ハラスメントとは?【22種類一覧】定義や対策、発生時の対応についてわかりやすく解説

ハラスメントとは?【22種類一覧】定義や対策、発生時の対応についてわかりやすく解説 | リモート産業保健

ハラスメントは、労働者のメンタルヘルスやモチベーションを低下させ、労働環境を悪化させる要因の一つです。近年では、働き方改革の一環として、ハラスメントの防止策が強化されています。

この記事では、職場でよく見られるハラスメントの種類や、それを防ぐための具体的な対策・対処法、そしてハラスメントが発生した場合の適切な対応についてご紹介します。

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ハラスメントの定義とは?

ハラスメントとは、他者にいじめや嫌がらせをしてダメージを与える発言や行動のことです。ハラスメントの種類はさまざまですが、客観的に理不尽で不必要な言動を行ない、相手が不快に感じたならば、それはハラスメントとされます。

ハラスメントを放置すると、労働者の仕事のパフォーマンスが落ちるだけでなく、企業の社会的評価も落ちてしまいます。

労働者・企業ともにデメリットばかりのハラスメントが起こらないように対策し、ハラスメントが起こった場合も早急な対応を取ることが企業には求められます。

ハラスメントに関連する法律はなにがある?

ハラスメントに関する法律は、ハラスメントの種類によって異なります。

種類 パワーハラスメント セクシャルハラスメント 妊娠や出産、育児休業や介護休業に関するハラスメント
法律 労働施策総合推進法
(第30条の2関係)
男女雇用機会均等法
(第11条関係)
男女雇用機会均等法
(第11条の3関係)
育児・介護休業法
(第25条関係)
内容 職場での上下関係を背景に、必要以上に労働者の就業環境を損なわないよう、適切な措置を講じること。 職場での性的な言動により、労働者が不利益を被ったり、就業環境が悪化したりすることがないよう、適切な措置を講じること。 上司や同僚からの妊娠や出産、育児休業や介護休業に関する言動によって、労働者の就業環境が悪化しないよう、適切な措置を講じること。

参考:ハラスメントに関する法律とハラスメント防止のために講ずべき措置|厚生労働省

ハラスメントの防止措置が講じられた背景について

ハラスメントの防止措置が講じられる背景には、「働き方改革」の概念が関連しています。

働き方改革は、多様な働き方を選択できる社会を実現するために、労働者の働き方や労働環境を改善し、健康で充実した労働生活を実現することを目指す取り組みです。

具体的には、長時間労働の是正、柔軟な働き方の促進、ワーク・ライフ・バランスの確保、労働環境の安全性の向上などがテーマとされ、これにより労働者の生産性向上やストレスの軽減、雇用の活性化を目指しています。

ハラスメントは労働環境を悪化させ、労働者のメンタルヘルスやモチベーションを低下させる要因の一つです。そのため、働き方改革の一環として、ハラスメントの防止策が強化されるようになりました。

職場のパワーハラスメントの現状や実態について

厚生労働省が公表した「令和4年度個別労働紛争解決制度の施行状況」によると、総合労働相談件数が15年連続で100万件を超え、相談内容の中で最も多いのは「いじめ・嫌がらせ」となっています。

参考:令和4年度個別労働紛争解決制度の施行状況」を公表します|厚生労働 

職場におけるハラスメントの実態

厚生労働省が令和2年10月に実施した職場のハラスメントに関する実態調査によると、過去3年間の勤務経験において、パワハラ、セクハラおよび顧客などからの著しい迷惑行為を一度以上経験したと回答した労働者の割合は、パワハラは31.4%、顧客などからの迷惑行為は15.0%、セクハラは10.2%でした。

また、過去5年間のうち、妊娠や出産に関連したハラスメントを受けたと回答した女性労働者の割合は26.3%、妊娠前に妊娠・出産に関する否定的な言動を経験したと回答した女性労働者の割合は17.1%を占めます。

さらに、育児休業などを利用しようとした男性労働者のうち、ハラスメントを受けたと回答した男性労働者の割合は26.2%であったと発表されました。

参考:令和2年度厚生労働省委託事業職場のハラスメントに関する実態調査主要点|厚生労働省

ハラスメントは就職活動にも起きている!?

