東京の産業医事情をご紹介

産業医 東京

執筆者

看護師ライターとして活動しています。

総合病院で消化器外科、消化器内科、ICUを経験し、看護師歴7年です。手術や内視鏡手術を行う患者さんに接する機会が多く、術前術後の看護、日常生活のサポート、患者さんやご家族の心のケアなどを行なってきました。

結婚を機に病院を退職し、現在は二児の母です。子育てをしながら医療にも携わっていきたいと看護師ライターを始めて、もうすぐ5年になります。これまで学んできた「患者さんの気持ちに寄り添うことの大切さ」をライティングにも活かせるように精進する毎日です。

読んでいる人が飽きることなく最後まで読める文章づくりを目指し、「読んでよかった」と思っていただけるようなライティングを心がけています。

患者さんの些細な変化に気付くため五感を駆使していたので、おでこや首に触れてその人の体温を当てるのが得意です。

監修者

元々臨床医として生活習慣病管理や精神科診療に従事する中で、労働者の疾病予防・管理と職業ストレス・職場環境の密接な関係認識するに至り、病院からだけでなく、企業側から医師としてできることはないかと思い、産業医活動を開始しました。

また、会社運営の経験を通じ、企業の持続的成長と健康経営は不可分であること、それを実行するためには産業保健職の積極的なコミットメントが必要であると考えるに至りました。

「頼れる気さくな産業医」を目指し、日々活動中しています。
趣味は筋トレ、ボードゲーム、企業分析です。

【保有資格】
・日本医師会認定産業医
・総合内科専門医
・日本糖尿病学会専門医
・日本緩和医療学会認定医

東京都で産業医を探すことになったけれど、どのように探したら良いのかわからないと悩んでいませんか?探し方によってかかるコストが異なるため、自社に合った方法を検討しましょう。

本記事では、東京都の産業医事情や産業医の探し方、報酬の相場などについて解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

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東京都の産業医事情:最新動向と重要ポイント

令和4年時点で、東京都で産業医を主たる業務として届け出ている医師の数は458人であり、全国の産業医数の約32%を占めています。特に23区内の産業医数が421人と大半を占めているため、23区内に産業医が集中していることがわかります。

ただし、産業医のなかには医療機関で診療業務を行ないながら産業医活動をしている方もいます。そういった状況を踏まえると、届け出上は反映されていないものの、実際に活動している産業医数は458人以上いると考えられます。

全国的には、新たに産業医の資格を取得する医師は毎年2,000~3,000人ほどおり、年々増えています。

研修(日本医師会) 研修(産業医科大学) 産業医科大学卒業生
平成24年度 1,662 901 94
平成25年度 1,687 630 92
平成26年度 1,691 1,017 98
平成27年度 1,708 996 108
平成24年度 2,004 1,175 99

東京都の特徴として、大手企業の本社が多く、より高いレベルのスキルが求められる傾向にあります。先述したように、毎年産業医資格を持つ医師が増えているため、競争が激しくなるでしょう。

参考:医師・歯科医師・薬剤師統計 / 令和4年医師・歯科医師・薬剤師統計 医師
参考:船員向け産業医の役割について|国土交通省海事局

東京都の産業医ニーズの特徴

東京都の産業医ニーズについて、解説します。23区内と23区外で異なりますので、分けて考えていきましょう。

まず、23区内は産業医の数が豊富であり、特に新宿区、渋谷区、中央区、豊島区、港区、品川区、文京区といったオフィス街では、メンタルヘルス対策が重要視される傾向にあります。

23区内の他のエリアであっても、就業判定、長時間労働面談、ストレスチェック対応、衛生委員会、職場巡視などのコンプライアンス対策を確実に行ないたいというニーズが強いです。さらに、近年は新型コロナウイルスの影響でテレワークが進んだことにより、メンタルヘルス対策のニーズも増加しています。

次に、23区外には昭島市、清瀬市、国分寺市、国立市、小金井市、小平市、立川市、多摩市、調布市、西東京市、八王子市、羽村市、東久留米市、東村山市、東大和市、日野市、福生市、府中市、町田市、三鷹市などが含まれます。

これらのエリアでは、工場や大手企業の営業所が多く、就業判定や長時間労働面談、ストレスチェック対応、衛生委員会、巡視といったコンプライアンス対応が重視される傾向にあります。また、工場で使用する有害物質に関して、豊富な知識があると心強いでしょう。

