ストレスチェック規程の作り方は?盛り込むべき項目と作成手順をモデル規程で解説

ストレスチェック_規定

執筆者

はじめまして、shirocanと申します。
大学院修了後、フリーター期間を経て、教育系一部上場企業、人材系ベンチャー企業に勤務しました。ベンチャー企業勤務時より、様々な副業や活動を行ない、現在は法人経営のほか、webライター、キャリアアドバイザー、各種試験講師、研修講師などに従事しております。

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文章を書くことが好きであり、はじめは副業で始めたライターのお仕事に充実感や責任感を覚え、約5年続けております。様々なジャンルを執筆する中で、常に学び続けることを忘れず、高品質の記事つくりに邁進しております。

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働く人の心身の健康管理をサポートする専門家です。従業員の皆さんと産業保健業務や面談対応から健康経営優良法人の取得などのサービスを通じて、さまざまな企業課題に向き合っています。私たちは、企業経営者・人事労務の負荷軽減と従業員の健康を実現するとともに、従業員に対する心身のケア実現を通じ、QOL向上と健康な労働力人口の増加への貢献を目指しています。

ストレスチェックの実施規程は、労働安全衛生法上、作成そのものが義務付けられているわけではありません。しかし、高ストレス者と判定された社員への就業上の措置や、結果という重要な個人情報の取扱いを明確にするため、多くの企業が規程の整備を進めています。本記事では、厚生労働省のモデル規程を土台に、規程に盛り込むべき項目と作成の手順を、50人未満の事業場での対応まで含めて解説します。

    この記事でわかること


  • 【1】厚生労働省のモデル規程に基づく、規程の骨格

  • 【2】規程作成でつまずきやすい3つの実務ポイント

  • 【3】50人未満の事業場における社内ルール整備の考え方

  • 【4】規程作成〜周知までの4ステップと、作成後の見直しの手順

ストレスチェック規程とは?作成の要否と定めるべき事項

ストレスチェック規程とは、ストレスチェック制度の目的や実施体制、実施方法などを定めた社内文書です。

ストレスチェックの実施自体は、事業場の規模に応じて労働安全衛生法で義務付けられていますが、対象となる事業場の詳しい範囲はストレスチェックの義務化に関する解説記事で確認できます。一方で、この実施に関する規程そのものの作成は、法令上の義務ではありません。ただし、高ストレス者への就業上の措置の実施根拠や、結果という重要な個人情報の取扱いルールを明確にする目的から、規程の整備が推奨されています。

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規程を作らない場合に生じるリスク

規程を作らないまま運用すると、いくつかの実務上のハードルが生じます。高ストレス者への就業上の措置をどのような手順で行うかが定まらず、対応が場当たり的になりかねません。また、ストレスチェックの結果という機微な個人情報について、誰がどこまで扱えるのかというルールが不明確になるおそれもあります。

厚生労働省のモデル規程で見る、規程に盛り込むべき項目

厚生労働省が公開する『ストレスチェック制度実施規程(例)』は、これから規程を作成する事業場にとって、骨格として活用できる内容になっています。

モデル規程に盛り込むべき7項目
(図:モデル規程に盛り込むべき7項目)
(編集部作成)

総則(規程の目的・適用範囲・周知方法)

モデル規程の第1章「総則」には、規程の目的・変更手続き・周知方法がまとめて定められています。

第1条 この規程は、労働安全衛生法第66条の10の規定に基づくストレスチェック制度を株式会社  において実施するに当たり、その実施方法等を定めるものである。
2 ストレスチェック制度の実施方法等については、この規程に定めるほか、労働安全衛生法その他の法令の定めによる。
3 会社がこの規程を変更する場合は、衛生委員会において調査審議を行い、その結果に基づいて変更を行う。
4 会社は規程の写しを社員に配布又は社内掲示板に掲載することにより、適用対象となる全ての社員に規程を周知する。

労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル|厚生労働省

規程を自社向けに作成する際は、この適用対象の範囲に注意が必要です。正社員だけでなく、契約社員やパート・アルバイト、派遣社員など、実際に自社で働くすべての雇用形態を適用範囲に含められているかを確認し、記載漏れがないようにしましょう。

実施体制(実施者・実施事務従事者・人事権者の関与禁止)

実施体制では、誰がストレスチェックの実施者・実施事務従事者になれるかという要件と、人事権を持つ者の関与禁止が定められています。

(検査の実施者等)
第五十二条の十 法第六十六条の十第一項の厚生労働省令で定める者は、次に掲げる者(以下この節において「医師等」という。)とする。
一 医師
二 保健師
三 検査を行うために必要な知識についての研修であつて厚生労働大臣が定めるものを修了した歯科医師、看護師、精神保健福祉士又は公認心理師
2 検査を受ける労働者について解雇、昇進又は異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある者は、検査の実施の事務に従事してはならない。