同じく、厚生労働省が令和2年10月に実施した調査によると、就職活動中やインターンシップ中にハラスメントを経験したと回答した人は全体の25.5%で、男性の方が女性よりも経験率が高い傾向が見られました。

ハラスメントを経験したと回答した人の中には大学のキャリアセンターに相談するなどの行動に移せた人もいますが、その後の行動として最も多かった回答は「何もしなかった」でした。

就職活動中やインターンシップ中において、立場の弱い学生などがハラスメントを受けることを「就活ハラスメント」といいます。

面接や職場見学中に、性別や人種、年齢、身体的外見に基づく差別的な言動や応募者が求めていない個人情報を不当に聞き出すことはハラスメントにあたります。

参考:令和2年度厚生労働省委託事業職場のハラスメントに関する実態調査主要点|厚生労働

会社でよく見られるハラスメントの種類18選!

パワハラ、セクハラなどの代表的なハラスメント以外にも、対策が必要なハラスメントは数多くあります。ここからは会社でよく見られるハラスメントを紹介します。

ハラスメントの種類(1)パワーハラスメント(パワハラ)

パワーハラスメント(パワハラ)とは、同じ会社で働く者に対して、職場における優越的な関係を用いて、身体的・精神的なダメージを与えることです。

具体的には、以下の3要素すべてに該当する言動が、パワハラとみなされます。

  • 優越的な関係に基づいて行なわれる
  • 業務の適正な範囲を超えて行なわれる
  • 身体的若しくは精神的な苦痛を与える、または就業環境を害する

なお、「優越的な関係」とは、上司といった立場上の上位者だけではなく、専門スキルの高い同僚など、業務の遂行で優位に立っている人も含みます。また、オフィスの中だけではなく、出張先や会社主体の飲み会での言動がパワハラとされることもあります。

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ハラスメントの種類(2)セクシャルハラスメント(セクハラ)

セクシャルハラスメント(セクハラ)とは、職場で性的な言動をして、他者を不快にさせることです。セクハラは異性間で起こるイメージが強いですが、同性同士の言動も含まれます。

またパワハラと同様に、出張先や飲み会など業務の延長線上で発生した事案も、職場でのセクハラとされる可能性があります。その他、「男のくせに」「女だから」といった固定の役割分担的な発言もセクハラとみなされることがあります。

ハラスメントの種類(3)マタニティハラスメント(マタハラ)

マタニティハラスメント(マタハラ)とは、妊娠・出産を理由に嫌がらせをすることです。妊娠・出産をした女性や、産休・育休を取得する労働者に対して、肉体的・精神的ダメージを与えると、マタハラとみなされる可能性があります。

妊娠した女性に退職を迫る、育児休暇の取得を拒否する、給料を下げるといった行為が、代表的なマタハラの例です。他にも、「妊婦はいつ休むかわからない」「短時間勤務でいいよね」といった心ない発言も、マタハラと判断される可能性が高いでしょう。

ハラスメントの種類(4)パタニティハラスメント(パタハラ)

パタニティハラスメント(パタハラ)とは、マタニティハラスメントの男性版で、育休を取得する男性労働者に対する嫌がらせのことです。男性に育児休暇取得・時短勤務などの制度を利用させない、育休を理由に減給・降格・解雇を行なうことなどが挙げられます。

職場の上司や他の労働者が「男のくせに育休を取るのはありえない」「自分のときは、育休なんて取らなかったよ」など、取得を諦めざるをえないような言動をした場合にも、パタハラとみなされます。

ハラスメントの種類(5)モラルハラスメント(モラハラ)

モラルハラスメント(モラハラ)とは、モラルに反する言動、つまり嫌がらせをして、相手を精神的に追い詰める行為のことです。特に理由がないのに無視する、睨む、挨拶を返さない、相手を否定するなどがモラハラにあたります。