東京都の産業医必要事業所数:法令と実態

東京都の統計によると、東京都の事業所数は2016年の621,671から、2021年には628,239と増加傾向にあります。

(表)産業大分類別事業所数及び従業者数|厚生労働省

引用:令和3年経済センサス‐活動調査報告(産業横断的集計 東京都概況)【令和6年3月19日公表】|東京都

事業場のなかでも、常時50人以上の労働者を抱えている事業場は、労働安全衛生法第13条に基づいて産業医の選任が必要です。東京都で50人以上の労働者を抱えている事業場は、2021年時点で29,939事業場でした。

また、日本医師会の資料では、選任義務のある50人以上の事業場で、約13,000事業場が産業医を選任していないという調査もあります。

事業所労働者数の区分 選任割合(%)
1000人以上 99.7
500~999人 98.4
300~499人 97.4
100~299人 96.2
50人以上 76.8

仮に、東京都で実際に産業医として活動しているのは458人だとすると、産業医一人あたりが担当する事業場数は約65.4事業場になります。

実際に届け出を出している産業医以外も実際には活動しているとしても、事業場数も増加していますので、需要は高まりそうですね。

参考:令和3年経済センサス-活動調査報告【統計表】|東京都

参考:産業医の現状を踏まえ連絡協議会が目指すものp.46|日本医師会

23区内外の産業医ニーズ比較:地域特性と要求スキル

23区内は新宿区、渋谷区、中央区、豊島区、港区、品川区、文京区といったオフィス街が多く、特にメンタルヘルス対策が重要視される傾向にあります。そのため、メンタルヘルスに関する知識があり、メンタルヘルス不調者の復職支援の経験があるとよいでしょう。

23区外は、工場や大手企業の営業所が多く、就業判定や長時間労働面談、ストレスチェック対応、衛生委員会、職場巡視といったコンプライアンス対応に加え、有害物質などの理解があると良いと考えられます。

もちろん、事業場によってニーズは異なりますので、目安として考えていただければと思います。

東京都の産業保健重点エリア:ニーズと特徴

東京都内でも、特に産業保健への理解や対策が求められるエリアは「港区」「千代田区」「中央区」でしょう。これらのエリアの特徴として、本社を置く企業が多いことが挙げられます。

港区は六本木ヒルズや虎ノ門ヒルズ、赤坂の東京ミッドタウンなどオフィスビルが多数あり、2022年時点で上場企業の本社数が東京都内で最も多いエリアです。

千代田区も丸の内エリアの再開発にともなってオフィスビルが増加し、本社を置く企業が増加しました。

中央区は、港区や千代田区よりも本社を置く企業数は少ないですが、日本橋地区を擁しており、現在も多数の上場企業が本社を構えているオフィス街となっています。

本社での産業保健活動となると、コンプライアンス対応はもちろん、経営層や人事との連携など、高いレベルのスキルが求められるでしょう。

産業医への主要問い合わせ内容:企業の関心事

企業担当者の方から当社へいただく問い合わせは、次のようなものが多いです。

おもな問い合わせは「産業保健に関する法令遵守」についてであり、労働基準監督署からの要請や、低コストで法定義務を満たしたいといったものも含まれます。ほかにも、メンタルヘルス対策や健康経営優良法人の取得をしたいという問い合わせもありました。

問い合わせの傾向から、特に法令遵守への関心が高まっていることが伺えますね。

また、新型コロナウイルス感染症の際は、感染症対策だけでなく、濃厚接触者が出ても事業継続できるよう産業医の意見が欲しいといった「有事の際の事業継続」への関心が高まっているようでした。

産業医への主要問い合わせ内容 | リモート産業保健

東京都のデスクワークとメンタルヘルス:現状と対策

東京都はオフィス街が多く、毎日デスクワークをしている従業員が大勢います。デスクワークは長時間座りっぱなしになりやすく、座りすぎはメンタルヘルス不調のリスクが高まるといった調査結果もあります。

明治安田厚生事業団体力医学研究所 の調査によると、1日12時間以上座っている人は、6時間未満の人と比べて、メンタルヘルス不良者が約3倍多いことがわかっています。
そのため、こうしたデスクワークが多い事業場に対しては、産業医によるメンタルヘルス対策が重要となるのです。

東京都のうつ病統計:産業医の役割と対応

精神疾患は近年その患者数が増加しており、令和2年には全国で推定患者数約615万人にものぼり、年々増加の一途をたどっています。東京都内の推定患者数は、令和2年に約68万2千人であり、平成 29年の約54万4千人から増加しています。
精神疾患を有する外来患者数の推移(疾患別内訳)

引用:精神疾患を有する外来患者数の推移(疾患別内訳)|厚生労働省

さらに、精神障害による労働災害補償の請求件数、支給決定件数が右肩上がりで増加しており、労働災害防止のためにも、産業医が関連部署と連携しながらメンタルヘルス対策を行なう必要があるでしょう。

