ストレスチェックの調査票には、57項目・80項目・23項目に加えて120項目という選択肢もあり、どれを選べばよいか判断に迷う人事労務担当者は少なくありません。項目数によって回答時間や把握できる情報の幅、高ストレス者の判定方法までが変わるため、選び方を誤ると、後から比較データが取れない・現場の運用が回らないといった事態にもつながりかねません。この記事では、4種類の調査票の違いと選び方のポイントを整理し、自社に合った項目数を判断できるように解説します。
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この記事でわかること
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【1】57・80・23・120項目版、4種類の調査票の違い -
【2】項目数によって変わる高ストレス者の判定方法の仕組み -
【3】自社に合った項目数の選び方のポイント -
【4】紙・Web、それぞれの実施上の注意点
ストレスチェックの項目に必要な3つの要素
ストレスチェック項目とは、ストレスチェックの調査票に含まれる質問内容を指します。企業が調査票の内容を自由に決められるわけではなく、労働安全衛生規則は調査票に含めるべき事項を3つの領域に整理しており、57項目版・80項目版・23項目版のいずれを選ぶ場合でも、この3領域を満たす内容になっている必要があります。
第五十二条の九 事業者は、常時使用する労働者に対し、一年以内ごとに一回、定期に、次に掲げる事項について法第六十六条の十第一項に規定する心理的な負担の程度を把握するための検査(以下この節において「検査」という。)を行わなければならない。
一 職場における当該労働者の心理的な負担の原因に関する項目
二 当該労働者の心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目
三 職場における他の労働者による当該労働者への支援に関する項目
「職場における当該労働者の心理的な負担の原因に関する項目」は、仕事の量や質、仕事のコントロール度など、ストレスの原因になりやすい職場環境についての質問です。「心身の自覚症状に関する項目」では、いらいら感や疲労感、不安感といった、労働者自身が感じているストレス反応をたずねます。「他の労働者による支援に関する項目」は、上司や同僚からのサポートの状況を確認するもので、これら3領域の回答を点数化することで、ストレスの程度を評価します。
ストレスチェック調査票は、項目数の異なる4種類がある
厚生労働省のホームページでは、ストレスチェックに使用できる調査票のひな形が複数公開されています。代表的なものとして57項目版・80項目版・23項目版があり、これに加えて120項目版という調査票も存在します。項目数が違えば、回答にかかる時間や把握できる情報の範囲も変わるため、それぞれの特徴を押さえたうえで自社に合ったものを選ぶことが重要です。以下では、それぞれの調査票の特徴を順に見ていきます。
ストレスチェック調査票の57項目版
「職業性ストレス簡易調査票(57項目)」は、4種類のなかで最も標準的な調査票です。前述した3領域を満たす内容になっており、厚生労働省もこの調査票を用いたストレスチェックの実施を推奨しています。多くの企業で使われているため分析ツールも充実しており、職場でのストレスの原因や受検者のストレス反応を総合的に把握できます。
ストレスチェック調査票の80項目版
80項目版のストレスチェック調査票は「新職業性ストレス簡易調査票」とも呼ばれ、近年注目を集めています。57項目版が受検者個人のストレス状態に焦点を当てているのに対し、80項目版では職場環境やハラスメント、仕事に対するワークエンゲージメント(働きがい)などについての質問が追加されています。より詳細な集団分析による職場環境の改善がしやすくなります。
ストレスチェック調査票の23項目版
23項目版は「職業性ストレス簡易調査票(簡略版23項目)」のことです。厚生労働省は、57項目版を簡略化した調査票として23項目版を参考例に示しています。他の調査票と比べて項目数が少ないため回答に時間がかからない一方、簡易的である分、ストレスの程度をやや把握しづらいという側面があります。
