ストレスチェックの助成金について調べると、令和3年度の制度を前提にした古い情報と、現在の制度の情報が混在しており、どれが最新なのか判断しにくい状況があります。本記事では、現行制度である団体経由産業保健活動推進助成金を軸に、対象になる条件、実際にいくらもらえるか、申請から支給までの流れを整理します。なお、令和8年度分の交付申請はすでに受付を終了していますので、ご注意ください。
-
この記事でわかること
-
【1】ストレスチェックの助成金は今も使えるのか、現在の受付状況 -
【2】ストレスチェックの助成金でいくらもらえるか(助成率・上限額) -
【3】ストレスチェックの助成金を利用できる対象・条件 -
【4】個社ではなく事業主団体を経由する申請の仕組み -
【5】申請から支給までの流れ -
【6】助成金以外に使える無料の相談窓口
ストレスチェックの助成金は今も使える?現在の受付状況
ストレスチェック助成金とは、事業主団体経由でストレスチェック費用を助成する制度です。現行の制度は、個社が直接申請する仕組みから、事業主団体等を通じて申請する仕組みに切り替わっています。

(図:旧制度と現行制度の違い)
(編集部作成)
旧ストレスチェック助成金は令和3年度に終了したとされる
かつて存在した、企業が医師と直接契約してストレスチェックを実施した場合に助成を受けられる制度(旧ストレスチェック助成金)は、令和3年度に終了したとされています。現在、同種の助成を受けるには、後述する団体経由産業保健活動推進助成金を利用する必要があります。
古い年度の情報をもとに「1人500円の助成が受けられる」といった記載を見かけることがありますが、これは現行制度には当てはまりません。現行制度の単価は後述の「いくらもらえるか」の章で解説します。
現在使えるのは団体経由産業保健活動推進助成金
現在ストレスチェックの実施費用について助成を受けられるのは、独立行政法人労働者健康安全機構(JOHAS)が実施する団体経由産業保健活動推進助成金です。事業主団体等がストレスチェックを含む産業保健サービスの提供事業について申請し、機構から助成を受ける仕組みになっています。
この助成金は、ストレスチェックに関する助成金の中でどのような位置づけにあるのか、産業医関連の助成金全体を含めて詳しく知りたい方は、産業医・ストレスチェックの助成金の概要と要件の記事もご覧ください。
令和8年度分の交付申請はすでに受付終了している
令和8年度の団体経由産業保健活動推進助成金は、予算上限に達したことにより、交付申請の受付をすでに終了しています。手引に記載された当初の締切(令和8年11月30日)より約4.7ヶ月前倒しでの終了です。
◆重要なお知らせ◆ (令和8年7月10日公表) ○ 令和8年度における団体経由産業保健活動推進助成金は、予算上限に達したため 令和8年7月10日(金)を以って交付申請の受付を終了しました。
団体経由産業保健活動推進助成金 受付状況のお知らせ|労働者健康安全機構
なお、翌年度以降の締切が同じ時期になるとは、現時点の一次情報からは断定できません。今年度分の申請を検討していた企業にとっては、実務上のハードルとして「次回の受付開始時期をどう把握するか」という課題が残ります。次回の受付に備えるには、JOHAS公式サイトの案内を定期的に確認するとともに、事業主団体への事前相談や必要書類の準備を早めに進めておくとよいでしょう。
ストレスチェックの助成金でいくらもらえる?助成率と上限額
団体経由産業保健活動推進助成金でいくらもらえるかは、助成対象経費・助成率・上限額の3つの要素で決まります。令和8年度分は受付終了しているため、以下の金額情報は次回受付に備えるための参考情報として位置づけてください。
助成対象経費と助成率
助成対象となる経費は、報酬(ストレスチェックの実施費用を含む)・旅費・会議費・印刷製本費の4区分と、事務費用(上限50万円かつサービス費用の5分の1以内)です。「研修費」「機器費」という名称の区分は現行制度にはありません。助成率は助成対象経費の10分の9で、この割合は団体の種別によって変わりません。ただし、傘下の構成事業主に参加費等の負担を求める場合は、負担額に応じて助成金額が異なります。
助成金の上限額(団体・特別加入団体別)
支給上限額は団体の種別によって次のように異なります。
| 団体の種別 | 支給上限額 |
|---|---|
| 一般の事業主団体等・特別加入団体 | 500万円 |
| 都道府県事業主団体 | 1000万円 |
さらに、ストレスチェックの実施については1人当たり200円、集団分析については構成事業主1者につき3,000円という、経費区分ごとの1人(1者)当たり上限額も定められています。自社がどの区分に該当するかは、事業主団体の担当者や産業医に確認することをおすすめします。
令和4年時点の単価情報をそのまま使ってはいけない理由
インターネット上には、令和4年頃の情報として「ストレスチェック助成金は1人につき500円、面接指導等1回につき最大21,500円」という記載が残っていることがあります。
ストレスチェック助成金 小規模事業場が医師と契約してストレスチェックを実施した場合、助成金(1人につき 500円、面接指導等1回につき最大21,500円)が受けられます。
ストレスチェック制度の効果的な実施と活用に向けて|厚生労働省
これは当時の別制度の単価であり、現行の団体経由産業保健活動推進助成金の単価(ストレスチェック1人あたり200円など)とは異なります。古い記事や資料を参照する際は、必ず年度を確認してください。
