産業医報酬の相場は安い?社員別の費用目安や選び方による違いも解説

産業医 安い

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20年の看護師歴では、呼吸器内科・神経内科・訪問看護・地域看護(学校検診、幼稚園、民間救急)での経験があります。特に在宅看護や地域医療分野を得意としています。
高齢者を中心とした在宅ケアでは、コミュニケーションを大切にし、利用者の人生観や人生史の語りを傾聴すること、生きがいや希望、叶えたい未来を言語化するサポートをすることなど、その人らしさに寄り添うケアを実践してきました。
看護師ライター活動では、看護師に役立つ情報記事、医療企業メディアでのコンテンツ制作、看護師と子育ての両立を奮闘するママ看護師に役立つ記事、医療機関のSNS投稿文などを執筆してきました。
現役看護師として医療現場の体験をもとにリアルな声や情報を盛り込んだ制作を心がけています。
趣味は、子連れ旅行と野球観戦です。

【略歴】
2001年3月 〇〇看護学校卒業看護師免許取得
2001年4月 総合病院 入職 呼吸器内科病棟と神経内科病棟を経験
 L 実習指導者、学会発表、呼吸療法認定士取得
2010年4月 訪問入浴,デイサービス看護師
2012年2月 結婚のため退職  出産育児期間
2016年2月 訪問看護ステーション 入職
2021年1月 看護師ライター活動開始
2021年10月 小学校検診帯同看護師
2024年6月 民間救急同乗看護師:幼稚園看護師

2001年に正看護師免許を取得後、病院で8年間病棟勤務を経験しました。呼吸器内科では、酸素療法や人工呼吸器管理をはじめ、呼吸機能訓練、栄誉管理に携わりながら日常生活援助を行いました。その後、神経内科病棟に配属になり、神経難病患者の療養支援を経験しています。

病院勤務のあと、地域医療での看護に興味関心を持つようになり、訪問入浴、デイサービス、訪問看護と地域で生活する利用者の生活支援に携わりました。
病院勤務での経験をもとに、在宅で生活する利用者の体調にあわせた安全で快適な環境を整えるサポートや介護系地域サービスとの連携など、利用者とその家族のニーズを満たすために多角的なケアを実践してきました。

その中でも特に大切にしてきたことは、利用者や家族とのコミュニケーションです。ケアの中で語られる人生観や人生史を傾聴し、その人らしい人生の実現ができるサポートを心がけ、人生の希望や目標、叶えたい未来を具体的に言語化・ビジョン化することも得意です。
病院や訪問看護ステーション所属中には、学生指導やプリセプター活動、学会発表の経験もしています。看護のよろこびややりがいを言語化して、つたえること、発信することに使命感をもち社会貢献したいと思っています。

監修者

元々臨床医として生活習慣病管理や精神科診療に従事する中で、労働者の疾病予防・管理と職業ストレス・職場環境の密接な関係認識するに至り、病院からだけでなく、企業側から医師としてできることはないかと思い、産業医活動を開始しました。

また、会社運営の経験を通じ、企業の持続的成長と健康経営は不可分であること、それを実行するためには産業保健職の積極的なコミットメントが必要であると考えるに至りました。

「頼れる気さくな産業医」を目指し、日々活動中しています。
趣味は筋トレ、ボードゲーム、企業分析です。

【保有資格】
・日本医師会認定産業医
・総合内科専門医
・日本糖尿病学会専門医
・日本緩和医療学会認定医

産業医選任にいくらかかるのか、おおまかな報酬相場を知りたいが調べるのが大変
労働者が50名以上になり、産業医選任義務が発生したが、産業医に支払う金額を抑えたい

上記のようなお悩みはありませんか?
産業医の選任や切り替えを検討する際には、産業医の支払い額について気になることも多いかと思います。
本記事では、そんな疑問や悩みに合わせて、産業医の相場がいくらになるのか、産業医の金額が変わるワケ、安い産業医の探し方などについて解説します。

また、月額3万円から企業担当者の業務負担軽減や義務対応を低コストで実施できるサービスもご紹介します。
企業で働く従業員数が50名以上になると、産業医の選任だけでなく、ストレスチェックの実施、衛生委員会の立ち上げ/運営、職場巡視の実施など労働安全衛生法に関連する義務対応が必要になります。そのため、気づいたら義務対応における金額面の費用増加、そして担当者の業務負担も増えていることも少なくありません。低コストで法定義務を満たしたいとお考えの方はぜひご参考にしてください。

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産業医の報酬相場っていくら?

