産業医面談の基準や従業員の面談拒否への対処法を解説!

産業医面談基準

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産業医面談は義務?従業員の健康管理が目的です

まず前提として、産業医面談が必要な場合は、企業や事業者は産業医面談を実施する義務があります。ただし、従業員には産業医面談を受ける義務がないため、断ることが可能です。

面談の実施については、労働安全衛生法で定められている企業の義務です。健康診断・長時間労働・ストレスチェック実施後等において対応が必要な従業員に対する面談実施の義務は、それぞれ法律で明文化されています。
従業員側には面談を受ける義務は明文化されていないため、企業側が従業員に面談の強制はできません。しかし、従業員から拒否されたと言って、企業側が何もしないまま放置してしまうと、安全配慮義務を果たしていないとみなされることもあるため、注意しなければいけません。

そもそも産業医面談の目的は、従業員の勤務の状況や疲労の蓄積の状況、心身の状況を確認し、疾患リスクを減少させることです。つまり、従業員の健康を守るための産業医面談です。

企業や事業者は、形式的な産業医面談を実施するのではなく、「従業員を守る」という目的を理解した上で、産業医面談を実施することがとても重要です。

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産業医面談の基準〜健康診断、長時間労働、ストレスチェック〜

次に産業医面談の基準について説明していきます。産業医面談を実施する主なタイミングは以下の通りです。

  • 健康診断実施後
  • 長時間労働
  • ストレスチェック実施後

その他にも、休職や復職時、従業員が産業医面談を希望した際にも実施する必要がありますが、今回は上記の3つについて詳しく説明していきます。

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健康診断実施後

事業者は健康診断の結果、異常の所見のある従業員がいた場合、実施日もしくは従業員が健康診断結果を事業者に提出した日から3ヶ月以内に産業医から意見を聞くことが労働安全衛生規則で定められています。通常勤務可や就業制限ありといった「就業区分」の形式で意見をもらうことが多いでしょう。

また、その健康診断結果を受けて、産業医が特に保健指導が必要と判断した従業員に対して、産業医面談を行い、従業員の状況確認や保健指導を実施します。ただし、産業医面談実施の際には、事前に従業員本人からの同意を得る必要があるため、注意しましょう。

長時間労働

長時間労働は、「○時間以上が長時間労働」という明確な基準はありません。ただし、企業や事業者に産業医面談実施の義務が発生する基準はあります。労働者の種類別に以下に記載します。

(1)労働者(高度プロフェッショナル制度適用者除く)

 ⇒月80時間超の時間外・休日労働を行い、疲労の蓄積があり面接を申し出た者

(2)研究開発業務従事者

 ⇒(1)に加えて、月100時間超の時間外・休日労働を行った者
※時間外・休日労働とは、休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間の労働のこと

(3)高度プロフェッショナル制度適用者

 ⇒1週間あたりの健康管理時間が40時間を超えた時間について月100時間超行った者

上記の場合は、事業者は産業医面談を実施しなければなりません。

また、月45時間超の時間外・休日労働で健康への配慮が必要と認めたものについては、面接指導等の措置を講ずることが望ましいとされているため、不調の見られる従業員がいる場合は、本人の同意を得て、できる限り行っていきましょう。

ストレスチェック実施後

ストレスチェック実施後、必要な従業員には産業医面談を実施しなければなりません。

ストレスチェックとは、労働者の心理的な負担の程度を把握するための検査のことです。労働安全衛生法の改正により2015年12月から、常時使用する労働者が50人以上の事業場において、1年に1回実施することを義務付けられています。

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ストレスチェックの目的は、従業員が自身のストレスに気づくことを促し、メンタルヘルス不調を未然に防止することです。そのため、ストレスチェックの結果に応じて、産業医面談を行い、状況確認や面接指導を行う必要があります。

そのため、産業医面談の対象となるのは、ストレスチェックの結果、高ストレス者と判定され、実施者(産業医や保健師等)が面接指導を受ける必要があると判断した人です。

ちなみに、高ストレス者とは以下の(1)または(2)のいずれかに該当する人のことです。

  1. 「心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目」の評価点数の合計が高い者
  2. 「心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目」の評価点数の合計が一定以上の者であって、かつ「職場における当該労働者の心理的な負担の原因に関する項目」及び「職場における他の労働者による当該労働者への支援に関する項目」の評価点数の合計が著しく高い者

(厚生労働省 改正労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度について より参照)