ストレスチェックの助成金を利用できる対象・条件
団体経由産業保健活動推進助成金の対象になるかどうかは、事業場の規模と事業主団体の要件の両面から確認する必要があります。ここでは、読者の多くが気になる「自社が対象になるか」という点を中心に説明します。
対象になる事業場・事業主団体の要件
助成対象となる産業保健サービスは、労働安全衛生法第66条の10(ストレスチェック)や第66条の4・第66条の7・第66条の8等に基づくサービスです。事業主団体等がこれらのサービス提供事業を計画し、機構に申請する形が基本になります。自社が加入している事業主団体等が対象要件を満たしているかどうかは団体の事務局に確認できますが、条文と自社の実施体制の対応関係まで自社だけで判断するのは負担に感じられることもあります。
従業員50人未満の企業でも対象になる
ストレスチェックに関する助成は、労働者数50人未満の事業場に限定されています。ストレスチェックのみを実施する場合も助成対象になります。
・ストレスチェックのみ実施する場合も、助成対象です。
団体経由産業保健活動推進助成金の手引(令和8年度版)|労働者健康安全機構
ただし、ストレスチェックの実施者が、安衛法第66条の10第1項の厚生労働省令で定める者(医師、保健師等)に該当する場合に限られます。実施体制が要件を満たしているかどうかの判断まで、自社だけで抱え込むのは負担に感じられることもあります。
なぜ個社ではなく団体経由なのか?申請の仕組み
団体経由産業保健活動推進助成金という名称のとおり、申請の主体は個々の企業ではなく事業主団体等です。企業・事業主団体等・労働者健康安全機構(JOHAS)の三者の間で、産業保健サービスの提供と費用のやり取りが行われる仕組みになっています。
すでに事業主団体等に所属している企業であれば、その団体を通じて申請することになります。所属していない場合でも、労働者を雇用する事業主10者以上が共同で協定書を締結し、1年以上の活動実績があれば「共同事業主」として申請できます。
次の a~c までの要件を全て満たしており、かつ、1年以上の活動実績がある こと。 a 共同する全ての事業主(構成事業主が 10 者以上で組織すること。ま た、同一の事業主は対象外であること。)の合意に基づく協定書を締結し ていること。
団体経由産業保健活動推進助成金の手引(令和8年度版)|労働者健康安全機構
とはいえ、既存の事業主団体等に所属していない企業が、新たに10者以上の共同事業主を組織し協定書を整えるのは、実務上のハードルとして小さくありません。事業主団体への加入や共同事業主の組成自体を自社だけで進めるのが難しい場合は、産業医への相談を含めて早めに検討を始めることをおすすめします。

(図:企業・団体・機構の関係)
(編集部作成)
ストレスチェックの助成金の申請から支給までの流れ
団体経由産業保健活動推進助成金は、事業主団体等が計画を立てて申請し、サービス提供後に実績報告を行って支給を受けるという流れになります。令和8年度分は受付終了しているため、以下は次回受付に備えるための参考の流れとして紹介します。

(図:助成金の申請から支給までの流れ)
(編集部作成)
STEP1〜2:事業主団体への相談と実施計画の策定
まず、所属する事業主団体等(または新たに組織する共同事業主)に相談し、どの産業保健サービスをどの範囲で実施するかという事業実施計画を策定します。この段階で、対象となる構成事業主の範囲や実施するサービスの内容を具体化します。
STEP3〜4:ストレスチェックの実施とサービス提供
交付決定を受けたあと、計画に沿ってストレスチェックの実施やその他の産業保健サービスの提供を進めます。サービス提供は、交付決定日から助成対象期間内に行う必要があります。
STEP5:実績報告と支給申請
サービス提供が完了したら、実績報告を行い支給申請をします。助成対象期間には期限が定められています。
助成対象期間 交付決定日~令和9年1月 22 日(金)
団体経由産業保健活動推進助成金の手引(令和8年度版)|労働者健康安全機構
交付決定前や助成対象期間後に提供されたサービスは、助成の対象になりません。期限管理は、実施計画の段階から意識しておくことが重要です。
はじめてのストレスチェック実施で不安な方へ
ストレスチェックの実施自体がはじめてで、助成金の申請以前に実施方法から不安があるという方も少なくありません。
職場におけるさまざまなストレス要因が増加する中、ストレスチェックを活用することで、労働者のメンタルヘルス不調にいち早く対応することが重要です。
ストレスチェックの実施を検討中のご担当者様に向けて、産業保健師が監修した「はじめてのストレスチェックガイドブック」をご提供しますので、ぜひご活用ください。
ストレスチェック以外に使える産業保健関連の助成金
団体経由産業保健活動推進助成金は、ストレスチェック以外にも医師意見聴取・保健指導・医師面接指導・職場環境改善支援など、複数の産業保健サービスを助成対象にしています。
産業医に関連する助成金全体の概要や、他の助成金との比較を知りたい場合は、産業医・ストレスチェックの助成金の概要と要件の記事で詳しく解説しています。
【あわせて読みたい関連記事】
産業医の助成金は今も使える?廃止された制度と団体経由の現行制度を整理
旧・心の健康づくり計画助成金と職場環境改善計画助成金は今どうなっている?
