うつ病が疑われる従業員への産業医の対応とは?企業が押さえたい面談の進め方と休職・復職の流れ

産業医 うつ

執筆者

産業看護職兼ライターとして活動しています!

2017年に4年生大学を卒業し、看護師として循環器・呼吸器の急性期病棟に就職しました。最先端の治療を行なう医療機関のため、重症の患者様が入院されることも多く、状態の変化が激しいため、チームの一員として患者様の看護や治療の補助にあたり、時には命に関わる救命処置を行なうこともありました。

その中で、入退院を繰り返す患者様を多く見てきたため、退院後の患者様の生活や地域での医療と福祉に興味を持ち、地域包括支援センターの保健師として勤務しました。

忙しくも充実した毎日を過ごしていましたが、私自身が神経系の難病を患ったため、保健師を退職したのち、「今の自分にできることは何か」を考え、産業看護職兼ライターとしての仕事を始めることになりました。

2021年からライターとして活動を始め、産業保健分野を中心に、法律に基づく企業の法令遵守項目や産業保健活動の内容について、80本以上の記事を執筆しています。
記事を読んだ方がすぐに活用・実践できるような内容になるよう、意識して作成しています。

ライターの仕事は、文章を書く楽しさと知識が深まる嬉しさがあるので、今後も経験を重ね、産業保健分野の専門家として、「読んでよかった」と感じていただける文章を目指していきます。

趣味はストレッチ、家計管理、野球・サッカー観戦、ゲームです。どうぞよろしくお願いします!

監修者

働く人の心身の健康管理をサポートする専門家です。従業員の皆さんと産業保健業務や面談対応から健康経営優良法人の取得などのサービスを通じて、さまざまな企業課題に向き合っています。私たちは、企業経営者・人事労務の負荷軽減と従業員の健康を実現するとともに、従業員に対する心身のケア実現を通じ、QOL向上と健康な労働力人口の増加への貢献を目指しています。

従業員の様子がいつもと違い、うつ病かもしれないと感じたものの、産業医に何をどう頼めばよいのか分からず、手が止まっていませんか。

産業医は、面接指導(医師が行う面談)の結果や主治医の意見を踏まえて、就業上の措置(働き方を調整する対応)について事業者に意見を述べる立場です。企業は産業医と連携しながら、面談・受診・休職・復職の対応を進めていくことになります。

ただ、結論だけでは迷いやすい点が残ります。面談を勧めても断られたとき、面談で話した内容を会社がどこまで知れるのか、復職してよいかを誰が決めるのか、といった場面です。

この記事では、うつ病が疑われる従業員に対する産業医の対応と、企業が押さえたい連携や面談の進め方、休職から復職までの流れをご紹介します。

    この記事でわかること


  • 【1】うつ病が疑われる従業員に対して、産業医が果たす役割

  • 【2】産業医の面談を設定するタイミングと、面談の結果を会社が知るときの本人の同意

  • 【3】面談を勧める伝え方と、断られたときの対応

  • 【4】厚生労働省の手引きが示す、休職から復職までの5つのステップと復職後のフォローアップ
【うつ病が疑われる従業員への対応でお困りなら】リモート産業保健・月額3万円~
産業医訪問・オンライン面談、ストレス予防から
休職・復職者のアフターフォローまで対応

うつ病は、一生のうちに約15人に1人がかかるとされる身近な病気

厚生労働省の「うつ病|こころもメンテしよう」では、うつ病は日本人の約15人に1人が一生のうちにかかる、非常にありふれた病気とされています。この割合は、ある時点の患者数ではなく、人生を通じてかかる人の割合を表しています。

同じ資料は、次のうち5つ以上(1か2を含む)が2週間以上続いていたら、専門家に相談することをお勧めするとして、次の項目を挙げています。

うつ病の症状の9項目
  1. 悲しく憂うつな気分が一日中続く
  2. これまで好きだったことに興味がわかない、何をしても楽しくない
  3. 食欲が減る、あるいは増す
  4. 眠れない、あるいは寝すぎる
  5. イライラする、怒りっぽくなる
  6. 疲れやすく、何もやる気になれない
  7. 自分に価値がないように思える
  8. 集中力がなくなる、物事が決断できない
  9. 死にたい、消えてしまいたい、いなければよかったと思う

