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- 「産業医を選任したいが、費用がどのくらいかかるのかよくわからない……」
- 「産業医はどこで探したら良いのか教えてほしい」
- 「産業医に支払う報酬の会計処理や源泉徴収がどうなるか知りたい」
上記のような疑問はありませんか?
いざ産業医を選任するとなると、契約する側として知っておくべき内容はいくつもあります。そこで本記事では、産業医選任前に知っておきたい産業医の報酬額の相場やコストの内訳、産業医の探し方、会計処理・源泉徴収の注意点について徹底解説します。
産業医の報酬について調べる前に!知っておきたい基礎知識
産業医の報酬は、勤務体系によって変わります。まずは、産業医の報酬について理解を深めるための基礎知識について解説します。
そもそも産業医とは?
「産業医」とは、労働者が健康で安全に働けるよう、健康面や職場の環境面について指導や助言を行なう医師のことを指します。
なお、「産業医」と「医師」は少し異なります。「産業医」は医師免許を持ち、さらに厚生労働省が定める要件(労働安全衛生規則第14条第2項にて規定)を備えたものでなければならないとされています。つまり、すべての「医師」が「産業医」として働けるわけではないため、「産業医」と「医師」を混同しないように注意しましょう。
産業医の選任義務が発生する条件
産業医の選任は、労働安全衛生法施行令第5条において常時使用する労働者が50人以上の事業場で義務付けられており、労働者が50人未満の事業場でも、医師などに労働者の健康管理などを行なわせることが努力義務とされています。
ここでいう事業場とは、支所や支店、営業所、店舗、工場などの、組織上、ある程度独立して業務を行なっている単位のことです。つまり、同じ企業でもそれぞれの事業場で労働者数が50人以上である場合には、その事業場ごとに産業医を選任する必要があります。
さらに、産業医は常時使用する労働者数に応じて、人数や雇用形態(専属・嘱託)が定められています。詳しい内容は以下のとおりです。
-
労働者数が常時50人以上999人以下:1名以上選任(専属・嘱託は問わない)
※ただし、労働安全衛生規則第13条第1項第3号にあげる有害業務に従事する場合は、労働者数が常時500人以上で専属産業医が必要 - 労働者数が常時1,000人以上3,000人以下:1名以上選任(専属)
- 労働者数が3,001人以上:2名以上選任(全員専属)
自社の産業医選任について検討する際には、「特定有害業務に従事していないかどうか」「労働者は常時何人いるか」を確認し、上記条件に当てはめていくとよいでしょう。
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専属産業医と嘱託産業医の違い
産業医は勤務形態によって、「専属産業医」と「嘱託産業医」の2種類に分けられます。
専属産業医は、企業と直接契約を行ない、常勤の産業医として勤務します。企業の一労働者と同様の雇用形態になるため、週に3~5日出勤することが多いでしょう。
対して嘱託産業医は、企業と業務委託契約を行ない、非常勤の産業医として勤務します。嘱託産業医の場合は、月1~2回程度、事業場へ訪問し、産業医業務を行ないます。
勤務頻度や形態が異なるため、業務量に違いが生じますが、基本的な職務内容は同じと考えてよいでしょう。
産業医の報酬相場
ここでは、産業医の報酬の相場について紹介します。前項で説明したとおり、専属産業医と嘱託産業医は勤務形態が異なるため、それに応じて報酬にも差が生じます。
専属産業医の報酬相場
専属産業医の場合、一般的には週1回の勤務で、報酬が300~400万円程度といわれています。専属産業医は基本的に常勤となるため、週3~5日勤務が一般的です。仮に週5日勤務した場合には、1,500万円以上が報酬相場となります。
嘱託産業医の報酬相場
嘱託産業医の場合は、基本的に月に1~2回の勤務ですが、報酬は勤務日数だけではなく、事業場の労働者数によっても異なります。
参考として、日本橋医師会が公表している産業医報酬基準額を紹介します。
- 50人未満:75,000円~
- 50~199人:100,000円~
- 200~399人:150,000円~
- 400~599人:200,000円~
- 600~999人:250,000円~
なお、上記の基本報酬額には、ストレスチェックや健康診断の実施、予防接種などは含まれていません。さらに、面接指導を行なう場合には別途追加費用が発生するほか、有害業務への対応などによっても、報酬は加算されます。
このほか、産業医の報酬は地域によっても差が生じますが、詳しくは次項で解説します。
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産業医の報酬を決定する要素とは?