労働者数が50人以上の事業場には、労働安全衛生法第13条により産業医の選任が義務付けられています。ただし、事業場の規模に応じて産業医の人数や種類も異なります。

常時使用する従業員数が1000人を超える場合は専属産業医の選任が必要で、特定の業務に関しては常時500人以上の従業員を使用した段階で専属産業医を選任しなければなりません。

詳しい人数は以下の通りです。

  1. 労働者数50人以上3000人以下の規模の事業場 ・・・ 1名以上選任
  2. 労働者数3001人以上の規模の事業場 ・・・ 2名以上選任

では、先ほどから出ている専属産業医とはどういうことなのでしょうか?ここからは、産業医の種類や報酬について詳しく説明していきます。

専属産業医と嘱託産業医の違い:5つのポイント

まず、専属産業医と嘱託産業医の違いについて、5つのポイントで解説します。

    POINT

  • 【1】雇用形態の違い 専属産業医は一つの会社に専念する医師であるのに対し、嘱託産業医は複数企業の掛け持ちも可能な非常勤医師です。

  • 【2】選任要件の違い 専属産業医は、労働者1,000人以上の大規模事業場で選任が必須で、嘱託産業医は50人以上の事業場で必要です。ただし、999人以下でも有害業務に500人以上が携わる事業所の場合、専属産業医の選任義務が発生するので注意しましょう。

  • 【3】勤務時間の違い 専属産業医が週3〜5日程度勤務するのに対し、嘱託産業医は週1~月数回の訪問です。

  • 【4】報酬の目安の違い 専属産業医は、週1回の勤務であれば年収300〜400万円程度、週4日勤務であれば1,200〜1,500万円程度が目安です。一方、嘱託産業医は訪問回数に応じた報酬を受け取ります。

  • 【5】業務範囲も違い 専属産業医は、労働者の健康管理を長期的かつ包括的に行なうことができる一方で、嘱託産業医は、時間制限の中で基本的な健康管理業務が中心です。

専属産業医の報酬相場:年収300万円〜1,500万円の実態

専属産業医の年収は、企業規模や勤務形態、医師の専門性や経験によって異なります。一般的には、週1日勤務する場合は年間300万円〜400万円程度、週4日勤務する場合は年間1,200万円〜1,500万円程度が目安です。そのほかに報酬を左右する要因として、産業医としての経験年数、事業場の業種や有害業務の有無、立地条件、契約内容や付帯業務などがあげられます。専属産業医は、労働者の健康管理、安全衛生教育、職場環境の改善、労働災害の予防など多岐にわたる業務を担います。長期的なフォローを含め包括的な健康管理が求められるため、業務の内容や複雑さによって報酬に差異がでます。

勤務日数 年俸
週1日 300〜400万円
週2日 600〜800万円
週3日 900〜1,200万円
週4日 1,200〜1,600万円
週5日 1,500〜2,000万円

※一般的な専属産業医の年俸は、以下のように基本給に勤務日数をかけて計算します。
 年俸=(300~400万円)×(週当たりの勤務日数)
※実際の年俸は、地域や業務内容、経験、専門性などにより変動します。

嘱託産業医の報酬相場:月額3万円〜14万円の目安

嘱託産業医の報酬相場も、企業規模や勤務形態によって異なります。一般的には、労働者数が少ない50人未満の企業や勤務頻度が低い場合は月額7.5万円程度ですが、労働者が200人を超える企業では、月額15万円〜程度の報酬相場となります。これらの理由は、専門産業医と同様に、労働者数が多いほど、産業医の業務量が増加するためです。嘱託産業医は、専属産業医と比べて、時間に制限があり業務範囲が限定されることがありますが、企業のニーズに合わせて、週1回〜月数回の訪問で労働衛生管理に関わる業務を行います。企業が嘱託産業医に求める業務内に応じた適切な報酬を設定することが重要です。

従業員数別の嘱託産業医の報酬目安:100人単位で解説

企業が産業医に求める業務内容は、従業員数に大きな影響を受けるため、嘱託産業医の報酬は、従業員数が一つの指標になります。従業員数別にみた嘱託産業医の基本報酬の目安を以下の表でまとめます。