産業医が従業員のうつ病の予防や対策に関わるのは、次のような場合が多いと考えられます。

  • 長時間労働者に対する面接指導
  • ストレスチェックにより、ストレスが高いと判断された労働者が申し出た従業員への面接指導
  • うつ病で休職した従業員の復職支援
  • 職場巡視による職場環境のチェックと改善
  • 従業員への教育や啓発活動(ラインケア研修など)

そのほかにも、事業場のニーズによって必要な支援を行ない、より効果的な施策を検討していきます。

東京の産業医の報酬相場

産業医の報酬は、専属か嘱託かに加え、勤務日数や経験年数などで異なります。産業医によって費用に差がありますので、自社が求めるレベルと照らし合わせながら検討しましょう。ここでは、東京の産業医の報酬相場を紹介していきます。

東京の専属産業医の報酬相場

専属産業医とは、労働者数が1,000人以上の事業場で、常勤で勤務する産業医のことです。ただし、有害業務など労働安全衛生規則第13条第1項第3号に記載されている業務に該当する場合は、労働者数500人以上の事業場でも専属産業医が必要です。

専属産業医の勤務日数は法令などで明確に決められておらず、企業によって異なりますが、産業医は研究日を設けていることがあるため、週3.5~4日程度が多いといわれています。

専属産業医の報酬相場は勤務日数や経験年数などによって異なりますが、週4日であれば年間1,200~1,600万円程度が相場といわれています。

東京の嘱託産業医の報酬相場

嘱託産業医は、労働者数が50〜999人の事業場で、非常勤で勤務する産業医のことです。事業場のニーズにもよりますが、勤務の目安としては月に1回程度が多いでしょう。

嘱託産業医の報酬相場は、事業場の労働者数によって変動しますが、日本橋医師会が公表している報酬基準額は以下のようになっています。

労働者(人) 基本報酬月額(円)
50人未満 75,000円~
50~199 100,000円~
200~399 150,000円~
400~599 200,000円~
600~999 250,000円~

出典:産業医報酬基準額について|日本橋医師会

経験年数や勤務日数で変動することに加え、ストレスチェックなどを実施した場合は別料金が発生します。上記はあくまで目安として考え、自社の状況に応じて産業医を選任しましょう。

産業医の選任にかかるコストの種類

産業医選任にかかるコストは、報酬だけではありません。ここでは、産業医を選任する際にかかるコストを4つ解説します。

産業医の選任までにかかるコスト

産業医を選任するまでに発生するコストには、人的なものと時間的なものがあります。具体的には、産業医を探す担当者の方の労力や手間、業務時間などが挙げられます。

前述のとおり、東京都では事業場の数に対して産業医の数が不足しており、新たな産業医を選任するのは容易ではありません。また、初めて産業医を選任する事業場の場合、14日以内に産業医を選任する必要がある、という時間的制約もあります。

万が一、14日以内に産業医を選任できなければ、労働安全衛生法第120条により50万円以下の罰金に処される可能性があるため、注意が必要です。

期限内に産業医を選任するため、高額な報酬金額でも契約せざるを得ない場合もあるでしょう。さらに、企業担当者がこういった対応に追われ、時間外労働を行なった場合にも、追加のコストが発生します。

産業医の選任後にかかるコスト

産業医の選任後にかかるコストは、産業医に支払う報酬やマネジメント業務にともなうコストです。報酬金額は産業医の実績や業務内容、業務時間、勤務日数、事業場の労働者数などによって異なります。

マネジメント業務にともなうコストには、スケジュール調整や産業医とのコミュニケーションを行なう労力や手間なども含まれます。専属産業医は事業場に常駐するため大きな問題にはなりませんが、嘱託産業医は医療機関に勤務し、診療活動に従事する医師であることが多いため、来社する勤務日のスケジュール管理や報酬の支払いに関する事務作業を行なわなければなりません。

また、契約後に産業医から辞退の申し出があった場合や契約を更新しなかった場合は、あらためて産業医を探すコストが発生します。

採用した産業医が自社に合わないときにかかるコスト

選任後、産業医が自社に合わないことが判明し、追加のコストがかかるケースもあります。

  • 希望する業務に対応してもらえない
  • 業種や地域などの特性を加味してもらえない
  • 自社のニーズに対して医師が専門外で、対応が不十分
  • 女性の産業医を探す必要がでてきた など

上記のような場合は、産業医との話し合いや研修を行なうコスト、産業医をあらためて選任するコストが発生します。

自社に合わない産業医を採用し続けることは、企業の損失につながります。例えば、メンタルヘルスに疎い産業医が、明らかに復職が困難な従業員に対して復帰可能と判定した場合、従業員が再び休職したり、退職したりするリスクが高まります。