これらは、食欲や睡眠に現れるだけでなく、体がだるい、生気がない、頭痛・めまい・吐き気といった体の症状、ひきこもりやリストカット、暴力や攻撃的な行動などとして表現されることもあるとされています。こうした項目は、本人や周囲が不調に気づく手がかりになります。ただし、当てはまるかどうかで病気かどうかが決まるわけではないため、気になるときは産業医や医療機関に相談すると良いでしょう。

うつ病が疑われる従業員には、勤怠の乱れなど普段との違いが現れることがある

職場で気づきやすい普段との違いの1つに、勤怠の乱れがあります。厚生労働省の「医師による長時間労働面接指導実施マニュアル」は、早退・遅刻・欠勤の有無を含め、毎日就業できているかを確認するとしたうえで、心身不調のサインとして勤怠不良が現れる場合があると説明しています。ただし、勤怠の乱れがあれば必ずうつ病というわけではありません。

普段と違う様子が見られても、病名を決めつけないことが大切です。気になる変化があれば、産業医や医療機関につなぐことを考えましょう。

適応障害が疑われる従業員への対応は、適応障害の従業員への産業医の対応の記事で詳しく解説しています。

【あわせて読みたい関連記事】
適応障害とは?うつ病の違いと産業医による対応法を解説 適応障害とは?うつ病の違いと産業医による対応法を解説

産業医は、面接指導の結果や主治医の意見を踏まえて、就業上の措置について事業者に意見を述べる

産業医は、面接指導の結果や主治医の意見を踏まえて、就業上の措置について事業者に意見を述べます。意見を述べる相手は事業者、つまり会社であり、会社が働き方を調整するときの判断材料になります。

次の2つの場面で、意見の内容と相手が示されています。

長時間労働者の面接指導のあと:事業者が労働者に就業に関する適切な事後措置(面接指導の後に行う働き方の調整など)を実施できるよう、医師は、労働者の健康を保持するための必要な措置について事業者へ意見を述べます。その際は、職場や人事からの情報を参考にし、必要に応じて職場の上司や人事等と協議したうえで、具体的な事後措置の内容を事業者へ報告します。
治療と仕事の両立支援の場面:産業医は、主治医からの意見を踏まえたうえで、就業の可否の判断や、就業上の措置の必要性・内容について事業者に意見を述べます。

どちらの場面でも、意見を受けて措置を実施するのは事業者です。うつ病が疑われる従業員との面談が、いつもこの2つの場面に当たるとは限らないため、個別の事案は産業医に相談できます。意見を受けて職場を調整する場面では、人事担当者が窓口になることもあるでしょう。

産業医の仕事の全体像は、産業医の役割や面談の進め方の記事で詳しく解説しています。

【あわせて読みたい関連記事】
産業医とは 産業医とは?役割・仕事内容・選任義務についてわかりやすく解説

長時間労働者への面接指導では、抑うつ症状など心身の状況を確認する

長時間労働者への面接指導では、医師は、申出を行った労働者に対し、勤務の状況、疲労の蓄積の状況、それ以外の心身の状況の3つについて確認を行います(労働安全衛生規則第52条の4)。面談で何を聞かれるのかを、従業員に説明するときの手がかりになります。

医師が面接指導の内容を記録する様式には「抑うつ症状」の項目があり、厚生労働省の「医師による長時間労働面接指導実施マニュアル」は、うつ病等の可能性を評価するため、この2週間の様子について問診すると説明しています。確認項目は、長時間労働者の面接指導についてのものです。うつ病が疑われる従業員との面談すべてに当てはまる項目ではない点に注意しましょう。

面談の前に、面談は状態の確認と就業上の配慮を検討するためのものだと従業員に伝えておくと、安心につながるでしょう。面談の目的や進み方は、産業医面談の意味や目的の記事で詳しく解説しています。

産業医面談を設定するタイミングは、高ストレス判定・長時間労働・本人の希望の3つ

産業医の面談を設定するタイミングは、ストレスチェックで高ストレスと判定されたとき、時間外・休日労働が長く疲労の蓄積が認められるとき、本人から希望があったときの3つが挙げられます。高ストレス判定と長時間労働の2つは、面接指導の対象になる要件と本人の申出の扱いが条文に定められています。