労働者数 50人未満 50~199人 200~399人 400~599人 600~999人
金額 7万5,000円~ 10万円~ 15万円~ 20万円~ 25万円~
備考 法的義務なし・任意契約 基本的な産業医活動 業務量に応じて変動

参考:産業医報酬基準額について | 公益社団法人日本橋医師会 産業保健部委員会

嘱託産業医は、基本的な産業医活動に加え、面談や巡視の回数が増えると業務量の増加にともなって報酬も高額になるのが一般的です。また、ストレスチェックや健康診断の実施、産業医の専門性も報酬に影響しています。

追加業務による報酬の変動要因:3つの主要因

嘱託産業医の報酬は、基本業務以外に追加業務が発生した場合にも増額します。ここでは、嘱託産業医の報酬の変動に影響する3つの主な要因についてまとめます。

  • 要因① 専門性の高さ
    嘱託産業医の追加業務には、高ストレス者へのメンタルヘルスケアなど、基本業務よりも深い専門知識や技術が求められることが多く、追加報酬が発生します。
  • 要因② 個別対応
    一人ひとりの健康状態や労働環境に応じた個別のアプローチが求められる面談や保健指導などの業務には、時間と労力がかかるため追加料金が設定されます。
  • 要因③ 教育・研修業務
    事業場内の衛生教育の実施やメンタルヘルス研修、健康増進セミナーの開催など準備時間や実施時間が通常業務外となる場合も追加報酬の対象です。

産業医の報酬を決定する要素とは?

産業医の報酬はさまざまな要素によって変動します。例えば、前項で述べているように地域によっても報酬に差が生じます。産業医の数は大都市圏に偏っており、地方になればなるほど適任者を探すのが難しくなるためです。

その他にも報酬を変動させる要素は多くあります。まとめると以下のとおりです。

  • 地域
  • 契約方法、勤務形態、勤務日数・時間
  • 産業医のキャリア、経験
  • 産業医に求めるスキル、専門性
  • 業務内容(ストレスチェックや面談の実施、健康診断・保健指導、社内研修など)
  • 事業場で有害物質を取り扱っているかどうか
  • 産業医の探し方

産業医を選ぶ際には、必要な業務を事前にしっかり検討し、自社のニーズに合う産業医を選任することが重要です。報酬をある程度把握したうえで、適正な価格で契約ができるよう、最低限の予備知識を押さえておきましょう。

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産業医を紹介してもらう主な4つの方法を解説

企業規模と従業員数による影響:4段階の報酬変動

産業医の報酬は、企業規模と従業員数に影響を受けます。従業員数が多いほど、産業医の業務量も増えるため、企業は産業医に適切な報酬を支払うことが求められます。

段階 従業員数 報酬の特徴 報酬相場
1 50人未満 小規模企業のため業務量も少なく、報酬は比較的低め。 7.5万円/月~
2 50~499人 従業員数増加にともない業務量も増加。報酬は段階的に高くなる。 10~20万円/月
3 500~999人 従業員数が多く業務内容も複雑化。報酬はさらに高くなる。 20~30万円/月
4 1000人以上 専門性や責任が求められるため、報酬は大幅に高くなる。 300万円/年~

上記内容は目安であり、実際の報酬は産業医の経験や専門性、企業の規模や業種、地域などによって異なります。

勤務頻度と業務内容の違い:週1回vs週4回の比較

産業医は、勤務頻度によって業務内容に違いがでます。週1回勤務では、健康相談や健康診断などが中心となるため、緊急時の対応や継続的なコミュニケーションが不足する可能性がありますが、コストを安く抑えたい企業には報酬の低さがメリットとなります。一方で、週4回勤務では、労働環境改善指導やメンタルヘルス対策など、従業員との密な連携やより深い連携が図れますが、コストがかかります。そのため、産業医に求める業務は、企業の規模やニーズに応じて適切に選択することが重要です。

