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職場におけるさまざまなストレス要因が増加する中、ストレスチェックを活用することで、労働者のメンタルヘルス不調にいち早く対応することが重要です。
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ストレスチェックは一定規模以上の事業場での実施が義務付けられており、実施を怠ると法律違反になる可能性があるため、内容をしっかりと把握しておかなければなりません。
そこで本記事では、ストレスチェック制度の基本から対象者の選定の仕方、ストレスチェックを実施するうえでの注意点などについて、気になる情報を徹底解説します。
ストレスチェック制度とは?
ストレスチェック制度は、近年、仕事の多様化や複雑化によりメンタルヘルス不調を抱える労働者が増加し、事業場と社会全体に大きな影響を与えるようになったことを理由に導入された制度です。
2014年の労働安全衛生法改正に伴い、2015年から一定規模以上の事業場で実施が義務化されました。労働者のメンタルヘルス不調の予防と早期発見、適切な対策を講じることが目的です。
ストレスチェック制度は、2015年より労働安全衛生法の改正により義務化されました。詳しくは、以下のリンクから原文をご確認いただけます。
ストレスチェックの目的
ストレスチェックは、労働者の心身の健康管理を通して、メンタルヘルス不調を未然に防止することや、労働者自身にストレスについて気付きを与えることを目的としています。
また、企業がストレスチェックの結果をもとに集団分析を行なうことで、職場におけるストレスの原因を把握・改善し、働きやすい職場づくりを目指すことも重要です。
【あわせて読みたい関連記事】ストレスチェックの実施方法:4ステップ解説
労働者のメンタルヘルスを守る重要な制度として義務化されたストレスチェック。
その実施方法について4ステップで解説します。
- 会社でストレスチェックの実施体制を整備し、実施者を選定する
- 労働者に制度の目的や方法を案内し準備する
- 労働者のストレスチェックを実施する
- ストレスチェックの結果の共有と適切な対応をする
事業場は上記のプロセスで労働者の健康と職場環境の改善を図ります。
各ステップについて下記によりくわしくまとめます。
ステップ1:会社で実施体制を整備し、実施者を選定
事業者は、ストレスチェック実施体制を整備し、実施者を選定する責任があります。
労働安全衛生法に基づき、ストレスチェック実施者には、医師(産業医)や保健師を選定します。厚生労働大臣が定める研修を修了すれば、看護師、精神保健福祉士、公認心理師、歯科医師も、実施者になることが可能です。
また、事業者は実施事務従事者の選定も行なわなければなりません。
実施事務従事者は、実施者の指示の下で、調査票のデータ入力や結果の出力・保存などの事務補助を行なうため、人事権を持たないスタッフの選定が求められます。
実施者と実施事務従事者には、個人情報の取り扱いに厳格な守秘義務があります。ストレスチェックの結果が不当な形で昇進や解雇などに影響しないよう労働者のプライバシー保護が不可欠です。
出典:労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル│厚生労働省労働基準局安全衛生部 労働衛生課産業保健支援室
ステップ2:労働者に対する情報提供
ストレスチェック制度の実施体制が整ったあとは、労働者にストレスチェックの概要を周知し理解と積極的な参加を促します。
事業者は、制度の目的や実施方法、個人情報の取り扱いについて丁寧に説明し、労働者が安心して受けられるよう配慮しましょう。ストレスチェックの結果が人事に影響することはないことを明確に伝え、労働者の不安低減を図るとよいでしょう。
また、ストレスチェックの結果を活かして、職場環境の改善につなげていくことを説明し、制度に対する労働者の理解と協力を得ることも重要です。厚生労働省の「ストレスチェック制度実施マニュアル」に掲載されている通知文例を参考にしましょう。
出典:労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル│厚生労働省労働基準局安全衛生部 労働衛生課産業保健支援室
ステップ3:ストレスチェックの実施
ストレスチェックは、設定された1週間の期間内に実施します。出張等の理由で期間中に受検できなかった労働者には別途機会を設けましょう。
