ストレスチェックの外部委託とは?費用相場・業者選定9つのポイント・50人未満の義務化まで解説

ストレスチェック 委託

執筆者

産業看護職兼ライターとして活動しています!

2017年に4年生大学を卒業し、看護師として循環器・呼吸器の急性期病棟に就職しました。最先端の治療を行なう医療機関のため、重症の患者様が入院されることも多く、状態の変化が激しいため、チームの一員として患者様の看護や治療の補助にあたり、時には命に関わる救命処置を行なうこともありました。

その中で、入退院を繰り返す患者様を多く見てきたため、退院後の患者様の生活や地域での医療と福祉に興味を持ち、地域包括支援センターの保健師として勤務しました。

忙しくも充実した毎日を過ごしていましたが、私自身が神経系の難病を患ったため、保健師を退職したのち、「今の自分にできることは何か」を考え、産業看護職兼ライターとしての仕事を始めることになりました。

2021年からライターとして活動を始め、産業保健分野を中心に、法律に基づく企業の法令遵守項目や産業保健活動の内容について、80本以上の記事を執筆しています。
記事を読んだ方がすぐに活用・実践できるような内容になるよう、意識して作成しています。

ライターの仕事は、文章を書く楽しさと知識が深まる嬉しさがあるので、今後も経験を重ね、産業保健分野の専門家として、「読んでよかった」と感じていただける文章を目指していきます。

趣味はストレッチ、家計管理、野球・サッカー観戦、ゲームです。どうぞよろしくお願いします!

監修者

働く人の心身の健康管理をサポートする専門家です。従業員の皆さんと産業保健業務や面談対応から健康経営優良法人の取得などのサービスを通じて、さまざまな企業課題に向き合っています。私たちは、企業経営者・人事労務の負荷軽減と従業員の健康を実現するとともに、従業員に対する心身のケア実現を通じ、QOL向上と健康な労働力人口の増加への貢献を目指しています。

ストレスチェックの外部委託を検討していても、どこまでを任せられ、何が自社の責任として残るのかが分かりにくく、相見積もりを取っても金額の妥当性を判断しづらいと感じている人事労務担当者は少なくありません。この記事では、外部委託できる業務の範囲、費用の目安、業者選定で確認すべき9つのポイントを整理したうえで、令和10年4月からストレスチェックの実施義務が労働者数50人未満の事業場にも拡大される点まで解説します。

    この記事でわかること


  • 【1】ストレスチェックの外部委託で委託できる業務と、自社に残る責任の境界

  • 【2】実施者・実施事務従事者に求められる資格要件の違い

  • 【3】外部委託にかかる費用の一般的な構成要素

  • 【4】労働者数50人未満の事業場に実施義務が拡大される時期

  • 【5】外部委託業者を比較する際に確認すべき9つのポイント

ストレスチェックは外部委託できる|委託できる業務・できない業務の境界

ストレスチェック外部委託とは、実施業務の一部または全部を専門機関に委ねることです。ストレスチェックの実施そのものは外部の実施機関に委託できますが、実施の全体に責任を負う立場は事業者(会社)に残ります。委託の範囲を決める前に、まず「委託できる業務」と「会社に残る責任」の境界を押さえておく必要があります。

外部機関にストレスチェックの実施の全部を委託する場合、委託契約の中で委託先の実施者・共同実施者・実施代表者、そしてその他の実施事務従事者を明示させる必要があります。結果の集計業務等の補助的な業務のみを委託する場合は、委託先の実施事務従事者を明示させれば足ります。

外部機関にストレスチェックの実施の全部を委託する場合は、当該委託契約の中で委託先の実施者、共同実施者及び実施代表者並びにその他の実施事務従事者を明示させること(結果の集計業務等の補助的な業務のみを外部機関に委託する場合にあっては、当該委託契約の中で委託先の実施事務従事者を明示させること)。

労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル|厚生労働省

つまり、外部委託後も委託契約の内容を確認し、衛生委員会で審議した実施体制と齟齬がないかを確認する役割は会社に残ります。この「委託しても消えない責任」を曖昧にしたまま業者を選ぶと、後から実施体制の不備を指摘されるケースにつながりかねません。

なお、産業医個人の業務そのものを外部委託する仕組みについては、産業医の業務委託に関する記事でも解説しています。

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産業医紹介会社 産業医の業務委託とは?契約形態の種類や特徴、業務委託契約書の作成手順を解説