産業医の経験と専門性:報酬アップの3つのキーポイント

産業医の報酬増額に影響を与える3つのキーポイントを以下にまとめます。

  1. 経験年数、キャリア
    産業医は、医師としてのキャリアが長いほど報酬は高い傾向です。大手企業で活躍した経験や複数の事業場で対応した経歴を持っているとその実績が高く評価されます。
  2. 専門性
    メンタルヘルスや化学物質の管理などの専門資格を持つ産業医は、需要が高く報酬が増額されることが一般的です。また、産業医学分野での研究実績や論文発表がある産業医も最新の知見を実務への適用が期待され報酬に反映されます。
  3. 企業規模
    大企業では、産業医の業務の複雑性や従業員数の多さから、経験豊富な産業医が求められやすく、専属産業医の年収の目安は1,000〜1,500万円と高い報酬が設定されています。

地域による報酬格差:都市部と地方の相場差

都市部と地方では、産業医の報酬に格差が見られます。この格差の理由には、都市部と地方の生活費、競争環境、専門性の需要、企業規模などの違いが複雑に絡み合っています。都市部では、産業医の数が多い反面、競合性も高くなるため、企業は、高い報酬で優秀な産業医を獲得しようとします。また、都市部には、労働者数が多い大企業が多い傾向にあるため、産業医の業務量が増え、報酬も高くなる傾向があります。

契約形態の違いによる報酬変動:個人vs法人の比較

産業医と企業の契約形態には、個人契約と法人契約の2種類があります。個人契約は、報酬交渉の自由度が高く、業務内容を調整できる反面、すべて個人にの責任に帰属するため産業医の負担は大きくなります。片や、法人契約では、法人側に責任があります。産業医は、事務処理や経理などのサポートを受けられることがメリットですが、報酬交渉の自由度が低く、法人側の都合で業務内容が変更される可能性があるというデメリットもあります。

契約形態 メリット デメリット
個人契約 ・報酬交渉の自由度が高い
・業務内容を細かく調整できる
・責任がすべて個人に帰属する
・事務処理や経理など、負担が大きい
法人契約 ・法人側に責任があり個人負担は軽減される
・事務処理や経理などのサポートが受けられる
・報酬交渉の自由度が低い
・法人側の都合で業務内容が変更される可能性がある

産業医の探し方や契約方法

産業医の報酬は探し方や契約方法によって異なります。ここでは、産業医の探し方を3つ紹介します。

人材紹介会社を利用する4つのメリットと2つのデメリット

まずはじめに、人材紹介会社を利用して産業医を探す方法について、メリットとデメリット、対処方法をまとめて紹介します。メリットとデメリットを理解した上で、人材紹介会社を利用しましょう。

メリット
  1. 豊富な選択肢
    人材紹介会社に在籍する多数の産業医から選任できるため、自社で探すよりも求める人材を見つけやすくなります。
  2. 企業のニーズに合ったマッチング
    紹介会社は、産業医の専門性や経験を理解した上で、最適な産業医を企業に紹介するため、スムーズな業務連携が期待できます。
  3. 採用活動の負担が軽減する
    紹介会社は、面接日程調整や応募書類作成などの手続きを代行してくれるため、企業は採用活動時間を節約できます。
  4. トラブル対応などのサポートがある
    産業医と企業の間で何かトラブルが発生した場合や、産業医の変更を希望する場合には、紹介会社のサポートやフォローが受けられます。
デメリット
  1. 紹介手数料が発生する
    紹介会社を利用すると、紹介手数料が発生します。成功報酬として採用後に支払うことが一般的ですが、費用が割高になることもあります。
  2. 紹介された人材以外に選択肢がない場合がある
    紹介会社から紹介された産業医以外に他の産業医と比較検討することが難しいため、複数の紹介会社に登録したり、候補者を複数名紹介してもらったりすることがおすすめです。

医師会・医療機関からの紹介:直接交渉の5つのポイント

地域の医師会や医療機関を通じて産業医を探す方法は、地方で特に効果的です。しかし、業務内容や報酬については企業が直接交渉することになります。ここでは、産業医との直接交渉時に重要となるポイント5つをまとめます。

    POINT

  • 【1】料金体系の明確化 ‐ 事前に基本業務と追加業務の費用を確認する‐ 交通費等の諸経費を確認する

  • 【2】業務範囲を特定する ‐ 定期的な職場巡視の頻度 ‐ 面談実施の条件と回数‐ 緊急時の対応について

  • 【3】スケジュールの調整をする‐ 訪問可能な曜日・時間帯 ‐ 面談予約の方法‐ 急な依頼への対応可否

  • 【4】契約条件を確認する‐ 契約期間の設定‐ 解約条件の確認‐ 守秘義務の範囲

  • 【5】情報共有方法を決める‐ 面談記録の管理方法‐ 報告書の形式‐ 連絡手段の確保

地域の医師会や医療機関を通じて、無料で産業医を紹介してもらえることは大きなメリットになります。また、近所の先生に来てもらえる安心感もあるため、上記の直接交渉時のポイントを押さえておきましょう。