ただし、1ヵ月以上の休職の労働者は対象外です。労働者は、特別な事情がない限り、事業場が設定した期間内にストレスチェックを受検する必要があり、未受検者に対しては、実施事務従事者や事業者を通じて受検を促すことになります。
適切なストレスチェックを実施するため、労働者には、自身のストレス状況をありのままに回答することをしっかり伝えましょう。
調査票の回収は、実施者または実施事務従事者が行ないます。回答内容は個人情報であるため、人事権を持つ者や第三者による閲覧は禁止するなど、調査票の取り扱いには細心の注意が求められます。
出典:労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル│厚生労働省労働基準局安全衛生部 労働衛生課産業保健支援室
ステップ4:結果の共有と産業医による面接指導などの措置
ストレスチェックの結果は、実施者から労働者に直接通知が届きます。本人の同意なく事業者が結果を閲覧することはできません。
高ストレス者と判定された労働者は、結果に基づいてセルフケアに努めることが求められます。希望すれば、産業医による面接指導を受けることも可能です。
面談指導は、勤務時間内にプライバシーが確保された場所で行なわれ、その費用負担は事業者です。面接後、事業者は産業医の意見を聴取し、必要に応じ残業時間の制限や休職などの就業上の措置を講じ、労働者の健康を保護します。
労働者が面談指導の希望申出を行なわない場合でも、事業者は適宜面談指導を勧奨しながら労働者のメンタルヘルスをサポートする体制を整えることが重要です。
出典:外部機関にストレスチェック及び面接指導の実施を委託する場合のチェックリスト例|厚生労働省
ストレスチェック対象者の範囲|派遣社員やアルバイトは入る?
厚生労働省が定めるストレスチェックの対象者の条件は、以下のとおりです。
- 使用期間に定めがなく、1週間の労働時間が通常の労働者の4分の3以上であること
- 契約期間が決まっている場合でも、1年以上使用される予定であること
それでは、派遣労働者やパート・アルバイトは、ストレスチェックの対象者に含まれるのでしょうか。
派遣労働者の対象基準
派遣労働者がストレスチェックの対象となる条件は、常時50人以上の労働者を雇用する事業場に勤務していることです。
派遣労働者にストレスチェックを行なう義務は、派遣元事業者にあり、派遣先の事業場は、派遣労働者の受検を円滑にするための配慮や必要な情報提供に協力します。
派遣元事業者は、措置が必要な場合の対応や高ストレス者への面接指導も実施します。派遣先は派遣元の要請に応じて協力することになります。
パート・アルバイトの適用条件
パート・アルバイトがストレスチェックの対象となる条件は以下の通りです。
- 常時50人以上の労働者を雇用する事業場に勤務していること
- 契約期間が1年以上(見込みも含む)であり、1週間の所定労働時間が通常の労働者の4分の3以上
- 契約期間が1年以上(見込みも含む)であり、1週間の所定労働時間が2分の1以上
一方で、週に一日程度の労働時間の労働者はストレスチェックの対象外となります。
ストレスチェックに携わる担当者は、おもに3種類
ストレスチェックに携わるおもな3種類の担当者の役割について違いをまとめます。
-
POINT
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【1】実施者 医師や保健師など資格を持った専門職。ストレスチェック全体の監督・評価を担当し、個別の面接指導やフォローアップも行ないます。 -
【2】実施事務従事者 ストレスチェックの準備や結果の通知など実務的なサポートを行ないます。プライバシーに配慮し、個々の結果は閲覧しないなど個人情報の取り扱いを厳守します。 -
【3】社外の委託業者 外部の専門機関にストレスチェックを委託する場合、実施業務を代行。データの管理や分析を行ない、結果を事業者に提供します。
ストレスチェックの実施者:資格と役割
ストレスチェック実施者の資格要件は、医師、保健師、または一定の研修を受けた看護師・精神保健福祉士である必要があります。
以下にストレスチェック実施者のおもな役割と責任をまとめます。
- ストレスチェックの実施と管理
- チェック結果の分析と報告
- 高ストレス者への面接指導やフォローアップ
- 労働者のプライバシー保護
- 事業者への職場環境や働き方の改善を提案
ストレスチェックの実施事務従事者の責務
実施事務従事者は、ストレスチェックの実施に関する事務作業を担当し、労働者との窓口になったり、全体的な運営を支えたりします。
医療職ではない一般の労働者でも、適切な教育を受け役割を担うことができますが、職場での信頼と適性が求められます。