実施者に求められる資格要件

ストレスチェックの実施者には、労働安全衛生規則第52条の10により明確な資格要件が定められています。

(検査の実施者等)
第52 条の10 法第66 条の10 第1 項の厚生労働省令で定める者は、次に掲げる者(以下この節において「医師等」という。)とする。
① 医師
② 保健師
③ 検査を行うために必要な知識についての研修であって厚生労働大臣が定めるものを修了した歯科医師、看護師、精神保健福祉士又は公認心理師

労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル|厚生労働省

一方、結果の集計業務等の補助を行う実施事務従事者には、同条に定める資格要件はありません。定められているのは、検査を受ける労働者の解雇・昇進・異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある者は実施の事務に従事できないという除外規定のみです。

2 検査を受ける労働者について解雇、昇進又は異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある者は、検査の実施の事務に従事してはならない。

労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル|厚生労働省

実施者と実施事務従事者は、担う役割も資格要件も異なります。両者を混同したまま業者に確認事項を投げると、必要な資格を持つ担当者が実際にアサインされているかを見誤るおそれがあります。

区分 資格要件
実施者 医師・保健師・厚生労働大臣が定める研修を修了した歯科医師、看護師、精神保健福祉士又は公認心理師のいずれか
実施事務従事者 固有の資格要件の定めはなし(検査を受ける労働者の解雇・昇進・異動に直接の権限を持つ監督的地位にある者は除外)

混同を避けるため改めて整理すると、実施事務従事者には固有の資格要件がありません。除外されるのは、人事権を持つ監督的地位にある者のみです。

実施者に必要な研修について詳しくは、こちらの記事で解説しています。

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外部委託にかかる費用の目安

外部委託の費用は、基本料金に加えて、対象となる従業員数に応じた従量課金、集団分析などのオプション費用を組み合わせた体系が一般的です。実施体制(実施者・実施事務従事者の配置)や事務経費が加味されることも多く、同じ従業員数でも委託先によって見積もりの構成が異なります。

一次情報にも自社データにも具体的な金額レンジの記載は確認できなかったため、この記事では断定的な相場数値は示しません。具体的な金額は個別の見積もりで確認することをおすすめします。

より詳しい料金体系の考え方は、ストレスチェックの料金相場に関する記事で解説しています。

料金体系の内訳が分かりにくい状態のまま複数社に相見積もりを取ると、比較の軸がずれて金額の妥当性を判断しづらくなります。何にいくらかかるのかを業者ごとに同じ切り口で確認できる体制を整えておくことが、比較検討の前提になります。

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ストレスチェック 費用 ストレスチェックの費用はいくら?相場・内訳・外部委託費用まで徹底解説

50人未満の事業場も外部委託が原則に|令和7年法改正・施行日

令和7年の労働安全衛生法改正により、これまで努力義務とされていた労働者数50人未満の事業場(小規模事業場)でも、令和10年4月1日からストレスチェックの実施が義務化されます。

令和7年の労働安全衛生法の改正により、これまで努力義務とされていた労働者数 50 人未満の事業場(「 小規模事業場」)におけるストレスチェックの実施が義務とされました。 (施行日は令和 10 年 4 月1日。)

小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル|厚生労働省

ここで注意したいのは、実施そのものは義務化される一方で、外部委託自体は義務ではないという点です。50人未満の事業場では、労働者のプライバシー保護の観点から、外部機関への委託が原則として推奨される位置づけとされています。

労働者数 50 人未満の事業場においては、原則として、労働者のプライバシー保護の観点から、ストレスチェックの実施を外部機関に委託することが推奨されます。

小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル|厚生労働省

小規模な事業場ほど、実施者・実施事務従事者を自社内で確保し、かつ人事権を持つ者を関与させない体制を組むことが難しくなります。義務化まで時間があるうちに、外部委託を含めた実施体制の検討を始めておくことが実務上のハードルを小さくします。

ストレスチェックの外部委託業者を比較する際の9つのポイント

外部委託先(アウトソーシング先)を比較する際は、料金だけでなく、実施方法の柔軟性や事後対応の体制まで含めて確認する必要があります。以下の9つの観点は、業者ごとの違いが出やすいポイントです。

外部委託業者の選び方(1)サービス内容に見合った料金体系であるか

料金の安さだけで選ぶと、集団分析や高ストレス者面談などのオプションが別料金になっており、結果的に想定より費用がかさむケースがあります。見積もりに含まれる業務範囲を契約前に確認することが重要です。

外部委託業者の選び方(2)受検方法を選択できるか

WEBでの受検に加えて紙での受検にも対応しているかは、テレワークの有無や年齢層など従業員の働き方によって重視度が変わります。自社の従業員構成に合った受検方法を選べるかを確認します。

