常時50人以上の事業場では、ストレスチェックの実施が労働安全衛生法上の義務となっており、実施のたびに「結局いくらかかるのか」を数字で押さえておきたい人事労務担当者は多いのではないでしょうか。本記事では、ストレスチェックの費用相場・内訳・無料で使える方法に加え、検索されることの多い「外部委託した場合の費用」についても、確認できる範囲で整理します。
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この記事でわかること
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ストレスチェックの費用相場と内訳 -
費用を無料で抑える方法 -
外部委託した場合に費用が変わりやすいポイント -
事業者・労働者どちらが費用を負担するのか -
費用を抑えるための助成金制度と外部サービスの活用法
そもそもストレスチェック制度とは?
ストレスチェック制度とは、労働者のストレスの状態を定期的に把握し、メンタルヘルス不調の予防につなげるための制度です。2015年に法制化され、常時50人以上の労働者を使用する事業場に、年1回の実施が義務付けられています。実施者となるのは、産業医や保健師、一定の研修を受けた看護師・精神保健福祉士などです。
なお、2028年4月1日(令和10年4月1日)からは、労働安全衛生法の改正により、現在は義務の対象外となっている常時50人未満の事業場にもストレスチェックの実施が義務化される予定です。対象拡大にともない、費用面の準備を検討する事業場は今後さらに増えると見込まれます。

(図:ストレスチェック制度とは_「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」スタートガイド)
(出典:「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」スタートガイド)
ストレスチェックの実施義務の詳細や結果開示の手順について詳しく知りたい方は、ストレスチェックが会社で義務化?内容や手順は?もあわせてご確認ください。
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ストレスチェックが会社で義務化?内容や手順は?
ストレスチェックの実施方法について
ストレスチェックの実施前には、衛生委員会などで実施者や実施時期、結果の分析方法といった具体的な方針を協議しておく必要があります。あわせて、質問票の配布・回収やデータ入力、結果通知といった事務作業を担う実施事務従事者も選任します。社内での確保が難しい場合は、実施のすべてまたは一部を外部委託することになります。
ストレスチェックの質問票は「ストレスの原因」「心身の自覚症状」「職場のサポート体制」などを尋ねる内容で、紙・Webいずれの方式でも実施できます。実施体制の整え方や結果を職場改善に活かす方法をさらに詳しく知りたい方は、以下のセミナーもご活用ください。
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費用を検討する前に、まずストレスチェック制度の基本を押さえておきたい人事労務担当者の方へ。このセミナーでは、ストレスチェックの義務や必要性、効果的な利用方法、注意事項、現場でうまく活用できた事例などをご紹介します。
ストレスチェックにかかるおもな費用
ストレスチェックの実施でまず気になるのが費用です。ここでは、1人当たりの費用相場や内訳、無料で使える公的プログラムまで、費用の全体像を確認します。費用は紙で行なうかWebで行なうかによっても変わるため、実施方式の検討とあわせて確認しておくと予算策定がしやすくなります。
ストレスチェックにかかる費用相場
ストレスチェックの実施にかかる費用は、労働者1人当たり500〜800円が目安とされています。ただし、この金額は固定ではありません。
費用は、「紙で行なうか、Webで行なうか」「調査票の質問数」「ストレスチェック後の集団分析の有無」「高ストレス者への面談の実施やその人数」などによって変動します。委託先ごとに料金体系が異なるため、複数社を比較検討する際は、この相場を1つの目安として確認するとよいでしょう。
ストレスチェックに必要な費用の内訳
ストレスチェックに必要なおもな費用の内訳は、次のとおりです。人件費や高ストレス者面談にかかる費用など、実施前に把握しておくと予算策定がしやすくなります。
- 受検にかかる費用
- 実施にかかる人件費
- 高ストレス者の産業医面談にかかる費用
- 集団分析にかかる費用
- ストレスチェック結果の保存にかかる費用
- 職場改善にかかる費用
特に、準備や実施、実施後の対応などにかかる人件費は、最も大きな割合を占めるとされます。また、ストレスチェックの結果、高ストレス者と判定された労働者がいた場合には、産業医面談の費用も発生します。
さらに、部署別・課別などの一定の規模で集団分析を行なう場合には、追加の費用がかかります。産業医面談や集団分析、職場改善などは、あらかじめ費用がかかる項目として予算に組み込んでおくと、実施直前の費用超過を避けやすくなります。
ストレスチェックは無料でできる?
