産業医選任やオンライン・訪問面談、職場巡視、
衛生委員会の立ち上げ・運営など産業医と産業看護職2名体制で支援
ベンチャー・スタートアップ企業の労働者が抱える悩み
ベンチャー・スタートアップ企業では、年齢が若く、経験が浅い方でもさまざまな仕事に積極的にチャレンジできるため、短時間で濃い経験を積むことができます。一方で、ベンチャー・スタートアップ企業ならではの課題もあります。
そこでまずは、ベンチャー・スタートアップ企業で働く労働者が抱える悩みについて紹介します。
社風・人間関係になじめない
入社後、社風や人間関係が合わないことに気付いて、ストレスを溜め込む労働者が発生することがあります。
ベンチャー・スタートアップ企業の雰囲気は、「体育会系の部活動のような雰囲気」とよく例えられます。良くも悪くも、労働者同士の距離が近く、仲間意識が強いため、人によってはその関係にストレスを感じてしまうのです。
また、企業によって、目指す目標やメンバーの意識なども異なるため、「合う・合わない問題」が出てくることも多いでしょう。
スピード感に追いつけない
ベンチャー・スタートアップ企業のスピード感は強みといえますが、急なポジション変更や方向性の変更に振り回されて、気持ちの切り替えが上手にできない方もいるでしょう。
大企業では物事の決定に至るまで、何段階もの決裁を通さなくてはなりません。一方のベンチャー・スタートアップ企業は、社長の決裁のみで決定されることも珍しくないため、労働者一人ひとりの仕事にもスピード感が求められます。
社内のスピード感に追いつけず、日々の業務がストレスになると、心身に不調が表れるようになり、ますますスムーズに仕事をこなせなくなるという悪循環が起こる可能性があります。
長時間労働で心身が休まらない
長時間労働の常態化により心身を休める時間が少なくなることは、労働者の不調の原因になりかねません。
働き方改革によって多少は改善されていますが、長時間労働の習慣が残っているベンチャー・スタートアップ企業はまだまだ存在します。なぜなら、一人ひとりの抱える業務範囲が広く、業務量も多いため、長時間労働が常態化しやすいからです。
先述した社風やスピード感も相まって、特に創業期のベンチャー・スタートアップ企業では、長時間労働やサービス残業が発生することも珍しくないでしょう。
ベンチャー・スタートアップ企業に産業医が必要な理由
少人数体制のベンチャー・スタートアップ企業では、個々にかかる負担が大きくなりがちです。そのため、欠勤・休職・離職などで人員が減ると、途端に業務が回らなくなる可能性があります。
残った人に業務が集中し、その負担に耐えかねて辞めていくという負のループに陥ると、最終的には経営を維持できなくなるかもしれません。
その他、近年は働き方改革の拡大や多様化により、「身体的・精神的・社会的に満たされた状態」を示す概念「ウェルビーイング(well-being)」が注目されています。
今後もベンチャー・スタートアップ企業が成長・発展を続けるためには、労働者のウェルビーイングを実現することが重要です。したがって、医学的な知識を有し、労働者の心身の健康保持を担う産業医の存在は、必要不可欠といえるでしょう。
ベンチャー・スタートアップ企業に産業医の選任義務はある?