外部委託業者の選び方(3)設問数を自由に選べるか

法令で定められた必須項目に加えて、独自の設問を追加できるかどうかも業者によって差があります。職場環境の把握に必要な項目を柔軟に組み込めるかを確認しておくと、集団分析の精度に影響します。

外部委託業者の選び方(4)高ストレス者向けのフォロー体制があるか

高ストレスと判定された労働者への面接指導の申出勧奨や、面接指導そのものの実施体制が整っているかは、制度を形骸化させないための重要な確認点です。

外部委託業者の選び方(5)集団分析の内容が充実しているか

集団分析の分析軸の細かさや、結果をどのような形式で受け取れるかは業者によって異なります。厚生労働省が作成した集団分析活用に関する資料でも、職場ごとの集団分析結果を職場環境改善に活用する流れが示されています。

外部委託業者の選び方(6)職場環境の改善について助言をもらえるか

集団分析の結果を渡されるだけでなく、具体的な改善策の助言までもらえるかどうかは、分析結果を実際の職場改善につなげられるかを左右します。

外部委託業者の選び方(7)セキュリティ管理が厳重であるか

ストレスチェックの結果は労働者の健康情報であり、厳格な情報管理が求められます。データの保管方法やアクセス権限の管理体制を確認しておく必要があります。

外部委託業者の選び方(8)多言語に対応しているか

外国籍の従業員が在籍する場合、設問文や結果通知を多言語で提供できるかどうかも選定の観点になります。対象となる従業員が少数であっても、受検できない従業員が出ないよう確認しておくと安心です。

外部委託業者の選び方(9)ストレスチェック以外の業務にも対応してもらえるか

ストレスチェックの実施だけでなく、産業医面談や衛生委員会の支援まで一貫して相談できる委託先であれば、産業保健業務全体の窓口を一本化できます。委託先を比較する際は、ストレスチェック単体の対応力だけでなく、産業保健業務全体をどこまで任せられるかという視点も持っておくと選定の軸がぶれにくくなります。

リモート産業保健サービス資料
【関連お役立ち資料】

まとめ

ストレスチェックの外部委託は実施業務を委ねられる一方、委託契約の内容確認や実施体制の整備という責任は会社に残ります。費用、実施者の資格要件、9つの選定ポイントを踏まえて業者を比較し、令和10年4月1日から対象が広がる労働者数50人未満の事業場も含め、委託後のミスマッチを防ぎましょう。

ストレスチェックを実施しても効果を感じられないという論点については、別記事でも解説しています。外部委託にかかる費用については、助成金制度も含めてこちらの記事で解説しています。

「関連サービス」についてはこちら

ストレスチェックサービス_リモート産業保健
【産業保健関連サービス】

ストレスチェックの外部委託でよくある質問

外部委託の検討にあたって人事労務担当者からよく寄せられる質問をまとめました。

Q,ストレスチェックの実施を外部に委託するメリットは何ですか?
A
実施者・実施事務従事者の確保や結果の管理体制を自社内で構築する負担を軽減できる点が主なメリットです。専門機関に委託することで、資格要件を満たした実施者による実施を担保しやすくなります。
Q,外部委託業者を選ぶ際に重視すべきポイントは何ですか?
A
料金体系、受検方法の柔軟性、高ストレス者へのフォロー体制、集団分析の充実度、セキュリティ管理など、本文で紹介した9つのポイントを総合的に比較することが重要です。単一の条件だけで決めると、事後の運用でミスマッチが生じやすくなります。
Q,高ストレス者へのフォローはどのように行われますか?
A
高ストレスと判定された労働者から面接指導の申出があった場合、医師による面接指導を実施し、その結果を踏まえて事業者が就業上の措置を検討する流れになります。委託先がこの一連の対応にどこまで関与できるかを事前に確認しておくことが望ましいです。
Q,ストレスチェックは外部委託せず自社で実施することもできますか?
A
自社実施も可能ですが、健康情報を扱うため実施体制の整備や守秘義務の徹底など留意点が多くあります。費用面の比較は料金相場に関する記事をご覧ください。

ストレスチェックの実施については、外部委託せず、自社で実施することも可能ですが、その場合には、個人のストレスチェック結果の取扱いが生じること等から、以下のような点に十分留意する必要があります。

小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル|厚生労働省

自社実施では特に小規模な事業場ほど運用の負担が大きくなりやすいため、判断に迷う場合は産業医への相談も選択肢になります。