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ストレスチェックの対象者には、派遣社員も含まれる?
労働者数50人以上の事業場では、メンタルヘルス不調を未然に防止する目的で、ストレスチェックの実施が義務付けられています。
ストレスチェックは、常時使用する労働者に対して年1回実施する必要がありますが、ここで言う「労働者」には派遣社員も含まれるのか、疑問に感じる企業担当者の方もいるでしょう。
そこでまずは、ストレスチェック実施の際の派遣社員の取り扱いについて解説します。
ストレスチェックの「常時使用する労働者」の要件
ストレスチェックは「常時使用する労働者」が対象となりますが、その要件の詳細は以下のとおりです。
期間の定めのない労働契約により使用される者(期間の定めのある労働契約により使用される者であって、当該契約の契約期間が1年以上である者並びに契約更新により1年以上使用されることが予定されている者及び1年以上引き続き使用されている者を含む。)であること。
その者の1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3以上であること。
厚生労働省『労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル』
ストレスチェックは派遣元・派遣先のどちらが行なうべき?
派遣社員に対するストレスチェックおよび面接指導は、労働安全衛生法に基づき、派遣元企業が実施すると定められています。そして派遣先企業は、労働者の職場環境や働き方などに関する情報を派遣元企業に提供することが求められます。
ただし、派遣社員個人のストレスチェックは派遣元企業が行ないますが、集団分析については職場単位で実施することが重要であるため、派遣先の企業で実施するのが適切といえます。
したがって、派遣社員は派遣元企業と派遣先企業の両方でストレスチェックを受けるケースもあります。
派遣社員がいる事業場でストレスチェックを実施する際の注意点
派遣社員のストレスチェックを実施する派遣元企業には、注意すべき点があります。また、派遣先企業がストレスチェックを実施する際には、派遣社員については自社の従業員とは異なる対応が必要です。
ストレスチェック後の集団分析は、派遣社員を含めた「集団ごと」に分析する
ストレスチェックを実施したあとは、個々の労働者の結果に基づき、職場環境の改善を目的として集団分析を行なうことが努力義務です。しかし、派遣元企業が派遣社員のストレスチェックを行なうと、集団分析の実施が難しくなります。
なぜなら、派遣社員はそれぞれ別の派遣先に配属されており、集団にはならないためです。したがって、集団分析については派遣先企業で行なう必要があります。
ストレスチェックに関連して、不利益な取り扱いを行なってはならない
派遣先企業に向けて示されている、ストレスチェックによる派遣社員への不利益な取り扱いを禁止する事項として、以下のものが挙げられています。
- 面接指導の結果に基づく派遣社員の就業上の措置について、派遣元企業からその実施に協力するよう要請があったことを理由に当該派遣社員の変更を求めること。
- 派遣元企業が本人の同意を得て、派遣先企業に派遣社員のストレスチェック結果を提供した場合、これを理由に当該派遣社員の変更を求めること。
- 派遣元企業が本人の同意を得て、派遣先企業に派遣社員の面接指導の結果を提供した場合、これを理由に派遣元企業が聴取した医師の意見を勘案せず、また当該派遣社員の実情を考慮せず、当該派遣社員の変更を求めること。
- 派遣先企業が集団ごとの集計・分析を行なうことを目的として、派遣社員に対してもストレスチェックを実施した場合、ストレスチェックを受けないことを理由に当該派遣社員の変更を求めること。
出典:心理的な負担の程度を把握するための検査及び面接指導の実施並びに面接指導結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針
面接指導を受けた派遣社員に対しては、就業上の措置が必要
派遣先企業は、自社の従業員と同様に、ストレスチェック結果において高ストレス者と判定された派遣社員に対して、医師による面接指導を実施する必要があります。
そして、聴取した医師の意見を勘案し、必要に応じて就業場所や担当業務の変更、労働時間の短縮など就業上の措置をする義務があります。
ただし前述の通り、法令上、派遣社員に対する就業上の措置を講じるのは派遣元企業です。くわえて、派遣元企業が派遣先企業に協力を求める場合は、派遣社員本人の同意を得たうえで情報の提供を要請しなくてはなりません。
必要に応じて派遣元企業と派遣先企業が連携しながら、適切に対応することが大切です。
派遣社員のストレスチェックに関するよくあるQ&A
最後に、派遣社員のストレスチェックに関する、よくある疑問にお答えします。
派遣元の派遣社員が50人以上の場合、実施義務は発生する?
雇用契約を結んでいる派遣社員が50人以上いる場合は、派遣元企業にストレスチェックを実施する義務が生じます。
派遣先企業に正規社員と派遣社員の両方がいて、合計人数が50人以上になる場合、派遣先企業は正規社員に対し、ストレスチェックを実施する義務が生じます。
この場合、派遣先企業には、派遣社員に対するストレスチェックの実施義務はありません。ただし、派遣社員に対しても、ストレスチェックや職場の集団ごとの分析を実施することが望ましいとされています。
ストレスチェック実施後の報告には、派遣社員の人数もカウントすべき?
ストレスチェックを実施したあとは、労働基準監督署への報告が必要です。これは、法律に定められている義務が適切に行なわれているかどうかを確認するためのものです。したがって、報告の対象は、義務の対象になっている労働者のみ、ということになります。
つまり、派遣先企業で派遣社員のストレスチェックを実施した場合、派遣社員の結果は報告の対象外となります。
派遣元・派遣先の間で、ストレスチェックの結果の提供は可能?
派遣元企業と派遣先企業との間で、ストレスチェックの結果を共有することは可能ですが、その際には労働者本人の同意を得る必要があります。
ただし、ストレスチェックは本来、派遣元企業が実施すべきものです。したがって、派遣先企業が派遣社員のストレスチェックを実施し、派遣元企業がその結果の開示・利用を希望する場合には、実施費用を負担するのが適切でしょう。
まとめ
派遣社員のストレスチェックについては、基本的には派遣元企業に実施義務があります。
しかし、派遣社員が実際に仕事をするのは派遣先企業であり、派遣先の事業場の規模によっては、派遣先企業でもストレスチェックの実施が必要になる場合があります。スムーズにストレスチェックを実施するには、派遣元企業と派遣先企業との連携が大切です。
とはいえ、自社の従業員を対象に行なうストレスチェックとは異なる部分もあるため、さまざまな場面で判断に迷う企業担当者の方も多いでしょう。
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