上記のような疑問をもったことはないでしょうか。
産業医面談は産業医と労働者が1対1で行なうため、どのようなことを聞かれるのか、そもそもやる意味があるのかなどわからないことが多く、疑問に思うことも少なくないでしょう。
本記事では、どのようなときに産業医面談が行われるのか、どのような内容を聞かれるのかなど、産業医面談について解説します。
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そもそも産業医面談とは?実施する意味やパターン別の目的、実施する際のポイントなどに興味がある方はこちらの記事をお読みください。

どのようなときに産業医面談が実施される開かれるのか
長時間労働
一定以上の長時間労働がある場合、事業者は産業医面談(医師による面接指導)を実施しなければなりません。なぜなら、2019年の法改正により時間外労働に対する罰則付きの上限が定められたためです。
ただし、長時間労働の上限は通常の労働者の場合と研究開発業務従事者、高度プロフェッショナル制度適用者で異なります。
長時間労働により脳血管疾患やメンタルヘルス不調のリスクが高いことがわかっていますが、長時間労働者は忙しさなどの理由から受診や治療が遅れることが少なくありません。そのため、長時間労働者に対する産業医面談が事業者に義務付けられています。
なお、常時50人未満の労働者を使用する事業場であっても実施が義務付けられている点に注意が必要です。
ストレスチェックで高ストレス者
ストレスチェックは、常時50人以上の労働者を使用する事業場で年1回の実施が義務付けられています。事業者は、ストレスチェックの結果で高ストレス者と判定された労働者が希望した場合、法律に基づき、産業医面談(医師の面接指導)を行なわなければなりません。
仮に、高ストレス者と判定された労働者が産業医面談を希望しなければ、事業者の実施は不要です。しかし、放置すると心身の不調により長期休養が必要になる可能性があるため注意が必要です。
産業医には守秘義務がありますが、産業医が必要と判断した場合は、労働者の同意を得て、企業側に共有される場合があります。ただし、それを理由に企業が労働者へ解雇や勝手な配置転換などの不利益な取り扱いを行なってはいけません。
体調不良
健康診断の結果、異常所見が見られた場合や体調不良が続き、業務に支障が出る場合も産業医面談が行なわれます。産業医は面談や主治医の診断書などをもとに、就労継続が可能かどうかを判断し、必要な措置に関する意見書を企業側に提出します。
その後、企業は産業医の意見書を参考に、休職や時短勤務などの措置を決定します。なお、労働者が通院していない場合は、産業医が文書で医療機関に情報提供を行なうことも可能です。産業医が医療機関の紹介状を作成することが可能です。
産業医は医療機関の勤務医と比べて、担当する企業や労働者の状況を把握しています。そのため、労働者自身の業務内容や勤務状況、労働環境などを踏まえて指導・助言を行なうことができます。
企業が産業医面談を適切に行なうことで、労働者の健康維持と労働環境の整備をすることができるため、体調不良などが見られる労働者がいる場合は積極的に実施しましょう。
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産業医面談の流れについて
産業医面談は、長時間労働やメンタルヘルス不調が見られる労働者に対して行なわれる重要なサポートの一つです。産業医は体調や働き方、職場環境などを労働者から確認し、必要に応じて企業へ改善に関する助言を行ないます。
そのため、企業側は面談前後の対応やプライバシーに関する配慮など、産業医面談の基本的な流れと注意点を整理しておくことが大切です。ここでは、面談前の準備と面談後の対応について解説します。
面談の実施前にやることとは?
面談の実施前に企業側が行なうおもな対応は、以下のとおりです。
- 面談対象者の洗い出しと説明
長時間労働者やメンタルヘルス不調が見られる労働者など、基準に基づいて面談対象者を洗い出し、産業医面談の目的や概要(実施の経緯や個人情報の取り扱いなど)を本人・に説明するとともに、必要に応じて管理者にも共有しておくことが望ましいでしょう。 - 必要な資料の準備
健康診断結果や勤務状況、ストレスチェックの結果、問診票など、産業医が労働者の状態を把握しやすいよう、参考資料をそろえておきましょう。 - 面談日程と環境の調整
面談日程や方法(対面やオンライン)を調整し、対象者に通知(メールや口頭など)を行ないます。労働者が安心して話せるよう、面談場所としてプライバシーに配慮した静かな環境を確保しましょう。
面談後はなにをするのか?
産業医面談後にすべきおもな対応は以下のとおりです。
- 面談結果の記録と保管
面談結果は「産業医の意見書」として企業に提出され、その記録は5年間の保管が義務付けられています(労働安全衛生規則第52条の6第一項)。
出典:労働安全衛生規則|e-Gov法令検索 - 企業としての対応
面談結果をふまえて、勤務時間の見直しや配置転換などを検討します。社内での情報共有は最小限にとどめ、関係者には原則、本人の同意を得たうえで適切に伝えましょう。 - 従業員へのフォローアップ
企業としての対応方針(就業措置や配置転換など)について、従業員の実情をふまえて丁寧に説明・相談を行ないます。必要に応じて支援や追加面談を行ない、継続的にフォローしましょう。
産業医面談では何を話す・何が聞かれる?
身体的な内容について
産業医面談では、睡眠や食事、運動、飲酒、喫煙などの生活習慣について質問されることがあります。眠れない、食欲が落ちた、飲酒量が増えたなどの変化が、病気の前兆になることもあるためです。
