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産業医選任やオンライン・訪問面談、職場巡視、
衛生委員会の立ち上げ・運営など産業医と産業看護職2名体制で支援
産業医の役割で一番期待されるのはメンタルヘルス対策!
まず、「産業医」とはどのような役割があるのかをご説明しましょう。
簡単にいうと、労働者が元気で健康に働けるよう、本人の健康管理のサポートをしたり、職場の環境や作業の内容を改善・維持していくために、医学的な立場から意見や助言などをしたりする役割があります。
具体的には以下のとおりです。
①健康診断の実施とその結果に基づく措置
②長時間労働者に対する面接指導・その結果に基づく措置
③ストレスチェックとストレスチェックにおける高ストレス者への面接指導その結果に基づく措置
④作業環境の維持管理
⑤作業の管理
⑥上記以外の労働者の健康管理
⑦健康教育、健康相談、労働者の健康の保持増進のための措置
⑧衛生教育
⑨労働者の健康障害の原因の調査、再発防止のための措置
独立行政法人 労働者健康安全機構 「中小企業事業者のために産業医ができること」より
上記の職務を行なっていくために、月に1回程度の職場巡視や衛生委員会への参加、不調の兆候がある労働者との面談や就労状況・作業環境について企業に助言を行なうなど、実際に現場で行なう役割も多くあります。
そのなかでも、近年、社会問題にもなっている「メンタルヘルス」については、産業医の役割が特に重要となっています。
「メンタルヘルス」とは、精神面における健康のことです。最近では業務過多や人員不足による過重労働、職場内での対人関係(ハラスメントなど)でストレスがたまりやすくなっており、メンタルヘルスの不調がみられる人が増加しています。
メンタルヘルスに不調があると、精神的・身体的症状が出てきてしまうため、日頃の業務を含む日常生活に支障をおよぼす恐れがあります。その結果、休職や退職といった事態を引き起こし、本人だけでなく企業の業務にも影響を与えてしまいます。
そのような事態を起こさないために、産業医はメンタルヘルス対策として以下の内容を実施します。
健康診断の対応
年に1回、企業では必ず実施する健康診断の診断結果に基づき、労働者の健康上の課題を改善します。健診機関の医師健康診断での医師は、検査結果を数値化し、その数値が正常かどうかで健康状態の判定をしますが、産業医は労働者の業務やこれまでの経過を把握したうえで、就労が可能な状態なのかを判断します。
いまも健診データを手作業で入力し管理していませんか?株式会社エス・エム・エスが提供する健診DXサポートは、面倒なデータ管理から健康診断の受診率向上に役立つサービスです。具体的な機能としては、健康診断結果や面談記録などの管理から、過重労働管理機能も搭載し必要書類の出力もカンタン!さらに産業看護職のサポートにより、面倒なデータ入力代行や有所見者への定期フォローや産業医連携、面談を通じて、健康リスクや受診勧奨のフォローアップも可能です。
ストレスチェック対応
労働者のストレスの状態を知るために、ストレスチェックを通して必要時には産業医面談を行なったり、会社側に時間外労働の制限禁止や、業務量の削減などの業務調整を実施するように意見したりします。
労働安全衛生法では、常時使用する労働者が50人以上の事業場には年に1回実施することを義務付けています。また、49人以下の事業場には努力義務として積極的に行なうことが望ましいとされています。
過重労働者の対応
過重労働とは、法的に明確な定義はありませんが、長時間にわたる時間外労働など、身体的・精神的に負荷の大きく、疲労の蓄積や健康障害を来しうる状態を指します。過重労働とは、時間外・休日労働が月100時間を超えること、もしくは、2~6ヵ月平均で月80時間を超えることをさします。過重労働は、さまざまな健康障害を引き起こす危険性があり、早期の対応が必須です。
労働者本人と面談を行ない、問診を通して心身の状態を把握し、本人や企業に指導を行なっていきます。
休職者の対応
休職中の労働者が、体調の回復ができており、復職の意思が見られれば、主治医からの復職可能との診断書が提出されていることを前提に、産業医面談を行なってから復職が可能か判断していきます。なぜなら、本人は復職したいと考えていても、産業医からみるとまだ療養が必要と判断することもあるためです。
企業の業務や本人の経過などを踏まえて、復職後に再度休職に陥ってしまうことのないように、専門的な判断が必要なため産業医の役割としてとても重要です。
働き方改革
2019年4月から働き方改革関連法(働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律)が施行 施工されており、産業医・産業保健機能が強化されています。多様化する働き方に合わせて、産業医が担う役割が大きく、具体的になっており、働き方改革に取り組んでいくうえでも、産業医は欠かせない存在になっています。