実施事務従事者のおもな責務を以下にまとめます。
- ストレスチェックの実施に関する労働者への周知・広報
- ストレスチェックの実施に必要な書類や資材の準備
- 労働者からの質問への対応や、受検の促進
- 回収した質問票の整理・事務処理
- 実施者への質問票の提供
- 集団分析結果の管理や、個人への情報提供
- 外部委託先との連絡調整
社外の委託業者:選定のポイント
事業場は、ストレスチェック業務内の質問票の配布・回収、採点・集計、集団分析などを外部に委託することができます。
ここでは委託業者選定時に注意すべきポイントをまとめます。
- 守秘義務の確保や個人情報保護体制が整備されていること
- 専門知識や経験を有していること
- 迅速かつ正確な業務遂行能力があること
- コストが適切であること
委託しても事業場が負う責任は変わりません。
委託の利点は、適切な外部業者を利用することでストレスチェックを効果的かつ効率的に実施できることです。
出典:外部機関にストレスチェック及び面接指導の実施を委託する場合のチェックリスト例|厚生労働省
社員のストレスが限界に達しているサインや症状について
ここでは、ストレスが限界に達しているサインや症状を紹介します。
- 落ち込みやすい、泣き出してしまう
- やる気がなくなる
- 不安や緊張が高まり、イライラしたり怒りっぽくなる
- 人付き合いが億劫になる
- 風邪を引きやすい
- 肩こりや頭痛、腹痛、腰痛などの痛みが出る
- 寝つきが悪い、すぐに目が覚める
- 食欲がなくなる、食べすぎる
ストレスに対して自身や周囲の人が気付くことで、早期発見・早期治療につながります。
【あわせて読みたい関連記事】ストレスチェック実施後、労働者が高ストレス者と判定された際の対処法
高ストレス者は、ストレスチェックにより心理的負荷が高く、健康へ影響を及ぼすリスクがあると判定された労働者です。
ここでは、高ストレス者と判定された場合の対処法について紹介します。
- 事業者の対応
高ストレス者には産業医の面接指導を受ける権利があることを周知します。労働者の自主的な申し出を前提に、面接指導の機会を調整し柔軟に提供しましょう。 - 産業医による面接指導
労働者から申し出があった場合、産業医は労働者の心身状態を評価し、業務量の調整、休息の確保、治療支援など、ストレス軽減の具体的措置を提案します。 - 労働者自身のセルフケア
事業者は、労働者のセルフケア支援策として、長時間労働の改善や休暇促進、ストレス管理研修、カウンセリングの提供、復帰プログラム活用の導入を検討しましょう。
出典:長時間労働者、高ストレス者の面接指導について│厚生労働省
ストレスチェックの注意点
ストレスチェックの実施では、法的要件と倫理的配慮の両面から注意が必要です。つまり、法令を遵守しつつ、労働者のプライバシーを尊重した運用がポイントになります。
具体的には、正規雇用だけでなく、一定の条件を満たす非正規雇用の労働者もストレスチェックの対象となること、常時50人以上の労働者を使用する事業場での実施が義務化されていること、労働者の自発的な参加と個人情報の保護が不可欠であることを理解し適切に実施することが重要です。
ストレスチェックの実施は義務
労働安全衛生法の改正により、2015年12月から、常時50人以上の労働者を使用する事業場でのストレスチェックの実施が義務化されました。
なお、「事業場」とは企業全体のことではなく、店舗や支店、営業所、工場など、一定以上独立して業務が行なわれている単位のことです。
つまり、常時50人以上の労働者を使用する事業場を複数有する企業は、その事業場ごとに、毎年1回のストレスチェックを必ず実施しなければなりません。
ストレスチェックの対象となるのはフルタイムの正社員だけでなく、一定の条件を満たした契約社員や派遣社員、パート、アルバイトなど、非正規雇用の労働者も含まれる点に注意が必要です。
【あわせて読みたい関連記事】労働者に対して強制力はない:任意性の確保
ストレスチェックの受検は労働者の任意であり、事業者に強制されるものではありません。受検を拒否した労働者には、理解を深めるための追加説明は行なうもののその意思を尊重します。再勧誘したり、拒否したことで不利益に扱ったりすることは禁じられています。
以下に労働者の任意性を確保するための具体的な方法や配慮事項をまとめます。
- 受検の任意性を明示する
事前説明でストレスチェックが任意であることを明確に伝えます。 - プライバシーの保護
ストレスチェックの結果が他の労働者や管理者に知られないよう個人情報の保護を厳守します。 - 受検しないことによる不利益の禁止
