産業医の探し方を紹介!頼れる3つの相談先とマッチングサービスの活用術

産業医の探し方を紹介

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産業医には従業員の健康管理という重要な役割がある

そもそも、産業医にはどのような役割があるのでしょうか?
産業医の職務は、労働安全衛生規則第14条第1項に基づき、以下の9つに分類されています。

①健康診断の実施とその結果に基づく措置
②長時間労働者に対する面接指導・その結果に基づく措置
③ストレスチェックとストレスチェックにおける高ストレス者への面接指導・その結果に基づく措置
④作業環境の維持管理
⑤作業の管理
⑥上記以外の労働者の健康管理
⑦健康教育、健康相談、労働者の健康の保持増進のための措置
⑧衛生教育
⑨労働者の健康障害の原因の調査、再発防止のための措置

出典:独立行政法人 労働者健康安全機構『中小企業事業者の為に産業医ができること」

つまり、産業医には、従業員が健康で安全に働くことができるよう、医学的専門家として企業・従業員へ指導や助言をし、改善をサポートする役割があります。

医学的専門家である産業医による健康管理関連の指導や助言を取り入れることで、従業員の不調やリスクを早期に発見・対応できます。すると、職場における従業員の健康管理をより効果的に行なうことができるでしょう。

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産業医が必要な会社とは?選任義務はいつ発生する?

産業医は、従業員が健康で安全に働くことができるよう、医学的専門家として企業・従業員へ指導や助言を行ない、改善をサポートするという重要な役割を担います。

したがって、労働安全衛生法第13条第1項では、常時50人以上の労働者を使用する事業場においては、産業医を選任することが義務付けられています。

「常時50人以上の労働者」のなかには、正社員や派遣社員はもちろん、パートやアルバイトも含まれます。雇用形態や契約期間は関係がないため、注意が必要です。

また、同じ企業内であっても、支店や店舗、工場など事業場ごとに従業員数が50人以上になると、それぞれの事業場に産業医の選任義務が発生するため、覚えておきましょう。

なお、事業場の従業員数が49人以下の場合、産業医選任は努力義務とされています。したがって、産業医選任を行なわなくても罰則はありませんが、安全配慮義務を果たすために、積極的に取り入れることが望ましいとされています。

安全配慮義務は労働契約法第5条にて、使用者の義務について「労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」と明文化されています。

小規模事業者であっても、ぜひ積極的に産業医選任を検討してみましょう。

産業医のおもな探し方と、各方法のメリット・デメリット

ここからは、産業医の探し方を4つ紹介します。それぞれメリット・デメリットがあるため、自社にあった方法で進めましょう。

産業医の探し方(1)医師会からの紹介

1つ目は、事業場のある地域の医師会に紹介してもらう方法です。メリットは事業場の近隣の産業医を見つけやすい点です。

一方、医師会は紹介を行なうため、実際の産業医へ依頼や交渉はすべて企業が行なわなければならず、時間や労力がかかるというデメリットがあります。

産業医の探し方(2)定期健康診断の契約をしている医療機関からの紹介

2つ目は、定期健康診断の契約をしている医療機関から紹介してもらう方法です。自社の従業員が受診している医療機関であるため、企業の状態を理解してもらいやすい点がメリットです。

一方、医療機関に産業医がいない場合は断られたり、取引があることで産業医の交代や交渉が行ないづらかったりするデメリットが発生するおそれもあります。

産業医の探し方(3)自社の人脈を活用

3つ目は、自社の人脈を活用する方法です。メリットは、産業医とつながりのある人物や企業から産業医選任までの流れやノウハウを教わることができたり、そのまま産業医を紹介してもらえたりする可能性があることです。

デメリットは、産業医を紹介してくれた人との関係性で企業のニーズに合わない産業医を紹介された場合に断りづらいという点が挙げられます。

産業医の探し方(4)迷ったら産業医紹介サービス(マッチングサービス)!