地域産業保健センターの活用方法と3つの注意点

地域産業保健センターは、従業員50人未満の小規模事業場を対象に、無料で産業保健サービスを提供する公的機関です。健康相談や面接指導などの基本的な産業保健サービスの利用ができます。以下に利用する際の3つの注意点をまとめます。

  1. 利用は予約制のため事前に申し込みが必要
    相談枠に限りがあるため早めの予約を推奨します。
  2. サービス内容は制限があるため企業のニーズとの照合が必要
    定期健康診断の実施は対象外です。
    継続したフォローアップには適していません。
  3. 利用可能回数に制限
    年間の相談回数には上限があります。
    複数の事業場での利用時は調整が必要です。

地域産業保健センターを利用する場合は、自社のニーズに合致しているか確認することが重要です。各地域のセンターに直接問い合わせて検討しましょう。

オンライン産業医サービスの選択肢:メリットと導入手順

オンライン産業医サービスは、従来の対面式に比べ、場所や時間の制限が少なく手軽に産業医のサポートを受けられる大きなメリットがあるため、近年注目されています。以下にメリットと導入手順について紹介します。

3つのメリット
  1. 時間・場所の自由
    職場に出向く必要がなく、自宅や出張先などでも利用できます。
  2. コスト削減
    交通費や会議室代などのコスト削減が期待できます。
  3. 迅速な対応
    オンライン相談のため緊急の相談も迅速に対応できます。
オンライン産業医サービス導入手順:5ステップ

ステップ1

サービス提供会社の選定

複数のサービス提供会社で内容の比較検討し、自社のニーズに合ったサービスを選びます。

ステップ2

契約

サービス内容や料金などを確認し契約を締結します。

ステップ3

従業員への周知

利用方法や問い合わせ窓口などを従業員に周知します。また、プライバシー保護や相談内容の守秘義務などについても丁寧な情報提供が不可欠です。

ステップ4

利用開始

サービスを利用開始します

ステップ5

定期的な見直し

サービスの利用状況や効果などを定期的に見直し、必要があれば改善を行ないます。

従来の対面式との比較はこちらです。

項目 従来の対面式 オンラインサービス
場所 産業医のオフィスや事業場 従業員の自宅や職場など状況に合わせて選択可能
時間 産業医や事業場のスケジュール合わせる 従業員の都合や状況を考慮して選択可能
費用 交通費、会議室代など サービス内の料金形態や利用頻度により異なる
対応時間 産業医や事業場の定められた時間内 迅速な対応や状況に応じた対応が可能

オンライン産業医サービスは、従業員の健康管理を効率的に行うための有効な手段です。
自社のニーズや状況に合わせて適切なサービスの導入を検討しましょう。

産業医紹介サービスのメリット

産業医を探す際に、産業医紹介サービスを利用することも可能です。紹介会社が間に入って産業医を紹介してもらう形が多く、さまざまなサポートやフォローを受けることができます。特に初めて産業医を選任する場合や、企業の担当者様が産業医の対応に慣れていない場合、何かあれば紹介会社に相談できるので心強いでしょう。

ここからは、産業医紹介サービスのメリットについて、直接契約の場合と比較しながら紹介します。

リモート産業保健
【産業保健関連サービス】

複数の産業医から自社にマッチした産業医を選べる

事業場によってカラーやニーズが異なるうえ、メンタルヘルス問題に強い産業医や英語が堪能な産業医など、産業医が得意としている分野もさまざまです。また、女性の労働者が多い事業場であれば、女性の産業医のほうが対処しやすいでしょう。

せっかく産業医を選任したのにミスマッチだったという事態は避けたいですよね。産業医紹介サービスでは複数の産業医が在籍しているので、より自社にマッチした産業医を見つけやすいといえます。

万が一ミスマッチになってしまった場合、産業医に直接解任することは伝えにくいうえに、次の産業医を一から探すのは大変です。こういった場合も、産業医紹介サービスであれば紹介会社を通して変更の依頼もしやすく、次の産業医の紹介や選任手続きもサポートして貰えます。

