【人事労務向け】休職診断書のもらい方・提出方法 手続きや必要な対応を詳しく解説

休職診断書のもらい方・提出方法、手続きや必要な対応を詳しく解説

  • 「休職を希望している従業員がいるが、どのような流れで対応するかわからず困っている」
  • 「休職の診断書のもらい方が知りたい」
  • 「従業員から休職診断書を提出されたあと、人事労務が対応する内容を知りたい」

人事労務担当者の方のなかには、休職者対応が初めての方や休職者対応の流れについてお悩みの方は多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、人事労務担当者の方向けに、休職診断書のもらい方から休職にともなう手続きの流れ、人事労務が行なうべき対応、そして産業医についてわかりやすく解説します。

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労働者の休職診断書は提出義務がある?

労働基準法において、休職診断書の提出に関する規定はありません。そのため、提出の義務については企業ごとの就業規則に基づいて判断されます。

就業規則に休職診断書の提出に関する規定がない場合、提出は労働者の任意になり、企業側が提出を強制できません。一方で、就業規則に規定している場合は、企業側が労働者に対して休職診断書の提出命令を出すことができます。

休職診断書の提出義務の有無は、自社の就業規則を確認しましょう。

労働者の休職診断書のもらい方

休職診断書は医師のみが発行できるため、まずは医療機関へ受診しましょう。例えば、メンタルヘルス不調で休職したい場合は心療内科や精神科へ受診します。

診察時に現在の症状や勤怠・就労の状況などを説明し、医師に休職したいことを伝えます。医師の診断の結果、休職が必要だと判断された場合、診断書が発行されます。

ただし、診断確定のために経過観察が必要な場合は、何度か診察したのちに診断書が発行されることもあります。

診断書の費用は保険適用がないため3000〜5000円程度かかり、労働者負担となることが一般的です。また、診断書の発行期間は即日〜2週間ほどですが、医療機関によって異なるため、受診する医療機関に費用や発行期間をあらかじめ確認しておくと安心です。

休職にともなう手続きの流れ

休職にともなう手続きの流れは以下のとおりです。
【ステップ1】休職診断書等の提出
【ステップ2】企業担当者や産業医との面談
【ステップ3】事業者による休職の可否や期間の決定
1つずつ詳しく解説します。

【ステップ1】休職診断書の提出

就業規則に沿って、医療機関の医師から発行された休職診断書や休職願などの必要な書類を準備します。なお、診断書には、患者の情報や病名、経過、治療方針、就労の可否、必要な療養期間などが記載されています。

労働者は上司に提出するのが一般的ですが、関係性により提出が難しい場合は人事労務担当者へ提出することもあります。また、体調の悪化で職場に行けず、直接提出が難しい場合は企業へ電話で連絡し、理由を説明したうえで郵送でも提出可能か確認を行ないます。

【ステップ2】企業担当者や産業医との面談

企業担当者が休職診断書をもとに面談を行ない、以下の内容を確認します。
・休職希望があるか
・復職の意思はあるか、復職できそうか
・配置転換や業務量の調整、時短勤務などの方法で休職を回避できそうか

また、産業医との面談では休職診断書をもとに、以下の内容を確認します。
・心身の不調や生活状況(睡眠・食事など)はどのような状態か
・職場環境や就労状況に問題はないか
・休職が適切かどうか
※産業医や産業医面談の詳しい説明は、本記事の後半で紹介します。

労働者側が休職を希望していても、復職自体が難しいと判断されると休職許可が出ないこともあります。

【ステップ3】事業者による休職の可否や期間の決定

休職診断書や面談、産業医の意見などをもとに、事業者は最終的な休職の可否を判断します。具体的な休職期間や延長の有無などについては法律で定められておらず、企業ごとに異なるため、自社の就業規則を確認しましょう。

仮に、休職期間の満了日までに復帰ができなければ、就業規則に基づき退職、または解雇扱いになる可能性があります。トラブル防止のために、企業側・労働者側ともに就業規則は必ず事前にチェックしましょう。

休職診断書の提出後に人事労務が行なうべき対応

労働者から休職診断書を提出されたら、人事労務担当者は速やかに対応しましょう。ここでは、人事労務が行なうべき対応について解説します。

休職中の連絡手段の確認

企業と労働者は休職期間も雇用関係になるため、労働者が休職に入ったあとも企業側は労働者の健康状態の確認を行なう必要があります。

休職に入る前に、連絡の手段(電話、メール、チャットなど)と頻度(1ヵ月に1回など)、連絡する担当者(人事労務、産業医、産業保健スタッフなど)を決めます。

基本的に連絡する担当者や窓口は一本化し、最小限の頻度に留めておく必要があります。ただし、職場から連絡がないことに不安や焦りを覚える労働者もいるため、労働者に合わせた対応が大切です。

