【テンプレートあり】衛生委員会の議事録の基礎を徹底解説

衛生委員会の議事録テンプレートを紹介|議事録の基礎を徹底解説

衛生委員会を設置する目的とは

「衛生委員会(または安全委員会)」とは、労働安全衛生法に基づき、一定規模の事業場で設置・開催しなければいけない組織・会議のことです。

安全委員会の設置の必要性は、事業場で常時使用する労働者数や業種によって異なります。しかし、衛生委員会は業種にかかわらず、「常時50人以上の労働者を使用する事業場」であれば設置しなければなりません。

衛生委員会(または安全委員会)の設置は、労災防止や健康増進を図るための共有・審議の場を設け、労働者が安心安全に働ける職場を作ることを目的としています。

衛生委員会は毎月1回以上の開催が必要であり、労災や長時間労働、休職者の発生などの情報が共有されます。その他、メンバー間で職場巡視や日々の業務で気になることや課題などについて話し合ったり、産業医や産業保健師からの衛生講話を行なったりすることもあります。

衛生委員会のメンバーの選び方や審議内容など、さらに詳しい内容はこちらの関連記事もぜひご覧ください。

【あわせて読みたい関連記事】 衛生委員会、まずはココをおさえて!メンバーや開催時期、審議内容などつまずきやすいポイントを解説します衛生委員会とは?構成メンバーやすぐに使えるテーマ例などを紹介

衛生委員会の4つの運営ルール

衛生委員会開催の際には、以下の4つの運営ルールを押さえておく必要があります。

  • 毎月1回以上、開催する。
  • 衛生委員会の運営に関する必要な事項は、委員会が定める。
  • 衛生委員会の議事の内容を作業場の見やすい場所などに掲示し、内容を周知する。
  • 衛生委員会における議事で重要なものに関しては、議事録を作成して3年間保管する。

衛生委員会の運営においては、重要な内容について議事録を作成し、労働者への周知や保管まで行なうことが必要です。

しかし、「どのような内容を議事録に記載するか」という具体的な指示はありません。衛生委員会は毎月開催されるため、あらかじめ自社で議事録の「ひな形」を作成し、項目に当てはめて記載していくと抜け漏れがなく安心です。

衛生委員会議事録のひな形のダウンロードはこちら

衛生委員会の内容は労働者に周知すべき?

前項の運営ルールでも示したとおり、衛生委員会を開催するたびに、労働者に対して、委員会の議事概要を周知しなくてはいけません。これは、労働安全衛生規則第23条第3項に明記されているため、衛生委員会の内容は開催後、速やかに労働者へ周知しましょう。

議事録の周知方法については、書面交付や作業所での掲示のほか、社内メール・イントラネットによる周知も可能です。従業員全員に周知することが大切であるため、従業員が確認しやすい方法で行なうことをおすすめします。

議事録を保管する場合も、従業員が常時確認できる場所に保管しましょう。

衛生委員会の議事録に関するよくあるQ&A

ここからは、衛生委員会の議事録を作成する際によくある質問を紹介します。近年増えているオンライン開催や産業医が欠席した場合などについても解説しているので、必ず確認しましょう。

そもそも衛生委員会の議事録作成は必須?

衛生委員会の議事録作成は必須です。議事録を作成することで、衛生委員会に参加していない従業員も、審議内容をチェックできるためです。

その他、労働基準監督署の立ち入り検査では、衛生委員会の議事録の内容を確認されることがあります。誰が見ても内容を把握できるよう、メモのような記録ではなく、議事録としてしっかり作成・保管しておくことが必要です。

繰り返しになりますが、衛生委員会の設置は、労働者が安心安全に働ける職場を作るための共有・審議の場とするのが目的です。そのため、議事録は快適な職場づくりの資料としてしっかり残すことが大切です。

あとからでも内容を把握したり、比較したりできるように、適切な方法で議事録を残しておきましょう。

オンライン開催の場合はどうする?

近年、感染症の流行や働き方の多様化にともないオンライン会議が増えてきたことから、「衛生委員会もオンラインで開催したい」と考える企業担当者の方も少なくないでしょう。

衛生委員会のオンライン開催は可能です。しかし、情報通信機器や運営方法についての条件を満たす必要があります。

オンライン開催であっても、対面と変わらず円滑な意見交換などができることや個人情報の漏洩防止、外部からの不正アクセスの防止措置など、いくつかの条件や注意点があります。なお、オンラインで衛生委員会を開催する場合も、議事録の作成・保管が必要です。

出典:厚生労働省「情報通信機器を用いた労働安全衛生法第17条、第18条及び第19条の規定に基づく安全委員会等の開催について」

議事録作成の担当者はどうする?