適切な費用請求にできる

企業の担当者様としては、契約後に法外な料金を請求されるリスクは避けたいはずです。料金でもめたときの精神的ストレスや本来の業務への圧迫を考えると、最初からリスクは最小限にしたいところです。

産業医紹介サービスであれば、事前に相場を確認しておくことで適切な費用請求にすることができます。また、契約後に何かあったとしても紹介会社が間に入っているので安心です。

人によっては産業医紹介サービスのほうが高そうなイメージがあるかもしれません。しかし、直接雇用と比較しても相場にさほど違いはなく、むしろミスマッチのリスクを低減でき、問題が起きたときにはサポートを受けられます。そのため、総合的に考えるとコストパフォーマンスは高いといえます。

産業医と企業間の調整をしてくれる

産業医紹介サービスを利用する大きなメリットは、紹介会社が企業と産業医の間に入ってくれることです。産業医と業務をするなかで問題が発生すれば、紹介会社のスタッフが間に入ってくれるので安心して業務に専念できます。問題が起こっていなくとも、産業医とのかかわり方がわからないといった疑問に対してもアドバイスを貰えるでしょう。

万が一産業医を交代するとなった場合も、次の産業医の紹介などの対応をスムーズにしてもらえます。紹介会社やケースによっては、交代時は無償で対応してくれることもあります。このような手厚いサポートやフォロー体制があると、企業の担当者様としては安心ですよね。

産業医選任ガイドブック
【関連お役立ち資料】

産業医紹介周辺のサービスを受けられる

常時使用する労働者が50人以上になると産業医の選任義務だけでなく、衛生委員会を設置して毎月1回以上開催する、ストレスチェックを1年以内ごとに1回実施するなどの義務も発生します。

紹介会社によっては、産業医の紹介だけでなく、衛生委員会の運用支援やストレスチェックの代行といったサービスも提供していることがあります。異なるサービスを利用するより、1つにまとめたほうが管理しやすくメリットといえるでしょう。企業の担当者様としても業務が効率化されるため、産業保健業務の負担軽減が期待できます。

紹介会社の料金設定によりますが、費用面に関してはセット料金で安くなるケースもあります。
参考:安全衛生委員会を設置しましょう|厚生労働省
参考:改正労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度について|厚生労働省

リモート産業保健サービス資料
【関連お役立ち資料】

産業医紹介サービスを選ぶコツ

産業医紹介サービスはたくさんありますので、どこにするか悩んでしまいますよね。より自社にマッチしたものを選ぶためには、どのような視点で選ぶのがよいのでしょうか?ここからは産業医紹介サービスを選ぶコツについてお伝えします。

紹介実績が豊富なサービスを選ぶ

紹介実績がしっかりあるかは必ず確認しましょう。紹介実績があるということは、それだけ産業医を紹介し、さまざまな企業に対応してきたということです。紹介実績を参考に、自社のニーズにあっているかを慎重に検討しましょう。例えば、オフィスでデスクワークをするような企業が多いのか、工場で働くような企業が多いのかなどです。

紹介実績はホームページに掲載されていないこともありますので、直接紹介会社に問い合わせるとよいでしょう。もちろん、疑問や気になることがあれば積極的に確認しましょう。

提案の幅が広いサービスを選ぶ

事業場によってそれぞれ抱えている課題は異なります。有機溶剤などの有害物質を取り扱う工場や長時間労働が多い職場、メンタル不調者が多い職場などさまざまです。

産業医を選任するなら、事業場の課題を解決して欲しいですよね。そのため、産業医紹介サービスを選ぶときは、課題解決のために幅広い提案ができるところがよいでしょう。そのために適任の産業医を紹介できること、フォロー体制が整っているかが大切なポイントとなります。

全国対応可能なサービスを選ぶ

事業場の立地にもよりますが、全国対応可能なサービスを選ぶのがおすすめです。都市部は産業医が多いので探すのに困りませんが、地方になると産業医が少ないのが現状です。そのため、産業医紹介サービスに問い合わせても、地方は断られてしまうケースがあります。

また、最初は都市部で産業医を選任したけれど、数年後に地方の事業場で労働者が50人以上となり、新たに選任の義務が発生する可能性があります。先々のことを考えると、はじめから全国対応可能なサービスを選ぶほうが安心でしょう。紹介会社と長く付き合っていれば、事業場の特徴にあった産業医を紹介してくれるかもしれません。

