産業医をスポットで契約?相場報酬やメリット・オンライン面談を徹底解説

産業医のスポット契約

この記事の監修者

産業医や産業保健師など産業保健分野で活躍する専門家チーム

サンチエ編集部

産業医のスポット契約とは

産業医のスポット契約とは、回数や時間を決めて、必要時に対応をしてもらう契約のことです。通常の産業医契約は、常勤・非常勤のどちらにしても契約書に基づいた期間(1年間など)を継続して業務を行ってもらう契約です。

しかし、スポット契約は企業が希望する日時や場所で、必要な時だけ産業医に対応してもらうような契約になるため、活用方法次第ではとても便利で、効率的かつ効果的に産業保健活動を行うことができます。

また、現在産業医の選任は「事業場の常時使用する従業員数が50人以上」の場合、法律で義務付けられていますが、49人以下の事業場でも努力義務となっているため、積極的に産業医を活用するのが望ましいとされています。

義務化されている事業場と努力義務の事業場のどちらもスポット契約を活用することは可能ですが、注意点もあります。これから説明する内容を参考に、産業医の選任方法の1つとしてぜひ検討してみてください。

産業医のスポット契約の相場報酬

通常契約の場合は産業医の種類や経験、勤務日数で大きく異なります。今回は、参考として、非常勤で業務を行う「嘱託産業医」の相場と今回のメインであるスポット契約の相場を紹介していきます。

まず、嘱託産業医は月に1回程度の勤務で7~15万円程度が相場です。従業員数や事業場の地域によっても違いはあるので、地域の医師会のホームページを確認するか、医師会に問い合わせてみてもいいでしょう。ちなみに、大まかな報酬は以下の通りです。

  • 49人以下:75,000円~
  • 50~199人:100,000円~
  • 200~399人:150,000円~ 
  • 400~599人:200,000円~
  • 600~999人:250,000円~

先述の通り、報酬は様々な条件で決まっていくため、選任する産業医と交渉をして決めていくことを理解しておきましょう。

次にスポット契約の場合の相場です。スポット契約の場合、時間や回数を決めて契約となりますが、契約をする産業医を探す方法でも料金が異なります。

産業医の紹介会社に依頼した場合は、1回につき32,000~100,000円程度となります。金額の幅が大きいですが、必要時だけの契約になるため、回数や時間、実施する業務内容(面談や就業判定など)が増えると金額も上がっていきます。詳しい金額は、紹介会社ごとに異りますが、無料で見積りを行っている紹介会社も多いため、まずは見積りを行うとよいでしょう。

また、産業医事務所に依頼した場合ですが、こちらも事務所によって異なるため、細かい金額はそれぞれの事務所に問い合わせることをおすすめしますが、1回につき100,000円以上の金額にはなるでしょう。問い合わせの際は、金額に対して、対応時間や対応する業務内容も確認するとスムーズに確認が取れるため、ぜひ行いましょう。

スポット契約の報酬は、回数・時間・業務内容・地域等のそれぞれの場合で大きく異なるので、まずは地域の医師会や紹介会社に問い合わせしてみる事をおすすめします。

産業医のスポット契約のメリット3選

産業医のスポット契約のメリットは以下の3つがあげられます。

  1. 従業員にあわせたケアが可能になる
  2. 無駄な費用を抑えることができる
  3. 必要な分だけ面談を行うことができる

では、順番に説明していきましょう。

1.従業員にあわせたケアが可能になる

産業医がすでに選任されている企業も、産業医の選任が努力義務のためこれから検討している企業も、それぞれ企業のニーズにあわせた産業医の選択が必要になります。

例えば、女性が多い職場で男性の産業医を選任するとどうでしょうか?女性ならではの問題や女性視点が必要な場合に男性の産業医では対応が難しかったり、従業員が相談しにくくなるかもしれません。

また、メンタルヘルス対策に課題がある企業では、その分野に特化した産業医が必要な場合があります。そんな時にスポット契約をすることで、その都度、臨機応変に対応することができます。

2.無駄な費用を抑えることができる

必要な回数や時間で料金を支払うことになるため、無駄な費用をかけず済ませることができます。事業場の常時試用ずる従業員数が49人以下で、必要に応じて産業医に面談や職場巡視等の産業保健活動を行ってほしい場合は、通常の産業医契約より金額を抑えられるケースもございます。

また、事業場の常時使用する従業員数が50人以上で産業医選任が義務化されている企業も、通常契約の産業医とスポット契約の産業医を併用することで、費用を抑えつつ、より効率的な産業保健活動を行うことが可能になるでしょう。

3.必要な分だけ面談を行うことができる

スポット契約は長時間労働者や高ストレス者など、急に産業医面談が必要な従業員が発生した際にも対応してもらうことができます。

労働安全衛生法では、脳・心臓疾患の発症を予防するため、疲労の蓄積が認められた労働者に対し、事業者は医師による面接指導を行うように義務づけられており、これは平成20年4月から常時使用する従業員数49人以下の事業場にも適用されています。

そのため、産業医選任が努力義務となっている企業も、上記のような従業員が発生した際には、産業医面談等の適切な対応が必要になります。

従業員が少人数で、産業医選任をしていない企業は、スポット契約をして、緊急時・必要時の対応からすすめていくのもよいでしょう。

また、産業医が選任されている常時使用する従業員数50人以上の事業場では、現在の産業医が対応できない分野の課題が発生した場合に、より専門性の高い産業医を必要時にスポット契約して対応してもらうことで、効果的な対応ができるため、活用してみてもよいでしょう。

スポット契約には上記のように多くのメリットがあります。企業内でどのような産業医が必要か検討しながら、企業や従業員にとって、より効果的な活用に繋げてください。

産業医とスポット契約をするには?