人材が流出すれば、新たに採用活動を行なう必要が生じ、さらにコストがかさむでしょう。

産業医紹介会社に支払う手数料

産業医の紹介サービスを利用する場合、産業医への報酬とは別に、30%程度の手数料がかかります。

【例】手数料が30%の場合
紹介会社への年間の支払い金額=産業医への報酬金額×手数料30%×12ヵ月

追加コストはかかるものの、多くの産業医のなかから自社に合う人材を見つけられる産業医紹介サービスの人気は、近年高まっています。選任後のミスマッチによる追加コスト発生のリスクを回避できるのはもちろん、万一のトラブルの際にも、紹介会社が交渉・仲介してくれるため安心です。

初めて産業医を選任するなら、リモート産業保健の利用がおすすめです。リモート産業保健では、業界最安値の月額3万円からで、産業医選任のほか、ストレスチェック代行、職場巡視、産業医面談など、各種産業保健活動を包括的にサポートします。

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東京での産業医の探し方

ここまで報酬相場について説明してきましたが、実際にどのように産業医を探せばよいのでしょうか?ここでは6つの方法を紹介します。それぞれの方法にメリット・デメリットがあるため、自社にとってどの方法が適しているか検討してみましょう。

東京の医師会からの紹介

医師会は全国47都道府県にあり、その地域で働く医師が登録されています。そのため、東京で産業医を探す場合は、東京の医師会に相談することになります。

医師会に紹介してもらうメリットは、事業場の近隣の産業医を紹介してもらえる可能性が高いことです。ただし、医師会が行なうのはあくまで「紹介のみ」であり、産業医への依頼・交渉は事業場で行なわなければなりません。交渉などで時間や労力がかかる点は、事業場にとってデメリットといえるでしょう。

特に、初めて産業医の選任をする事業場で、依頼や交渉に慣れていない場合は大きな負担になるかもしれません。

東京の健診機関からの紹介

日頃から自社の従業員の健康診断を依頼している健診機関に、産業医を紹介してもらう方法もあります。

健診機関に紹介してもらうメリットとして、自社の従業員が健康診断を受けている健診機関からの紹介であれば、企業の状態を理解してもらいやすいこと、事業場・医療機関・産業医が連携しやすいことが挙げられます。

一方のデメリットは、健康機関によっては産業医がいない場合があることです。また、万が一依頼した産業医が事業場のニーズに合っていなくても、健康診断で利用しているため断りにくいことも挙げられます。

東京の地域産業保健センターの活用

地域産業保健センターは労働基準監督署の管轄区域ごとに設置されており、東京には18ヵ所あります。小規模事業場における保健指導や健康診断後の医師からの意見聴取、長時間労働や高ストレス者に対する面接指導などのサービスを実施しており、気軽に相談できる点がメリットです。

ただし、法律で産業医の選任を義務付けられている労働者数が50人以上の事業場はサービスを受けられないため、注意しましょう。

労働安全衛生法などの法律上、労働者数が50人未満の事業場での産業医の選任は努力義務です。しかし、従業員の健康と安全を守りたい、休職者を減らしたいなどのニーズがある事業場は、可能な限り産業医を選任し、産業保健活動に力を入れるのがよいでしょう。

産業医紹介会社の活用

産業医紹介会社は、事業場の特徴やニーズに合わせて産業医を紹介する「仲介サービス」を提供している会社です。

産業医紹介会社を利用するメリットとして、産業医を探す時間や労力が削減できることが挙げられます。さらに、多くの産業医が登録しているところであれば、産業医の雇用形態(専属・嘱託)や専門性(メンタルヘルス対応が得意、工場での活動経験があるなど)といった、事業場のニーズに合った産業医を探しやすいでしょう。

また、万が一紹介された産業医が事業場のニーズに合わないなどの理由で交代する際も、紹介会社が仲介してくれるのでスムーズに対応できます。

デメリットは、ほかの方法よりも費用が高くなる可能性があることです。ただし、紹介会社はストレスチェック実施代行などのサービスも行なっていることがあり、産業保健業務に関連するサービスも含めて総合的に判断しましょう。

会社で取引のある税理士や社労士事務所に相談する

日頃から取引のある税理士や社労士事務所に相談する方法もあります。なかでも、社労士は労働や社会保険に関する専門家であり、企業は日頃から社労士に労働に関する問題について相談をしているのではないでしょうか。