4つ目は、産業医を紹介、マッチングしてくれる産業医紹介サービス(マッチングサービス)を利用する方法です。

メリットは、これまでの方法で必要だった産業医を探す手間や、交代時も含めて依頼・交渉する労力が不要なことです。その他、以下のようなメリットもあります。

  • 「専属産業医」と「嘱託産業医」のどちらが必要か、選任する産業医の相談ができる
  • 法令遵守項目などの法律に関するサポートをしてくれる

デメリットは、紹介やマッチング、その後のフォローなどの仲介料が必要なため、これまでの方法より費用がかかる傾向にある点です。

しかし、手間や時間をかけず、企業にマッチした産業医を選任でき、労働者の健康と安全を守ることを考慮すれば、企業にとっての「必要経費」といえるでしょう。

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産業医探しで失敗しないための注意点

ここからは、産業医を探す際に失敗しないための注意点について解説します。

費用負担だけでなく、産業医の能力もチェックする

産業医の選任には決して安くない費用がかかるため、コスト面の考慮は非常に重要です。しかし、コスト面だけでなく、産業医の能力をきちんと確認することも忘れないようにしましょう。

特に意識してチェックしたい部分としては、ノウハウや経験のほか、コミュニケーション能力、調整能力が挙げられます。これらの能力に関しては、実際に産業医に会って話をすることで判断できるでしょう。

自社の目的に合わせて産業医を選ぶ

安全衛生管理上の課題は、各企業で異なります。産業医を探す前に、まず自社の課題をもとに、産業医を選任する目的を決めることが必要です。

基本的には、事業者と緊密に連携を取りながら、健康経営の実現を目指し熱心に取り組んでくれる産業医を選任するのがおすすめです。

「従業員の健康面が悪化している」「メンタルの不調を訴える従業員がいる」「残業が多い」など、課題が明確にある場合は、目的をしっかりと持って産業医を探すことが求められます。

自社の課題を明確にすれば、「精神疾患に関する知識が豊富な産業医を選任して、従業員の心の健康を守る」「業界の内情に詳しい産業医を選任して、業務効率化・残業ゼロを目指す」など、目的と必要な要素が見えてきます。すると、軸がぶれることなく産業医探しに取り組めるはずです。

自社の目的に合った産業医を探すには、まずは自社において優先すべき軸を決め、その方針にあった人材を見極めることが重要といえるでしょう。

事業場の規模別に見る、優先すべき軸(型)の例は以下の通りです。

契約時には業務内容の確認を十分に行なう

企業と産業医との契約では、産業医と個別に契約する直接契約が一般的です。直接契約には、「雇用契約」と「業務委託契約」の2つがあります。

雇用契約は、常勤の産業医との契約に多い契約形態です。一般的な従業員を雇用する場合と同じように契約します。なお、雇用形態としては、契約社員や嘱託社員などが一般的です。

業務委託契約は、非常勤の産業医との契約に多い方法で、企業が産業医を選任し、必要な業務を依頼し、業務の対価を支払う形の契約です。産業医は契約内容を遵守しなければなりませんが、契約内容にない業務に関しては拒否できます。

いずれの場合でもトラブルを防ぐため、業務内容や範囲、報酬額などの条件を事前に取り決め、契約書に明記しておくことが大切です。産業医のなかには、複数の企業で働く医師も多くいるため、誤解がないようにしっかりと確認しましょう。

名義貸し状態になるのを避ける

「名義貸し」とは、産業医として選任されているにも関わらず、業務を十分に行なっていない状態のことを指します。

具体的には、産業医が企業に毎月訪問しない、職場巡視を行なわない、ストレスチェックや面接指導を行なわない、といった状態が挙げられます。名義貸しは、費用が安価に済むことから、従業員の健康に対する意識が低い企業のごく一部で発生するケースがあります。

名義貸し状態は、労働安全衛生法違反になります。労働基準監督署の立入調査で発覚することが多く、法律違反になるのはもちろん、罰則を受けたり、厚生労働省により違反企業として公表されたりするなど、企業のイメージダウンや従業員のモチベーション低下につながるため、十分注意しましょう。

