職場の健康診断は義務?対象者や項目、押さえておきたい7つのポイントを解説

健康診断 義務

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【健康診断の基礎知識】一般健康診断・特殊健康診断の違い

健康診断には「一般健康診断」と「特殊健康診断」の2種類があります。まずは、それぞれの健康診断の概要と違いについて解説します。

一般健康診断とは?

一般健康診断とは、職種に関係なくすべての企業が実施し、常時使用するすべての労働者が対象となる健康診断です。一般健康診断には、以下の5つの種類があります。

  • 雇入時の健康診断
  • 定期健康診断
  • 特定業務従事者の健康診断
  • 海外派遣労働者の健康診断
  • 給食従業員の検便

特殊健康診断とは?

特殊健康診断とは、有害物質の取扱いなど、リスクが高い業務に常時従事している労働者に対して行なわなければならない健康診断のことです。作業内容・作業環境と診断結果とを照らし合わせることで、健康障害を未然に防ぐ目的があります。

診断結果によっては、当該労働者の実情を考慮し、配置転換や労働時間の短縮などの措置を講じたり、作業環境測定を実施したりする必要があります。また、診断結果に関する記録を作成し、一定期間保存することも求められます。

一般健康診断は「個人の診断」という意味合いが強いですが、特殊健康診断は「特定の業務に従事する労働者と、その作業環境の診断」という意味合いが強い健康診断といえるでしょう。

参考:労働安全衛生法に基づく健康診断を実施しましょう~労働者の健康確保のために~|厚生労働省

一般健康診断の検査項目

健康診断には検査すべき項目が定められており、健康診断の種類によって検査項目にも違いがあります。本章では、各種一般健康診断の検査項目について解説します。

雇入時の健康診断の検査項目

労働安全衛生規則第43条において、常時使用する労働者を新規で雇用する際には、雇入時の健康診断の実施が義務付けられています。

第四十三条 事業者は、常時使用する労働者を雇い入れるときは、当該労働者に対し、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。ただし、医師による健康診断を受けた後、三月を経過しない者を雇い入れる場合において、その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、当該健康診断の項目に相当する項目については、この限りでない。

一 既往歴及び業務歴の調査
二 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
三 身長、体重、腹囲、視力及び聴力(千ヘルツ及び四千ヘルツの音に係る聴力をいう。次条第一項第三号において同じ。)の検査
四 胸部エックス線検査
五 血圧の測定
六 血色素量及び赤血球数の検査(次条第一項第六号において「貧血検査」という。)
七 血清グルタミックオキサロアセチックトランスアミナーゼ(GOT)、血清グルタミックピルビックトランスアミナーゼ(GPT)及びガンマ―グルタミルトランスペプチダーゼ(γ―GTP)の検査(次条第一項第七号において「肝機能検査」という。)
八 低比重リポ蛋白コレステロール(LDLコレステロール)、高比重リポ蛋白コレステロール(HDLコレステロール)及び血清トリグリセライドの量の検査(次条第一項第八号において「血中脂質検査」という。)
九 血糖検査
十 尿中の糖及び蛋白の有無の検査(次条第一項第十号において「尿検査」という。)
十一 心電図検査

出典:労働安全衛生規則第43条 | e-Gov法令検索

雇入時の健康診断は、新規雇用者が働き始めるタイミングで実施します。ただし、新規雇用者が3ヵ月以内に健康診断を受けている場合には、書面で診断結果を証明することで、雇入時の健康診断を省略することもできます。

定期健康診断の検査項目

1年以内に1回の実施が義務付けられているのが「定期健康診断」です。労働安全衛生規則第44条では、以下のとおり定期健康診断の項目が定められています。

(定期健康診断)
第四十四条 事業者は、常時使用する労働者(第四十五条第一項に規定する労働者を除く。)に対し、一年以内ごとに一回、定期に、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。
 
一 既往歴及び業務歴の調査
二 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
三 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
四 胸部エックス線検査及び喀痰検査
五 血圧の測定
六 貧血検査
七 肝機能検査
八 血中脂質検査
九 血糖検査
十 尿検査
十一 心電図検査
 
2 第一項第三号、第四号、第六号から第九号まで及び第十一号に掲げる項目については、厚生労働大臣が定める基準に基づき、医師が必要でないと認めるときは、省略することができる。
3 第一項の健康診断は、前条、第四十五条の二又は法第六十六条第二項前段の健康診断を受けた者(前条ただし書に規定する書面を提出した者を含む。)については、当該健康診断の実施の日から一年間に限り、その者が受けた当該健康診断の項目に相当する項目を省略して行うことができる。
4 第一項第三号に掲げる項目(聴力の検査に限る。)は、四十五歳未満の者(三十五歳及び四十歳の者を除く。)については、同項の規定にかかわらず、医師が適当と認める聴力(千ヘルツ又は四千ヘルツの音に係る聴力を除く。)の検査をもつて代えることができる。
出典:労働安全衛生規則第44条 | e-Gov法令検索

なお、労働者の年齢や既往歴により、医師から必要ではないと認められた場合には、省略できる項目があります。省略可能な項目は、厚生労働省の「定期健康診断における健康診断の項目の省略基準」で示されています。