労働安全衛生規則|e-Gov法令

規程に明記する際は、人事権を持つ者は検査の実施の事務に従事してはならないという点を、実施体制の項目としてはっきり書いておくことが重要です。実施事務従事者に人事異動の権限者を充てていないか、あわせて確認しましょう。

実施方法(時期・対象・調査票・結果通知・面接指導・集団分析)

実施方法の章では、実施時期・対象者・調査票・結果通知・面接指導・集団分析といった各要素を定めます。

対象者は、派遣社員も含めた全社員とするのが一般的ですが、派遣社員のストレスチェックの取扱いについては、集団ごとの集計・分析の目的に限定して結果を使用する点に注意が必要です。

面接指導の申出や実施のタイミングについては、法令上の明確な日数基準は定められていません。

(面接指導の実施方法等)
第五十二条の十六 法第六十六条の十第三項の規定による申出(以下この条及び次条において「申出」という。)は、前条の要件に該当する労働者が検査の結果の通知を受けた後、遅滞なく行うものとする。
2 事業者は、前条の要件に該当する労働者から申出があつたときは、遅滞なく、面接指導を行わなければならない。
3 検査を行つた医師等は、前条の要件に該当する労働者に対して、申出を行うよう勧奨することができる。

労働安全衛生規則|e-Gov法令

このように、労働安全衛生規則第52条の16は「遅滞なく」とのみ規定しており、具体的な日数までは定めていません。規程に自社独自の期日を設ける場合は、法令上の基準ではなく自社のルールであることを認識したうえで定める必要があります。

集団ごとの集計・分析の具体的な進め方は、後述の実務ポイントで詳しく解説します。

記録の保存(保存期間・保存担当者・セキュリティ)

ストレスチェックの結果の記録は、保存期間や保存担当者、セキュリティの確保についても規程に定めておく必要があります。

(労働者の同意の取得等)
第五十二条の十三 法第六十六条の十第二項後段の規定による労働者の同意の取得は、書面又は電磁的記録によらなければならない。
2 事業者は、前項の規定により検査を受けた労働者の同意を得て、当該検査を行つた医師等から当該労働者の検査の結果の提供を受けた場合には、当該検査の結果に基づき、当該検査の結果の記録を作成して、これを五年間保存しなければならない。

労働安全衛生規則|e-Gov法令

保存担当者を明確にし、第三者に閲覧されないようパスワードや鍵の管理といったセキュリティ面のルールもあわせて定めておくことが望ましいでしょう。

ストレスチェック制度に関する情報管理

ストレスチェックの結果や面接指導結果といった健康情報は、共有できる範囲を限定することが重要です。人事労務部門で保有する範囲、管理者へ提供する範囲、産業医・保健師のみが扱える詳細な医学的情報の範囲などを、規程上で区分しておくことが望ましいとされています。

情報開示、訂正、追加および削除と苦情処理

社員から情報の開示・訂正・削除等を求められた場合の手続きや、苦情申し立てがあった場合の対応窓口・手続きについても、あらかじめ規程に定めておくと、実際に申し出があった際の対応がスムーズになります。

不利益な取扱いの防止

面接指導の申出や、ストレスチェックの結果の会社への提供に同意しないことなどを理由に、社員に不利益な取扱いを行わない旨を、規程に明記し社員に周知することが必要です。これは安全衛生上の重要な要件であり、規程から漏らさないようにしましょう。

規程作成で失敗しないための3つの実務ポイント

規程を作る際に見落とされがちな実務ポイントを3つ紹介します。いずれも「作ったけれど運用でつまずく」原因になりやすい点です。

規程作成の3つの実務ポイント
(図:規程作成の3つの実務ポイント)
(編集部作成)

実施者と実施事務従事者の役割を明確に分ける

実施者と実施事務従事者は、役割が異なります。実施者はストレスチェックを実施する医師・保健師等を指し、実施事務従事者はその指示のもとで日程調整やデータ入力などの事務を担う担当者です。人事権を持つ者は実施事務従事者になれません。この役割分担を規程上で明確にしておくことで、担当者が変わったときにも運用のブレを防げます。

集団分析は実施するだけでなく活用方法まで規程に書く

集団ごとの集計・分析は、実施すること自体だけでなく、結果をどう活用するかまで規程に書いておくことが重要です。

第3節 集団ごとの集計・分析
(集計・分析の対象集団)
第22条 ストレスチェック結果の集団ごとの集計・分析は、原則として、課ごとの単位で行う。ただし、10 人未満の課については、同じ部門に属する他の課と合算して集計・分析を行う。

労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル|厚生労働省

このように、少人数の課は他の課と合算するといった集計単位の工夫に加えて、集計・分析結果を職場環境の改善やその後の研修にどう活かすかという「活用」の手順まで規程に落とし込んでおくことで、集団分析が形骸化することを防げます。

産業医や衛生委員会がない50人未満の事業場は関係労働者の意見聴取で代替する

産業医の選任や衛生委員会の設置が難しい小規模な事業場では、関係労働者の意見聴取という代替手段があります。

(関係労働者の意見の聴取)
第二十三条の二 委員会を設けている事業者以外の事業者は、安全又は衛生に関する事項について、関係労働者の意見を聴くための機会を設けるようにしなければならない。

