社員の健康管理は企業の義務!全社で取り組むべき7つのことを解説

社員の健康管理は企業の義務。全社で取り組むべき7つのことを解説

社員の健康管理は、企業が守るべき「安全配慮義務」

企業には社員の健康管理を行ない、相応の環境を整える「安全配慮義務」があります。そこでまずは、具体的にどのような配慮が必要なのかについて解説します。

安全配慮義務について

「安全配慮義務」とは、会社や事業者が社員の健康や安全を守るために配慮する義務のことです。企業は、社員が健康なまま働けるように安全配慮義務を履行しなくてはならないと、労働契約法第5条で定められています。

安全配慮義務には以下の内容が含まれます。

  • 適正労働条件措置義務
    労働条件や労働環境を適切に整備する
    (労働時間、休憩時間、休日、休憩場所、人員配置など)
  • 健康管理義務
    労働者の心身の状態を把握し、健康管理をする
    (健康診断やメンタルヘルス対策、ハラスメント対策など)
  • 適正労働時間
    病歴、持病、体調など、労働者それぞれの事情に考慮した業務配置を行なう
  • 看護、治療義務
    怪我人や病人が「発生した際」や「発生した可能性がある際」に速やかに対応する

安全配慮義務を怠ったときのリスク

安全配慮義務を怠ったとしても、特定の罰則があるわけではありません。

しかし、安全配慮義務を怠った状態で社員に怪我や病気、メンタルヘルス不調などが発生すると、企業側に責任があるとして、損害賠償の請求や、企業イメージの悪化による業績の低下につながるリスクがある点に注意が必要です。

安全配慮義務違反とされたおもな判例は、以下のとおりです。

  • 陸上自衛隊事件(昭和50年2月25日最高裁第3小法廷判決)
    陸上自衛隊員が、自衛隊内の車両整備工場で車両整備中、後退してきたトラックにひかれて死亡した事例。最高裁は、国の公務員に対する安全配慮義務違反を認定した。
  • 川義事件(昭和59年4月10日最高裁第3小法定判決)
    宿直勤務中の社員が強盗に殺害された事例で、会社に安全配慮義務違反に基づく損害賠償責任があるとされた。

引用:厚生労働省「労働契約法のあらまし」

「安全配慮義務」は社員の健康と安全、そして企業の経営を守るために会社が負う責務であることを理解することが重要です。

社員の健康管理を行なうメリット

「安全配慮義務」に基づいて社員の健康管理を行なうことで、企業と社員は多くのメリットを得られます。ここでは、おもなメリットを2つ紹介します。

社員の休職・離職防止

社員の心身の健康が損なわれると、働き続けることが困難になり、休職や離職につながる可能性があります。休職や離職があると、その社員の仕事を他の誰かが担当しなければなりません。すると、他の社員への負担が増加し、さらなる休職や離職が発生する……といった負のサイクルに陥るリスクもあります。

現在、社内で休職者や離職者が増加しているのであれば、企業側の健康管理方法や作業体制に問題があるのかもしれません。

社員を大切にし、健康面を気遣うことで、社員と会社の結びつきや信頼感は強まります。そのため、メンタルヘルス不調が社会問題になっている昨今では、特に健康管理を行なう重要性が高まっているのです。

企業の業績向上

社員の健康が適切に守られれば、各々が実力を存分に発揮でき、企業の生産性を向上させることができます。実際、生産性アップ、業績アップを実現している企業の多くは、社員の健康管理に積極的に取り組んでいます。

心身ともに健康な社員が多いほど、社内の雰囲気は良くなります。企業の永続的な繁栄のためにも、社員の健康管理は非常に重要であるといえます。

社員の健康管理のために、企業がすべき7つのこと

では、社員の健康管理のためには、具体的にどのような対策を行なう必要があるのでしょうか。ここからは、企業が取り組むべき対策を7つ紹介します。

職場環境を整える

オフィスや作業場などの職場環境を整えることで、社員の働きやすさや職場の安全性が向上します。ストレスも軽減されるため、心身の不調を防ぐことが期待できます。

暑すぎない、寒すぎないといった温度や湿度管理、直射日光が当たらないデスク配置、社員の作業スペースが十分に確保されているかどうかなどをチェックして、ストレスの少ない環境を目指しましょう。

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健康診断を実施する

社員への健康診断の実施は、法律(労働安全衛生法第66条)で定められている企業の義務です。常時使用する労働者に対しては、「雇入時の健康診断」「定期健康診断」を実施しなくてはなりません。