【産業医報酬】契約に関する注意点

選任する産業医を決めたら、契約書を交わします。ここでは、契約書に記載する項目や契約に関する注意点を紹介します。

契約書に記載する内容

産業医と契約する際には、以下のような項目を契約書に記載します。

  • 産業医の選任
  • 職務内容
  • 個人情報の取り扱い
  • 報酬、経費
  • 責務
  • 補償
  • 契約期間
  • 反社会的勢力との関与について
  • 協議

職務内容を記載する際には、労働安全衛生規則第14条第1項、第15条第1項で規定する職務に加えて、産業医に求める業務内容を細かく記載します。

報酬については、支払日、交通費の扱いまで具体的に記載しましょう。なお、日本医師会のフォーマットに記載されている内容は以下のとおりです。

医療法人の勤務医 開業医 (個人)
勘定科目 福利厚生費 給与
消費税 課税 不課税
源泉徴収 不要 必要

このとき、面談などで契約時間よりも長く勤務する可能性を考慮し、契約時間を超過したときの対応についても記載しておくとよいでしょう。

その他、契約期間の記載も必要です。産業医の契約期間は1年間で自動更新されるのが一般的ですが、直接契約などで1〜5年の有期契約をする企業もあります。契約期間の長さや形式も記載しておけば、更新の際のトラブルを防げます。

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【産業医報酬】会計処理に関する注意点

本章では、産業医の報酬を支払う際の会計処理について解説します。注意点もあるため、事前にしっかり確認しておきましょう。

産業医報酬はどの勘定科目に該当する?

結論から述べると、「医療法人の勤務医」の場合には「福利厚生費」として、「個人事業者である医師(開業医)」の場合には、「給与」として分類されることが一般的です。

勘定科目とは、会社の取引内容をわかりやすく分類するための項目のことです。「なぜお金が入ってきたのか、出ていったのか」を明確にする役割を担います。

医療法人に所属する勤務医に支払う報酬は、医療法人の収入となるため、「給与」には該当しません。事業場側から見ると、労働者の健康保持増進や職場環境の改善などにかかわるサービスに支払う費用であるため、「福利厚生費」として処理するほうが妥当でしょう。

反対に、個人事業者である医師(産業医)に対しては、個人に支払う報酬になるため、「給与」として処理しても問題ありません。

判断が難しいかもしれませんが、会計処理をする際には、選任した産業医が法人の勤務医なのか、個人事業者なのかを確認して勘定科目を分けるとよいでしょう。

産業医報酬は課税対象?源泉徴収は必要?

産業医報酬は、法人に支払う場合は消費税の課税対象で、個人に支払う場合は不課税です。また、源泉徴収は産業医報酬を法人に支払う場合は不要で、個人に支払う場合は必要です。

医療法人が産業医を事業場に派遣した場合の報酬は、医療法人の「その他の医業収入」となるため、消費税の課税対象です。一方の源泉徴収は、給与や利子、配当などの「所得」を支払う際に生じるため、法人への支払いに対しては不要です。

個人事業者である医師(開業医)に支払う場合には、報酬は原則「給与収入」となるため、消費税は不課税で、源泉徴収については必要です。(ただし、個人事業者が法人化している場合は、「給与収入」扱いにはならない。)

上記をまとめると、以下のようになります。

医療法人の勤務医 開業医 (個人)
勘定科目 福利厚生費 給与
消費税 課税 不課税
源泉徴収 不要 必要

産業医紹介サービスならリモート産業保健

「労働安全衛生法に関連する法定義務を低コストで押さえたい」や「休職やメンタル不調の再発を防ぎたい」など、産業医選任や訪問・オンライン面談から、職場巡視、衛生委員会の立ち上げ・運営、ストレスチェックなどの法定義務が月額3万円から導入できます。

さらに、リモート産業保健は、産業医と産業看護職が2名体制でサポートするため、産業看護職が従業員の面談対応や相談窓口も役割を持ち、休職・復職者のメンタルケアからメンタル不調者にも早期に介入するため休職リスクを未然に防止できます。