産業医の選任条件
事業場の労働者数が50人以上になると労働安全衛生法第13条により、産業医の選任義務が発生し、違反すると労働安全衛生法120条に基づき50万円以下の罰金が発生します。
ここで述べている事業場というのは、企業全体ではなく、支社や営業所、店舗や工場など、組織上、ある程度独立して業務が行われている単位のことを言います。
つまり、同じ会社でもそれぞれの事業場で常時使用する労働者数が50人以上になったときは、事業場ごとにそれぞれ産業医の選任が必要になります。また、アルバイトやパートでも雇用契約に基づいて勤務している場合は、その方々も常時使用する労働者に含まれます。
産業医選任は事業場の労働者数が50人を超えると法律で義務付けられており、違反すると罰則があることをしっかり覚えておきましょう。
ただし、中小企業だと労働者数が50人未満の企業も多いと思います。事業場の労働者数が1~49人の場合、産業医選任は努力義務となっています。
労働者数が1~49人の事業場でも、労働者への安全配慮義務を果たすためには、産業医選任は積極的に行なっていくことが望ましいとされているため、この機会に産業医選任を検討していきましょう。
安全配慮義務とは、労働契約法第5条に明文化されており、企業は労働者が身体、精神ともに健康であり、安全に働くことができるように配慮する必要がある、というものです。

名義貸し産業医の場合でも罰則が発生することがある
名義貸し産業医とは、産業医として名前が登録されているだけで、実際は職務を果たしていない医師のことです。形だけ法律を守っているように見せる行為で、労働安全衛生法違反となるため、50万円以下の罰金を科せられたり、行政指導の対象になったりする可能性があります。
労働者の健康管理が適切に行なわれず、企業の信用が低下するリスクも高いため、実際に職務を果たす産業医を選任することが重要です。
産業医の種類
産業医には「専属産業医」と「嘱託産業医」がいます。この2つの違いは、「常勤」か「非常勤」かの違いです。
専属産業医は、労働者数が常時1,000人以上勤務する事業場や特定の有害業務(※)に500人以上の労働者が勤務する事業場で、専属で常勤する産業医のことです。
特定の有害業務とは以下のとおりです。
※労働安全衛生規則第13条第1項第2号
イ 多量の高熱物体を取り扱う業務及び著しく暑熱な場所における業務
ロ 多量の低温物体を取り扱う業務及び著しく寒冷な場所における業務
ハ ラジウム放射線、エックス線その他の有害放射線にさらされる業務
二 土石、獣毛等のじんあい又は粉末を著しく飛散する場所における業務
ホ 異常気圧下における業務
へ さく岩機、鋲打機等の使用によって身体に著しい振動を与える業務
ト 重量物の取扱い等重激な業務
チ ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務
リ 坑内における業務
ヌ 深夜業を含む業務
ル 水銀、砒素、黄りん、弗化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、青酸、か性アルカリ、石炭酸そのたこれらに準ずる有害物を取り扱う業務
ヲ 鉛、水銀、クロム、砒素、黄りん、弗化水素、塩素、塩酸、硝酸、亜硫酸、硫酸、一酸化炭素、二酸化炭素、青酸、ベンゼン、アニリンその他これらに準ずる有害物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務
ワ 病原体によって汚染のおそれが著しい業務
カ その他厚生労働大臣が定める業務
専属産業医は常勤のため、企業の労働者の1人として週4~5日で勤務する場合が多くあります。
嘱託産業医とは、労働者数が50~999人の事業場で、月に1回程度勤務する非常勤の産業医のことをいいます。産業医のほとんどが嘱託産業医で、病院やクリニックで医師として本業をしながら、嘱託産業医をすることが多いです。
労働者数だけでなく、業種によっても専属産業医か嘱託産業医かが変わってくるので、産業医を選任する際には間違えないように注意することが必要です。
中小企業で産業医を選任するメリット
産業医を迎えるにあたって大きなメリットは、企業の経営維持と発展につながることです。
なぜなら、産業医は職務を通して労働者の心身の管理とケアを適切に行ないながら、職場環境や作業内容の改善ができるためです。
労働者に身体面や精神面での不調が出た場合、専門知識がないまま対応するのはとても難しく、適切な対応が行われないと休職者や退職者が発生する恐れもあります。
また、休職者や退職者が発生すると、ほかの労働者へかかる業務負担も大きくなり、その労働者のなかにも体調不良者が発生する危険性もあります。そういった悪循環が起こると、最終的には企業の経営自体にも支障をきたすことになってしまいます。
また、産業医は作業環境や内容についても医学的立場から助言することができるため、労働者へ安心・安全な職場を提供することができ、労働者に対して優しく、働きやすいという企業のイメージアップにもなります。