議事録を誰が作成するのかについて決まりはありませんが、衛生管理者・人事労務担当者の方が行なうケースが多いでしょう。毎月1回以上、年12回以上の開催となる衛生委員会では、その都度、議事録の作成が必要です。

議事録は電子データで保管できる?

議事録は電子データで保管しても問題ありません。もちろん、紙媒体でも保管可能ですが、情報通信機器がそろっているなら、電子データで記録するほうが管理の手間が省け、あとで見返しやすいでしょう。

ただし、議事録の保管期間は3年間と義務付けられているため、紛失したり、保管場所がわからなくなったりしないように注意が必要です。

産業医が欠席した場合、情報連携はどうする?

産業医が衛生委員会に出席することは義務ではありません。毎回の出席が望ましいですが、事情によって欠席することがあっても法律違反ではない、ということです。

仮に、産業医がやむを得ない事情で衛生委員会を欠席した場合は、議事録を提供し、審議の内容や決定事項について、次回の委員会までに意見や助言を求めるようにしましょう。

ただし、産業医の欠席が常態化した状況は望ましくありません。衛生委員会の構成員として産業医の名前のみを登録している状況は「名義貸し」とみなされ、罰則が発生するおそれもあるため要注意です。

衛生委員会の議事録|一般的な記載項目の例

衛生委員会後の議事録の作成・保管は義務付けられていますが、議事録の記載内容については特に決まりはありません。そのため、「議事録に何を書けばいいのか」と悩む方も多いでしょう。そこで、ここからは議事録の記載項目の例を紹介します。

開催日時・場所・参加者などの基本項目

まず、基本項目として以下の内容を記載しましょう。

  • 会社名、事業場名
  • 開催日時
  • 開催場所
  • 参加者の名前や人数
  • 議事録の記入者 など

衛生委員会は、開催するごとに議事録を作成しなければいけません。そのため、「衛生委員会が毎月1回以上開催されているか」という点を証明する意味で、開催日時の明記は必要です。

開催日時には、開始時間と終了時間も記載しましょう。開催場所と併せて記載しておくことで、今後の運営の改善や引き継ぎなどに役立てることができます。

衛生委員会の構成員(参加者)は、労働安全衛生法第18条で定められています。そのため、参加者名を記載する際には、委員会上の役職名を併記しておくとよいでしょう。

事業場の状況報告

委員会で行なう状況報告としては、以下の内容を記載しましょう。

  • 長時間労働者の人数
  • 私傷病、休職者
  • 事故、労災報告
  • 産業医面談の実施状況
  • 職場巡視の報告 など

上記以外のイレギュラーな報告が発生した場合のために、「その他」の項目を設けておくと記載しやすくなります。

事業場の現状や審議内容などを記載する際には、衛生委員会に参加していない方にも伝わるよう、箇条書きを用いるなどポイントを押さえて記載するようにしましょう。

議題に関する審議内容

衛生委員会では回ごとにテーマを選出し、対策検討や事後措置などについての話し合いを行ないます。衛生委員会で話し合われるテーマ例としては、以下のような内容が挙げられます。

  • 健康診断の事後措置
  • ハラスメント対策
  • インフルエンザ・熱中症などの対策
  • 長時間労働の削減
  • ストレスチェックの受検率向上 など

テーマは、健康診断やストレスチェックなど年に1回行なわれるものや、熱中症をはじめとする特定の季節に発生しやすいものなど、必要なタイミングに合わせて選定します。

また、過重労働が課題となっている事業場では長時間労働の削減をテーマとし、現状の把握や削減のための対策などを話し合うことも有効です。

その他、デスクワークが多い業種であればVDT症候群、化学薬品を扱う業種であれば化学薬品による事故防止をテーマにするなど、業種や職種に合わせてテーマを変えるのもおすすめです。

産業医による衛生講話

衛生委員会で行なわれる産業医による講話のことを、「衛生講話」と呼びます。衛生講話には、「専門家による情報提供を受けられる」「職場改善についてアドバイスをもらえる」などのメリットがあるため、取り入れる企業が増えています。

