労働者数50人以上の事業場では、ストレスチェックの実施が法律で義務づけられています。一方、常時50人未満の事業場は現時点では努力義務にとどまっていますが、令和7年の法改正により今後義務化される予定もあり、コストをかけずに要件を満たせるのか、外部への委託(代行)にはどのくらい費用がかかるのかを比較して判断したいという人事労務担当者は少なくないでしょう。本記事では、厚生労働省の無料プログラムをはじめとした無料で実施する3つの方法と、無料でできる範囲・追加費用が発生しやすいケースを整理して解説します。
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この記事でわかること
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【1】ストレスチェックを無料で実施する3つの具体的な方法 -
【2】無料でできる範囲と、代行など追加費用が発生するケースの境界線 -
【3】外部サービスを選ぶときに確認しておきたい比較ポイント
職場におけるさまざまなストレス要因が増加する中、ストレスチェックを活用することで、労働者のメンタルヘルス不調にいち早く対応することが重要です。
ストレスチェックの実施を検討中のご担当者様に向けて、産業保健師が監修した「はじめてのストレスチェックガイドブック」をご提供しますので、ぜひご活用ください。
そもそもストレスチェックとは?実施義務と対象になる事業場
ストレスチェック無料とは、厚生労働省の無償プログラム等を活用し費用をかけずに制度を実施することです。ストレスチェック制度自体は、労働安全衛生法に基づき平成26年6月25日に公布、平成27年12月1日に施行された、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防ぐための制度です。
この制度において、労働者(パートタイム労働者や派遣先の派遣労働者も含む)が常時50人以上の事業場では実施が義務、常時50人未満の事業場は努力義務とされています。ここでいう「常時使用する労働者」には、契約期間の定めがなく、かつ1週間の所定労働時間数が通常の労働者のおおむね4分の3以上である者などが該当します(基準となるのは所定労働”日数”ではなく所定労働”時間数”です)。
50人未満の事業場については、努力義務とはいえ、いずれ義務化される見込みがあることも踏まえ、早めに実施体制を整えておく企業も増えています(義務化の時期については後述のFAQで解説します)。ただし、制度の基本を理解していても、実際に自社だけで準備から報告まで一通り回せるかどうかは、また別の課題です。
詳しくは、ストレスチェック義務化はいつから?50人未満・対象・罰則まで総まとめの記事もご覧ください。
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ストレスチェックの基本的な流れ(5ステップ)
ストレスチェックは、方針の表明から職場改善まで、おおむね5つのステップで進みます。人事労務担当者が一人で全工程を回そうとすると、調査票の配布・回収から結果通知、面接指導の調整まで、思いのほか手間がかかる作業です。
一つひとつの手順自体は難しくありませんが、通知の秘密保持や面接指導後のフォロー、集団分析の実施まで含めると、担当者一人ですべてを漏れなく回すにはそれなりの工数がかかります。
より詳しい進め方は、ストレスチェックの流れを徹底解説!職場で実施する際の注意点とはもあわせてご確認ください。
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ストレスチェックの実施方法を8ステップで解説|対象事業場から費用・注意点まで
ストレスチェックを無料で実施する3つの方法
ストレスチェックを費用ゼロで実施する方法は、大きく分けて「厚生労働省の無料プログラムを使う」「外部サービスの無料プラン・無料トライアルを利用する」「紙の調査票を使い自社で運用する」の3通りが考えられます。それぞれに向き・不向きがあるため、自社の体制に合わせて選ぶことが大切です。
方法1:厚生労働省の無料プログラム「ストレスチェック実施プログラム」を使う
結論として、費用をかけずに実施と分析まで一通り完結させたいなら、厚生労働省が無償で配布している「厚生労働省版ストレスチェック実施プログラム」は選択肢の一つです。無償でありながら、実施から自動判定・集団分析までの機能が一通り揃っている点が特徴です。