産業医面談を設定する3つのタイミング
  1. ストレスチェックで高ストレスと判定されたとき:
    労働安全衛生法第66条の10第3項は、ストレスチェックの結果の通知を受けた労働者のうち、心理的な負担の程度が厚生労働省令で定める要件に当てはまる人が面接指導を受けたいと申し出たときは、事業者が医師による面接指導を行わなければならず、申出をしたことを理由に不利益な取扱いをしてはならないと定めています。その要件は、検査の結果、心理的な負担の程度が高く、面接指導を受ける必要があると検査を行った医師等が認めた人であることで(労働安全衛生規則第52条の15)、申出は、検査の結果の通知を受けた後、遅滞なく行うものとされています(同規則第52条の16)。
  2. 時間外・休日労働が長く、疲労の蓄積が認められるとき:
    面接指導の対象は、休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合のその超えた時間が1か月当たり80時間を超え、かつ疲労の蓄積が認められる労働者です(労働安全衛生規則第52条の2第1項。条文には例外の定めもあります)。面接指導は労働者の申出により行うものとされ、事業者は、労働者から申出があったときは、遅滞なく面接指導を行わなければなりません(同規則第52条の3)。
  3. 本人から希望があったとき(運用上の選択肢):
    法令で面談の設定が定められている場面ではありませんが、従業員が自分から産業医との面談を希望する場合に、企業の運用として面談を設定することもあります。希望があったときは、日程を調整して面談につなげることもできます。

法令の要件に当てはまるかどうかの判断が難しいときは、産業医に相談しておくと安心です。

企業は、産業医に必要な情報を提供し、連携して対応する

企業は、産業医に任せきりにせず、必要な情報を提供して連携することが重要です。労働安全衛生規則第14条の2は、事業者が産業医に提供する情報の種類と、提供の時期を定めています。

事業者が産業医に提供する情報は、次の3種類です。

情報の種類 提供の時期
健康診断や面接指導の結果を受けて、既に講じた措置、または講じようとする措置の内容(措置を講じない場合は、その旨とその理由) 医師または歯科医師から意見を聴いた後、遅滞なく
1週間当たり40時間を超えて労働させた時間が1か月当たり80時間を超えた労働者の氏名と、その超えた時間に関する情報 超えた時間の算定を行った後、速やかに
上の2つのほか、労働者の業務に関する情報で、産業医が労働者の健康管理等を適切に行うために必要と認めるもの 産業医から提供を求められた後、速やかに

従業員本人が自覚している状態と、周囲が感じる変化にズレが出ることがあります。職場での様子を産業医に伝えておくと、面談で状態をつかむ助けになります。とはいえ、情報の整理や産業医への連絡、面談の日程調整までを担当者が1人で担う場面もあるでしょう。

面談の結果を会社が知るときは、面談の種類によって本人の同意の要否が分かれる

面談の結果を会社が知るときは、本人の同意が必要な場合と、不要な場合があります。厚生労働省の「労働者の心身の状態の情報の取扱いについての指針」は、事業者が労働者の心身の状態の情報を取り扱うときの区分を、表で示しています。

本人の同意を得ずに収集できる区分:労働安全衛生法令に基づいて、事業者が労働者本人の同意を得ずに収集することが可能とされています。例として、長時間労働者に対する面接指導の結果と、ストレスチェックの結果、高ストレスと判定された者に対する面接指導の結果が挙げられています。
本人の同意が必要な区分:あらかじめ労働者本人の同意を得ることが必要とされています。例として、健康相談の結果、職場復帰のための面接指導の結果、治療と仕事の両立支援等のための医師の意見書が挙げられています。

指針は、後者の区分の情報を事業者等が収集するときは、個人情報の保護に関する法律第20条第2項に基づき、労働者本人の同意を得なければならないとしています。どちらの区分でも、事業場ごとの取扱規程(情報の取り扱いを定めた社内の決まり)で、事業者等の内部での適正な取扱いを定めて運用することが、適当または必要とされています。面談の前に、その面談の結果を会社が受け取るのに本人の同意が要るかどうかを整理し、同意が要る場合はその旨を従業員に伝えておくと、本人の安心につながるでしょう。

休職・復職者の就業判定を依頼しても実施されず、労働基準監督署から指摘を受けた企業の事例

休職・復職者の就業判定を依頼しても実施されず、困った企業の例があります。リモート産業保健の導入事例に、その経緯が紹介されています。

その企業は、ある事業所で定期健康診断を実施している検診機関と、産業医の契約をしていました。しかし、休職・復職者に対する就業判定を依頼していたにもかかわらず、実施されておらず、労働基準監督署から指摘を受けていたそうです。そこで、産業医との契約を見直すタイミングで、リモート産業保健に切り替えました。

