産業医の選任報告について解説!選任届の作成や提出期限・記入例も紹介!

人事労務担当者が記入する産業医選任届

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産業医の選任届とは?産業医を選任したら産業医選任報告が必要

産業医とは、労働者が健康的に就労できるよう、医師という専門的な立場から、健康管理や職場環境などに対して、指導や助言を行なう役割を担う医師のことです。

常時使用する労働者が50人以上の事業場では、産業医を1名選任することが義務付けられています(労働安全衛生法第13条、労働安全衛生規則第13条、労働安全衛生法施行令第5条)。そして、産業医を選任する際には、「産業医選任届」を労働基準監督署に届け出る必要があります。

労働者数をカウントする際に基準となるのは、支社や営業所などの「事業場」であり、企業単位ではありません。正社員やパート、契約社員だけでなく、派遣労働者なども含む点に注意が必要です。

派遣労働者の算定に当たっては、派遣先の事業場及び派遣元の事業場の双方について、派遣中の労働者の数を含めて、常時使用する労働者の数を算出するものとされています。ただし、安全管理者と安全委員会については、選任・設置義務が派遣先事業場のみに課せられています。

また、常時使用する労働者とは、日雇労働者、パートタイマー等の臨時的労働者の数を含めて、常態として使用する労働者のことを指します。

不明な点については、所轄の労働基準監督署に問い合わせて、詳細を確認するとよいでしょう。

産業医を変える場合にも、選任届の提出は必要?

産業医を変更する際にも、新たに産業医を選任する際と同様に、選任届の提出が必要です。必要な書類や手続きの手順は、新たに選任報告をする場合と同じです。

変更時の手続きを忘れてしまうケースもよく見られるため、遅滞なく報告を済ませるように、十分に気をつけましょう。

産業医選任届の作成手順

それでは、産業医選任届を作成する手順を順番に解説します。

選任届の書類を手に入れる

選任届は、労働基準監督署で書類をもらうか、厚生労働省のホームページからダウンロードして取得します。

参考:総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医選任報告|厚生労働省

【印刷、記入の際の注意点】

  • A4サイズで白色度80%以上の用紙に印刷する
  • 拡大や縮小をして印刷しない
  • 印刷した用紙をさらにコピーして使用しない
  • 必要事項を記載する際には黒のボールペンを使用する

また、厚生労働省の入力支援サービスを利用するのもおすすめです。入力したデータを保存しておくことで、次回入力の際、共通する部分の入力を省略できるので、非常に便利です。ただし、「労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス」からの直接申請はできない点に注意しましょう。

参考:労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス

申請の際には、産業医選任届のほかに、産業医の資格証明書と医師免許証のコピーを提出する必要があるので、あらかじめ用意しておきましょう。

産業医選任届を記載する

「産業医選任届」を入手できたら、実際に記入します。記入が必要な項目は、以下のとおりです。

1.労働保険番号

事業場の労働保険番号を記入します。

2.ページ数

2人以上の報告が必要なときには複数枚提出することになるので、その用紙が何枚目なのか、合計何枚あるのかを右詰めで記載します。

3.事業場の情報(名称、所在地、電話番号)

電話番号は「―(ダッシュ)」で区切って記入します。

4.事業の種類

事業の種類は、総務省が公開している日本標準産業分類「中分類」を参照し、記載することが推奨されています。総務省のホームページをもとに、該当する「事業の種類」を確認しましょう。

参考:日本標準産業分類(令和5年6月改定、令和6年4月1日施行予定)|総務省

5.事業場の労働者数

この欄には、常時使用する労働者数を記入します。
前述のとおり、常時使用する労働者とは、日雇労働者、パートタイマー等を含む、常態として使用する労働者のことを指します。なお、出向などで該当の事業場での就業をしていない者は含めません。

また、労働者数とは別に、「計」の欄には労働安全衛生規則第13条第1項第3号で規定された、特定業務に従事する労働者数を記入します。

6.産業医の情報

産業医の氏名・フリガナ・生年月日を記入します。名前が濁点や半濁点の場合、同一枠内に「ガ」や「パ」と記入します。

また、生年月日は右詰めで記入し、1桁であっても0は不要です。例えば、昭和50年7月25日生まれの場合は「50725」と記入します。

7.産業医選任年月日

生年月日と同様に、右詰めで記入します。

8.選任種別

産業医の「5」と記入します。
また、その下の「専属の別」欄には、専属産業医なら「1」、それ以外は「2」を記入します。「専任の別」欄には、選任する産業医が産業医のみの仕事に従事している場合は「1」、他の仕事もしていれば「2」と記入します。