ストレスチェック調査票の120項目版
120項目版は「新職業性ストレス簡易調査票(標準120項目版)」という正式名称を持つ調査票です。80項目版の正式名称は「新職業性ストレス簡易調査票(短縮80項目版)」であり、57項目版・23項目版が「職業性ストレス簡易調査票」と呼ばれるのに対し、80項目版・120項目版は「新職業性ストレス簡易調査票」という別系統の調査票として位置づけられています。名称のとおり、120項目版は80項目版に対して標準版にあたる調査票です。
ストレスチェック項目数の一覧比較表|23・57・80・120項目の違い
ここまで解説した4種類の調査票の違いを、項目数・特徴・向いている企業の観点から一覧表にまとめました。自社の目的に近い調査票がどれか、比較しながら確認してください。
| 項目数 | 特徴 | 向いている企業 |
|---|---|---|
| 57項目 | 3領域を満たす、最も標準的な調査票 | 初めてストレスチェックを導入する企業 |
| 80項目 | 職場環境やワークエンゲージメントも把握できる | より詳細な集団分析を行いたい企業 |
| 23項目 | 3領域を簡略化した調査票 | 回答者の負担を抑えたい企業 |
| 120項目 | 80項目版に対して標準版にあたる調査票 | より広い範囲の情報を把握したい企業 |

(図:ストレスチェック項目数の一覧比較図)
(編集部作成)
4種類のどれを選ぶか迷う場合は、次の選び方のポイントを参考にしてください。
項目数によって高ストレス者の判定基準は変わる?評価方法の仕組み
企業はストレスチェックの結果から高ストレス者を選定しますが、判定基準は項目数によって仕組みが変わります。57項目版では、厚生労働省のマニュアルに2つの評価方法が示されています。
- 合計点数を使う方法:領域Bの合計点数が77点以上、または領域AとCの合算の合計点数が76点以上かつ領域Bの合計点数が63点以上の場合に、高ストレス者と判定します。
- 素点換算表を使う方法:領域Bの評価点合計が12点以下、または領域AとCの合算の評価点合計が26点以下かつ領域Bの評価点合計が17点以下の場合に、高ストレス者と判定します。

(図:57項目版の高ストレス者判定フロー図)
(編集部作成)
なお、具体的な数値基準は事業場ごとに衛生委員会等で調査審議の上で決定する必要があり、上記はあくまで57項目版における設定例です。
こうした評価方法の設計や集計は専門性が求められる作業であり、自社の担当者だけで正確に運用し続けるのは負担が大きいと感じる企業も少なくありません。高ストレス者の判定だけでなく、部署単位でのストレス傾向を把握したい場合は、集団分析の活用方法もあわせてご覧ください。
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ストレスチェックの項目数はどれがおすすめ?選び方のポイント
ストレスチェック調査票の57項目版、80項目版、23項目版のなかでどれを選ぶべきか迷う場合は、厚生労働省が推奨する57項目版が基本の選択肢になります。労働者の回答率を高めたいなら短時間で回答できる23項目版、職場環境の改善のためより詳細な分析を行いたい場合は80項目版を検討するとよいでしょう。さらに、職場環境や働きがいまで踏み込んで詳細に分析したい企業には、120項目版という選択肢もあります。
項目数の検討とあわせて、ストレスチェックの対象者の範囲や、役員などの対象範囲、実施を外部に任せる場合の外部委託の仕組み、ストレスチェックの費用負担についても確認しておくと、選定後の運用がスムーズになります。とはいえ、調査票を選定した後も、実施体制の構築や高ストレス者対応までを一貫して運用できるかという課題は残ります。
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産業保健業務の負荷にお悩みの方へ
項目数の選定に一区切りついたところで、ストレスチェックを含めた産業保健業務全体の負荷にお悩みではないでしょうか。