ベンチャー・スタートアップ企業であっても、事業場で常時使用する労働者数が50人以上であるなら、産業医を選任しなければなりません。選任義務があるのに選任を怠った場合は、法律違反として罰則が科されます。
産業医の選任を行なわないと、社内の労働者の健康管理が疎かになり、休職や離職が多発するリスクが高まります。そのような事態は企業イメージに傷をつけるのはもちろん、社内外からの信用を得にくくなり、事業存続に悪影響を与えるでしょう。
なお、常時使用する労働者数が50人未満の事業場には、産業医の選任義務はありません。しかし、労働者の心身の健康を守るためには、選任義務がなくとも、適宜産業医の助言を受けて、適切な対応をとることが望ましいでしょう。
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連日、目まぐるしいスピード感で事業を行なうベンチャー・スタートアップ企業だからこそ、自社の従業員の健康促進や職場環境の改善はとても重要です。
ここからは、ベンチャー・スタートアップ企業における産業医の役割について解説します。
健康診断
健康診断の目的は、「労働者が引き続き健康的に働ける状態なのか」を定期的に確認することです。そのため、健康診断を実施したら、健診結果を産業医に確認してもらい、意見や助言をもらいましょう。
異常の所見があり、今までと同じように働くのは難しいと判断された労働者に対しては、産業医からの意見をふまえて、働き方を変更させる、業務内容を調整する、休業させるといった措置が必要です。
また、生活習慣病など重大な健康被害をもたらす可能性がある疾患に対して、早期の治療を促すことも、健康診断の重要な目的の一つです。労働者の健康意識を高め、積極的なセルフケアをさせるためにも、必要に応じて産業医面談の実施を検討しましょう。
なお、健康診断後に行なう医師の意見聴取は、労働安全衛生法第66条の4で実施を義務付けられているため、事業者は速やかに行なう必要があります。
【あわせて読みたい関連記事】 健康診断の事後措置の流れと企業の義務を解説面接指導
労働安全衛生法に基づき、事業者には、長時間労働者および高ストレス者への医師による面接指導の実施が義務付けられています。(第66の8および第66条の9、第66条の10)
なぜなら、時間外労働・休日労働が続いて疲労が蓄積している長時間労働者や、多大なストレスを抱えた労働者は、放置すると心身の不調を引き起こすおそれがあるからです。
下記のような長時間労働者や、ストレスチェックで高ストレス者と判定された労働者に対して面接指導を実施することで、脳・心臓疾患、精神疾患の発症や過労死を防ぐ効果が期待できます。
1.労働者
月80時間超の時間外・休日労働を行い、疲労の蓄積が認められる者(申出あり)
2.研究開発業務従事者
(1)に加えて、月100時間超の時間外・休日労働を行った者
3.労働基準法第41条の2の規定に基づく高度プロフェッショナル制度適用者
1週間当たりの健康管理時間が40時間を超えた場合におけるその超えた時間について月100時間を超えて行った者
出典:長時間労働者、高ストレス者の面接指導について|厚生労働省
長時間労働者や高ストレス者以外でも、疲労の蓄積が見られたり、労働者から希望があったりした場合も、早期対応のために事業者は面接指導を実施することが大切です。
長時間労働者や高ストレス者への面接指導は、心身の健康状態と職場環境を把握している「産業医」と協力して行なうことが求められます。
【あわせて読みたい関連記事】 会社のストレスチェックは意味ないの?実施効果や義務、成功事例を解説!産業医面談とは?実施する意味やパターン別の目的、実施する際のポイントを紹介衛生委員会
産業医の衛生委員会への出席は義務ではありませんが、可能なら毎回参加してもらうのが望ましいでしょう。
衛生委員会とは、健康管理・職場環境などの課題解決を図るための審議が行なわれる場です。そのため、医療知識を持つ専門家として産業医に参加してもらい、意見や助言をもらうことで、より効果的な対応策を検討できます。
その他、産業医が衛生講話を実施することで、参加メンバーの健康意識と知識を向上させ、一人ひとりの健康管理能力を高める機会にもなります。
【あわせて読みたい関連記事】 衛生委員会とは?構成メンバーやすぐに使えるテーマ例・安全委員会との違いなどを紹介| リモート産業保健職場巡視
産業医の職場巡視は、労災につながる危険を早期発見し、労働者の健康障害を未然に防ぐために行なわれます。労働安全衛生規則第15条に基づき、産業医による職場巡視は月1回実施するのが原則ですが、所定の要件を満たせば頻度を2ヵ月に1回にすることが可能です。
巡視の頻度にかかわらず、産業医による改善指導をもとに、事業者は職場環境の改善策を検討しなくてはなりません。そのため、産業医の職場巡視は確実に実施することが大切です。
【あわせて読みたい関連記事】 産業医が職場巡視でチェックしているのはココ!知っておきたい職場巡視のポイント職場復帰支援
労働者の職場復帰のためには、産業医を含めた産業保健スタッフ、主治医との連携が必要です。
主治医が職場復帰可能という診断をしたあと、「就業が可能か」「配置換えや業務調整は必要か」などについて産業医が意見書を作成します。