受検を拒否しても労働条件や評価に影響がないことを保証します。
ストレスチェックの結果の取り扱いに気を付ける
ストレスチェックの結果は、個人情報として慎重に取り扱われます。個人情報保護の観点からの管理方法や注意点をまとめます。
- 厳重な保管
ストレスチェックの結果は、アクセス制限のある場所・システムで厳重に保管します。 - アクセス権限の制限
ストレスチェック結果を無断で他者に開示することはできません。アクセスできるのは、労働者本人の同意がある場合を除いて、実施者と実施事務従事者のみです。本人の同意を得て社内共有を行なう場合でも必要最小限に留められます。 - 結果の用途制限
事業者は、労働者の同意なく結果を利用することはできません。結果をもとに労働条件の変更や不利益に取り扱うことも禁じられています。労働者のストレスの改善や対策に必要な範囲内でのみ使用しましょう。
ストレスチェックの結果の事業者への開示は強制できない
労働者の同意なしに事業者がストレスチェックの結果を知ることができない理由は、労働者が結果により不利益を被ることを防ぐ倫理的配慮が設けられているからです。
個人のプライバシー保護と個人情報の適切な取り扱いが遵守されます。
ただし、高ストレス者と選定された労働者に対して面談指導が必要な場合は、労働者の同意を得たうえで事業者と結果を共有できます。
この場合も、周囲に把握されない方法で同意を得るなど倫理的配慮が不可欠で、書面または電磁的記録で保存する必要があります。
無理に同意を求めたり、不利益を与えたりしないことが重要です。
高ストレス者への配慮:4つの禁止事項
高ストレス者への対応として禁止されている4つの事項と求められる配慮を解説します。
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POINT
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【1】不利益な取扱いの禁止 ストレスチェックの結果を理由に、解雇や降格などの不利益な扱いをすることは禁じられています。ストレスを抱える労働者に必要な支援を提供し、安心して働ける環境を整える配慮が必要です。 -
【2】ストレスチェック結果の無断開示の禁止 ストレスチェック結果は労働者の同意なく上司や同僚に開示できません。プライバシーの保護に配慮し慎重に取り扱いましょう。 -
【3】ストレスチェック受検の強要の禁止 ストレスチェックは強制ではなく、労働者の自発的な意思を尊重します。受検を促しつつ、押し付けない配慮が大切です。 -
【4】面接指導の強要の禁止 高ストレス者への面接指導は、本人の意思を尊重します。事業者が強制せずに必要性を丁寧に説明して同意を得ましょう。
ストレスチェックの実施状況
2022年の労働安全衛生調査によると、ストレスチェックの実施率は従業員50人以上の事業場で全体の84.4%です。業種別では、金融・保険業(96.7%)が高く、宿泊・飲食サービス業(66.2%)が低い傾向にあります。
企業規模別では、1,000人以上の大企業での実施率が99.5%と高い一方、50-99人規模では78.9%にとどまっています。
厚生労働省は、実施率向上のために中小企業向けの助成金制度や実施マニュアルの提供を行なっていますが、人材・予算不足が課題となっています。
出典:ストレスチェック制度 の実施状況(令和4年)│厚生労働省
ストレスチェックの費用目安
常時50人以上の労働者がいる事業場では、事業者がストレスチェックの費用を全額負担する義務があります。労働者に費用負担を求めることは認められないため、事業者は、ストレスチェック導入前には費用の把握が欠かせません。
ここからは、ストレスチェックにかかる費用の目安を紹介し、費用を抑えるための方法についても提案します。
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参考:「厚生労働省版ストレスチェック実施プログラム」ダウンロードサイト|厚生労働省
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まとめ
ストレスチェックは、常時50人以上の労働者を使用する事業場での実施が义务付けられており、常時50人未満の労働者を使用する事業場では努力義務となっています。
しかし、メンタルヘルス不調者が増加している現代社会においては、事業場の規模にかかわらず実施し、メンタルヘルス不調を未然に防止する機会を設けることが望ましいでしょう。
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