このプログラムには、オンラインでの受検(57項目版・簡略版23項目版の両方に対応し、紙の調査票をCSVで取り込むことも可能)、受検状況の管理、自動的な高ストレス者判定、個人結果の出力、集団ごとの集計・分析(仕事のストレス判定図の作成)、分析結果の出力、労働基準監督署へ報告する情報の表示といった機能が組み込まれています。
調査票は「職業性ストレス簡易調査票」57項目版の使用が推奨されていますが、これを簡略化した23項目版も例示されており、いずれも法令で規定された唯一の様式というわけではありません。仕事のストレス要因・心身のストレス反応・周囲のサポートという3領域に関する項目が含まれていれば、事業者の判断で選ぶことができます。
Web版での実施では、結果は本人の同意なく事業者に提供されることはなく、実施者(またはその補助をする実施事務従事者)が鍵やパスワードで管理したうえで保存する必要があります。ダウンロードは「厚生労働省版ストレスチェック実施プログラム」ダウンロードサイトから行えます。
ただし、無料で使える分、導入や運用(受検者への案内、集計結果の読み解き、高ストレス者への対応方針の検討など)はすべて自社で担う前提になる点には注意が必要です。
方法2:外部サービスの無料プラン・無料トライアルを利用する
結論として、操作性やサポート体制も含めて比較したい場合は、外部サービスが提供する無料プラン・無料トライアルを試してみるのも一つの方法です。
多くの外部サービスは、無料プランは対応人数や使える機能に制限があることが多く、本格的に運用する段階になると有料プランへの切り替えや、実施そのものを外部サービスへ委託(代行)することが必要になる場合があります。
特定のサービス名や料金は事業者ごとに異なるため、無料プランで試せる範囲と、有料化した場合に何が変わるのかを事前に確認しておくと、後から想定外の費用が発生する事態を避けやすくなります。
方法3:紙の調査票を使い自社で運用する
結論として、オンライン環境を整えるのが難しい事業場では、紙の調査票を使って自社で運用する方法も選択肢になります。
紙版で実施する場合は、記入済みの調査票が周囲の者の目に触れないよう、封筒に入れて封をしてもらうなどの配慮が必要です。
配布自体は誰が行っても差し支えありませんが、回収・保管・集計は実施者や実施事務従事者が責任をもって行う必要があり、部署や拠点が多い企業ほど、紙の運用は手間がかかりやすい点は押さえておきましょう。調査票の項目数についても、あわせてご確認ください。
無料でできる範囲と、追加費用が発生しやすいケース
結論として、調査票の実施・結果通知・簡易な集団分析までは無料で完結できますが、それ以降の一部の対応には費用が発生することがあります。
高ストレス者への医師による面接指導の依頼や、実施者・実施事務従事者の役割を外部(代行事業者)に委託する場合は、対応する費用が発生します。なお、検査の実施者になれるのは医師・保健師・所定の研修を修了した歯科医師や看護師・精神保健福祉士・公認心理師に限られており、人事権を持つ監督的地位にある者は実施の事務に従事できません。
また、50人未満の事業場については、実施結果を労働基準監督署へ報告する義務はありません。
ストレスチェックの実施結果の労働基準監督署への報告は、労働者数50人以上の事業場に義務付けられていますが、労働者数50人未満の事業場は不要です。
代行を依頼した場合の費用相場は事業者や対象人数によって幅があるため、本記事で具体的な金額を断定することは避けます。詳しい費用感については以下の記事もご覧ください。
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外部サービスを選ぶときの注意点
結論として、外部サービスを比較する際は、価格だけでなく次のような観点を確認しておくと失敗しにくくなります。無料プランは機能に制限があり、本格運用で対応しきれないことがあるためです。
なお、指針上は集団ごとの集計・分析単位が10人を下回る場合、対象労働者全員の同意がない限り、実施者は事業者へ分析結果を提供できないとされています。少人数の部署が多い企業は、こうした配慮に対応したサービスかどうかもあわせて確認しておくと安心です。