この事例からは、契約先が休職・復職者の就業判定まで担えるのかを、契約の段階で確かめておくと良い点だと分かります。

うつ病が疑われる従業員には、受診の勧めと職場環境の見直しで対応する

企業ができる対応は、医療機関への受診を勧めることと、職場に原因がないかを見直すことの2つです。どちらも、従業員の状態を踏まえて、本人の意思や職場の状況に沿って進めることが前提になります。

本人の意思を尊重して、医療機関の受診を勧める

従業員が自分の不調に気づいていなかったり、「そのうち良くなる」と考えていたりする場合があります。そのようなときは、普段と違う様子が見られることと、体調を心配していることを伝えたうえで、受診を提案する流れが基本です。たとえば、次のような伝え方があります。

「最近、いつもと様子が違うように見えて、体調が少し心配です。一度、病院で相談してみてはどうでしょうか」

受診するかどうかを決めるのは本人です。受診を拒む従業員には、強く勧めないようにしましょう。

受診をためらう理由には、多忙で時間がない、周囲に迷惑をかけたくない、といった不安があるかもしれません。会社は、通院の時間を確保できるよう業務を調整する、周囲への業務の割り振りを会社が引き受ける、といった支援を示せます。

業務量・労働時間・人間関係など、職場に原因がないかを見直す

従業員の不調に、職場の状況が関わっていることもあります。原因が仕事にある可能性を考え、次のような点に当てはまるものがないか、本人や上司の話を聞きながら見直すことが大切です。

業務量が多すぎないか
長時間労働が続いていないか
業務内容が本人の特性に合っているか
人間関係のトラブルがないか
異動や転職で環境が変わっていないか

労働契約法第5条は、使用者が、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものと定めています。職場の状況を見直すことは、この配慮の考え方に沿った対応です。

見直した結果、原因が職場にありそうなら、業務内容の変更や配置の見直しを検討する流れになります。

産業医面談は、体調を気遣う声かけから勧める

欠勤が続くといった勤怠の乱れなど、普段との小さな違いに気づいたとき、産業医の面談をどう勧めるかで、本人の受け止め方が変わります。声かけ、面談の目的の伝え方、断られたときの対応の3つの場面で、伝え方の工夫が役立ちます。

部下に面談を勧める場面の接し方は、部下のメンタルヘルス不調への対応の記事で詳しく解説しています。

いきなり面談を勧めず、まず心配していることを伝える

唐突に「産業医と面談してください」と切り出すと、本人が問題視されたと感じ、身構えやすくなります。面談を勧める最初の一言は、本人の受け止め方を左右するため、体調を気遣う声かけにとどめると、身構えにくくなります。

声かけの例は、次のとおりです。

「最近少し疲れているようですが、体調はいかがですか」

「困っていることがあれば、いつでも相談してくださいね」

こうした声かけを重ね、信頼関係ができてから面談を提案する流れが自然です。

面談の目的と、面談で話した内容の取り扱いを伝える

面談をためらう理由の1つに、「話した内容が会社に伝わるのでは」という不安があると考えられます。面談の目的(体調と働き方を一緒に考えること)と、面談で話した内容の取り扱いは、あらかじめ伝えておくと役立ちます。

守秘義務については、次の2つの条文があります。ただし、対象とする人が異なります。

刑法第134条第1項:医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士、弁護人、公証人、またはこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときに、処罰の対象になります。
労働安全衛生法第105条:健康診断、面接指導、ストレスチェックなどの実施の事務に従事した者は、その実施に関して知り得た労働者の秘密を漏らしてはならないと定めています。

条文が対象にしているのは、医師などの職にある人と、面接指導等の実施の事務に従事した人です。面談を担当する人がどちらに当たるかで根拠が変わるため、気になる点は産業医に聞いてみると良いでしょう。

会社として、面談で話した内容を人事評価に使わないと決めている場合は、その旨も面談の前に伝えると、従業員の不安が和らぎやすくなるでしょう。たとえば、次のような伝え方があります。