事業者が円滑にストレスチェックを実施できるよう、厚生労働省は「厚生労働省版ストレスチェック実施プログラム」を無料提供しています。このプログラムには、職業性ストレス簡易調査票(57項目)と簡略版調査票(23項目)があります。
厚生労働省は、職業性ストレス簡易調査票(57項目)を用いることを推奨しています。
なお、自社の業務内容や労働環境に合わせて質問内容の工夫や質問数の追加をすることで、より効果的な検査が行なえます。ただし、独自の設問を追加する場合には、一定の科学的根拠に基づいた質問であることを確認したうえで、実施者からの意見聴取、衛生委員会等での調査審議などが必要です。
こういった手間をかけずに、自社に合った質問項目で実施したい場合には、有料のストレスチェックサービスを利用することも選択肢の一つです。
産業医の切り替えや選任を検討中の企業向けに、WEB版ストレスチェック(57項目)を無料で提供しています。実施者代行に対応し、メールアドレスの有無やデバイスを選択できます。過去データを遡って確認できるため経年比較も可能です。実施後は高ストレス者への面談に加え、産業看護職が高ストレス者以外のメンタルヘルス不調者にも面談・相談を行い、早期の対応につなげます。
ストレスチェックを外部委託する場合の費用
ここまで見てきた費用相場は、主に内製実施を前提とした数字です。実施体制を自社だけで整えるのが難しく、外部委託を検討する事業場も少なくありません。ここでは、外部委託した場合に費用がどう変わりやすいか、その一般的な傾向を整理します。委託先ごとの詳しい選定プロセスは、ストレスチェックの外部委託・代行業者の選び方で解説していますので、あわせてご確認ください。
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ストレスチェックの外部委託とは?費用相場・業者選定9つのポイント・50人未満の義務化まで解説
外部委託した場合の費用相場
外部委託した場合の費用は、内製実施より高くなりやすい傾向にあります。実施者代行やデータ管理、事後フォローなど、内製では発生しにくい業務を委託先が担うためです。
具体的な金額は委託先や契約範囲によって幅が大きく、一律の相場を示すことは困難です。複数の委託先から見積もりを取得し、内製実施の費用相場(1人当たり500〜800円)と比較しながら検討することが実務上の現実的な進め方といえます。
人数規模・実施方法(紙・Web)による費用の違い
外部委託の費用は、対象人数や実施方式によっても変わりやすい傾向があります。
一般的には、対象人数が多いほど1人当たりの単価が下がりやすく、紙での実施はWeb実施より配布・回収・入力といった事務負担が大きいため、費用に差が出やすいとされます。具体的な金額は委託先の料金体系によって異なるため、見積もり時に人数規模別・実施方式別の料金を確認しておくことが実務上重要です。
外部委託時の費用内訳
外部委託では、基本受検料以外にも追加で発生しやすい費用項目があります。契約前にどこまでが基本料金に含まれるかを確認しておくと、想定外の追加費用を防ぎやすくなります。
- 実施者代行料
- データ管理・保存にかかる費用
- 集団分析オプション
- 高ストレス者面談オプション
いずれも金額は委託先や契約内容によって幅があるため、見積もり段階で項目ごとの金額を個別に確認することが実務上のポイントです。
外部委託先を選ぶ際の費用面のチェックポイント
外部委託先を比較する際は、総額だけでなく費用の内訳や条件面も確認しておくことが実務上のハードルになりやすいポイントです。
- 基本料金にどこまでのサービスが含まれるか
- オプション料金の有無と金額
- 対象人数が変動した場合の追加料金の有無
- 契約期間・解約条件
このように、外部委託の費用は委託先ごとの条件を個別に確認する手間がかかります。複数社を比較する工数そのものが担当者の負担になりやすい点は、後述するリモート産業保健のサービスでも解決できる論点です。
ストレスチェックの費用は事業者が負担すべき?