こうした比較検討まで自社の担当者だけで行うのは負担が大きく、実務上は「誰に相談しながら選べばよいか」がハードルになりやすい部分です。
自社での実施が負担なら、外部サービスの活用も検討を
ストレスチェックは無料でも実施できますが、実施して終わりではなく、結果をもとにした面接指導や職場環境の改善、就業上の措置の検討まで行って初めて効果を発揮します。
しかし、これらの工程をすべて自社の担当者だけで対応するのは難しい場合もあるでしょう。ストレスチェックの代行を含め、外部サービスの活用も現実的な選択肢の一つです。
費用を抑えつつサポートを受けたい場合の選択肢
結論として、コストを抑えながら専門職のサポートも受けたい場合は、産業保健サービスとセットでストレスチェックを利用する方法があります。
「リモート産業保健」を契約すると、無料でWeb版のストレスチェック(57項目)を利用できます。ストレスチェックだけでなく、産業医選任や衛生委員会の運営サポートまで含めたトータルパッケージを、月々3万円からの料金で利用できる点も特徴です。
外部サービスを利用するメリット
外部サービスの中でも、産業医・産業看護職などの専門職が関与するサービスを利用した場合、主に次のようなメリットが期待できます(すべての外部サービスに共通するわけではなく、サービスによって対応範囲は異なります)。
自社で、準備からフォロー、書類作成まですべて行うには相応の時間と人手が必要です。外部サービスに依頼すれば、これらの工程の多くを任せられます。
ストレスチェックの実施から集団分析まで自社だけで対応するのは負担が大きいと感じる方には、外部サービスの活用も選択肢です。リモート産業保健なら産業医と産業看護職の2名体制でストレスチェックや産業医面談、衛生委員会の支援に対応し、人事労務担当者様の業務負荷を軽減します。産業医の選任・交代をご検討中の企業様にもおすすめの1冊です。
よくある質問(FAQ)
ストレスチェックの無料実施に関して、よく寄せられる質問にお答えします。
Q. 個人で自分のストレス度を無料でチェックしたい場合は?
会社としての実施ではなく、個人で自分のストレス状態を確認したい場合は、厚生労働省が運営するこころの耳「5分でできる職場のストレスセルフチェック」のような公的機関のセルフチェックツールを利用する方法があります。本記事で解説しているのは事業者が実施する制度としてのストレスチェックであり、個人向けのセルフチェックとは役割が異なる点にご留意ください。
Q. 労働者が常時50人未満の会社でも無料でできますか?
できます。50人未満の事業場は現時点では努力義務ですが、厚生労働省の無料プログラムを使えば費用をかけずに実施可能です。
あわせて知っておきたいのが、今後の義務化の予定です。令和7年の労働安全衛生法の改正により、これまで努力義務とされていた労働者数50人未満の事業場(「小規模事業場」)でもストレスチェックの実施が義務とされ、施行日は令和10年4月1日とされています。
つまり、2028年4月1日からは50人未満の事業場も実施が義務化される予定です(本記事作成時点ではまだ施行前です)。義務化を見据えて、早めに無料の方法で実施の練習をしておくという考え方もあります。
Q. ストレスチェックを代行してもらうと、費用はどのくらいかかりますか?
費用は依頼先の事業者や対象人数によって幅があるため、本記事では具体的な金額を断定しません。
無料でできる範囲を超える部分の相場感については、資料でご確認いただくか、ストレスチェックにかかる費用と、負担を抑える方法もあわせてご参照ください。
まとめ
ストレスチェックは厚生労働省の無料プログラムを使えば費用をかけずに実施できますが、代行や産業医面談まで見据えるなら外部サービスの活用も検討したいところです。リモート産業保健は産業医と産業看護職の2名体制でストレスチェックや産業医面談、衛生委員会の支援に対応し、人事労務担当者様の業務負荷を軽減します。産業医の選任・交代をご検討中の企業様にもおすすめの1冊です。
ストレスチェックは、厚生労働省の無料プログラムや紙の調査票を使えば、費用をかけずに実施すること自体は可能です。一方で、実施結果をもとにした面接指導や職場改善まで含めて自社だけで対応するのは負担が大きく、代行を含む外部サービスの活用を検討する価値があります。まずは自社に必要な範囲を整理したうえで、無料でできる部分と、外部に任せたほうがよい部分を切り分けて検討してみてください。