産業保健活動は労働と密接に関係していますので、顧問先が産業医の選任に困っていて、社労士が関連資料の収集を手伝っているケースもあるようです。

実際に、当社リモート産業保健に社労士事務所から問い合わせが入ることがありますが、そのうち61%は顧客から社労士事務所に相談があり、当社への問い合わせに至ったケースでした。

リモート産業保健に社労士事務所から問い合わせ傾向

産業医選任について詳しい方もいるかもしれませんので、一度社労士事務所に問い合わせてみるのもよいでしょう。

近くのクリニックや病院に相談する

事業場の近くにあるクリニックや病院で産業医を依頼できないか相談するのも、一つの方法です。病院によっては、診療しながら近隣の事業場の嘱託産業医を行なっているケースがあるためです。特に、東京都は医師数が都道府県のなかで一番多いため、事業場の近くにクリニックや病院が複数あることも珍しくないでしょう。

この方法のメリットは、選任した産業医が事業場の近くにいることです。そのため、急な面談などで追加の訪問が必要になった場合には、クリニックの休憩時間などで調整してくれるかもしれません。

また、インフルエンザなどの予防接種の時期に、近くのクリニックや病院でワクチン接種ができるといったメリットもあります。

デメリットとしては、産業医と企業の直接契約となることが多く、契約の交渉や書類作成などの労力がかかる点や、万が一産業医の変更が必要になった際は、一から探す必要がある点が挙げられます。

産業医紹介会社の選び方|事前チェックすべき項目とは?

手間や労力をかけずに、自社にぴったり合う産業医を見つけたいなら、産業医紹介会社を活用するのがおすすめです。紹介会社は、企業や従業員の特徴、ニーズを把握したうえで、適切な産業医を紹介してくれます。さらに、産業医の交代や変更が必要になった場合にも、紹介会社が仲介に入るため安心です。

このようにメリットの多い産業医紹介会社ですが、「どの会社にお願いすればいい?」と悩む企業担当者の方もいるでしょう。そこで、産業医紹介会社を活用する際に、事前に確認すべき3つの項目について紹介します。

対応エリアが都内であること

産業医は、職場巡視や面談などで実際に事業場を訪問します。そのため、産業医を選任する予定のある事業場の地域を、紹介会社が対応しているかどうかを確認しておきましょう。

東京都は産業医の数が全国で最も多いため、対応している紹介会社も数多く存在します。しかし、東京都以外の事業場でも産業医の選任を検討している場合は、その地域も対応しているか併せて確認しておく必要があります。

産業医の在籍数

紹介会社に登録している産業医の在籍数も確認しましょう。産業医の在籍数が多いほうが、事業場のニーズに合った産業医を選任するための選択肢が増えるからです。

また、産業医の変更が必要となった際にも、産業医の在籍数が多い紹介会社のほうが、次の候補を見つけやすくなります。

選任後のアフターサービスがあること

産業保健活動は、産業医を選任してからがスタートです。選任後は、職場巡視や衛生委員会の立ち上げ・運営、従業員の日々のメンタルケアや休職・復職時の対応など、膨大で複雑な業務を産業医と連携して行なっていく必要があります。

初めての産業医選任の場合、「産業医を選任して事務手続きは終わったけど、次に何をすべきなのかわからない」といったケースも少なくないでしょう。

したがって、産業医紹介会社を選ぶ際には、アフターサービスの有無や内容もしっかり確認することをおすすめします。産業医との業務調整や事務手続きの代行といった紹介会社のアフターサービスを活用し、企業担当者の方の負担を減らすことで、継続的な産業保健活動が可能になります。

東京の産業医講習:最新トレンドと重要性

東京都の産業医講習や研修会の内容は、直近ですと下表のとおりです。過重労働対策や健康診断事後措置などのコンプライアンス対策はもちろん、メンタルヘルス対策に関わる内容が多いと感じます。

前述したように、近年は精神疾患の患者数が増えており、精神障害による労働災害補償の請求件数、支給決定件数が右肩上がりの状況です。そのため、産業医として活動していくためにメンタルヘルス対策に関する知識が重要になってきているのでしょう。