労働安全衛生規則|e-Gov法令

厚生労働省の小規模事業場向けマニュアルでも、この意見聴取の機会を実施体制や実施方法の検討に活用する方法が案内されています。次の章では、50人未満の事業場に特有の対応について、さらに詳しく解説します。

50人未満の事業場は規程を作らなくてよい?努力義務下での社内ルール整備

労働者数が常時50人未満の事業場については、当分の間、ストレスチェックの実施が努力義務とされています。

(心理的な負担の程度を把握するための検査等に関する特例)
第四条 第十三条第一項の事業場以外の事業場についての第六十六条の十の規定の適用については、当分の間、同条第一項中「行わなければ」とあるのは、「行うよう努めなければ」とする。

労働安全衛生法|e-Gov法令

ただし、この努力義務の状況は今後変わります。

■ 2025年の労働安全衛生法の改正により、労働者数50人未満の事業場にも、ストレスチェックの実施が義務化されました。(施行期日は令和10年4月1日)

「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」スタートガイド|厚生労働省

つまり、2028年4月1日(令和10年4月1日)からは、50人未満の事業場にもストレスチェックの実施が義務化されます。努力義務の段階であっても、実施体制や結果の取扱いといった最低限の社内ルールを整備しておけば、義務化への移行もスムーズになります。産業医の選任状況を含めた50人未満の事業場における産業保健体制もあわせて確認しておくとよいでしょう。

ストレスチェック制度実施規程を作る手順【4ステップ】

規程を実際に作成する際は、次の4つのステップで進めます。特に衛生委員会での調査審議は規程の根幹となる手続きです。

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規程作成の4ステップ
(図:規程作成の4ステップ)
(編集部作成)

1.ストレスチェック実施の方針を表明する

ストレスチェック制度の導入にあたっては、まず会社としての実施方針を社員に示す必要があります。社内掲示板や情報共有ツールなど、全社員が確認できる手段を使って、ストレスチェックを実施する方針を周知しましょう。

2.衛生委員会での調査審議を行う

方針を表明したあとは、衛生委員会で実施方法について調査審議を行います。審議する内容には、ストレスチェックの実施方法、高ストレス者を選ぶ基準、集団分析を行う方法、結果の保管方法などが含まれます。議事録の記載方法を確認しておくと、審議内容を規程に落とし込む際にも役立ちます。

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3.調査審議の内容をもとに規程を作成する

衛生委員会での調査審議が終わったら、話し合って決まった内容を明文化し、規程として作成します。

4.規程を従業員に周知する

規程を作成したら、社内掲示板や情報共有ツール、説明会などを通じて全社員に周知します。ストレスチェックの目的や進め方について理解を求めることが、受検率の向上にもつながります。

規程は作って終わりではない:見直しのタイミングと手順

規程は一度作成したら終わりではなく、必要に応じて見直すことが前提とされています。

3 会社がこの規程を変更する場合は、衛生委員会において調査審議を行い、その結果に基づいて変更を行う。

労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル|厚生労働省

つまり、規程を変更する場合も、作成時と同じく衛生委員会での調査審議を経たうえで、その結果に基づいて変更する手続きが求められます。担当者の一存で内容を書き換えるのではなく、規程の作成時と同じ手続きを踏むことを、社内のルールとしてあらかじめ共有しておくとよいでしょう。

ストレスチェック規程に関するよくある質問

規程作成に関して、人事労務担当者からよく寄せられる質問に回答します。

厚生労働省のモデル規程はそのまま使える?

モデル規程は、規程作成の骨格として活用できます。ただし、モデル規程をそのまま使おうとすると、事業場の実態に合わない部分が出てくることもあります。モデル規程をベースにしながら、自社の実施体制や運用実態に合わせて、必要な箇所を修正・変更することが大切です。

規程を作成したら労働基準監督署への届出は必要?

就業規則は労働基準監督署への届出が義務付けられていますが、ストレスチェック規程そのものの作成・届出は義務付けられていません。そのため、規程を作成しても労働基準監督署への提出は不要です。

ストレスチェック規程は就業規則に記載する必要がある?

ストレスチェック規程を就業規則に記載する必要があるかどうかは、事業場ごとの就業規則の構成によって判断が分かれる可能性があり、一律に断定することはできません。詳細は社会保険労務士等の専門家に確認することを推奨します。

衛生委員会の立ち上げでつまずいた場合の対処法は?

規程作成には衛生委員会での調査審議が欠かせませんが、衛生委員会の立ち上げそのものでつまずく企業も少なくありません。

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ストレスチェックサービス_リモート産業保健
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まとめ

ストレスチェック規程の作成は法的な義務ではありませんが、厚生労働省のモデル規程を土台に整理しておくことで、実務で迷わない規程になります。作成後も衛生委員会での調査審議を経て見直しを行う体制を保っておきましょう。

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