他にも、周囲の目があるなかで必要以上に厳しく叱責する、仲間はずれにするなども、モラハラとみなされることがあります。モラハラは、本人が「モラハラをしている」と気付かないこともあるため、会社主体で対策を講じることが大切です。

ハラスメントの種類(6)ジェンダーハラスメント(ジェンハラ)

ジェンダーハラスメント(ジェンハラ)とは、「男らしさ」「女らしさ」を相手に押しつけて基準に当てはめようとし、相手に不快な思いを与えることをいいます。

個人の価値観で「男はこうだ」「女はこうだ」と勝手に当てはめて、多様な生き方を認めずに相手の行動を批判すると、ジェンハラとみなされる可能性があります。

ハラスメントの種類(7)リストラハラスメント(リスハラ)

リストラハラスメント(リスハラ)とは、リストラ対象者を自主退職に追い込む嫌がらせ行為のことです。

原則として、会社側が一方的な解雇を行なうことは、法律で禁止されています。したがって、「特定の労働者を解雇したいが、正当な理由がない」といった状況で、リスハラを行なう会社は少なくありません。具体的には、多すぎる量の仕事を与える、逆にまったく仕事を与えない、能力や経験を活かせないような部署に配置転換する、執拗に退職を迫る、といった行為が挙げられます。

ハラスメントの種類(8)セカンドハラスメント(セカハラ)

セカンドハラスメント(セカハラ)とは、ハラスメントを受けた人が他者に相談したときに、嫌がらせや不利益な扱いをされる二次的な被害のことをいいます。

ハラスメントを受けている人が、自身の被害について誰かに相談するのは簡単なことではありません。やっとのことで相談したにもかかわらず、「あなたの勘違いではないか」「あなたの言動がそもそもの原因ではないか」などと責められてしまう、といったケースがセカハラにあたります。特にセクハラは、セカンドハラスメントにつながりやすいため注意が必要です。

ハラスメントの種類(9)スメルハラスメント(スメハラ)

スメルハラスメント(スメハラ)とは、匂いで他者に不快感を与えることです。ここでの「匂い」とは、口臭、体臭、香水、タバコの匂いなどを指します。匂いの良し悪しに関わらず、相手が不快に感じた場合はスメハラにあたる可能性があります。

スメハラは本人が気付かないケースが多いため、意識的に気をつける必要があります。不快な匂いのせいで気分が悪くなる、仕事に集中できなくなる、という方もいるため、「たかが匂い」と軽く考えてはいけません。

ハラスメントの種類(10)スモークハラスメント(スモハラ)

スモークハラスメント(スモハラ)とは、タバコを吸わない人に対して吸うように強要することや、タバコを吸わない人が受動喫煙にさらされることです。タバコの煙を吸い込むと健康上の悪影響が大きいため、実際に訴訟に発展する事案も発生しています。

具体的には、会議で上司が喫煙をしている、休憩後の同僚のタバコの匂いが気になる、受動喫煙により持病が悪化した、といったケースが挙げられます。

ハラスメントの種類(11)アルコールハラスメント(アルハラ)

アルコールハラスメント(アルハラ)とは、飲み会でのアルコールの早飲み・一気飲みの強要、飲めない人に無理矢理飲ませる、飲めないことを嘲笑するなど、飲酒に関する嫌がらせ全般のことを指します。

お酒は飲み方を間違えると急性アルコール中毒を招き、命を落とす危険もあるため、特に注意が必要です。職場での飲酒の強要は、絶対に行なわないようにしましょう。

ハラスメントの種類(12)リモートハラスメント(リモハラ)

リモートハラスメント(リモハラ)とは、リモートワークで起こるハラスメントのことです。テレワークハラスメント(テレハラ)と呼ぶこともあります。リモートであるため相手との距離感がつかめず、気付かないうちにパワハラ・セクハラなど行なってしまうケースもあります。

リモハラ(テレハラ)にあたる例として、テレビ会議の際にカメラに映る自宅や服装をみて言及する、常にカメラをオンにするよう指示して監視する、などが挙げられます。

ハラスメントの種類(13)テクノロジーハラスメント(テクハラ)

