東京都港区は、ビジネス街として多くの企業が集まるエリアです。そのため、労働者の健康と安全管理を担う産業医の需要も高まっています。
この記事では、港区の産業医の報酬相場や、区内の産業医事情を詳しく解説します。また、港区の企業が産業医を見つけるための具体的な方法や、最適な産業医を選ぶポイントもご紹介します。
産業医選任やオンライン・訪問面談、職場巡視、
衛生委員会の立ち上げ・運営など産業医と産業看護職2名体制で支援
港区の産業医の規模
令和4年時点で、東京都の医師数は4万8,578人と、全国の医師数の約14%を占めています。東京都では約5万人の医師が登録されているものの、実際にメイン業務を産業医として届け出ているのは458人です。
港区の産業医の規模をみていくと、港区における医師数は3,368人ですが、実際に届け出を行なっているのは127人です。
一見少ないように見えますが、多くの産業医は、医療機関で診療などの業務を行ないながら産業医としての役割も兼任しています。そのため、届け出の数には反映されていない場合が多く、実際の産業医の人数はそれ以上であると見られます。
千代田区の医師数は1,935人、渋谷区では1,544人、品川区では1,750人と、周辺の地区と比較して港区は医師数が多い地域の一つです。そのため、医師数・産業医数ともに需要も高いエリアと考えられています。
出典:医師・歯科医師・薬剤師統計 / 令和4年医師・歯科医師・薬剤師統計 医師|e-Stat
地域産業保健センターについて
地域産業保健センターとは、労働者数50人未満の小規模事業場の事業者や労働者を対象に、健康管理や産業保健活動の関連業務のサポートを行なう相談窓口です。
地域ごとに担当するセンターが設置されており、具体例は以下のとおりです。
港地域産業保健センター:港区
東京城北地域産業保健センター:豊島区、練馬区、板橋区
東京中央地域産業保健センター:千代田区、中央区、文京区、伊豆諸島 など
これらのセンターは、各地域の小規模事業場における労働者の健康維持と安全な職場環境の確保に重要な役割を果たしています。対象となる事業者や労働者は、自身の所在地を管轄するセンターに相談することで、専門的なアドバイスや支援を受けることができます。
地域産業保健センターを利用するメリット・デメリットは本記事の後半で紹介しているため、そちらもご確認ください。
港区の産業医へのおもなお問い合わせ理由
港区の産業医へのニーズの具体例としては、以下が挙げられます。
- メンタルヘルス対策の相談
- 法令遵守
- 長時間労働による健康リスク管理
- 健康診断結果に基づく医師の意見聴取
- 退職する産業医の後任依頼 など
これらのニーズは、労働者の健康維持や法令遵守、効率的な健康管理体制の構築など、企業の持続的な成長に直結します。企業の根幹にかかわる課題であるため、産業医のニーズとして多い傾向があると考えられます。
港区の産業医の報酬相場
港区における産業医の報酬相場は、企業の規模や業種、求められる業務内容によって大きく異なります。都心部に位置する港区ならではの特徴や課題を踏まえて、港区での報酬相場について詳しく解説します。
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産業医への報酬相場は安い?社員別の費用や選び方による違いも解説港区の専属産業医の報酬相場
専属産業医とは、特定の企業と契約を結び、常勤として働く産業医のことで、一般的な報酬相場は、週1日の勤務で年間300〜400万円程度、週4日の勤務では年間1,200〜1,500万円程度とされています。また、勤務日数は法令で明確に定められていませんが、週3.5〜4日程度の勤務が一般的です。
港区の場合、上記よりも相場報酬は高い傾向があります。その理由は、港区が東京都心に位置し、多くの大企業や外資系企業が集中する地域であるためです。具体的な金額は企業規模や業務内容によって大きく異なりますが、特に専門性の高い専属産業医の場合、報酬が高くなる可能性があります。
なお、法令上、常時1,000人以上の労働者を使用する事業場(特定の有害業務がある場合は、常時500人以上の労働者を使用する事業場)では、専属産業医の選任が義務付けられています。さらに、常時3,001人以上の労働者を使用する事業場では、2名以上の専属産業医が必要です。
港区の嘱託産業医の報酬相場
嘱託産業医とは、常時50〜999人の労働者を使用する事業場において、非常勤で勤務する産業医のことです。港区における嘱託産業医の報酬相場は、専属産業医と同様の理由で、一般的な相場よりも高めの傾向にあります。
嘱託産業医とは、常時50〜999人の労働者を使用する事業場において、非常勤で勤務する産業医のことです。港区における嘱託産業医の報酬相場は、専属産業医と同様の理由で、一般的な相場よりも高めの傾向にあります。
勤務の頻度は、月に1回程度が一般的です。日本の産業医の大部分がこの形態で働いており、従来の医療業務(勤務医や開業医)と並行して産業医業務を行なっています。
報酬は事業場の規模や業務内容、訪問回数、地域などによって異なりますが、一例として日本橋医師会が以下のとおり公表しています。