産業医と産業看護職の2名体制による支援で、産業医面談はもちろん「ストレスチェック」や「衛生委員会の支援」など、人事労務担当者様の産業保健業務の負荷を軽減し、従業員の健康をサポートします。産業医の選任・交代をご検討の方にもおすすめの1冊です。
ストレスチェックはWebでも可能!紙とWeb、それぞれの注意点を解説
ストレスチェックは、紙の調査票を使った実施のほかWebでも実施できます。紙は受検環境を比較的均一にしやすい一方、Webは印刷費や郵送料を削減でき、集計や結果の通知もスムーズになるという特徴があります。それぞれの実施方法には運用上の注意点があるため、以下で確認しておきましょう。
ストレスチェックをWebで実施する場合
ストレスチェックをWebで実施する場合には、厚生労働省が提供する「ストレスチェック実施プログラム」を利用できます。
ストレスチェックを紙で実施する場合
紙で実施したストレスチェックの調査票を回収する際は、他の人に内容が見えないよう封筒に入れて封をするなどの配慮が求められます。内容が把握できる状態で回収する場合は、実施者または実施事務従事者が対応する必要があるため注意しましょう。
ストレスチェック調査票・項目に関するよくある質問
ここでは、ストレスチェック調査票や項目に関するよくある質問にお答えします。項目数の選定とあわせて、ストレスチェックの義務化や罰則についても確認しておくと安心です。
ストレスチェックの項目は増やせる?
- Q,ストレスチェックの項目は増やせる?
- A
ストレスチェック調査票の項目は、衛生委員会で審議したうえで追加することが可能です。ただし、前述した3領域に関する項目を含めるというルールは守る必要があります。また、追加する項目には科学的な根拠も必要です。
ストレスチェックに含めてはならないNG項目とは?
- Q,ストレスチェックに含めてはならないNG項目とは?
- A
ストレスチェックの項目を増やすことはできますが、不適当な項目を追加することはできません。不適当な項目には、性格検査や希死念慮、うつ病検査などが該当します。
ストレスチェック調査票と一般定期健診の問診票は分けるべき?
- Q,ストレスチェック調査票と一般定期健診の問診票は分けるべき?
- A
ストレスチェック調査票と一般定期健診の問診票は、目的や取り扱いが異なるため別にしましょう。健康診断の義務と対象項目についても、あわせて確認しておくと制度全体を理解しやすくなります。
ストレスチェック調査票の外国語版はある?
- Q,ストレスチェック調査票の外国語版はある?
- A
外国語版のストレスチェック調査票も厚生労働省によって公開されています。対応言語は英語、中国語、ベトナム語、タガログ語、ネパール語、ペルシャ語、ポルトガル語、ミャンマー語、スペイン語、インドネシア語で、いずれも57項目版のみが対象です。
120項目版と80項目版はどう違うの?
- Q,120項目版と80項目版はどう違うの?
- A
120項目版の正式名称は「新職業性ストレス簡易調査票(標準120項目版)」、80項目版は「新職業性ストレス簡易調査票(短縮80項目版)」です。名称のとおり、120項目版が標準版、80項目版が短縮版という位置づけにあります。
自社に合ったストレスチェックを、実施体制ごと整えたい方へ
調査票の項目数を決めた後は、実施から高ストレス者対応までを含めた実施体制づくりが次の課題になります。
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自社に合う項目数の候補が決まった後は、ストレスチェックの実施体制そのものを整えることが重要になります。産業医の切り替えや選任を検討中の企業向けに、WEB版ストレスチェック(57項目)を無料で提供しています。実施者代行に対応し、メールアドレスの有無やデバイスを選択できます。過去データを遡って確認できるため経年比較も可能です。実施後は高ストレス者への面談に加え、産業看護職が高ストレス者以外のメンタルヘルス不調者にも面談・相談を行い、早期の対応につなげます。
まとめ
ストレスチェックの調査票には、57・80・23・120項目版の4種類があります。自社の目的や実施体制に合わせて項目数を選び、判定基準の違いも踏まえた運用を検討しましょう。数値基準の設定や運用方法に迷う場合は、産業医に相談することをおすすめします。