「体調と働き方を一緒に考えるための面談です。面談で話した内容を、人事評価に使うことはありません」

面談を断られたときは、理由を確認して必要性を伝える

面談を断られたときは、まず理由を聞き、その理由に合わせて面談の必要性を伝えることが大切です。断る理由の例として、時間がない、症状がない、会社側の人間だと感じる、の3つが考えられます。

「仕事が忙しくて時間がない」:業務の調整を申し出たうえで、面談の目的を説明すると、受けてもらいやすくなることがあります。
「特に症状は出ていないから大丈夫」:症状の有無にかかわらず、普段と違う様子が見えたため、体調を心配して声をかけていることを伝えましょう。
「産業医は会社側の人間で、自分の不利益になりそう」:面談の目的と、面談で話した内容の取り扱いを、繰り返し伝えておくと、安心して話してもらいやすくなることがあります。

声かけや日程の調整は、普段の業務と並行して進めることになります。

休職から復職までの支援は、厚生労働省の手引きが示す5つのステップで進める

厚生労働省の「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」(以下、手引き)は、職場復帰支援の流れを、病気休業開始から職場復帰後のフォローアップまでの5つのステップで示しています。

手引きは、この流れを、事業者が衛生委員会(労使で職場の健康に関する事項を話し合う会議体)等で調査審議(調べて話し合うこと)し、産業医等の助言を受けて、事業場ごとの職場復帰支援プログラムとして定めておく必要があるとしています。プログラムには、職場復帰支援の標準的な流れを明らかにするとともに、それに対応する手順、内容、関係者の役割等を定めます。プログラムで流れと役割を決めておくと、休職が出たときに、誰が何をするかを確かめやすくなります。

5つのステップは、次のとおりです。

職場復帰支援の5つのステップ

ステップ1

病気休業開始及び休業中のケア:病気休業の開始では、主治医が作成した診断書を、労働者が管理監督者(上司など、部下を管理する立場の人)等に提出します。管理監督者等は、診断書が提出されたことを人事労務管理スタッフ(職場配置や労働条件の運用を担う人事労務の担当者)と事業場内産業保健スタッフ(産業医、衛生管理者、保健師など、事業場内で産業保健を担う人)に連絡し、休業を開始する労働者には、療養に専念できるよう安心してもらうとともに、休業中の事務手続きや職場復帰支援の手順を説明します。


ステップ2

主治医による職場復帰可能の判断:休業中の労働者から職場復帰の意思が伝えられると、事業者は、主治医による職場復帰可能の判断が記された診断書(復職診断書)を提出するよう労働者に伝えます。診断書には、就業上の配慮に関する主治医の具体的な意見を含めてもらうことが望ましいとされ、産業医等が、主治医の判断と職場で必要とされる業務遂行能力の内容等を精査したうえで、採るべき対応を判断し、意見を述べることが重要とされています。


ステップ3

職場復帰の可否の判断及び職場復帰支援プランの作成:職場復帰支援の手続きの中で中心的な役割を果たす段階で、事業場内産業保健スタッフ等を中心に、管理監督者と当該労働者の間で十分に話し合い、よく連携しながら進めていく必要があるとされています。


ステップ4

最終的な職場復帰の決定:職場復帰の可否の判断と職場復帰支援プランの作成を経て、事業者が、最終的な職場復帰の決定を行います。


ステップ5

職場復帰後のフォローアップ:職場復帰後は、管理監督者による観察と支援のほか、事業場内産業保健スタッフ等による、定期的または就業上の配慮の更新時期等に合わせたフォローアップを実施する必要があるとされています。

主治医、産業医等、事業者がそれぞれの役割で関わる流れが示されています。診断書の受け取りから、産業医等の意見のとりまとめ、職場との調整まで関わる人が多い流れです。段取りを整える役を担う人事担当者は、日程や連絡の調整も受け持つことになります。

復職前後の産業医面談は復職時の産業医面談の記事で、職場復帰支援プログラムは職場復帰支援プログラムの記事で、それぞれ詳しく解説しています。

【あわせて読みたい関連記事】
産業医 復職 面談 産業医による復職面談とは?目的や判断基準と注意点を解説
職場復帰支援プログラム_イメージ 職場復帰支援プログラムにひな形はある?プラン作成や実施手順についても詳しく解説