労働者数 | 基本報酬月額 |
---|---|
50人未満 | 75,000円~ |
50~199人 | 100,000円~ |
200~399人 | 150,000円~ |
400~599人 | 200,000円~ |
600~999人 | 250,000円~ |
※ストレスチェックや健康診断の実施、予防接種などの費用は含まれていません。
出典:産業医報酬基準額について|日本橋医師会
港区で嘱託産業医を専任する場合、報酬は上記の相場よりも高めになる可能性があるでしょう。
港区で産業医の選任にかかるコストの種類
港区での産業医選任には、産業医に支払う報酬以外にも、選任までにかかるコストや日常の運営コスト、交代にかかるコストなど、さまざまなコストが発生します。
ここでは、港区の特性を踏まえ、産業医紹介会社を利用した際の手数料も含めた産業医選任に関連する主要コストを解説します。
産業医の選任までにかかるコスト
港区に限りませんが、産業医選任においては、適切な人材を探すための時間と労力が必要です。自社に合う産業医を見つけるのは容易なことではなく、特に専門性や経験、英語力などの特殊なスキルを求める場合は、その難易度が一層高まります。
東京都は日本で最も産業医が多い地域ですが、港区を含む都心部では多くの企業本社が集中しているため、産業医の需要も非常に高くなっています。そのため、適切な産業医を見つけるのに予想以上の時間がかかる可能性も考慮する必要があります。
なお、法令上、常時50人以上の労働者を使用する事業場では、「14日以内」に産業医を選任しなければなりません。この期限を守れない場合、労働安全衛生法120条に基づき50万円以下の罰金が科される可能性があり、迅速な対応が求められます。
期限があることも考慮し、早めに行動することが大切です。
産業医の選任後にかかるコスト
港区で産業医の選任後にかかるコストは、基本報酬と追加業務費用に分けられます。基本報酬には定期的な健康管理業務が含まれますが、ストレスチェックや健康診断、有害業務対応といった業務には別途費用が発生することがほとんどです。
また、嘱託産業医の場合、定期的な来社や業務内容の伝達にかかるコミュニケーションコストも重要です。港区の企業は比較的規模が大きいため、産業医の訪問や業務を効率的に計画し、無駄なコストを抑えることが求められます。
さらに、大企業からベンチャー企業までさまざまな企業が存在するため、それぞれの健康課題に合わせた産業医の選任と継続的な連携が成功の鍵といえるでしょう。
採用した産業医が自社に合わないときにかかるコスト
採用した産業医が自社に合わない場合も、さまざまなコストがかかります。まず、「希望する業務に対応してもらえない」「専門外の対応が不十分」などの場合に生じるのが、改善に向けた話し合いや産業医が専門外の分野を学ぶための研修にかかるコストです。
また、産業医の交代が必要になると、新たな産業医を探すための時間と労力がかかったり、契約書に記載された違約金や解約手数料が発生したりする可能性もあります。さらに、産業医不在の期間が発生した場合、法律違反と見なされるかもしれません。
港区の企業の産業医には高度なスキルや専門性を求められることが多いため、できる限り不要なコストをかけないよう、産業医に期待する役割や成果を事前に明確にして伝え、ミスマッチを防ぐことが重要です。
産業医紹介会社に支払う手数料
産業医紹介会社を利用する際には、通常2種類の料金が発生します。まず、産業医の紹介や契約手続きに対する一時的な紹介手数料があり、これは0円~産業医の想定年収の20%程度です。
また、継続的なサービスを受ける場合は月額料金も発生します。さらにこのとき、産業医報酬の約30%程度の手数料が上乗せされる場合があります。これらの手数料は、一見するとコストの増加に見えますが、自社に最適な産業医を効率的に見つけられるというメリットを考慮すると、長期的には費用以上の効果が得られる可能性が高いです。
特に港区は、さまざまな業種の企業が集中し、産業医獲得の競争率も高い地域です。そのため、産業医紹介会社を積極的に活用して、自社のニーズに合った専門性の高い産業医を手間なく見つけることも、経営戦略といえます。
港区での産業医の探し方
港区は、東京都のなかでも特に多様な業種や規模の企業が存在する地域です。そのため、産業医の需要も高く、適切な産業医を見つけることが企業の健康経営において重要な課題となっています。ここでは、港区で最適な産業医を探すための方法を紹介します。
港区の医師会からの紹介
港区での産業医探しの選択肢として、港区医師会からの紹介があります。東京都内には48の地区医師会があり、そのうちの一つが港区医師会です。
医師会からの紹介を利用する大きなメリットは、地域の医療事情に精通した産業医を紹介してもらいやすいことです。特に港区は国際的な企業が多く、独特の労働環境がある企業も多いため、この地域特性を理解した産業医の紹介は貴重です。
一方で、医師会は「紹介のみ」のサービスであるため、産業医との交渉や連携は企業側で行なわなければなりません。また、「港区内」という地域限定のため、選択肢が比較的少なくなる可能性もあります。