そして、主治医や産業医の診断をもとに、最終的な判断を行なうのは事業者です。産業医の意見書には、職場復帰後の就業上の配慮(短時間勤務、残業禁止、出張制限など)についても書かれているため、参考にすることで円滑な職場復帰が期待できます。
【あわせて読みたい関連記事】 産業医による復職面談とは?目的や復職の判断基準と注意点を紹介メンタルケア
産業医は、労働者のメンタルケアにも役立つ存在です。長時間労働者や過重労働者が悩みを打ち明け、アドバイスを求められる産業医がいれば、突然の休職や離職といった企業の人的損失を防ぐことができるでしょう。
メンタルヘルス不調者を放置すると、ある日突然疾患を発症したり、命を投げ出してしまったりすることが実際に起こり得ます。
そこで、産業医がメンタルヘルス不調に対して迅速かつ的確に対応できれば、最悪のケースを回避することができるでしょう。自社の従業員の命を守るためにも、産業医と密に連携し、積極的な産業保健活動を推進する必要があります。
【ベンチャー・スタートアップ企業向け】優秀な産業医の選び方
産業医業務を行なうには、医師免許に加えて産業医資格を取得していなければならないため、日本における産業医の数は医師ほど多くありません。とはいえ、今後長く付き合うことになる産業医だからこそ、ポイントを押さえて優秀な人材を探すことが大切です。
産業医選びのポイント
産業医選びのおもなポイントは、以下のとおりです。
- 自社のニーズに合っているか
- 産業医としての実績・経験があるか
- コミュニケーション能力は十分であるか
- どの業務に対応してもらえるのか
性別や専門分野、得意分野などは、産業医によって異なります。したがって、自社のニーズや産業医の実績・経験などは、重要なチェックポイントです。
例えば、女性が多い事業場の産業医が男性だと、女性特有の悩みを相談しにくくなる可能性があります。メンタルヘルスについての知見が少ない産業医が、精神疾患の発症が課題となっている事業場の産業医を務めるのも、適切とはいえないでしょう。
また、意外と盲点になりやすいのが「コミュニケーション能力」です。いくら実績や経験があり、企業のニーズに合っている産業医でも、スムーズにコミュニケーションが取れなければ、物事はうまくいきません。
産業医に限ったことではありませんが、相手との円滑なコミュニケーションが取れてこそ、適切な連携、目的達成が可能になります。選任前に必ず一度会って、産業医のコミュニケーション能力を確認することをおすすめします。
産業医を探す方法とは?
産業医を探すおもな方法は、以下のとおりです。
- 医師会に相談する
- 人脈を活用する
- 定期健康診断を担当している医療機関に相談する
- 産業医紹介サービスを利用する など
医師会はその地域で働く医師や産業医を把握しているため、相談すると産業医を紹介してもらえる可能性があります。ただし、産業医との交渉や業務相談などは、すべて自社で行なわなければなりません。また、産業医の紹介に対応していない医師会もあるので注意しましょう。
社内に産業医とつながる人脈があれば、それを活用するのも一つの方法です。しかし、こちらも交渉や相談は自社で行なう必要があるうえ、自社のニーズに合った産業医が見つかるとは限りません。
定期健康診断はどの企業でも行なっているはずなので、健康診断を実施する医療機関への相談も検討しましょう。ただし、医療機関によっては産業医が所属していないこともあります。また、ニーズに合わない場合でも、紹介された手前、断りづらくなるといったデメリットもあります。
産業医を探す方法で最もおすすめなのが「産業医紹介サービスの利用」です。仲介料などの費用はかかりますが、豊富な人材のなかから、自社に合う産業医をスムーズに見つけられます。
また、産業医の交代対応や手続きをはじめとする事務関係のサポートなど、アフターフォローを行なっている産業医紹介サービス会社もあるため、初めての産業医選任でも安心して相談できます。
ニーズにあった産業医を選任し、効率的に労働者の健康管理・職場改善に努めましょう。
【あわせて読みたい関連記事】 産業医の探し方5選!方法別のポイントを解説まとめ
本記事では、ベンチャー・スタートアップ企業が産業医を選任すべき理由や、産業医の具体的な役割、優秀な産業医を選任する方法を解説しました。
ベンチャー・スタートアップ企業では、スピード感を持ってさまざまな業務に携わることができるため、成長の機会を多く得られます。
一方で、長時間労働や企業の特徴についていけず、心身の不調に陥る労働者が発生しやすいことは否めません。だからこそ、ベンチャー・スタートアップ企業には産業医が必要なのです。
「産業医」という医学と産業保健の専門家がいることで、職場環境の見直しや労働者の健康管理を適切に行なうことができます。
とはいえ、産業医をどうやって探せばいいのか、悩んでいるベンチャー・スタートアップ企業の方も多いでしょう。自社とマッチした産業医を選任するには、産業医紹介サービス「リモート産業保健」の活用がおすすめです。
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