また、新型コロナウイルス感染症が流行してからは、講習や研修もオンラインや、オンラインと現地を組み合わせたハイブリット式での実施が増えています。

【2024年】産業医向け研修会

産業医は、以下のような研修会を通して、常に最新の情報を把握・共有しながら、産業保健の見地を踏まえて、企業や従業員に合わせた意見や指導を行ないます。

研修開催日時 研修・講義名 定員・受講料 研修内容
2024年10月27日(日) 9:10~12:20 令和6年度 第10回産業医のためのレベルアップセミナー(実地)「ストレスチェックの集団分析の活用」 定員:50名(非会員の受講可/事前徴収)
受講料
中災防賛助会員:17,820円
一般:19,800円
①実地「ストレスチェックの集団分析の活用」
2024年10月28日 (月) 18:30~20:40 日本医師会認定産業医研修会 定員:50名(非会員の受講可/事前徴収)
受講料:6,000円
①講演「過重労働対策の基本知識」
②講演「安全衛生委員会の開催について」
2024年10月30日 (水) 18:15~20:15 第322回 関東産業健康管理研究会 定員:50名(非会員の受講可)
受講料【研究会参加費】
会員:無料
非会員医師:2,000円
非会員その他:1,500円
産業医認定希望(別途)】
会員:1,000円
非会員:2,000円
※以上の合計額を徴収
①講演「産業医・産業看護職に役立つ面談技術~「わかっちゃいるけど、つい…」への対応」
2024年10月30日 (水) 15:00~17:00 東京都医師会・世田谷区医師会産業医研修会 定員:100名(非会員の受講可/当日徴収)
受講料
東京都医師会員: 3,000円
都道府県医師会員: 5,000円
非会員:5,000円
①実地「職場巡視及び体験実習(最新の自動化・省人化技術とそこで働く労働者の健康管理)」
2024年11月10日 (日) 9:10~12:20 令和6年度 第18回産業医のためのレベルアップセミナー「治療と仕事の両立支援における産業医の役割」 定員:50名(非会員の受講可/事前徴収)
受講料
中災防賛助会員:17,820円
一般:19,800円
①実地「治療と仕事の両立支援における産業医の役割」
2024年11月23日 (土) 9:30~17:00 令和6年度 第18回産業医のためのレベルアップセミナー「治療と仕事の両立支援における産業医の役割」 定員:24名(非会員の受講可)
受講料:無料
①実地「ケースメソッドを用いたメンタルヘルス不調者支援の検討その1」
②実地「ケースメソッドを用いたメンタルヘルス不調者支援の検討その2」
2024年11月28日 (木) 18:30~19:30 日本医師会認定産業医研修会 定員:50名(非会員の受講可/事前徴収)
受講料:3,000円
①講演「健康診断の事後措置」
2024年12月1日 (日) 13:40~16:50 令和6年度第21回産業医のためのレベルアップセミナー 定員:50名(非会員の受講可/事前徴収)
受講料
中災防賛助会員:17,820円
①実地「トラブル防止のための産業医実務Q&A」
2024年12月8日 (土) 10:10~16:30 第12回 産業医のためのレベルアップセミナー(更新・専門) 定員:80名(非会員の受講可/事前徴収)
受講料
中災防賛助会員:22,770円
一般:25,300円
①講演「労災補償制度の基礎知識ー脳・心臓疾患および精神障害に焦点をあてて」
②講演「産業医実務に必要なメンタルヘルスの理論と実践:理論編」
2024年12月14日 (土) 15:00~18:00 第6回 日本医師会認定産業医生涯研修会 定員:120名(非会員の受講可/事前徴収)
受講料:11,000円
①講演「近年の安衛法改正等(心理的負荷による精神障害の労災認定基準の改正について)」
②講演「メンタルヘルス対策総論(大原則、二つの健康管理、三原則)
2024年12月21日 (土) 12:30~17:55 東京都医師会・東京大学医師会産業医研修会 定員:300名(非会員の受講可/事前徴収)
受講料
東京都医師会員:12,000円
道府県医師会員:12,000円
非会員:12,000円
東京医科大学医師会員:10,000円
①講演「産業医と健康経営」
②講演「産業医と人的資本経営」
③講演「産業医とパワハラ対策~感情のコントロール手法について~」
④講演「精神障害の労災認定基準」
⑤講演「職域における健康・検診の考え方」
2024年12月21日 (土) 13:00~18:10 東京都医師会・東京医科大学医師会産業医研修会 定員:200名(非会員の受講可/事前徴収)
受講料
慈恵医師会会員:12,000円
東京都医師会員:14,000円
都道府県医師会員及び非医師会員:16,000円
①講演「産業医活動に活かすナッジ」
②講演「事業場におけるメンタルヘルス対応~産業医面談におけるコツと注意点」
③講演「就労女性の健康管理と今後の課題について」
④講演「有害物質の自律管理における産業医の役割」
⑤講演「事務系職場の産業医活動~職場巡視のコツ」
2025年1月26日 (日) 13:00~17:15 東京都医師会・慈恵医師会産業医研修会Ⅱ(午後の部) 定員:200名(非会員の受講可/事前徴収)
受講料
慈恵医師会会員:12,000円
東京都医師会員:14,000円
都道府県医師会員及び非医師会員:16,000円
①実地「今さら聞けない安全衛生保護具の基礎知識-化学防護手袋の選択-」
②実地「化学物質のリスクアセスメント-クリエイトシンプルを使ってリスクを見積もってみよう!-」
③実地「職場における熱中症予防対策」
④実地「高年齢者労働者の安全と健康確保に向けて-エイジフレンドリーガイドライン」

参考:研修会開催スケジュール│東京都医師会

上記のほかにも数多くの研修が行なわれているため、ぜひ東京都医師会のホームページをご確認ください。

エス・エム・エスのリモート産業保健で、理想の産業医を探そう!