衛生講話のテーマとしては、以下のようなものが挙げられます。

  • 労働衛生全般
  • 健康診断、ストレスチェック、メンタルヘルス不調
  • 季節に関するもの(花粉症、5月病、食中毒、熱中症など)
  • ハラスメント対策
  • 働く人がかかりやすい疾患(がん、脳・心臓疾患、生活習慣病など)
  • 職場復帰支援

事業場における課題には、事業者や企業担当者の方だけではなく、従業員も一緒になって取り組むことが大切です。そのため、衛生講話の内容は、衛生委員会の参加者だけでなく全従業員に周知するのが望ましいといえます。周知する方法にオンラインを活用するのもおすすめです。

なお、産業医の選任についてお困りであれば、ぜひリモート産業保健にご相談ください。

議長によるコメント

「議長」とは衛生委員会の構成員の一人で、おもに統括安全衛生管理者が担当しますが、いない場合は人事部長や総務部長、工場長、支店長などが指名されます。議長は、衛生委員会内での中立的な立場のまとめ役を務めます。

議事録には、衛生委員会の終わりに入る「議長のコメント」を記載します。議長が企業側でも従業員側でもない中立の立場から意見をまとめ、課題解決へ動く姿勢を示すと、事業場全体で取り組みやすくなります。

衛生委員会の議事録作成に役立つテンプレート

ここまで、衛生委員会のルールや議事録の内容について詳しく紹介しました。しかし、衛生委員会の議事録を一から作成するのは、時間や手間がかかったり、抜け漏れが発生したりするおそれがあります。

議事録のフォーマットに指定はないため、自社で作成するか、公開されているテンプレートをダウンロードして使用することも可能です。ここでは、「リモート産業保健」のテンプレート利用をおすすめします。

Word形式ですぐに使うことができ、どのような業種の事業場でも使いやすい構成です。また、項目が見やすく簡潔にまとまっているため、労働者に周知する際も確認しやすい形式になっています。衛生管理者・企業担当者の方はぜひご参考ください。

【記入例】

衛生委員会議事録書のひな形のダウンロードはこちら

衛生委員会の議事録を作成する際の注意点

最後に、議事録を作成する際の注意点について解説します。下記の内容は、月1回以上開催する衛生委員会で一度は起こる可能性が高いため、あらかじめ押さえておくと安心です。

産業医が衛生委員会を欠席した場合

本記事内でも紹介したとおり、衛生委員会を開催する際には、医学の専門知識を持つ産業医に出席してもらうのが望ましいでしょう。ただし出席義務はないため、やむを得ない事情で欠席する場合もあります。

仮に、産業医が衛生委員会を欠席したときは、次回の委員会までに議事録の内容を確認してもらい、内容について意見聴取することが必要です。その際、議事録には産業医から意見聴取した内容を記載しましょう。

プライバシーへの配慮が必要

衛生委員会の審議事項によっては、職場の人間関係やコミュニケーション、メンタルヘルスケアなどがテーマとして取り上げられる場合があります。衛生委員会で特定の事例を扱う際には、個人名が特定されないようにするのが基本です。

また、健康診断・ストレスチェックの結果や病歴、障がいの内容など、従業員の心身に関する情報は「要配慮個人情報」にあたり、特に慎重に扱うべき個人情報に該当します。

そのため、情報の扱い方には十分に配慮し、衛生委員会で内容を取り扱う場合も、特定の個人の問題として取り扱わないようにしましょう。なお、議事録は従業員に周知する書類であるため、個人情報は記載しないよう注意が必要です。

実際に衛生委員会を開催すると、さまざまな疑問が出てくるでしょう。そのため、産業医や産業保健師など、産業保健活動全般を相談できる相手がいると安心です。

まとめ

今回は衛生委員会の議事録について、おもに以下の内容を解説しました。

  • 衛生委員会設置の目的と4つの運営ルール
  • 議事録に関するよくあるQ&A
  • 議事録の書き方と注意点
  • 議事録の作成に役立つテンプレート紹介

衛生委員会の開催は、事業場や企業担当者の方にとって負担の大きい業務になりますが、効果的に運営できれば、労使が一体となって快適な職場を作ることができます。

そして、衛生委員会の内容を可視化し、職場づくりの基礎資料となるのが「議事録」です。法令遵守と快適な職場づくりのために、必要な項目を押さえた「議事録」を作成しましょう。

とはいえ、「初めて衛生委員会を導入するので、何から始めたらいいのかわからない」「産業保健の知識が少ないので、専門家に相談したい」など、お悩みの企業担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

エス・エム・エスの「リモート産業保健」では、衛生委員会の運営や議事録の作成支援を行なっております。

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