そういったことから、産業医を迎えるメリットは労働者だけではなく、事業場や企業全体に影響を与えるとても大きな事といえます。
中小企業で産業医を選任するデメリット
産業医を選任する際には、経済的な負担がかかったり、探す手間や契約までの調整に時間がかかったりするなど、デメリットもあります。
また、訪問頻度や社内体制によっては、選任しても十分に活用できないケースもあるため、あらかじめこうした点を理解しておくことが大切です。ここでは、中小企業で産業医を選任するデメリットを紹介します。
コストがかかってしまう
中小企業が産業医を選任する際には、費用・時間・労力などさまざまなコストが発生します。まず、産業医と契約すると顧問料や訪問料などを支払うこととなり、企業規模によっては経済的な負担が大きくなるため、コストパフォーマンスを考慮することが大切です。
また、自社に合った産業医を探して契約を結ぶまでには時間と労力がかかるため、企業側の担当者にとっては業務負担の増加につながります。
加えて、訪問スケジュールの調整や情報提供、産業医のアドバイスを社内で活かす仕組みづくりなども求められます。特に人手が限られる中小企業では、こうした実務の準備や継続的な対応が負担となりやすく、導入にあたっては社内体制や役割分担も含めた検討が重要です。
選任するだけでは効果を発揮しない
産業医は労働者の健康管理や職場環境の改善を支援する専門家ですが、企業側の協力がなければその力を十分に発揮できません。形式的に選任しただけでは、実際の健康管理や職場改善にはつながらず、形骸化してしまいます。
実効性のある取り組みにするには、産業医と企業が密に連携し、健康課題の共有や具体的な職場環境の改善策を検討・実施することが必要です。労働者の健康を守るためにも、企業側には産業医を積極的に活用する姿勢が求められます。
中小企業において産業医を設置しない場合の相談先はどこ?
常時50人未満の労働者を使用する事業場で産業医を設置していない場合は、産業保健総合支援センター(通称:地さんぽ)にて、無料相談が可能です。なお、労働環境や労働安全衛生法に関する相談は、所轄の労働基準監督署が対応します。
また、健康診断結果の見方や健康相談については、健康保険組合や医療機関などが窓口となる場合もあります。相談をスムーズに進めるため、事前に相談内容に対応可能な機関であるか確認し、課題や質問を整理しておくとよいでしょう。継続的な対応が必要な場合には、社内で担当者を決めておくとより活用しやすくなります。
中小企業が質の高い産業医を探すには?
中小企業が質の高い産業医を探すには、自社に合った産業医の必須条件を設定することが大切です。
例えば、IT関連の企業と運送業を行なっている企業では、労働者が抱える心身の課題に共通点もありますが、相違点もあります。
「ストレスがかかることでメンタルヘルス不調になりやすい」ことは共通の課題かもしれませんが、IT企業には「VDT作業による目の機能の低下や同じ姿勢による首や肩こりなどの身体的症状」などが起こりやすいといわれています。
また、運送業では「長時間労働による精神障害や心疾患の発症」などが大きな課題になっています。
このように、企業・事業場・職種・業務内容や作業環境などでそれぞれが抱える課題が異なるため、産業医に求める細かな専門性も当然異なります。
産業医も、自身が得意とする強みがあるため、産業医の強みと企業の課題改善のためのニーズがマッチしていることが必要です。
例えば、産業医を選任する際に、「メンタルヘルス不調を抱えている人が多い職場」なら精神科が専門の産業医で、職場の状況や環境の把握をしっかり行ない、そういった課題に積極的に取り組んでもらえる人と契約をしましょう。
また、「女性が多い職場」なら、同じ女性という目線をもち、労働者に寄り添った対応のできる女性の産業医に依頼するなど、企業のニーズと産業医の強みがマッチしている事を条件として、産業医を探していきましょう。

産業医と巡り合う4つの方法
産業医の選任を検討し始めたら、企業のニーズに合う産業医を探しましょう。
産業医にはいくつかの探し方があります。それは以下の4つです。
- 都道府県ごとの医師会に相談する
- 近隣の医療機関に相談する
- 自社の人脈で探す
- 産業医マッチングサービスを利用する
順番に解説していきます。
1.都道府県ごとの医師会に相談する
全国47都道府県にはそれぞれ医師会があり、その地域で働く産業医が登録されています。そのため、基本的に近隣の病院やクリニックの医師を紹介してくれます。
医師会に紹介してもらうメリットは、地域の医師会のため、近隣の産業医を紹介してくれることです。しかし、デメリットとしては、医師会は紹介までしかしてくれないので、仕事の依頼や報酬などの交渉などはすべて企業で行わなければなりません。そのため、直接交渉する労力が必要になります。
2.近隣の医療機関に相談する