9.産業医の医籍番号

医師免許証にある医籍番号を記入します。
種別は、産業医認定証の場合は「1」、労働衛生コンサルタント登録証の場合は「3」を記入します。

種別 コード
労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識についての研修であつて厚生労働大臣の指定する者(法人に限る。)が行うものを修了した者 1
産業医の養成等を行うことを目的とする医学の正規の課程を設置している産業医科大学その他の大学であつて厚生労働大臣が指定するものにおいて当該課程を修めて卒業した者であつて、その大学が行う実習を履修したもの 2
労働衛生コンサルタントで試験区分が保健衛生である者 3
大学において労働衛生に関する科目を担当する教授、准教授又は講師の職にあり又はあつた者 4
労働安全衛生規則第14条第2項第5号に規定する者 5
平成8年10月1日以前に厚生労働大臣が定める研修の受講を開始し、これを修了した者 6
上のいずれにも該当しないが、平成10年9月30日において産業医としての経験年数が3年以上である者 7

出典:総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医選任報告|厚生労働省

10.辞任・解任について

産業医が交代している場合は、前任の産業医の情報も記載します。(氏名、カタカナ、辞任、解任の年月日)

11.参考事項

初めて産業医を選任した場合は「新規選任」と記入し、産業医の専門科名も併せて記載します。産業医が開業している場合は「開業医」と記載します。わからない場合は、医師に直接確認するようにしましょう。

12.届出日・届出先名・事業者職氏名・捺印

届出日、届出先(所轄の労働基準監督署)、会社の代表者の名前を記入し、捺印します。代表者の署名であれば、捺印はなくても問題ありません。

産業医選任届の記入例

所轄の労働基準監督署へ産業医選任届出書類を提出する際は、「産業医選任届出書(記入例有)」をご活用ください。

「産業医選任届出書(記入例有)」をご希望の方は下記よりダウンロード
産業医選任届け出書(記入例有)

記入が済んだら、書類一式を所轄の労働基準監督署へ提出します。管轄する労働基準監督署は、以下の参考ページ(所在案内)から都道府県ごとのページで確認できます。

提出は、窓口への直接提出、または郵送での提出となります。

参考:都道府県労働局(労働基準監督署、公共職業安定所)所在地一覧|厚生労働省

電子申請(e-Gov:イーガブ)を利用する場合は、「e-Gov電子申請|手続検索」で「産業医の選任報告」を検索して申請します。産業医選任届以外にも、労働安全衛生法などの手続きのうち、約800の届出の電子申請が可能です。

参考:
手続検索|e-Gov電子申請
労働安全衛生法等の届出などをする際は、電子申請が便利です!|厚生労働省

産業医選任届に必要な書類

産業医選任の際に提出すべき書類は、以下の3点です。

  1. 産業医選任届
  2. 産業医の資格証明書(産業医認定証または労働衛生コンサルタント登録証)のコピー
  3. 医師免許証のコピー

なお、日本医師会の認定産業医は、5年ごとに更新申請をする必要があります。

資格を更新するには、認定証を取得したあとの5年間で生涯研修20単位以上(更新研修1単位以上、実地研修1単位以上、専門研修1単位以上の合計20単位以上)の修得が必須です。

更新申請をしなければ、有効期限が切れた段階で認定証は無効になるので、期限が切れていないかも併せて確認しておきましょう。

産業医選任届の提出期限

産業医の選任義務のある事業場では、選任すべき事由が発生した日から14日以内に産業医を選任し、選任後は遅滞なく所轄の労働基準監督署へ選任届を提出する必要があります。

これは、労働安全衛生規則〈労働安全衛生法〉第13条第1項によって定められています。

産業医を選任しないとどうなる?

産業医の選任報告を怠った事業者は、50万円以下の罰金を科されるおそれがあります(労働安全衛生法第120条)。産業医の選任後は、必ず14日以内に報告を済ませるよう、十分にご注意ください。

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まとめ

企業の産業保健活動は、労働者の心身の健康をサポートするために非常に重要な役割を果たします。社内担当者の負担を最小限にしつつ、効果的に取り組みを進めるなら、専門業者への外注も検討しましょう。

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