産業医の報酬はさまざまな要素によって変動します。例えば、前項で述べているように地域によっても報酬に差が生じます。産業医の数は大都市圏に偏っており、地方になればなるほど適任者を探すのが難しくなるためです。
その他にも報酬を変動させる要素は多くあります。まとめると以下のとおりです。
- 地域
- 契約方法、勤務形態、勤務日数・時間
- 産業医のキャリア、経験
- 産業医に求めるスキル、専門性
- 業務内容(ストレスチェックや面談の実施、健康診断・保健指導、社内研修等)
- 事業場で有害物質を取り扱っているかどうか
- 産業医の探し方
産業医を選ぶ際には、必要な業務を事前にしっかり検討し、自社のニーズに合う産業医を選任することが重要です。報酬をある程度把握したうえで、適正な価格で契約ができるよう、最低限の予備知識を押さえておきましょう。
産業医を選ぶ際には、必要な業務を事前にしっかり検討し、自社のニーズに合う産業医を選任することが重要です。報酬をある程度把握したうえで、適正な価格で契約ができるよう、最低限の予備知識を押さえておきましょう。
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産業医の探し方や契約方法
産業医の報酬は探し方や契約方法によって異なります。ここでは、産業医の探し方を3つ紹介します。
人材紹介会社を利用する
人材紹介会社の利用は、産業医との直接契約ではなく、紹介会社と契約することで産業医を紹介してもらう方法です。人材紹介会社を介して嘱託産業医を選任する場合は「業務委託契約」になることが一般的です。
産業医の報酬は人材紹介会社が支払い、事業場は人材紹介会社に紹介手数料と月額料金を支払います。人材紹介会社が間に入るメリットは、トラブル対応などのサポートを受けられたり、産業医の選任をスムーズに行なえたりすることです。
なお、人材紹介会社を利用した場合であっても、事業場と産業医が直接契約することは可能です。その際には、産業医への報酬に加え、人材紹介会社への紹介手数料を支払う必要があります。
直接契約をする場合であっても、人材紹介会社に登録する産業医から事業場に合う人材を紹介してもらえるため、活用するメリットは大きいでしょう。
ただし、人材紹介会社の利用には契約方法を問わず紹介手数料が必要になるため、費用がやや割高になる可能性があります。
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医師会・医療機関から紹介してもらう
地域の産業医をあっせんしてくれる医師会もあります。医師会に適任者の紹介をお願いする、医師会が公開している会員名簿から産業医を選んで事業場が直接問い合わせるなど、紹介の手順はさまざまです。
医師会に相談した場合には、産業医への報酬が必要になります。ただし、基本的に医師会は産業医を紹介するだけで、報酬額や業務内容の交渉、直接雇用契約を結ぶ手続きなどは事業場側がしなければなりません。
このほか、健康診断を実施する医療機関や健診機関から、産業医を紹介してもらえるケースもあります。この場合、健康診断の依頼と産業医の選任をセットで相談することで、コストを安く抑えられる可能性があります。
ただし、健康診断の時期は繁忙期であるため、産業医の職務の一つであるストレスチェックや高ストレス者面談、休職者面談などに手が回らないおそれがあることを押さえておきましょう。
地域産業保健センターを利用する
地域産業保健センターとは、常時使用する労働者が50人未満の小規模事業場を対象に、産業保健関連のサービスを提供する機関のことです。具体的には、労働者の健康相談や面接指導、健康診断結果による意見聴取などのサービスを提供します。
労働者数が50人未満の小規模事業場が産業保健活動を行なう際には、まずは各都道府県にある地域産業保健センターに相談してみることをおすすめします。
地域産業保健センターは、基本的に無料で利用できます。ただし、小規模事業場のみが対象であり、産業医の選任が必要な規模の事業場は利用できないこと、利用回数に制限があることに注意しましょう。
【産業医報酬】契約に関する注意点