特定分野に詳しい産業医が必要な場合は、事前に産業医の専門性を医師会に確認することをおすすめします。また、国際的な企業文化に対応できる産業医の紹介を依頼するのも一つの手でしょう。
港区の健診機関からの紹介
港区での産業医探しの方法として、健診機関からの紹介も有効な選択肢の一つです。この方法のおもなメリットは、自社の従業員がすでに健診を受けている医療機関からの紹介である点です。会社の状態を理解してもらいやすいため、会社・医療機関・産業医の三者間の連携がスムーズに進みやすいでしょう。
また、既に関係が構築されているため、安心して連携を取れることも大きな利点です。一方で、健診機関に所属する産業医の数は限られているため、選択肢が少なくなる可能性があります。また、健診期間中は多忙なので、自社の希望通りに働いてもらえない場合もあります。
幅広い専門性と対応の柔軟性が重要となりやすい港区では、健診機関からの紹介以外の方法(例:産業医紹介会社の利用)を併用することをおすすめします。
港区の地域産業保健センターの活用
港区の地域産業保健センター (港地域産業保健センター)は、平成9年6月に東京労働局の委託を受けて、港区医師会館内に開設された施設です。この施設は、特に常時使用する労働者数が50人未満の小規模事業場向けに、重要な産業保健サービスを提供しています。
小規模事業場であれば、健康診断結果についての医師からの意見聴取や、長時間労働者・高ストレス者に対する面接指導などの産業保健サービスを無料で受けられる点が大きなメリットです。
ただし、利用回数に制限があり、常時使用する労働者数が50人以上の事業場は利用できない点はデメリットです。なお、相談対応は1事業場当たり2回まで、労働者1人当たり2回までとなっています。
港地域産業保健センターを利用するためには、まず事業場としての登録が必要なので、「特定健康相談・面接指導等登録申込書」に必要事項を記入して郵送し、事前に登録しておくことをおすすめします。
港区はスタートアップ企業やグローバル企業も多いため、小規模の企業は産業保健センターのサービスを最大限活用することが重要です。
産業医紹介会社の活用
産業医紹介会社の活用は、特に港区のような多様な企業が集中する地域では効果的な選択肢となります。おもなメリットは、産業医を探す手間や労力が大幅に削減されることです。また、産業医の交代が必要になった場合も紹介会社が仲介してくれるため、スムーズな移行が可能です。
さらに、法令遵守やストレスチェックの代行などの関連サービスを一括で提供する会社もあり、そのような会社を利用すれば、総合的な産業保健管理が可能になります。
一方で、手数料が必要となるため、ほかの方法より費用が高くなる傾向があります。しかし、産業医紹介会社の利用にかかる費用は、法令遵守やリスク管理、業務効率化などの観点から、多くの企業にとって必要な経費といえるでしょう。
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産業医の探し方や必要書類などの産業保健基礎知識をつけたい方はこちら
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産業医の探し方5選!方法別のポイントを解説港区で産業医紹介会社を選ぶ際のポイント
港区で産業医紹介会社を選ぶ際は、多様な業種に精通した産業医を多く登録している会社を選びましょう。
また、選任後のフォローやサポートが充実している会社を選ぶことで、港区の企業特有の健康課題にも継続的な対応が期待できます。グローバルな環境や新しい働き方にも適応した産業保健管理が実現しやすいでしょう。
まとめ
港区は交通の便が良く、多様なビジネス拠点が集中する地域です。そのため、企業の安全衛生管理体制の要である産業医に求められるスキルや専門性は高くなっています。
港区に本社を置くエス・エム・エスの「リモート産業保健」サービスでは、月額3万円から産業医選任や法令遵守支援を提供し、産業医と産業看護職の2名体制で労働者の健康管理を総合的にサポートします。「産業医を探している」「選任後のフォローも行なってほしい」など、継続的かつ柔軟なサポートをご希望の事業者・企業担当者様はお気軽にご相談ください。
リモート産業保健は、産業看護職が従業員の面談対応や相談窓口も役割を持ち、休職・復職者のメンタルケアからメンタル不調者にも早期に介入するため休職リスクを未然に防止できます。
現在、導入企業数は1000社を超え、人事労務担当者一人での産業保健体制の立ち上げやグループ各法人・各工場で統一した法令対応、新卒従業員の離職率を最大20%改善するなど実績が多数積み上がっています。
まず、費用面で割安と感じました。また、本社とは別の工場や県外にある別グループ法人も、リモート産業保健であれば同じ支援内容で契約でき、本社で運用管理できるメリットがあったことが決め手でした。
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