ストレスチェックを実施するにあたって発生する関連費用には、法律上の義務として事業者が負担すべきものと、そうでないもの(労働者本人が負担するもの)に明確に分かれます。原則として制度の実施や運用にかかる費用は会社負担となりますが、事後措置における個人の医療機関受診などは自己負担となります。この費用負担の切り分けを事前に理解しておくことで、従業員から質問された際にもスムーズに案内することができます。
事業者が負担する費用
以下の費用については、原則、事業者が負担します。厚生労働省のQ&Aでも、ストレスチェックおよび面接指導の費用は、法で事業者に実施の義務を課している以上、事業者が負担すべきものと整理されています。
高ストレス者の面接指導にかかる費用
本人からの申し出があった場合に限り、面接指導を受けさせることは事業者の義務であるため、医師による面接指導にかかる費用は、福利厚生の一環として事業者が負担すべきものです。
ストレスチェックや面接指導を行なう際の賃金
ストレスチェックや面接指導を行なう際の賃金の支払いについては、労働者と使用者が協議して決定することになっています。ただし、労働者の健康確保は円滑な企業運営に不可欠であることから、事業者が賃金を支払うことが望ましいとされています。
集団分析にかかる費用
集団分析はあくまで努力義務ですが、効果的な職場改善のためにも積極的に実施することが望まれます。集団分析にかかる費用は、委託先や実施範囲によって幅があり、一律の金額を示すことは難しいのが実情です。
メンタルヘルスケア関連の研修費用
集団分析の結果などを受けて、セルフケアやコミュニケーションなど、メンタルヘルスケアに関する研修会を実施する場合にも、費用は原則として事業者負担となります。
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労働者が負担する費用
労働者が高ストレス者であると判定された場合にも、面接指導の費用は事業者の負担になるため、労働者側の負担はありません。
ただし、面接指導において医師から専門機関への受診を勧められ、治療を行なうことにした場合の費用は、高ストレス者と判定された労働者本人の負担になります。専門機関受診の際にかかった交通費など、受診以外の費用も労働者が負担します。面接指導後の専門機関受診は、健康診断後の病院受診や治療と同様にとらえると理解しやすいでしょう。医療機関の受診に関わる判断は、最終的には産業医に相談のうえで進めることをおすすめします。
ストレスチェックの費用を安く抑える方法
ここまで見てきたとおり、ストレスチェックにはさまざまな費用がかかります。ここでは、費用を安く抑える2つの方法(助成金の活用・外部サービスの活用)を紹介します。
ストレスチェックの助成金を利用する
ストレスチェックの実施費用については、「団体経由産業保健活動推進助成金」という制度を利用することで一部を助成してもらえる場合があります。
団体経由産業保健活動推進助成金は、事業主団体等が傘下の中小企業等に対し、産業保健サービスを提供するために産業保健スタッフと契約した場合に、その活動費用の一部を助成する制度です。現行制度(令和8年度版の手引による)では、助成率は助成対象経費の10分の9、支給上限額は団体単位で500万円(都道府県事業主団体は1,000万円)です。ストレスチェックはサービス別の上限額が60万円(都道府県事業主団体は120万円)、1人当たりの上限額はストレスチェック実施1人につき200円、集団分析は構成事業主1者につき3,000円と定められています。なお、ストレスチェックが助成対象となるのは、労働者数50人未満の事業場に限られます。
助成の対象となる産業保健サービスは、①ストレスチェック(労働者数50人未満の事業場に限る)②医師意見聴取③保健指導④医師面接指導⑤健康相談⑥治療と仕事の両立支援⑦職場環境改善⑧研修教育・周知啓発の8区分です。詳しい手続き方法については、ストレスチェックの助成金の貰い方や職場のストレスチェックは無料でできる?基本の流れや代行サービスもあわせてご確認ください。
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ストレスチェックの外部サービスを利用する
助成金は対象事業場や助成対象活動の範囲が限定されるため、常時50人以上の事業場や、対象外のサービスにかかる費用は自社で確保する必要があります。外部委託先を個別に比較検討する工数もあわせて発生しやすく、これらの負担を軽減する選択肢として、外部サービスの活用があります。
外部サービスの一例として、リモート産業保健では、法令義務対応の基本プランを月額3万円〜で利用でき、WEB版ストレスチェック(57項目)も無料で提供しています。産業医の契約から毎月発生する業務対応までを一括して依頼できるため、委託先ごとに個別の見積もりを比較する手間を減らしたい事業場にとって、検討しやすい選択肢の一つです。
もちろん、すでに地域の産業医と契約し、実施体制が整っている企業にとっては、現行の体制を維持することが適している場合もあります。一方で、外部委託先の比較検討や費用面の確認に工数をかけられない事業場にとっては、外部サービスを活用する選択肢が現実的な解決策になり得ます。
まとめ
ストレスチェックの費用は、内製か外部委託か、実施方式や人数規模、集団分析の有無などによって変動します。あわせて、事業者・労働者どちらが負担すべきかという整理や、助成金の活用可否も、予算策定の前に確認しておきたいポイントです。
制度の適正な運用や費用面の判断に迷う場合は、最終的には産業医への相談をおすすめします。ストレスチェックの準備から実施、結果の集団分析や事後措置まで、自社のみで対応するには多くの時間と人手がかかります。
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