちら

【産業医選任届に関連する記事】

人事労務担当者が記入する産業医選任届 産業医の選任報告(選任届)とは?選任届の書き方や必要な添付書類、記入例をご紹介

産業医に関するよくある質問

Q. 産業医の選任はどのタイミングで必要になりますか?
A. 事業場で常時使用する労働者が50人を超えた時点で、産業医の選任義務が発生します。非正規雇用者も人数に含まれるため注意が必要です。
Q. 産業医と一般的な医師の違いは何ですか?
A. 産業医は企業と労働者の中立的な立場で健康維持や職場環境改善の助言を行いますが、原則として治療などの医療行為は行いません。
Q. 労働者が50人未満の場合、産業医は必要ありませんか?
A. 法的な選任義務はありませんが、企業には「安全配慮義務」があるため、専門的な医学的意見が必要になる場面に備えておくことが推奨されます。

自社の体制に合う産業医の見極めが大切

産業医には「専属産業医」と「嘱託産業医」の2種類があり、出勤日数や報酬が異なります。そのため、自社の常時使用する労働者の人数やニーズに合わせて、最適な産業医を選ぶ必要があります。

とはいえ、自社で良い産業医を見つけて選任するのが難しい場合もあるでしょう。そこで、産業医の選任でお困りの企業様には、リモート産業保健のサービス利用がおすすめです。

リモート産業保健では、産業医選任やストレスチェックの実施、産業医面談、衛生委員会の設置・運営支援などの産業保健活動全般を、業界最安値水準の3万円からで徹底サポートします。産業医と産業看護職の2名体制で提供する、充実のサービスが自慢です。

下記リンクから、お問い合わせや産業保健に役立つ資料のダウンロードが可能ですので、ぜひご活用ください。

リモート産業保健サービス資料
【関連お役立ち資料】

【あわせて読みたい関連記事】

健康経営優良法人取得支援サービスイメージ_pc 健康経営優良法人取得支援サービス 産業医選任ガイドブック 産業医を初めて選任する企業様向けのガイドブック 人事労務担当者が必ず知っておきたい、法令違反対策のための労働安全衛生法のポイント_表紙画像 (2) 【産業保健師監修】はじめての労働安全衛生法ガイドブック はじめての衛生管理者_資格取得ガイドブック はじめての衛生管理者資格取得ガイドブック