エス・エム・エスのリモート産業保健では、産業医の選任からストレスチェック、産業医面談、職場巡視、各種産業保健業務にともなう事務作業までをトータルサポートします。

会社概要

  • 会社名:株式会社エス・エム・エス (英語表記)SMS Co.,Ltd.
  • 本社所在地:東京都港区芝公園2-11-1 住友不動産芝公園タワー
  • 設立日:2003年4月4日
  • 東証プライム市場上場(証券コード:2175)
  • 企業URL:https://www.bm-sms.co.jp/

特徴

エス・エム・エスは、「高齢社会に適した情報インフラを構築することで人々の生活の質を向上し、社会に貢献し続ける」ことをミッションに掲げて、高齢社会が直面する以下のような社会問題の解決を目指しています。

  • 質の高い医療、介護のサービスの提供が困難になる
  • 現役世代の負担がより深刻になる
  • 高齢社会の生活にまつわる困りごとの解決が困難になる

リモート産業保健の特徴

そんなエス・エム・エスが運営するリモート産業保健は、充実したサポートにより、初めて産業医を選任する企業様を含め、多くの法人様から選ばれています。リモート産業保健のおもな3つの特徴は、以下のとおりです。

安心・手厚いサポートを業界最安値価格でご提供

法令業務対応基本プランは、業界最安値水準の月額3万円からとなっています。産業医訪問、ストレスチェック代行、衛生委員会サポートに加えて、産業看護職による面談や業務のサポートも行なっており、産業保健必須業務をすべて任せられるトータルパッケージとなっています。

人事労務の業務負担軽減と従業員への充実したメンタルケアを両方実現!

「法律が複雑で面倒……」と不安なご担当者様のために、貴社に1名の産業看護職が担当としてつき、産業医との連携や事務作業、記録の作成、事前準備、事前面談など、産業保健に関する業務やご相談を承ります。

また、産業医・産業看護職の2名体制による、充実したメンタルヘルスケアも行ないます。高ストレス層だけではなく、中ストレス層もしっかりケアして心身のサポートを行ないます。

ご意向・事業拡大に合わせてぴったりなプランをカスタマイズ

常時使用する労働者数が50人以上の事業場における法令遵守から、メンタルヘルス対策、健康経営のサポートまで、訪問やリモート(Web/ICT活用)をかけ合わせて、貴社に合ったプランをご提案・お見積もりします。

リモート産業保健における産業医の紹介は、お問い合わせを受けてから企業様のご要望に合わせたヒアリング、お見積もり、ご契約という流れで行ない、最短2週間で紹介が可能です。産業医の選任をお急ぎの方はもちろん、ご検討中の方も、まずは資料をダウンロードまたはお問合せください。

リモート産業保健サービス資料
【関連お役立ち資料】

よくある質問:東京都の産業医に関するQ&A

Q1:産業医の役割は主治医とどう違うのですか?

産業医は、労働安全衛生規則第13条第2項に基づき、「労働者の健康管理を行なうのに必要な医学に関する知識について厚生労働省令で定める要件を備えた者」と定められています。一方で、主治医は医師法や健康保険法などで定められており、法律が異なります。

対象者についても、産業医は「労働者」なのに対し、主治医は「患者」であり、主治医は診察や検査などの診療行為ができますが、産業医はできません。産業医は、事業場で働く従業員に対して、健康診断事後措置や面談などを通して健康障害を予防し、心身の健康の保持や増進を目指したアドバイスを行ないます。

Q2:産業医はどのように探したらよいのでしょうか?

さまざまな方法がありますが、おもな方法は以下の5つです。

  • 事業場所在地の医師会に紹介してもらう
  • 定期健康診断を受けている医療機関に紹介してもらう
  • 自社の人脈を活用する
  • 地域産業保健センターに相談する
  • 産業医紹介サービスを活用する

Q3:産業医が持っている資格は何かありますか?