選任する産業医を決めたら、契約書を交わします。ここでは、契約書に記載する項目や契約に関する注意点を紹介します。
契約書に記載する内容
産業医と契約する際には、以下のような項目を契約書に記載します。
- 産業医の選任
- 職務内容
- 個人情報の取り扱い
- 報酬、経費
- 責務
- 補償
- 契約期間
- 反社会的勢力との関与について
- 協議
職務内容を記載する際には、労働安全衛生規則第14条第1項、第15条第1項で規定する職務に加えて、産業医に求める業務内容を細かく記載します。
報酬については、支払日、交通費の扱いまで具体的に記載しましょう。なお、日本医師会のフォーマットに記載されている内容は以下のとおりです。
(報酬)
第5条 甲は、乙の第2条第1項に定める職務に対して報酬として月額〇〇〇〇円を毎月〇〇日までに支払う。交通費・通信費等は別に算出した額を定額支給とする。
2 甲は、乙の第2条第2項に定める職務に対して報酬として1時間当たり〇〇〇〇円を毎月〇〇日までに支払う。
このとき、面談などで契約時間よりも長く勤務する可能性を考慮し、契約時間を超過したときの対応についても記載しておくとよいでしょう。
その他、契約期間の記載も必要です。産業医の契約期間は1年間で自動更新されるのが一般的ですが、直接契約などで1〜5年の有期契約をする企業もあります。契約期間の長さや形式も記載しておけば、更新の際のトラブルを防げます。
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【産業医報酬】会計処理に関する注意点
本章では、産業医の報酬を支払う際の会計処理について解説します。注意点もあるため、事前にしっかり確認しておきましょう。
産業医報酬はどの勘定科目に該当する?
結論から述べると、「医療法人の勤務医」の場合には「福利厚生費」として、「個人事業者である医師(開業医)」の場合には、「給与」として分類されることが一般的です。
勘定科目とは、会社の取引内容をわかりやすく分類するための項目のことです。「なぜお金が入ってきたのか、出ていったのか」を明確にする役割を担います。
医療法人に所属する勤務医に支払う報酬は、医療法人の収入となるため、「給与」には該当しません。事業場側から見ると、労働者の健康保持増進や職場環境の改善などにかかわるサービスに支払う費用であるため、「福利厚生費」として処理するほうが妥当でしょう。
反対に、個人事業者である医師(産業医)に対しては、個人に支払う報酬になるため、「給与」として処理しても問題ありません。
判断が難しいかもしれませんが、会計処理をする際には、選任した産業医が法人の勤務医なのか、個人事業者なのかを確認して勘定科目を分けるとよいでしょう。
産業医報酬は課税対象?源泉徴収は必要?
産業医報酬は、法人に支払う場合は消費税の課税対象で、個人に支払う場合は不課税です。また、源泉徴収は産業医報酬を法人に支払う場合は不要で、個人に支払う場合は必要です。
医療法人が産業医を事業場に派遣した場合の報酬は、医療法人の「その他の医業収入」となるため、消費税の課税対象です。一方の源泉徴収は、給与や利子、配当などの「所得」を支払う際に生じるため、法人への支払いに対しては不要です。
個人事業者である医師(開業医)に支払う場合には、報酬は原則「給与収入」となるため、消費税は不課税で、源泉徴収については必要です。(ただし、個人事業者が法人化している場合は、「給与収入」扱いにはならない。)
上記をまとめると、以下のようになります。
医療法人の勤務医 | 個人事業者の医師 | |
---|---|---|
勘定科目 | 福利厚生費 | 給与 |
消費税 | 課税 | 不課税 |
源泉徴収 | 不要 | 必要 |
まとめ
産業医の報酬相場は、勤務形態や契約方法、事業場の労働者数、業務内容、地域などさまざまな要素で決まります。初めて産業医を探す事業場は、産業医選任に関する基礎知識や相談先を押さえたうえで、準備を進めることが大切です。
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