かつて存在した「心の健康づくり計画助成金」「職場環境改善計画助成金」という単独の制度名は、現行の団体経由産業保健活動推進助成金には存在しません。ストレスチェック実施後の集団分析結果を活用した職場環境改善支援など、これらに相当する内容は、現行制度の「職場環境改善」という支援メニューの一つに含まれています。なお、いつの時点で制度が統合・整理されたかについては、一次情報の記載範囲では特定できませんでした。
助成金の対象外でも使える無料の相談窓口
助成金の対象にならない場合や、申請の準備が間に合わない場合でも、無料で相談できる窓口があります。
産業保健総合支援センター・地域産業保健センターの無料支援
各都道府県の産業保健総合支援センターや、労働者数50人未満の事業場を主な対象とする地域産業保健センターでは、産業保健に関する相談を無料で受け付けています。助成金の申請要件を満たすかどうかで迷った場合や、そもそもどのサービスから手をつけるべきか分からない場合の入口として活用できます。
さんぽセンターでは、事業場の産業保健スタッフ等を対象に産業保健に関する研修や相談等を無料で行っていま す。また、小規模事業場に対する産業保健サービス(高ストレス者に対する医師による面接指導等)は、地域窓 口である地域産業保健センター(以下「地さんぽ」といいます。)が無料で行っています。
ストレスチェック制度の効果的な実施と活用に向けて|厚生労働省
ただし、相談の具体的な範囲や継続的な実施体制の構築までを担うものではない点には注意が必要です。
ストレスチェックの実施体制ごとリモート産業保健に任せる
助成金の受付終了時期に合わせて社内の実施体制を整えたり、事業主団体への加入や共同事業主の組成を自社だけで進めたりするのは、人事労務担当者にとって大きな負担になります。自社で産業医を選任し、社内でストレスチェックの実施体制を構築できる企業であれば、その方法も選択肢の一つです。一方で、助成金の申請可否にかかわらず、実施体制そのものを外部に任せたいという企業には、リモートで対応できる産業保健サービスも現実的な選択肢になります。
産業医訪問・オンライン面談、ストレス予防から
休職・復職者のアフターフォローまで対応
ストレスチェックの助成金に関するよくある質問
ストレスチェックの助成金について、読者から寄せられやすい質問に回答します。
- Q,ストレスチェックの助成金は個人事業主でも使えますか?
- A
団体経由産業保健活動推進助成金は事業主団体等を通じて申請する仕組みのため、個人事業主が単独で直接申請することはできません。所属する事業主団体等があれば、その団体を通じて申請できる可能性があります。自社の状況に当てはめて判断が難しい場合は、事業主団体の事務局や産業医に確認することをおすすめします。
- Q,産業医の面接指導費に一律の助成単価はありますか?
- A
産業医の面接指導費用について、1人あたりいくらという一律の単価は設定されていません。総額の上限(60万円、都道府県事業主団体は120万円)と、事業場を訪問して実施する場合の構成事業主1者当たりの上限(合計10万円)が定められています。ストレスチェックの1人当たり単価(200円)とは別の枠組みです。
- Q,事業主団体に所属していても助成金を使えないことはありますか?
- A
団体側または申請時の要件に該当しない場合は、交付決定や支給決定が行われないことがあります。(3)交付申請 又は 支給申請の際に、次の①から⑩のいずれかに該当する場合は、交 付決定 又は 支給決定を行いません。
団体経由産業保健活動推進助成金の手引(令和8年度版)|労働者健康安全機構
労働保険料の滞納や不正受給歴などが該当要件に含まれます。詳細な要件は事業主団体を通じて機構に確認することをおすすめします。
- Q,申請にはどのような書類が必要ですか?
- A
事業主団体等が交付申請時に用意する主な書類は次のとおりです。交付申請時に用意する主な書類- 交付申請書(様式第1号)
- 支給要件確認書(様式第1号続紙)
- 構成事業主一覧(様式第1号別添)
- 事業実施計画(様式第2号)およびサービス番号ごとの単価・人数が分かる資料
- 団体の定款・会則・協定書等
- 直近2年間の収支決算書
- 産業保健サービス提供に係る見積書(事務費用がある場合はその見積書も)
- 助成金振込口座の通帳の写し
これらはいずれも事業主団体等が用意する書類であり、個々の企業が直接機構に提出するものではありません。
まとめ
ストレスチェックの助成金として現在利用できるのは、事業主団体等を通じて申請する団体経由産業保健活動推進助成金です。令和8年度分の交付申請はすでに受付を終了していますが、対象要件・助成率10分の9・上限額などの制度の枠組み自体は次回以降も参考になります。
事業主団体への加入や申請書類の準備、実施体制の構築まで自社だけで進めるのが難しい場合は、リモートで対応できる産業保健サービスの活用もあわせて検討してみてください。