現在、導入企業数は1000社を超え、人事労務担当者一人での産業保健体制の立ち上げやグループ各法人・各工場で統一した法令対応、新卒従業員の離職率を最大20%改善するなど実績が多数積み上がっています。

リモート産業保健を導入した理由:導入事例_1

まず、費用面で割安と感じました。また、本社とは別の工場や県外にある別グループ法人も、リモート産業保健であれば同じ支援内容で契約でき、本社で運用管理できるメリットがあったことが決め手でした。

>>導入事例1を詳しくみる

リモート産業保健を導入した理由:導入事例_2

人事課として従業員のメンタルヘルス対策について調べていく中で、産業看護職の面談も効果があることを知り、他の類似するサポートと比較検討することになりました。リモート産業保健の方と商談を重ねた結果、より低いコストで自社の望んでいるサポートをしてもらえると感じたため、導入を決定いたしました。
特に、法令順守対応である産業医の選任がすばやくできる点、多くの従業員の面談を実施できる点、必要時に面談の結果を会社へフィードバックしてくれることで、情報連携がスムーズにおこなえる点が弊社にとって魅力的だと感じました。

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よくある質問

産業医の報酬額はいくらですか?企業規模別の目安

小規模企業では、産業医の訪問頻度が低く、報酬額も比較的低くなる傾向があります。一方、大規模企業では、従業員数が多いことや専門性の高い産業医が必要となることから、報酬額が高くなる傾向があります。

企業規模(労働者数) 報酬額(目安) 特徴・変動要因
小規模(100名未満) 月額5~10万円 産業医の経験や専門性、訪問頻度によって変動
中規模(100名~499名) 月額10~20万円 従業員数、業務内容、労働時間などに応じて変動
大規模(500名以上) 月額20万円~ 専門性の高い産業医や複数の産業医が必要となる場合も

産業医の謝礼はいくらが適切?3つの考慮点

産業医への謝礼額は、以下の3点を踏まえて考慮しましょう。

  1. 産業医の経験・専門性
    豊富な経験や専門知識を持つ産業医には、より高い謝礼を検討しましょう。
    例:専門性の高い産業医で、年間10回程度の訪問の場合、1回あたり5〜10万円。
  2. 企業規模・従業員数
    従業員数が多い企業や複雑な業務内容を持つ企業では、より多くの時間と労力を要するため、適切な謝礼額を検討しましょう。
    例:従業員数500名以上の企業で、年間20回程度の訪問の場合、1回あたり10〜15万円。
  3. サービス内容
    訪問回数、相談時間、報告書作成など、サービス内容によって謝礼額の相場は変動します。
    例:訪問に加え、健康教育プログラムの企画・実施なども依頼する場合、1回あたり5~10万円。

産業医の平均年収は?専属と嘱託の比較

産業医の平均年収は、専属産業医が1,000〜1,500万円、嘱託産業医は500〜1,000万円と差異が見られます。その理由は、業務量や業務内容、契約形態が異なるからです。専属産業医は、多くの労働者とより深く関わり、企業の健康管理を構築する存在である一方で、嘱託産業医は、必要に応じて業務や健康相談に柔軟に対応できることがメリットです。

産業医の時給の相場は?地域差と経験による変動

地域 経験年数 時給相場
都市部 5年未満 8,000円程度~
5年以上 20,000円程度~
地方 5年未満 7,000円程度~
5年以上 10,000円程度~

産業医の時給は地域差、経験年数、専門性、担当業務の難易度などによって変動します。都市部では、競争が激しいため、地方よりも高額な傾向があります。また、経験豊富な産業医は、高い専門知識や豊富な経験を活かしてより高い報酬となり時給2〜3万円を超えるケースも少なくありません。

まとめ

いかがでしたか?産業医は報酬だけ見ると高いと感じてしまうかもしれませんが、産業医が行なう業務は従業員の命に関わる業務もあり、企業に課せられている安全配慮義務を果たすための重要な役割を担っているため、そこを考えると報酬は高くないでしょう。

しかし、企業や事業者にとっては、さまざまな義務を果たしつつ、企業や事業場の経営を行なっていかなければいけないため、産業医選任も慎重かつ迅速に行なっていく必要があります。

産業医選任に悩んだときは地域の医師会や産業医の紹介会社に相談してみる等、ぜひ積極的に行動して企業の課題やかかる費用を相談しながら、従業員の健康と安全を効率的・効果的に守っていきましょう。

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