テクノロジーハラスメント(テクハラ)とは、ITの得意な人が苦手な人に対して行なうハラスメントのことです。テクハラは、ITに慣れている若い世代から中高年に対して行なわれるケースが多く、部下から上司、同僚間でも起こりえます。

例えば、IT機器をうまく使いこなせないことを責める、専門知識が必要な高度な業務をITが苦手な人に担当させるなどは、テクハラとみなされる可能性があります。

ハラスメントの種類(14)パーソナルハラスメント(パーハラ)

パーソナルハラスメント(パーハラ)とは、その人の性格や見た目、話し方の癖などをからかって、嫌がらせをすることです。相手が無意識に発言したことでも、本人にとってはかなりの苦痛になり、精神的ダメージを受けることがあります。

例えば、「○○だから仕事ができないんだ」などと発言して、精神的苦痛を与える、個人の特性を理由に仕事内容を制限するなどが挙げられます。他にも、あだ名をつけたり、見た目で判断したりすることもパーハラにあたる可能性があります。

ハラスメントの種類(15)コミュニケーションハラスメント

コミュニケーションハラスメントとは、コミュニケーションが不得意な人に会話を強要して、不快感を与えるような言動をすることをいいます。

コミュニケーションには得意不得意があるため、強要すると不快感を与えてしまいます。例えば、良かれと思って「もっと積極的に同僚と話したほうがいいよ」などと促すことも、コミュニケーションハラスメントとみなされるかもしれません。

コミュニケーションが得意な人と苦手な人がいることを認識し、相手を思いやった言動をすることが大切です。

ハラスメントの種類(16)レイシャルハラスメント(レイハラ)

レイシャルハラスメント(レイハラ)とは、人種や民族、国籍を理由に差別をしたり、不適切な言動をしたりすることです。「ハーフってかっこいい」「ハーフなのに英語を話せないの?」など、自身では何気ない会話や質問と思っていても、相手を不快にすることがあります。

他にも、外国人を「ガイジンさん」などと呼ぶ言葉も、差別的な響きがあるため注意が必要です。また、会社で国籍や人種を理由に評価したり、その国の代表のように扱ったりすることも、レイハラとみなされることがあります。

ハラスメントの種類(17)時短ハラスメント(ジタハラ)

時短ハラスメント(ジタハラ)とは、労働時間の削減を強制するハラスメントのことです。労働基準法の改正や働き方改革の促進により、企業には時間外労働の削減が求められています。しかし、対策もないまま、ただ定時退社や残業禁止などを強制する企業もあります。

労働時間の削減ができても、業務を自宅に持ちかえることになったり、仕事の質が落ちたりすると意味がありません。企業は、労働時間を削減してもジタハラが起きないように対策する必要があります。

ハラスメントの種類(18)マリッジハラスメント(マリハラ)

マリッジハラスメント(マリハラ)とは、独身者に結婚の話をして不快感を与えることです。例えば、「いつ結婚するの?」「彼氏はいるの?」「そんな調子だと結婚できないよ?」などといった言葉が挙げられます。

結婚する・しないは個人の自由であり、結婚について聞かれるのが苦痛な人もいます。また、「独身は気楽でいいね」「結婚って幸せだよ」なども、マリハラにあたる可能性があります。

価値観は人それぞれであるため、結婚に対する自身の考えを押しつけるのは、相手の負担になるということを理解しておきましょう。

ハラスメントの種類(19)ケアハラスメント(ケアハラ)

ケアハラスメント(ケアハラ)とは、介護をしている労働者に対し、嫌がらせをしたり、必要な制度を利用させなかったりすることです。例えば、「あなたのせいで他の労働者の負担が増えている」「また介護休暇を取るのか」などプレッシャーを与える言葉もハラスメントにあたります。

介護経験がない人や周りに介護経験者がいない人などは、介護者への理解が欠如していたり、「介護は女性がするべき」という差別や偏見を持っていたりするかもしれません。

企業は、介護をしている労働者への理解を深めることや法律に基づく介護に関する支援制度の周知を他の労働者に対しても行なう必要があります。

ハラスメントの種類(20)エイジハラスメント(エイハラ)