健康診断結果の数値に気になる点がある場合は、疾病予防の観点から状況を詳しくたずねることもあります。「注意されそう」「面倒だな」と感じて、平均的な内容で答えてしまう人もいるかもしれませんが、自分の健康を守るためには、正確に伝えることが大切です。
精神的な内容について
精神的な悩みは、評価や人間関係への影響を気にするあまり、上司や同僚には相談しづらいことがあります。そのようなときには、守秘義務があり中立的な立場である産業医への相談は有効な手段です。
実際の面談では、出勤のつらさや気分の落ち込み、不眠、人間関係のストレス、プライベートの悩みなど、さまざまな相談があります。
こうした状況を踏まえ、産業医は「出勤はつらくないか」「夜はしっかり眠れているか」「このまま働き続けられそうか」といった質問を通じて、不調のサインを確認します。
また、「ハラスメントを受けている」「人間関係に疲れて休職や退職を考えている」など、職場に関する悩みも相談可能です。一人で抱え込まず、面談を通して状況を整理し、必要な支援につなげましょう。
就業について
体調不良などが継続している場合は産業医面談を行ない、労働者の症状や状態に応じて就業可能な状態か、業務の調整が必要か、休養が必要かを医学的に判断します。企業は主治医や産業医による意見をふまえて、就業措置や休職について決定します。
休職となった場合は、休職開始後に経済面や今後の見通しが立たないことにストレスを感じたり、復職を焦ったりしてはゆっくり休養できません。休職中の給与や補償、休職期間、休職中のルールなど、企業の担当者に説明を受けたうえで気になることがあればしっかり確認しておきましょう。
なお、自立支援医療の対象となる疾患の場合には、所得などの条件に応じて通院医療にかかわる費用の一部が支給されます。休職中も経済的な負担が少なく通院を継続しやすくなるため、主治医に確認してみましょう。
復職について
復職の際には主治医による診断書が必要です。産業医は主治医と連携しながら面談を行ない、医学的に判断し復職について意見書にまとめて企業に提出します。
復職に向けた面談では、復職可能な状態か、どのような環境であれば継続的に働けるかを確認するための質問がされます。例えば、通院状況、復職を意識してからの日常生活習慣、働くことへの意欲や不安など、細かく確認していきます。
復職面談で取り繕って無理に復帰をしても再び体調を崩すリスクが高いため、面談では無理をせずに今の状況を正直に話しましょう。復職を希望している場合には、まずは生活リズムを整えるなどできることからはじめるとよいでしょう。
復帰後は再発防止のため、産業医が企業や主治医と勤務状況や治療状況などを共有します。定期的に産業医との面談を実施しながら、状況に応じて業務調整などのフォローも行われます。
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退職について
産業医面談で労働者が退職を希望した場合、産業医から無理に引き止めることはありませんが、休職時と同じように労働者の現状を把握するための質問を行なうことがあります。退職理由に業務上の理由がある場合、異動や部署変更、業務内容の見直しなどの対応を行なうことで仕事を続けられる可能性があるからです。
なお、産業医から退職勧告をすることは労働者への不利益になるため法律で認められていません。本人が退職を希望しなければ、一般的にはどのような状況でも休職、時短勤務などを活用した就労を継続するための話し合いが行われることになります。
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産業医面談の効果
産業医には守秘義務があり、面談時の相談内容を労働者本人の同意なく企業に提供することはありません。そのため、同僚には言いづらい仕事の悩みや、上司がかかわるハラスメントなど企業側の人間には話せなかった悩みを聞いてもらうことができます。
仕事とプライベートの切り替えがうまくいかない、プライベートの悩みから仕事が手につかないなど、業務上の悩みでなくても相談しアドバイスをもらうことができます。一人で抱え込まず誰かに話を聞いてもらうことで気持ちが楽になり、精神面に良い効果を与えることが考えられます。
また産業医は、労働者の業務負荷の状況から疾病のリスクを予測して助言を行なうため、労働者一人ひとりの状況に応じた適切なアドバイスを得ることができます。企業に対しても医学的知見をもって助言することから、労働者が個人的に解決することが難しい問題でも対応できる可能性があり、労働者にとっては頼れる存在といえるでしょう。

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産業医面談では人事も上司も同席しない
体調不良や高ストレス者で面談を打診された場合、人事担当者や上司が同席するのではないかと考える人もいるのではないでしょうか。その場合、人事評価などを意識して産業医面談を希望されず、体調不良が悪化することも考えられます。また、会社関係者が同席することで、自分の立場を考え、本音でご相談できない可能性もあります。
実際の産業医面談は産業医と労働者だけで実施するものであり、産業医には守秘義務があります。労働者の同意のないまま企業に情報提供をすることはありませんので、安心して面談に参加しましょう。

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まとめ
産業医面談は、労働者の健康維持と職場環境の改善を両立させるうえで大切な面談です。企業側は産業医面談の目的や効果を理解して、事前準備や面談後の対応を効率的かつ丁寧に進めていきましょう。
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