パルスサーベイとは?意識調査の実施方法やメリット、注意点を紹介

パルスサーベイとは?意識調査の実施方法やメリット、注意点を紹介

パルスサーベイとは?

パルスサーベイ(Pulse Survey)とは、「パルス(脈拍)」と「サーベイ(調査)」を組み合わせた言葉で、会社が従業員の満足度や心の健康度を把握するための調査です。脈拍を計測するように短い間隔で意識調査を繰り返し、絶え間なく変化していく従業員の状況や満足度などを素早く把握するために行なわれます。週1回、月1回などの高い頻度で調査を行なうことで、速やかに課題を解決できるメリットがあります。

高頻度な調査を日々の業務と並行して実施するのは困難なケースが多いですが、パルスサーベイであれば、質問数が少なく、回答者や担当者にとって負担が少ないのが特徴です。設問の作成や実施、結果の分析などが自動でできるツールも充実しているため、それらを上手に活用すれば、さらなる負担の軽減につながります。

近年では、新規人材のオンボーディングや新しい人事制度・研修の効果検証、従業員向けの簡易ストレスチェックとして活用され、注目を集めています。

パルスサーベイの質問方法

パルスサーベイは高頻度で実施するため、質問項目が多すぎると回答する側の負担が大きくなります。そのため、パルスサーベイの質問項目は1分程度で簡単に回答できるよう、10〜15問程度にしておきましょう

パルスサーベイは従業員のエンゲージメント向上に有効な手段ですが、質問する内容を誤ると十分な効果を得ることができません。社内で検討して、自社に合った質問項目にすることが大切です。

パルスサーベイの実施方法【4ステップ】

ここでは、パルスサーベイを実施する方法を、4つのステップで解説します。一つひとつの内容をよく確認したうえで、実行してください。

パルスサーベイの実施方法(1)調査票の作成

はじめに質問する項目を決めて、調査票を作成しましょう。幸福、認識、仕事量、役割分担などさまざまな観点から、従業員の仕事や職場に対しての意識を把握するための質問項目を検討します。

従業員が回答しやすいよう、質問数は少なく留め、5~10段階評価や「はい・いいえ」などを選択する方式にするのがポイントです。ただし、パルスサーベイは短く手軽な一方で、自社が優先的に解決すべき課題に関連した質問を厳選しなければ、有効な調査結果は得られないという点に注意が必要です。

例えば、「従業員の離職を防止し、定着率を上げたい」なら、福利厚生などの待遇面は満足しているか、といった質問を入れるとよいでしょう。

パルスサーベイの実施方法(2)調査票の配布・回答

調査票を作成したら、対象となる従業員に配布しましょう。回答期日も伝えておくと調査をスムーズに進められます。配布のタイミングは、忙しい時間帯を避けるのが望ましいでしょう。

調査票は書面で配布するほか、メールやチャットツールを使用して配布しても構いません。その場合には、朝のメールチェック時やランチタイムなどに送るのがおすすめです。

パルスサーベイの実施方法(3)調査結果の集計・分析

回答済みの調査票を回収したら、できるだけ日を空けずに調査結果の集計・分析を行ないましょう。前回の調査結果や分析内容を比較して、フォローが必要であるかを検討します。

例えば、個人単位で結果を見たとき、前回と比べて評価に大きく差が出る人がいた場合は、職場環境に何らかの変化があったと考えられます。もし、同じチームのなかで調査結果に差がある人が複数いたのなら、チームのマネジメントに問題がある可能性が高いといえます。

そのような場合は、全体の調査を進めながら個人単位やチーム単位で面談を行なうなど、フォローをするようにしましょう。

パルスサーベイの実施方法(4)改善・対策

パルスサーベイは調査することがゴールではありません。調査結果を分析し、適切な対策を講じることが大切です。よかった点があれば、継続できるよう施策をさらに強化しましょう。逆に悪かった点があれば、対策を検討して現状の改善に努めなければなりません。

いずれにしても、可能な限りスムーズに対処することが重要です。そして、定期的にパルスサーベイを実施することで、改善策が有効であったかどうかを確認することができます。