事業場の近くの医療機関に直接依頼もできます。メリットは事業場と医療機関の距離が近いことで、連携も取りやすく、身近な医療機関のため安心感があることです。
しかし、デメリットとしては、ニーズに合った産業医ではない場合、関係性もあることから依頼を断ったり、産業医の交代が難しかったりすることもあります。
3.自社の人脈で探す
社内に産業医とつながっている人脈がいる場合は、その人に相談してみてもよいでしょう。また、すでに産業医のいる企業や事業場の人事や労務担当者に相談して、紹介してもらう方法もあります。
メリットは、相談相手から産業医選任の流れやノウハウを教えてもらえる可能性があることです。反対にデメリットとしては、産業医を紹介してくれた人と関係性もあるため、その産業医が自社のニーズに合っていなくても、契約を断ったり、交渉をしたりするのが難しくなることです。
4.産業医マッチングサービスを利用する
産業医マッチングサービスとは、事業場の特徴やニーズに合わせた産業医をマッチングしてくれるサービスです。メリットは、これまでのように探す手間や交渉する手間は必要なくなることです。
また、実際に産業医と契約したあとで、ニーズに合っていなかったり、産業医を交代することになったりした場合も、マッチング会社がすべて代行してくれることも大きなメリットです。
デメリットとしては、マッチングなどの仲介料が必要なため、ほかの方法と比べて費用がかかることです。しかし、これまでの方法よりも簡単に産業医を探すことができ、より企業のニーズにあった産業医を選任できます。
また、マッチングサービス会社のサービスによっては、産業保健師/産業看護職のサポートが含まれているものもあり、労働者や企業にとってもプラスになることが多いでしょう。
以上、産業医を探す4つの方法についてご説明しました。産業医は法律順守するために、探して契約することが大切なのではなく、企業と労働者を守るためにしっかり連携をして、専門性を発揮してもらうことが大切です。
自社や労働者のために、どのような産業医が必要なのかをしっかり考えて探すと、自ずと自社とマッチした産業医が見つかるでしょう。
助成金制度を活用しよう!
中小企業が労働者の健康管理や職場環境の改善に取り組む際には、助成金制度を活用することで、経済的な負担を軽減しながら、効果的に産業保健活動を進めることが可能です。
産業保健活動に関する助成金は、おもに労働者の健康保持や安全な労働環境づくりを目的とした取り組みに対して支給されます。特に中小企業にとっては、コストを抑えながら環境整備を行なえる有用な制度といえます。
中小企業が利用できる制度の一つに「団体経由産業保健活動推進助成金」があります。この助成金は、事業主団体などを通じて中小企業の産業保健活動の支援を行なうものです。
令和7年4月時点では、令和7年度分の受付はまだ始まっていません。ちなみに、令和6年度は5月20日から申請受付が開始されました。この助成金の申請を検討している場合は、今後の情報をこまめにチェックしておきましょう。
なお、本項では令和6年度版の「団体経由産業保健活動推進助成金」の手引を参考に内容を記載していますが、申請する年度によって申請要件が変更される可能性があります。申請の際は、必ず最新年度の手引をご確認ください。
まず、助成金の支給対象となる団体には以下のような要件があります。
- 事業主団体等
事業主団体または共同事業主であり、中小企業事業主の割合が構成事業主(共同事業主については、代表事業主を除く事業主)全体の2分の1を超えているなど、一定の要件を満たす団体 - 労災保険の特別加入団体
労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)第33条第3号または第5号に該当する団体で、一定の要件を満たす団体
※助成対象となるかどうかは、「団体経由産業保健活動推進助成金」の手引に掲載されているフロー図で確認できるので、一度ご確認ください。
申請の流れは下記のとおりです。
申請や制度内容についての窓口は労働者健康安全機構(勤労者医療・産業保健部 産業保健業務指導課)です。上記サイトではチャット形式での相談も可能で、それでも解決しない場合は電話(0570-78-3046)にて直接問い合わせることもできます。
参考:「団体経由産業保健活動推進助成金」の手引 (令和6年度版)|独立行政法人労働者健康安全機構
まとめ
国は労働者の健康管理のサポートやメンタルヘルス対策を行ない、どの職場で働いている人にも元気で健康な働き方をしていけるように、法律の整備も含めて、さまざまな取り組みをすすめています。
労働者が50人未満の事業場に対する産業医選任は「努力義務」ですが、手間や費用を上回るメリットは多くあるので、ぜひ産業医選任を検討して、企業と労働者の健康と安全を守っていきましょう。また、その際は、助成金などの使える資源はしっかり使っていきましょう。

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