エイジハラスメント(エイハラ)とは、年齢や世代の違いを理由に行なう嫌がらせです。パワハラやセクハラと混同されがちですが、「30歳になってこんな仕事もできないの?」「ゆとり世代はこれだから困る」など年齢や世代を含んだ要素を攻撃する場合はエイジハラスメントに該当します。

お互いの気持ちや立場が理解できず相手を傷つける発言をしたり、また、日常会話の一環として悪意のないまま発言や行動を繰り返したりする人もいるかもしれません。

相手が不快に思う言動を知ること、自分の認識と周囲とのズレを把握することがエイジハラスメントを意識する第一歩になります。

ハラスメントの種類(21)ソーシャルハラスメント(ソーハラ)

ソーシャルハラスメント(ソーハラ)とは、SNSを通じて職場の人間関係に関連する嫌がらせを行なうことです。SNSの普及により、職場の労働者同士がつながり、やり取りすることが可能になりました。SNSは便利である一方で、プレッシャーやストレスを感じるケースもあります。

例えば、上司から部下への悪意のない連絡内容であっても、業務外にまで連絡が来るようになった場合、部下側は圧迫感を感じてしまうかもしれません。また、「友だち追加」や「フォロー」、「いいね」などのリアクションの要求などが心理的負担になる場合もあります。

ハラスメントの種類(22)ラブハラスメント(ラブハラ)

ラブハラスメント(ラブハラ)とは、恋愛に関する話題を持ち出して相手に精神的苦痛や不快感を与える行為です。相手の交際状況や恋愛経験に関する話題を利用して妬みや軽蔑を示したり、恋愛に関する話題を執拗に聞き出そうとしたりする行為が嫌がらせに該当します。

ラブハラスメントは、セクハラやモラハラなどから発展した新しい言葉です。恋愛トークで盛り上がると、アドバイスのつもりで自身の価値観を押し付けてくる人がいるかもしれません。自身の意見を述べることは悪いことではありませんが、相手に押し付けることはハラスメントとなり得ますので、配慮が必要です。

職場で起こるハラスメントの対策・対処法

職場で起こるハラスメントを防ぐには、労働者への注意喚起が大切です。具体的な対策・対処法についてご紹介します。

労働者に対し法定義務であることを周知する

職場で起こるハラスメントの対策・対処法の1つ目は、「法律で規定されていることを伝える」です。

ハラスメントに関する法律には、労働施策総合推進法、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法があり、令和4年4月から「パワーハラスメント防止措置」が中小企業でも義務化されました。

パワーハラスメント防止措置の義務化については、企業の管理監督者のみが把握しておけばいいというものではありません。

会社が防止措置を怠った場合には、損害賠償責任を問われる可能性があるため、管理監督者を含む労働者全員が知っておく必要があります。

参考:職場におけるパワーハラスメント対策が事業主の義務になりました!|厚生労働省

就業規則の委任規定・詳細を明記し、社内に周知する

職場で起こるハラスメントの対策・対処法の2つ目は、「自社の方針や処分について周知する」です。

例えば、就業規則や社内報を利用して、労働者にハラスメントに対する厳格な対応を具体的に明示する方法があります。就業規則などにハラスメントの定義や禁止行為、懲戒処分などを含んだ詳細な規定を設けましょう。

禁止行為を行なった場合、けん責や減給、出勤停止、降格などの懲戒処分が適用されることを明確にしておけば、社内の方針を理解しやすくなります。そして労働者全員が社内の方針を共有し、遵守することで、健全な労働環境の確保が目指せます。

ハラスメントに関する研修やセミナーを実施する

職場で起こるハラスメントの対策・対処法の3つ目は、「研修・セミナーを実施する」です。

ハラスメントに関する研修のテーマとして、ハラスメントの定義、職場内の現状、影響、防止方法、社内ルールなどが挙げられます。ハラスメントに関する研修は、ハラスメントのリテラシーを高めるために、職場で働く労働者全員が受講すべき研修です。