職場復帰の最終的な決定は事業者が行い、主治医と産業医等の意見を踏まえる

手引きの第4ステップで、最終的な職場復帰の決定を行うのは事業者です。その前に、主治医は職場復帰可能の判断を診断書に記し、産業医等は主治医の判断などを精査して意見を述べます。

職場復帰の決定に関わる3者
(図:職場復帰の決定に関わる3者)
(編集部作成)

決定に至るまでの流れは、ステップごとに役割が分かれています。第2ステップでは、主治医の判断と職場で必要とされる業務遂行能力の内容等について、産業医等が精査したうえで、採るべき対応について判断し、意見を述べます。

第4ステップでは、産業医等が、就業に関する最終的な措置等をとりまとめて、「職場復帰に関する意見書」等を作成します。その内容について、管理監督者と人事労務管理スタッフの確認を経たうえで、事業者が最終的な職場復帰の決定を行い、労働者に通知します。就業上の配慮の内容も、あわせて通知します。

「産業医が復職を決める」と受け取る方もいるかもしれません。手引きでは、決定を行うのは事業者であり、主治医の診断書や産業医等の意見は、その決定を支える材料に当たります。

うつ病は再発することがあるため、復職後もフォローアップを続ける

厚生労働省のこころの耳が公開している「職場復帰のガイダンス(働く方へ)」は、うつ病の再発率は60%もあり、その後再発を繰り返すとさらに再発率が高くなるとされている、と述べています。この数字の出典は、厚生労働省 地域におけるうつ病対策検討会の「うつ対応マニュアル-保健医療従事者のために-」(平成16年1月)です。

復職できても、それで支援が終わるわけではありません。手引きの第5ステップ(職場復帰後のフォローアップ)では、疾患の再燃(いったん落ち着いた症状が再び現れること)や再発についての早期の気づきと迅速な対応が不可欠とされています。事業場内産業保健スタッフ等と管理監督者は、労働者の状態の変化について適切なタイミングで対応できるよう、日頃から連携を図っておく必要があるとされています。

さらに手引きは、心の健康問題は再燃・再発することも少なくないため、フォローアップ期間を終えた後も、再発の予防のために、就業上の配慮について慎重に対応すること(職場や仕事の変更等)と、メンタルヘルス対策の重要性が高いことに留意すべきだとしています。

フォローアップの期間が終わったあとも、本人の様子の変化に目を配り続けるには、管理監督者と産業保健スタッフとの連携を続ける体制が要ります。日常の業務と並行して続ける必要があり、人事担当者が連絡や調整を担う場面もあるでしょう。

うつ病の予防には、ストレスチェック制度での産業医の役割を活用する

ストレスチェック制度は、事業場のメンタルヘルス対策の一次予防(不調の発生を防ぐ段階の取り組み)を促進する目的で定められています。厚生労働省の「産業医ができること」によると、産業医は、ストレスチェック制度における実施者の役割を行うことが望ましいとされています。ストレスチェックの実施を担う医師等を、実施者と呼びます。

産業医の職務(労働安全衛生規則第14条第1項)には、長時間労働者に対する面接指導とその結果に基づく措置、ストレスチェックと、ストレスチェックで高ストレスとなった人への面接指導とその結果に基づく措置が含まれています。ストレスチェックで高ストレスと判定された人や、長時間労働が続く人に対しては、産業医との個別の面談につながる仕組みがあります。産業医の関わり方を知っておくと、予防の場面でも産業医の役割を活用しやすくなります。

ストレスチェックの実施後に、高ストレスの人への面接指導の案内や日程の調整が加わるため、実施者である産業医との連絡を担当者が受け持つ場面もあるでしょう。

職場メンタルヘルス実践ガイドブック_産業保健お役立ち資料
【関連お役立ち資料】

まとめ

うつ病は誰にでも起こり得る病気です。企業は、産業医と連携して早めに対応し、復職後も支援を続けることが大切です。面談の勧め方、本人の同意の扱い、復職の決定者といった場面ごとの判断は、産業医に相談しながら進めましょう。

自社で産業医と連携できている企業は、その体制を活かして進めれば十分です。日程調整や復職支援などの負担が重いときの選択肢の1つとして、リモート産業保健があります。産業医と産業看護職の2名体制で、産業医訪問とオンライン面談に対応し、ストレス予防から休職・復職者のアフターフォローまで対応しています。基本プランは月額3万円〜です。

リモート産業保健サービス資料
【関連お役立ち資料】

無料相談 資料請求