産業医とスポット契約をするには以下の3つの方法があります。

  1. 知り合いの産業医に声をかける
  2. 医師会に相談する
  3. 産業医マッチングサービスを利用する

順番に説明していきましょう。

1.知り合いの産業医に声をかける

身近に産業医の知り合いがいれば、直接依頼してみる方法もあります。スポット契約はその都度の対応になるため、連絡や連携がとりやすい産業医だと依頼も行いやすくなります。

ただし、「医師」ではなく「産業医」のため、間違えないように注意しましょう。「医師」の中でも、産業医資格を取得していなければ「産業医」業務は行えないことは覚えておく必要があります。

また、依頼する産業医が企業のニーズを満たしているかを、事前に確認しておく必要があります。依頼しても、対応が困難だったり、専門分野ではなかったりする可能性もあるため、しっかり確認をして、依頼するようにしましょう。

2.医師会に相談する

先述の通り、医師全員が産業医資格を所有しているわけではないため、知り合いに産業医がいなければ自力で探すのは困難です。地域の医師会に相談して、スポット契約を行える産業医を探しましょう。

ただし、地域の医師会に相談すると、産業医の紹介はしてくれますが、依頼や交渉は企業で行わなければならないため、労力がかかることは覚えておきましょう。

3.産業医マッチングサービスを利用する

産業医マッチングサービスとは、事業場の特徴やニーズに合わせた産業医をマッチングしてくれるサービスです。マッチングサービス会社が仲介に入ることで、スポット契約が可能な産業医を探す手間や交渉する手間は必要なくなります。

紹介した中では、1番手軽で企業のニーズにあった産業医を探すことができるでしょう。仲介手数料等の費用がかかるため、他の方法より割高になります。しかし、依頼・交渉の手間や質の高い産業医を探し、効果的な業務を行ってもらえると考えると、必要経費と言えるでしょう。

産業医のスポット契約は必要時に適切な対応をすることで、金額以上の利益を企業と従業員にもたらすことができます。しっかり検討して、企業や従業員にとってより良い選択をしていきましょう。

オンライン面談も実現可能?

近年、コロナウイルスの感染拡大に伴い、新しい生活様式が広がっています。もちろん、働き方の新しいスタイルも広がり、テレワークやオンライン会議も普及しています。

働き方の多様化に伴い、2020年11月に「情報通信機器を用いた労働安全衛生法」が緩和され、原則対面だった産業医面談もオンライン面談が可能になりました。

そのため、全国どこでも遠隔での対応が行えるようになり、テレワーク中で出社することがない従業員ともオンラインによる面談実施が可能となりました。しかし、産業医によるオンライン面談を利用する際にはいくつか注意点がありますので、確認していきましょう。

以下に記載する要件は、厚生労働省の「情報通信機器を用いた面接指導の実施について」から引用しています。

まず、面接指導に用いる情報通信機器が、以下の全ての要件を満たす必要があります。

① 面接指導を行う医師と労働者とが相互に表情、顔色、声、しぐさ等を確認できるも のであって、映像と音声の送受信が常時安定しかつ円滑であること。なお、映像を伴わない電話による面接指導の実施は認められない。
② 情報セキュリティ(外部への情報漏洩の防止や外部からの不正アクセスの防止)が確保されること。
③ 労働者が面接指導を受ける際の情報通信機器の操作が、複雑、難解なものでなく、容易に利用できること。

簡単に説明すると、面談時に産業医が面談者の顔や表情などが確認でき、セキュリティを確保した上で面談を実施するように定められています。

次に、情報通信機器を用いた面接指導の実施方法等についてです。こちらも、以下のいずれの要件も満たすことと定められています。

① 情報通信機器を用いた面接指導の実施方法について、衛生委員会等で調査審議を行った上で、事前に労働者に周知していること。
② 情報通信機器を用いて実施する場合は、面接指導の内容が第三者に知られることがないような環境を整備するなど、労働者のプライバシーに配慮していること。

上記の内容は、オンライン面談の実施方法を会議で審議した上で従業員に面談が可能になったことを周知することや、面談内容が第3者に漏れないよう、プライバシーに配慮することが記載されています。

また、産業医によるオンライン面談時、面談者に疾患の兆候(医師による緊急の対応が必要な状態)がみられた場合、事業場の産業保健スタッフによる医療機関への搬送等の緊急対応や産業医と搬送先の医師との連携が可能な体制づくりを整備しておくことも求められています。

以上のように、オンライン面談を実施する際には、オンラインならではの課題を解決しつつ、面談がスムーズに行えるような注意が必要です。

しかし、オンライン面談が可能になったことで、これまで産業医の面談が困難だったケース(遠方の事業場や多忙により時間が取れない従業員等)が実施できるため、必要時に産業医のスポット契約をして、オンライン面談の活用をしていくメリットは大きいでしょう。

まとめ

いかがでしたか?長時間労働やメンタルヘルス問題、職場の環境改善等は、専門家の意見を聞き、改善していくことで労災を未然に防ぐことにもつながります。

また、スポット契約は必要な時間や回数で契約するため、無駄な費用を抑えつつ、必要な時に適切な対応をすることができます。

事業場の規模に関わらず、「産業医のスポット契約」は活用することでのメリットは多くあるため、産業医を選任していない企業も、産業医を選任している企業も、ぜひ検討してみてはいかかでしょうか。