休職中の注意事項の連携

休職期間中のルールや注意事項などを定めることで休職者にかかるストレスを軽減できます。ルールや注意事項については以下のような例が挙げられます。
・休職期間中の過ごし方(自宅療養、帰省、旅行など)
・SNSなどの投稿について
・他の労働者への配慮

病気や怪我の場合は治療や自宅療養に専念することが多いですが、うつ病や不安障害などの精神疾患の場合は帰省や旅行などで回復しやすくなる方もいます。

そのため、一概に禁止することは難しいですが、企業として認められない内容は休職者に事前に伝え、伝えたことを文書に残すことが重要です。

労働者の家族への情報共有

労働者の家族へ情報を共有することで、労働者の健康状態を把握しやすくなります。特に、うつ病やメンタルヘルス不調など精神疾患で休職した場合、会社に連絡することが困難になり、音信不通になるケースがあります。

そのような場合も、企業側が家族と連絡をとることで休職者本人の状態を共有することができ、万が一に対応しやすくなります。

また、企業として休職者へ寄り添う姿勢を伝えたり、疾患に関する情報を家族へ共有したりすることで、家族の不安軽減になるため、協力して取り組むことが重要です。

疾病手当などの情報共有

休職中は生活費や治療費などで普段より経済的な負担がかかります。また、休職中であっても社会保険料の支払いは発生します。労働者が療養に専念できるよう、企業は労働者に対して疾病手当などの情報共有を行ないましょう。

例えば、傷病手当金の申請を行なう場合は「健康保険傷病手当金支給申請書」に必要事項を記入して提出する必要があります。その他、労災保険制度や障害年金、高額療養費制度など、関連する情報の案内も併せて実施しましょう。

産業医の役割

産業医とは、労働者の健康管理と職場の環境整備などを医学的見地から助言や指導をする医師のことです。ここでは、労働者が休職する際の産業医の役割について解説します。

産業医面談

産業医面談とは、産業医と労働者の間で行なう面談のことです。休職前に産業医面談を実施することで、産業医から労働者の心身の状態や就労上の問題、休職の必要性などの意見をもらうことができます。

また、休職中の面談では、症状の回復と就労内容・職場環境を確認したうえで、本当に復職可能かどうか、復職する際の注意点などの意見や指導を受けられます。

産業医面談の実施は、労働者個人への対応だけではなく、全体の職場環境の改善を図れるため、労働者・企業の双方にとってメリットが大きいといえます。

【関連記事】
産業医面談とは?実施する意味やパターン別の目的、実施する際のポイントを紹介

意見書の作成・発行

主治医が診断書を発行するように、産業医は意見書を発行します。意見書とは、産業医面談の結果を踏まえて、事業者が行なうべき措置や対応についての意見をまとめた書類のことです。

労働者が休職する際の意見書では、心身の状態や就労に関する制限(要休業など)について記載されています。また、復職する前の意見書では、復職可能か・復職時に必要な配慮や条件などについて記載されます。事業者は意見書の内容を尊重し、必要に応じて措置を実施します。

主治医の診断書と産業医の意見書の違い

主治医の診断書と産業医の意見書は異なる書類のため、具体的な違いを確認しましょう。
主治医:対象は「患者」で、診断や治療を行なう医師。主治医は患者の立場に立って、病気や怪我の治療をしたり、健康的な日常生活を送ることができるよう必要に応じて健康上のアドバイスを行なったりする立場

主治医の診断書には「疾病や怪我が私生活に支障が起きないかどうか、純粋に医学的な内容」が記載されます。

産業医:対象は「企業と労働者」で、医学的知識をもとに労働者の健康管理や職場環境の整備について助言・サポートする医師。企業・労働者の話を聞いてアドバイスをしたり、措置を検討したりする中立的な立場

産業医の意見書には「疾病や怪我が就労に支障が起きないかどうか、各労働者の職種や労働条件に合わせて治療と仕事を両立するために必要な医学的な内容」が記載されます。

主治医の診断書と産業医の意見書は目的や内容が異なりますが、どちらも事業者が適切な判断をするための大切な資料です。

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まとめ

休職診断書の提出は法律上の義務ではありませんが、企業ごとの就業規則に記載があれば提出する必要があります。診断書は医療機関の医師のみが発行できるため、休職を希望する労働者はまず医療機関を受診し、企業側は受診を促しましょう。

休職・復職者の対応はマニュアル通りにいかないことが多く、ときにはトラブルに発展する可能性があるため、専門家に相談しながら速やかに対応することが大切です。

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