パルスサーベイがもたらす4つのメリット

パルスサーベイには、おもに以下の4つのメリットがあります。

従業員エンゲージメントが高まる

パルスサーベイで得た調査結果を分析して現場にフィードバックすれば、個人攻撃をすることなく、問題への対策を講じられます。組織全体のチームワークを育むこともできるため、転職や離職のリスク低下にもつながるでしょう。

パルスサーベイで問題を速やかに解決することで、従業員エンゲージメントや生産性の向上も期待できます。

従業員の満足度を把握しやすくなる

パルスサーベイは短い間隔で定期的に調査を行なうため、従業員の満足度の現状を把握できる点も大きなメリットです。前回の調査との比較や推移の分析などがしやすく、前回と比べて大きな変化が見られた従業員のフォローや対策の成果確認を素早く行なえます。

従業員の意識の変化もパルスサーベイであれば把握しやすく、現場のちょっとした悩みにも気づけるようになります。パルスサーベイをもとにした速やかな問題解決を重ねていけば、従業員のモチベーションアップも実現できるでしょう。

従業員の内省のきっかけになる

パルスサーベイは短い間隔で行なわれるため、従業員にとっては自分自身の働き方や考えなどを見直す良いきっかけとなるでしょう。自身の成長のためには、内省の習慣化が大切です。自分自身を見直すことが習慣になれば、日々の仕事も自身で振り返るようになり、従業員一人ひとりの成長にもつながります。

担当者の重い負担なしに職場改善ができる

パルスサーベイは質問項目が少ないため、調査結果の集計や分析を行なう担当者の負担は比較的軽いのが特徴です。また、近年はツールを使って調査を行なうことも可能で、こういったツールを活用すれば、さらなる負担軽減・効率化につながるでしょう。

パルスサーベイを実施する際の注意点

パルスサーベイにはたくさんのメリットがあると同時に、実施する際の注意点もあります。パルスサーベイを効果的に活用するため、注意点についてもよく確認してください。

調査結果の取り扱いについて説明すること

調査の前に、パルスサーベイには匿名性があるため個人が特定できないことを伝えて、率直な回答を得られるように努めましょう。パルスサーベイを受ける従業員が調査に対して不安や不信感があると、素直に回答しにくくなります。匿名性のほか、調査結果の共有範囲などについても従業員にしっかりと伝え、同意を得ておくことも大切です。

調査の目的を周知徹底すること

調査を実施する前に、パルスサーベイの目的についても明らかにしましょう。パルスサーベイの調査結果は、人事担当者だけが把握すればいいわけではありません。パルスサーベイを受ける従業員自身も調査の目的やメリットをわかっていなければ、積極的に回答しようという気持ちにはなりにくいものです。

目的がわかっていなければ、定期的に調査を行なっても単なる流れ作業になってしまい、従業員の満足度などを正確に反映した結果にはなりません。調査の目的を正しく説明することで、マンネリ化防止にもつながるでしょう。

実施するだけで満足しないこと

パルスサーベイはただ実施するだけでは意味がありません。調査を実施しただけで満足するのではなく、調査結果を分析して必要なフォローを行なうことが重要です。

また、質問項目が少ないため、前回の調査と比べて大きな変化が出たことはわかっても、具体的な原因までは読み取れない可能性があります。そうした場合には、ミーティングや面談を実施して実態を把握する必要があります。

まとめ

高頻度で行なうパルスサーベイは、1年に1度以上の実施が義務付けられているストレスチェックと比較して、負担が大きいと感じるかもしれません。しかし実際には、質問項目が少ないため、高い頻度で行なっても担当者の負担はストレスチェックより軽くなるケースがほとんどです。こまめに従業員の意識を調査できるため、早めの対処が必要な問題に対して、いち早く対応することが可能になります。

パルスサーベイの目的や注意点をよく理解したうえで、従業員の健康増進やエンゲージメント向上、企業の生産性アップを目指しましょう。

「パルスサーベイを自分たちだけで実施するリソースがない」「パルスサーベイの結果を正しく分析したり、その後の対処をしたりできる人材がいない」といった企業においては、「リモート産業保健」のサービス利用をおすすめします。リモート産業保健では、パルスサーベイの実施サポートはもちろん、産業医の選任やストレスチェック代行、安全衛生委員会の立ち上げ・運営支援など、産業保健業務を一括サポートいたします。

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