「産業衛生専門医」「労働衛生コンサルタント」などがあります。産業衛生専門医は、内科や外科など臨床分野で専門医を持っているのと同様に、産業医分野における専門医資格です。受験資格は以下のとおりです。

  1. 医師免許証を取得後、5年以上を経過していること
  2. 専攻医名簿に登録されていること
  3. 指導医の所属する研修施設等において、指導医の指導の下で研修施設における9単位以上の産業医研修を修了している
  4. 指導医が専門医資格認定試験を受けるにふさわしい能力があることを確認していること
  5. 産業保健に関する研究の実績があり、その成果が以下のいずれかの方法で学会の学術集会、機関誌等(以下が該当)において発表されていること(社会医学系専門医取得者(経過措置社会医学系専門医及び指導医は除く)は社会医学系専攻医期間の研究業績も承認されます)
    ※1.日本産業衛生学会(総会)又は産業医・産業看護全国協議会で第1発表者として1演題、若しくは地方会において第1発表者として2演題以上の実績があること
    ※2.日本産業衛生学会誌又はJournal of Occupational Health又はEnvironmental and Occupational Health Practiceで第一著者として1論文以上の実績があること
    ※3.日本産業衛生学会ホームページに良好実践事例(GPS)を第一著者として1例以上発表していること
  6. 社会医学系専門医を取得していること、あるいは社会医学系基本プログラムを修了していること

引用:産業衛生専門医資格の認定試験|日本産業衛生学会専門医制度委員会

一方で、労働衛生コンサルタントは国家資格の一つであり、事業者に対して安全衛生面の指導を行ないます。筆記試験に加えて口述試験があり、簡単に取得できる資格ではありません。ですので、取得している産業医は企業にとって頼もしい存在になるでしょう。

東京都は産業保健への理解が求められるエリアのため、事業場のニーズにもよりますが、産業医資格に加えて上記のような資格を持っている産業医であれば、心強いのではないでしょうか。

参考:コンサルタント試験|一般社団法人日本労働安全衛生コンサルタント会

まとめ

産業医には労働者の健康と安全を守る役割があり、事業場の労働者数により専属産業医と嘱託産業医に分類されます。産業医のいない事業場で突発的に相談や指導が必要になった場合は、スポット契約も有効です。

本記事では産業医の探し方を6種類紹介しましたが、自社に合う産業医を確実に見つけたい場合には、産業医紹介会社を利用するのがよいでしょう。

初めて産業医を選任する事業場には、リモート産業保健がおすすめです。
リモート産業保健は、産業看護職が従業員の面談対応や相談窓口も役割を持ち、休職・復職者のメンタルケアからメンタル不調者にも早期に介入するため休職リスクを未然に防止できます。

現在、導入企業数は1000社を超え、人事労務担当者一人での産業保健体制の立ち上げやグループ各法人・各工場で統一した法令対応、新卒従業員の離職率を最大20%改善するなど実績が多数積み上がっています。

リモート産業保健を導入した理由:導入事例_1

まず、費用面で割安と感じました。また、本社とは別の工場や県外にある別グループ法人も、リモート産業保健であれば同じ支援内容で契約でき、本社で運用管理できるメリットがあったことが決め手でした。

>>導入事例1を詳しくみる

リモート産業保健を導入した理由:導入事例_2

人事課として従業員のメンタルヘルス対策について調べていく中で、産業看護職の面談も効果があることを知り、他の類似するサポートと比較検討することになりました。リモート産業保健の方と商談を重ねた結果、より低いコストで自社の望んでいるサポートをしてもらえると感じたため、導入を決定いたしました。
特に、法令順守対応である産業医の選任がすばやくできる点、多くの従業員の面談を実施できる点、必要時に面談の結果を会社へフィードバックしてくれることで、情報連携がスムーズにおこなえる点が弊社にとって魅力的だと感じました。

>>導入事例2を詳しくみる

顧客満足度95%と契約企業の支持率も高いサービスですので、産業医選任や産業保健の体制構築からメンタルヘルス対策など、お困りの企業担当者はぜひご検討ください。

リモート産業保健
【産業保健関連サービス】

また下記のとおり、産業医を選任する際に必要となる知識や、産業保健活動における大事なポイントなどを押さえたガイドブックをご用意しています。初めての産業医の選任に不安のある方は、ぜひ資料をダウンロードまたはお問い合わせください。

産業医選任ガイドブック
【関連お役立ち資料】
「そのほかにおすすめなお役立ち資料」はこちら 職場メンタルヘルス実践ガイドブック産業保健師監修/職場メンタルヘルス実践ガイドブック 産業医面談完全ガイドブック 人事労務担当者が必ず知っておきたい、法令違反対策のための労働安全衛生法のポイント_表紙画像 (2)【産業保健師監修】はじめての労働安全衛生法ガイドブック