研修を行なうことで、役職や立場に関係なく、誰もが加害者または被害者になり得ることを認識し、ハラスメントに関する正しい知識の習得や適切なコミュニケーションスキルの習得に役立ちます。

ハラスメントが起こらない企業を目指すには、職場全体への浸透と行動の定着のために定期的に研修を実施することが重要です。

当事者などのプライバシー保護に関する措置を実行と周知を行なう

職場で起こるハラスメントの対策・対処法の4つ目は、「プライバシー保護の配慮を行なう」です。

ハラスメントは個人だけの問題ではなく、企業全体の問題です。ハラスメント行為に直面した場合は、職場の人事労務や信頼できる上司に相談する必要があります。ただし、相談したことや相談内容が周囲に知られることを懸念して、相談を躊躇する労働者もいるかもしれません。

企業は、相談した労働者のプライバシーが保護されること、ハラスメント行為の相談や事実確認の調査に協力したことによる不利益な取扱いを行わないことなど、明確に周知・啓発する必要があります。

ハラスメント相談窓口の設置

職場で起こるハラスメントの対策・対処法の5つ目は、「相談窓口を設置する」です。

相談窓口は、すべての労働者が安心して気軽に相談できる環境を提供する必要があります。相談窓口を設置したら、以下の情報を労働者に周知しましょう。

  • 相談窓口の場所
  • 対応時間
  • 担当者の部署、担当者名
  • 連絡先
  • 相談方法

周知方法としては、ポスターの掲示やカードの配布、社内報やメールでの通知などが有効です。

相談窓口の担当者は、人事部や法務部が担当したり、管理職や従業員から選出したりする方法が考えられます。また、外部委託することも可能で、弁護士事務所、社会保険労務士事務所、相談窓口の専門企業などに依頼する方法があります。

職場パワーハラスメント対策ガイドブック枠
【関連お役立ち資料】

職場でハラスメントが発生した場合は?

職場でハラスメントが発生した場合の対応は、以下のとおりです。

  1. 相談の受付
  2. 事実関係の確認
  3. 相談者やハラスメント行為者へ取るべき措置の検討
  4. 相談者やハラスメント行為者へのフォロー
  5. 再発防止策の検討

まず、相談者が安心して話せる環境を整え、相談者の話を丁寧に聞きます。相談者が自分の気持ちや状況を十分に伝えられるように配慮し、もし相談時間が長引きくようであれば50分程度に抑えて次回の相談日を設定するとよいでしょう。

相談者、ハラスメント行為者、関係者からの情報を収集し、ハラスメントが確認された場合、ハラスメント行為者への処分は事態や就業規則に応じて適切に行ないます。

そして、相談者やハラスメント行為者へのフォローも忘れてはいけません。休暇や配置転換など、安心して職場に戻れるような措置が必要です。

最後に、職場で発生したハラスメント問題について、社内で情報を共有します。ハラスメント行為者への処分を公表したり、相談または調査の協力によって不利益を被らないことを明言したりすることで、労働者のハラスメントを防止するための意識向上に努めます。

まとめ

今回は、会社で起こりやすいハラスメントを一挙に紹介しました。令和4年4月からは「パワーハラスメント防止措置」が中小企業でも義務化されているため、今後もハラスメント対策への整備を進めていく必要があります。

しかし、「実際にどのような方法を採れば良いのかわからない」「通常業務と並行して行なうため、業務負担が大きい」といった理由で、ハラスメントへの対応が進まない企業もみられます。

そんな悩みを抱える企業におすすめなのが、「リモート産業保健」のサービスの活用です。リモート産業保健のハラスメント相談窓口サービスを利用すれば、心理カウンセラーなどの専門家による窓口を、社内リソースを割くことなく設置することができます。

また、ハラスメントによるメンタルヘルス不調の対応も産業医・産業看護職の2名体制で行なうため、充実したサポートが可能です。パワーハラスメント対策ガイドブックも用意してあるため、まずは下記リンクよりお気軽にお問い合わせください。

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