特定業務従事者の健康診断の検査項目

深夜の勤務や危険な業務に携わる「特定業務従事者」に該当する労働者は、一般的な健康診断ではなく、特定業務従事者の健康診断を受けなければなりません。労働安全衛生規則第45条第1項では、特定業務従事者の健康診断について、以下のとおり定められています。

事業者は、第十三条第一項第三号に掲げる業務に常時従事する労働者に対し、当該業務への配置替えの際及び六月以内ごとに一回、定期に、第四十四条第一項各号に掲げる項目について医師による健康診断を行わなければならない。この場合において、同項第四号の項目については、一年以内ごとに一回、定期に、行えば足りるものとする。

2. 前項の健康診断(定期のものに限る。)は、前回の健康診断において第四十四条第一項第六号から第九号まで及び第十一号に掲げる項目について健康診断を受けた者については、前項の規定にかかわらず、医師が必要でないと認めるときは、当該項目の全部又は一部を省略して行うことができる。
3. 第四十四条第二項及び第三項の規定は、第一項の健康診断について準用する。この場合において、同条第三項中「一年間」とあるのは、「六月間」と読み替えるものとする。
4. 第一項の健康診断(定期のものに限る。)の項目のうち第四十四条第一項第三号に掲げる項目(聴力の検査に限る。)は、前回の健康診断において当該項目について健康診断を受けた者又は四十五歳未満の者(三十五歳及び四十歳の者を除く。)については、第一項の規定にかかわらず、医師が適当と認める聴力(千ヘルツ又は四千ヘルツの音に係る聴力を除く。)の検査をもつて代えることができる。

出典:労働安全衛生規則第45条第1項 | e-Gov法令検索

健康診断の項目は一般の定期健康診断と同じですが、実施するタイミングは労働安全衛生法により、配置換えのタイミングおよび6ヵ月に1回と定められています。

健康診断は事業者の義務!覚えておきたい7つのポイント

事業者が労働者に対して医師による健康診断を実施することは、労働安全衛生法第66条において義務付けられています。そして、労働者は事業者が実施する健康診断を受ける必要があります。そこで最後に、健康診断実施にあたって、よくある7つの疑問にお答えします。

健康診断の対象者の範囲とは?

雇入時の健康診断および定期健康診断の対象者は、常時使用する労働者(1年以上使用する予定で、週の労働時間が正社員の4分の3以上)です。正社員に限らず、一定の条件を満たせばパート、アルバイト、契約社員も該当します。

くわえて、上記の条件を満たさなくても、週の労働時間が正社員の2分の1以上の労働者に対しては、健康診断を実施することが望ましいとされています。ただし、派遣労働者の健康診断は原則、派遣元が実施します。

健康診断を実施しないとどうなる?罰則はある?

事業者が健康診断を実施することは、労働安全衛生法で定められた義務です。実施しない場合には法律違反となり、50万円以下の罰金に処されます。

企業の規模を問わず、対象となる人を雇用した場合には必ず健康診断を実施しましょう。

従業員が健康診断を拒否した場合の対応は?

労働安全衛生法第66条第5項で定められているとおり、労働者は原則として健康診断を拒否することはできません。拒否した労働者に対する罰則はありませんが、事業者側が50万円以下の罰金を科せられる恐れがあります。したがって事業者側は、就業規則に健康診断を拒否した場合の懲戒規程を盛り込んでおくとよいでしょう。

健康診断結果の保管義務はある?

事業者には、健康診断結果の記録を保管する義務があります。保管期間は5年~40年と、健康診断の種類によって異なります。

参考:厚生労働省『労働安全衛生法に基づく健康診断を実施しましょう』

検査結果の保管には労働者本人の承諾が必要になるため、就業規則に健康診断結果の保管についての内容も記載し、周知させておくとよいでしょう。結果の保管は書類として残すだけではなく、電子データとして保存することも可能です。

健康診断結果の報告義務がある事業場とは?

常時50人以上の従業員がいる事業場は、労働基準監督署に健康診断の結果を報告する義務があり、報告を怠った場合は罰則の対象となります。

なお、従業員の人数が50人未満の事業場に報告義務はありませんが、健康診断の実施義務はあるため、十分に注意しましょう。

健康診断の費用は誰が負担する?

事業者に義務付けられている健康診断の費用は、労働安全衛生法により、基本的には事業者が負担すべきものとされています。人間ドックなど高額な健康診断を実施する場合には、定期健康診断の費用に該当する金額のみを、事業者側が負担することも可能です。

トラブルを回避するためにも、従業員にはあらかじめ費用負担について通知しておくことが望ましいでしょう。

健康診断とストレスチェックを同時に実施することは可能?

従業員の健康診断とストレスチェックを同時に実施することは可能です。同時に実施および報告を行なうことで、事務負担の軽減につながるだけでなく、従業員の心と体の健康を効率的に把握・管理できます。

ただし、健康診断の問診票とストレスチェックの調査票は明確に区別しなければならないため、その点には注意が必要です。

まとめ

事業者が労働者に対して健康診断を実施することは、労働安全衛生法第66条に定められた義務です。健康診断には、 「一般健康診断」と「特殊健康診断」の2種類があり、さらに一般健康診断は5つに分けられています。

事業者は、健康診断の種類や検査項目、報告義務や費用負担など、健康診断を行なう際のポイントについてしっかりと理解し、適切に実施していきましょう。

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