ストレスチェックの報告書とは?労基署への報告の義務や罰則を解説!
ストレスチェックの報告書の正式名称は、「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書」といいます。
※一般的な表現として「ストレスチェックの報告書」で知られているため、本記事では「ストレスチェックの報告書」の名称で説明していきます
労働安全衛生規則第52条の21に基づき、常時50人以上の労働者を使用する事業場には、1年以内ごとに1回、ストレスチェックの報告書を所轄の労働基準監督署に提出する義務があります。
仮に未提出の場合や虚偽の報告をした場合、規定違反になり、労働安全衛生法第120条の5に基づき50万円以下の罰金に科されます。
また、常時使用する労働者が50人未満の事業場の場合、現時点ではストレスチェックの実施は努力義務となっており、「義務ではないが、できる限り実施するのが望ましい」とされています。
ただし、労働基準監督署へのストレスチェックの報告書提出に関しては、50人以上の事業場に対してのみの義務となるため、50人未満の事業場には報告義務がありません。
事業場の規模に応じて、義務や努力義務、報告書提出の有無も異なるため、自社がどこに当てはまるか確認しておくと良いでしょう。
ストレスチェックの報告書は電子申請できる?ストレスチェック報告書の提出期限や提出方法をご紹介!
ストレスチェックの報告書は1年以内ごとに1回の提出が義務付けられています。(常時使用する労働者数が50人未満は提出義務はなし)しかし、具体的な提出期限については事業場ごとで決めることができます。
ストレスチェックの報告書の提出方法は以下の3つです。
・直接提出
所轄の労働基準監督署へ提出します。注意点として、受付時間や休日があることや最近では新型コロナウイルスの感染対策で直接の来訪を制限する場合もあるため、提出する労働基準監督署へ事前に確認しておきましょう。
・郵送提出
郵送での提出も可能です。作成したストレスチェックの報告書2通(控えが必要な場合)と返信用封筒(切手貼付、宛名記入)を同封し、所轄の労働基準監督署へ提出しましょう。
・電子申請(e-Gov)
ストレスチェックの報告書は電子申請も可能です。インターネット上の「e-Gov」で申請を行うことができ、24時間365日いつでも受付をしています。ただし、サーバーのメンテナンスやシステムの不具合等が起こる可能性があるため、ギリギリにならないよう、余裕を持って提出しましょう。
ストレスチェックの報告書作成ツールで簡単に作成!
ストレスチェックの報告書は、厚生労働省が提供しているインターネットを利用して作成できる入力支援サービスを活用すると良いでしょう。
現在はストレスチェックの報告書(心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書)を含めて6種類の書類を作成することができます。
入力支援サービスを利用するメリットは、入力したデータを保存しておくことができ、次回作成時に共通する部分を省略できることです。ストレスチェックの報告書は毎年作成が必要な書類になるため、少しでも手間を減らすために利用してみましょう。
労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス
ストレスチェック報告書の記入例を知りたい方に!画像付きで書き方を分かりやすく解説!
ストレスチェックの報告書は、記入が初めての人だと書き方に悩んでしまうこともあるかもしれません。また、実は間違った書き方をしていた、という事もあります。
記入例と書き方は?
報告書作成の基本的な流れと一緒に説明します。
・報告書を印刷、またはダウンロードする
まず、提出する報告書を入手しましょう。報告書は厚生労働省のHP(ホームページ)からダウンロード・印刷をするか、先述した入力支援サービスを用いてインターネット上で作成ができます。
ただし、注意点として、印刷する際はA4サイズ(白色度80%以上)の印刷用紙を使用しましょう。また、印刷した紙をコピーして使用しないようにしましょう。
心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書|厚生労働省
労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス
・ストレスチェックの報告書を作成する
記入例は以下の通りです。
厚生労働省_ 東京労働局・各労働基準監督署”事業者ならびに産業保健スタッフの皆さまへ”より引用
※産業医氏名欄については最近変更しているため、後述する「産業医に報告書を確認してもらう」を確認してください。
報告書の内容をしっかり理解することで時間をかけずに、スムーズに記入することができます。今回は特に注意が必要な項目について説明します。
(1)労働保険番号
労働保険番号は、インターネットで検索することはできません。労働保険加入証明書や確定申告の手続きの際「労働保険概算や確定保険証申告書」等に記載されているので、確認してみましょう。
確認できる書類がない場合は、都道府県労働局や労働基準監督署へ問い合わせてみましょう。
(2)事業の種類
該当する日本標準産業分類の中分類を記入しましょう。どこに分類されるかわからない場合は、以下の総務省のHP、もしくは、所轄の労働基準監督署へ問い合わせをしましょう。
総務省|統計基準・統計分類|日本標準産業分類(平成25年10月改定)(平成26年4月1日施行)-分類項目名
(3)在籍労働者数
ストレスチェックの実施時点(実施年月の末日時点)での常時使用する労働者数を記入しましょう。
(4)検査を受けた労働者数
常時使用する労働者のうち、報告対象期間内(報告書は1年以内ごとに1回の提出をしなければならない)にストレスチェックを受けた実人数を記入しましょう。仮に、1人が1年間を通して複数回、ストレスチェックを受けた場合も1名として数えます。
・産業医に報告書を確認してもらう
ストレスチェックの報告書は作成後、産業医に確認してもらいます。これまでは、産業医本人から確認した証明として、押印・署名が必要でした。
しかし、令和2年8月より産業医の押印・署名(電子申請の場合は、電子署名)が不要となり、記名のみになりました。
もちろん、産業医の押印と署名が不要になったことで、「産業医による報告書の確認を実施しなくて良い」ということではありません。
あくまでオンライン利用率の向上に伴う負担や手間の軽減のための対策になるため、産業医による報告書の確認は省略してはいけません。
また、注意点として、報告書は押印・署名は不要になりましたが、産業医の記名は必要です。
つまり、産業医による報告書の確認は必要で、産業医の氏名の記入は事業場側で行うことができるということです。
健康診断個人票や定期健康診断結果報告書等に ついて、医師等の押印等が不要となります。
・所轄の労働基準監督署へ提出する
報告書を作成したら、所轄の労働基準監督署へ提出しましょう。先述しましたが、提出方法は直接提出、郵送提出、電子申請があります。
ストレスチェックの報告書の注意点をまとめました!
作成時
- 常時使用する労働者数50人以上の事業場には、報告書の提出義務がある
- ストレスチェックの報告書は厚生労働省HP(ホームページ)から印刷するか、入力支援サービスを利用してインターネット上で作成することができる
- 報告書の印刷時はA4サイズ(白色度80%以上)の印刷用紙を使用する
記入時
- 報告書の記入例を参考に、あらかじめ記入内容を準備しておくとスムーズに作成ができる
- 令和2年より産業医の押印・署名(電子申請の場合は、電子署名)が不要になり、記名のみになった
- ただし、産業医による報告書の確認は今後も必要である
まとめ
いかがでしたか?ストレスチェックは実施と報告がセットです。毎年報告書を作成し、提出することでストレスチェックの実施状況を書面で残すことになります。
通常の業務に加えて報告書を作成するには負担もかかりますが、必要な内容を押さえて、準備しておくことでそこまで時間をかけず、作成することができます。
本記事で解説した注意点をしっかり押さえつつ、入力支援サービス等も活用しながら、業務負担を少なくしてストレスチェックの報告書を作成していきましょう。
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