産業医の選任期間を守る

産業医の選任期間は、労働安全衛生規則第13条によって、「産業医の選任が必要となってか14日以内」と定められています。

自社に合う産業医を探そうとすると、どうしても時間がかかるうえに、産業医を選任したあとは、所轄の労働基準監督署への届出も必要です。

しかし、時間がないからといって妥協せず、先述したように目的に合った産業医やコミュニケーション能力がある産業医を見つけられるよう、準備を早めに行ないましょう。産業医を交代する必要がある場合も同様に、交代後の届出はすみやかに行なうことが重要です。

併せて知っておきたい、産業医の報酬相場

産業医の報酬相場は、産業医の種類や勤務日数、経験、地域によって異なります。すべての産業医が同じ費用ではないため、注意しておきましょう。

専属産業医と嘱託産業医の報酬相場の違い

まず、産業医には「専属産業医」と「嘱託産業医」の2種類があります。この2種類の違いは以下のとおりです。

・専属産業医
事業場に常時1,000人以上の従業員がいる場合に、常勤で勤務する産業医のこと。
(勤務の目安:週3日以上、一日3時間以上など)

※有害業務等の労働安全衛生規則第13条第1項第3号に記載されている業務に該当する場合は、従業員500人以上で専属産業医が必要

・嘱託産業医
事業場に常時50~999人の従業員がいる場合に、非常勤で勤務する産業医のこと。
(勤務の目安:月に1回程度)

産業医にかかる費用は、先述したとおりさまざまな条件で異なります。目安としては、専属産業医は週に3~4日の勤務で、年1,200万~1,500万円程度、嘱託産業医は月に1回程度の勤務で月7万~15万円程度の報酬が必要です。

産業医にかかる費用を節約するには?

産業医の業務は、健康診断やストレスチェック、職場環境や作業環境の改善、産業医面談など、多岐に渡ります。これらの業務をすべて産業医に任せてしまうと、産業医の業務負担だけでなく、企業の費用負担も大きくなる可能性があります。

例えば、産業医面談は「月80時間以上の時間外・休日労働で、疲労の蓄積が見られており、従業員から申し出があった場合」や、「月100時間以上の時間外・休日労働を行なった従業員」などに対して実施することが義務付けられています。

産業医面談にかかる費用は、「新労働安全衛生法において、事業者に当該面接指導の実施の義務を課している以上、当然、事業者が負担する必要がある(※)」とされているため、面談費用は事業者が負担し、また、診断書費用については、企業側が必要な場合は企業負担となります。

※働き方改革関連法により、2019年4月1日より労働安全衛生法の内容が強化

産業医面談のように、法律上、産業医にしか行なえない業務がある一方、ストレスチェックの実施は、保健師やその他厚生労働省令で定める者(特定の研修を受けた看護師、精神保健福祉士、公認心理士など)が担うことができます。

そのため、企業にとっての課題を把握し、産業医だけが行なえる業務に絞ることで、産業医には本当に必要な業務に専念してもらうことができ、質の高い産業保健活動を維持しつつ、企業の費用負担も抑えることが可能です。

産業医の活用方法を見極めることで、費用負担は軽減できます。産業医を選任する際には、これらについて助言ができる、頼れる相談先を探すようにしましょう。

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まとめ

産業医には、従業員が健康で安全に働けるようサポートする大きな役割があります。事業場の従業員数が50人以上になると産業医の選任義務が発生し、14日以内に自社の目的に合った産業医を選任しなければなりません。

産業医を探す方法としては、医師会や定期健康診断で契約している医療機関、自社の人脈を活用するほか、産業医紹介サービスを利用する方法があります。実際に契約する際には、報酬相場の確認はもちろん、名義貸し状態にならないよう注意し、産業医の能力や業務内容のすり合わせを行なったうえで契約しましょう。

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