上記のような高ストレス者に該当し、産業医面談が必要と判断された場合、実施者から従業員へ通知を行い、従業員本人が事業者へ面談の申し出を行います。

従業員より面談希望があった場合には、事業者は速やかに面談を実施しなければなりません。メンタルヘルス不調は、放置しておくと取り返しのつかない状態になり得るので、ストレスチェック実施は産業医面談等の対応まで速やかに行えるよう、しっかり体制を整えてから実施しましょう。

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従業員の方必見!産業医面談で何を話すべきか

産業医は法律に基づき、企業と労働者の中立の立場から、医学的な視点を踏まえて面談を行ないます。「産業医に話すと会社に情報が漏れる」と心配する方もいますが、産業医には守秘義務が課されているため、本人の同意なく、企業側に報告することはありません。

産業医面談では、仕事の状況や悩み、不調の症状、生活リズム、最近の変化や職場・私生活の人間関係など、気になることはなんでも話すことができます。産業医から質問する場合も多いため、気を楽にして、素直に話すとよいでしょう。

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産業医面談のメリットとデメリットをご紹介!

産業医面談には、従業員の健康を守るという目的があります。しかし、デメリットはないのでしょうか?ここでは、産業医面談のメリットとデメリットを紹介していきます。

まず、産業医面談のメリットとして、職場の状況や仕事内容を考慮した上で従業員の方の相談を受けられることや、アドバイスができることがあげられます。

また、従業員の方が不調を感じていても、「病院に行くほどではないかも」と判断して受診しない場合も産業医面談を行うことで、受診が必要かどうか等も含めて、相談をすることができます。

仕事内容や状況、心身の状態に合わせた相談先があることで、従業員の疾患リスクを下げることにつながるため、産業医面談はメリットが大きいでしょう。

では、デメリットはなんでしょうか?産業医面談を行う際、仕事の合間で実施するため、時間をとって面談を受けなければいけないことは、忙しい人にとってデメリットと言えるかもしれません。

しかし、産業医面談は15〜30分程度で終了します。また、従業員の仕事や心身の状況をより良くするための時間となりますため、大きなデメリットにはならないでしょう。

このように、産業医面談はメリットの方が大きいため、面談が必要な従業員には積極的に受けてもらうようにしましょう。

企業側が注意すべき点は?従業員が面談を拒否した時の対処法も

産業医面談をするにあたって、企業が注意すべき点は以下の2点です。

  • 産業医面談を無理矢理受けさせてはいけない
  • 従業員が産業医面談を拒否しても、放置せず、従業員へのフォローが必要

1つずつ説明していきます。

産業医面談を無理矢理受けさせてはいけない

冒頭でも述べたように、企業や事業者には労働安全衛生法で、必要時の面談実施が義務付けられています。しかし、従業員には面談を受ける義務はありません。そのため、産業医面談を強制することはできません。

あくまで「本人の希望」で実施することが望ましいため、企業や事業者は強制的に面談を受けさせることがないよう、注意しましょう。

従業員が産業医面談を拒否しても、放置せず、従業員へのフォローが必要

先述した通り、企業や事業者は産業医面談を強制はできませんが、従業員に拒否されたからといって、そのまま放置もできません。

放置したのちに、従業員が疾患を発症してしまった場合、企業の安全配慮義務対応が不足していたと指摘されることも可能性としてあります。産業医面談の代わりとなるフォローや助言を行い、安全配慮義務対応を行った旨をしっかり書面に残しておくなどの対応をすることが必要です。

では、従業員に産業医面談を受けてもらうために、どうしたら良いでしょうか?企業や事業者は産業医面談を強制することはできないため、従業員の現在の状況を理解し、説明をしっかり行うことが重要です。

従業員が産業医面談を拒否する理由として「忙しくて面談を受ける時間がない」や「産業医面談を行う意味がわからない」といった意見も実際にあります。

そのため、安心して面談を受けることができるような業務や環境の調整を行い、産業医面談を受けることでのメリットや産業医面談が法律で定められている面談ということを丁寧に説明し、理解してもらった上で、産業医面談を実施することが望ましいでしょう。

まとめ

いかがでしたか?産業医面談は法律上で定められた面談ですが、実施する目的は従業員の健康を守り、疾患のリスクを減らすことです。

企業や事業者は従業員の健康を守り、元気に働ける会社を作っていくために、従業員は自身の健康を守り、元気に仕事を続けていくために、それぞれがやるべきことを理解して、産業医を活用していくことで健康で安全な職場環境を作っていくことができるでしょう。

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