健康診断は、健康状態を把握するための重要な検査です。定期的に健康診断を行なうことで、生活習慣病をはじめとする疾患の早期発見・早期治療につながるため、社員の健康を確保することができます。

長時間労働を抑制する

労働時間を見直し、企業全体で長時間労働を抑制しましょう。社員が長時間労働を行なっているのを放置しないことも重要です。長時間労働を続けると、心身の負担が積み重なり、最終的に脳・心臓疾患を発症するリスクが高まります。

したがって、社員の労働時間を把握したうえで、必要に応じて業務量の振り分けを見直す、人員を増やす、といった対策を行なうことが求められます。

ストレスチェックを実施する

ストレスチェックとは、ストレス状態の程度を調べることができる簡単な検査のことです。常時50人以上の労働者を使用する事業場では、年に1回のストレスチェックの実施が義務づけられています。(労働安全衛生法第66条の10)

ストレスチェックを行なうことで、社員が自らの心の健康状態を知ることができ、セルフケアや医療機関への受診、産業医面談などのきっかけになります。

近年増えているメンタルヘルス不調やうつ病などを未然に防ぎ、社員が健康的に働ける快適な環境を整備するためにも、積極的にストレスチェックを実施しましょう。

福利厚生を充実させる

心身の健康保持や改善のための福利厚生を充実させることも大切です。具体的には、身体を動かすイベントを行なう、気軽に運動できる施設を用意する、スポーツ系の部活動を設置する、といった取り組みが挙げられます。

個人で行なうにはハードルが高くても、イベントや交流会として実施すれば、社員が気軽に参加できます。社員同士の関係性を構築する機会にもなるため、一石二鳥といえるでしょう。

相談窓口を用意する

相談窓口を開設し、悩みを打ち明けられる場所を提供することは、メンタルヘルス対策に有効です。電話、メール、チャットなど複数の相談方法を用意し、社員が抱えている悩みを相談しやすい体制を整えましょう。

また、相談窓口の存在を社員に周知させることも大切です。なかには、「職場の人に個人的な悩みを知られたくない」と考える社員もいるため、社内の相談窓口だけでなく、社外の相談窓口も用意するのが望ましいでしょう。

勉強会・研修を行なう

社員自身が健康管理について学ぶ環境を整えることも重要です。

健康管理に関する勉強会や研修を行なうことで、社員のヘルスリテラシーが向上します。それにより、ここまでに紹介した取り組みをより効果的に活用したり、必要なときに最善の選択をしたりできるようになるでしょう。

勉強会や研修の内容としては、産業医や保健師など専門の講師による生活改善の方法や、メンタルヘルスに関する知識などが挙げられます。

また、近年はオンラインで勉強会や研修を開催することも可能です。より多くの社員が受講しやすくなるため、社員の働き方や職場環境に合わせて検討しましょう。

社員の健康管理における産業医の役割とは?

産業医の役割は社員の健康管理のサポートです。具体的には、医学的立場から健康を阻害する原因を見つけ出し、健康診断や面接指導、ストレスチェック、職場巡視、衛生教育などを行ないます。

企業と連携し、社員の健康保持と働きやすい職場環境作りに取り組んでいく産業医は、企業にとって必要不可欠な存在といえます。また、常時50人以上の労働者を使用する事業場には、産業医の選任義務があるため、法令遵守のためにも産業医選任は必須です。

産業医に関してお困りのことがある場合には、「リモート産業保健」のサービス利用がおすすめです。業界最安値水準の月額3万円から、企業の特徴や課題に合わせた産業医の選任ができます。ストレスチェックの実施はもちろん、産業医による訪問やオンライン面談、衛生委員会運営などのサポートも行ないます。

初めての取り組みでも産業医を十分に活用し、効果的な健康管理体制を整えることができるため、相談先に悩んだ際にはぜひご検討ください。

まとめ

今回は、企業が取り組むべき社員の健康管理について紹介しました。企業には、社員が健康的に働き続けるために必要なサポートを行なう義務があります。

ただし、企業の特徴や業種、働き方などによって、求められる対応は異なります。「自社に合った産業医を選任したいが、何から始めたらいいのかわからない」という悩みを抱える企業担当者の方もいるでしょう。

そのような場合には、「リモート産業保健」の活用をおすすめします。リモート産業保健では、産業医と看護職の2名体制で、社員の健康管理を一括サポートします。

「企業の規模が大きくなってきたため、そろそろ産業保健体制を整えたい」「今後、社員の健康管理により力を入れていきたい」とお考えの企業担当者の方は、下記フォームよりお気軽にお問い合わせください。

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