産業医選任やオンライン・訪問面談、職場巡視、
衛生委員会の立ち上げ・運営など産業医と産業看護職2名体制で支援
産業医とは、常時使用する労働者数が50人以上の事業場で選任する義務がある医師のことです。医師といっても、病院やクリニックで働く医師(臨床医)とは役割が大きく異なります。
本記事では、産業医が企業で果たす役割や、自社に合った産業医を選任するコツなどについて詳しく解説します。
産業医の必要性が高まっている理由
近年、以下のような背景で産業医の必要性が高まっています。
労働者の健康問題に注目が集まっているから
2019年4月に施行された働き方改革関連法により、産業医が効果的な活動を行なえるようにするため、産業医・産業保健機能が強化されました。
労働者のメンタルヘルス不調や、長時間労働による過労死などを防ぐには、企業が率先して働きやすい環境を整えることが重要です。そして、そのような環境の整備のためには、産業医の存在が必要不可欠とされています。
企業と産業医が連携して、労働者の健康確保に努めることで、労働者は高いパフォーマンスを発揮できるようになります。そして、生産性や業務効率が上がり、結果的には企業の売上・業績の向上につながります。労働者の健康に適切に配慮できれば、従業員エンゲージメントも大いに高まるでしょう。
企業のリスクマネジメントのために産業医が必要だから
企業のリスクマネジメントの観点からも、労働者の健康問題やメンタルヘルス不調への対策は重要な課題です。
心身の不調を抱える労働者を放置すると、休職・離職につながり、人員不足や業績低下を招きかねません。また、メンタルヘルス不調に陥った労働者から訴訟を起こされるリスクもあり、そうなれば企業のイメージダウンは避けられません。
重大なトラブルが起こる前に、産業医からアドバイスをもらいながら、労働者のメンタルヘルスケアや職場環境の改善に努めましょう。
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産業医は医学と産業保健のスペシャリストです。産業医が十分に機能しなければ、労働者の健康と安全を守ることは困難になります。企業経営にもかかわる産業医の役割を考えると、「役立たず」とは言い難いでしょう。
それほど、産業医の業務は多岐にわたり、企業内における産業医の役割は非常に大きいといえます。しかし、なかには「役立たず」と言われる産業医がいることも事実です。
産業医自身にやる気がなかったり、能力が足りていなかったりする場合もありますが、優秀で真面目な産業医であっても、企業や労働者から「役立たず」とみなされるケースがあります。
その要因の一つとして、企業や労働者が産業医の業務を理解しておらず、以下のような誤解が生じている可能性があります。
- 産業医は、労働者の病気やけがの診断・治療をする
- 産業医は、労働者のメンタルヘルス不調を治してくれる
- 産業医は、企業(労働者)の意見をすべて受け入れてくれる
産業医の役割は、一般的な病院の医師(臨床医)とは異なり、診断や治療は原則行ないません。また、産業医は中立的な立場を保つのが基本であり、企業と労働者のどちらか一方に肩入れするようなことがあってはなりません。
そういった事情から、産業医の本来の仕事と企業が求める業務内容にズレが生じた結果、「産業医は役に立たない」という印象になることがあるのです。
職務を果たしていない……役立たずと言われる産業医の例
企業側の誤解から「役立たず」と言われる産業医について説明しましたが、職務を果たしておらず、本当に役に立っていない産業医もいます。ここでは、職務を果たしていない産業医の具体例を見ていきましょう。
名義貸しの産業医である
書類上、産業医と登録しているだけで、実際には業務を行なっていない「名義貸し」状態の産業医も存在します。職場訪問さえ行なわない産業医では、役立たずと言われても仕方ありません。
法律に定められた産業医の職務を果たさない場合には、法令違反とみなされ、罰金を科される恐れがあります。
さらに、厚生労働省のホームページに企業名が公開され、経営そのものに悪影響が生じるリスクもあります。企業のイメージを守るためにも、名義貸しとみなされるような契約は行なわないようにしましょう。
職場巡視をしていない
職場巡視は、労働安全衛生規則第15条に定められており、職場の安全や労働者の健康を守るために重要な産業医の職務です。
しかし、職場巡視をまったくしていない、もしくは訪問して企業の担当者と少し雑談するだけで十分なチェックを行なっていない産業医もいます。
職場巡視は、月に1回、条件を満たした場合でも2ヵ月に1回の頻度で実施する必要があります。ただ作業場を訪問するだけでなく、安全に労働できる環境か、労働者の健康を守れるか、という観点で、入念なチェックを行ないます。職場巡視を怠ると労働災害のリスクが高まり、職場の安全管理も疎かになるため、確実に実施する必要があります。
中立的な立場を維持できていない
前述のとおり、産業医はあくまで中立的な立場として、企業・労働者とかかわる存在です。
しかし、なかには労働者の意見ばかりに耳を傾けたり、企業側の言いなりになって労働者にとって不利な判断をしたりと、偏りのある産業医もいます。
産業医は中立的な立場でいることで、企業と労働者双方の事情を汲み取り、医学的知見に基づいた適切な助言を行なうべき立場である、ということを押さえておきましょう。
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産業医面談で労働者と話した内容は、正当な理由なく事業者に報告してはならないことが、刑法第134条や労働安全衛生法第105条で定められています。
ただし、労働安全衛生法などの法令に基づく場合や、人の生命、身体または財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるときなどの「正当な理由」がある場合には、本人の同意を得ることなく報告することができます。
【具体例】
- 労働者の自殺のリスクを把握した場合
- 就業制限が必要とされる感染症や伝染病に罹患しており、ほかの労働者にも健康被害がおよぶ可能性がある場合
- 現状の労働環境のまま働かせることで、病状を著しく増悪させる恐れがある場合 など
守秘義務と報告義務の線引きは難しいため、産業医が労働者の同意なしで企業に面談内容などを報告した結果、トラブルになることもあります。報告をする際には、対象の労働者に同意を得たり、極力本人が特定されないよう配慮したりするなどの対策が必要でしょう。
もう役立たずとは言わせない!産業医採用のコツ
職務をしっかりと果たしてくれる、優秀な産業医を採用できれば、労働者の健康や職場の安全が守られ、企業全体の生産性向上も期待できます。そこで本章では、産業医採用のコツについて解説します。
自社の目的に合わせて産業医を選ぶ
一口に産業医といっても、以下のようなさまざまなタイプがいます。
- メンタルヘルス不調者・休職者への対応に強い産業医
- 研修や社内規程の整備が得意な産業医
- 多くの企業を担当してきたコンサルタントスキルの高い産業医 など
産業医を選ぶ際には、「何が課題で、産業医に何を求めるのか」を整理することが非常に重要です。例えば、女性が多い職場であれば女性の産業医が、外国人が多い職場であれば外国語に対応できる産業医が適任といえます。
まずは、自社の課題や目的を明確にしてから、産業医を選任するのが望ましいでしょう。
産業保健活動のプロに優秀な産業医を紹介してもらう
自社の課題や目的を把握したら、さっそく産業医を探しましょう。産業医の探し方には、さまざまな方法があります。
例えば、「地域の医師会に相談する」「健康診断をしてもらっている医療機関に相談する」といった方法が考えられます。しかし、どれも手間や時間がかかってしまううえ、産業医との交渉は企業が自ら行なわなければなりません。
自社のニーズに合う優秀な産業医をすばやく選任するなら、産業医紹介サービスであるリモート産業保健にお任せください。
リモート産業保健では、企業の課題や事業内容にマッチした産業医の紹介はもちろん、産業医選任後の労働基準監督署への事務手続きなど、関連業務もフルサポートします。職場巡視や定期健診の事後措置、高ストレス者の面談などの法定業務対応も支援するため、産業医の「名義貸し」状態も回避できます。
また、産業医の紹介やフォローだけでなく、ストレスチェックや衛生委員会の立ち上げなど、さまざまな業務に対応可能です。労働者の健康管理を一任できるので、労働者の不調への対応など、企業側が不慣れな業務の負担を大幅に削減できるでしょう。
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産業医を紹介してもらう主な4つの方法を解説まとめ
産業医は、労働者の健康と安全を守る重要な役割を担います。しかし、社内に産業医選任に関する知識がないと、職務を十分に果たさない産業医にあたってしまう可能性も否定できません。自社での産業医選任に不安がある場合には、産業保健活動のプロであるリモート産業保健にご相談ください。
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