メンタルコントロールは、仕事のパフォーマンスに大きく影響する
メンタルとは、「精神面」や「心」という意味です。メンタルの強さは人によってさまざまで、同じ状況下でも受けるストレスや感じ方は異なります。
どのような状況下においても、自分のメンタルをコントロールし、前向きな気持ちでいられる方は「メンタルが強い」と言えるでしょう。
メンタルコントロールができていると、仕事のパフォーマンスに良い影響を与えます。具体的には、緊張する場面でも堂々と自分の意見を述べられるほか、失敗しても気持ちをすばやく切り替えて、前向きに次の課題に挑戦できるようになるでしょう。
メンタルコントロールの具体的な方法14選
メンタルをコントロールするには、自分自身と正しく向き合うことが必要不可欠です。そこで、メンタルコントロールの具体的な方法14選をまとめました。
メンタルコントロールの方法(1)ルーティンを活用する
ルーティンとは、決まった一連の動作や日課のことです。ルーティンを活用することで、緊張する状況であっても心を落ち着かせられるようになります。
人は緊張状態になると交感神経が優位になり、心拍数が上がったり、汗をかきやすくなったりします。会議の前にお腹が痛くなる、プレゼン中に頭が真っ白になるといったことも、緊張が影響しているのです。
こうした場面でルーティンを行なうと、緊張から意識をそらし、交感神経が優位になるのを防ぐことができます。
ルーティンは、毎日行なえる簡単なものがよいでしょう。例えば、以下のようなリラックスできるルーティンがおすすめです。
- 重要な会議の前には決まったコーヒーを飲む
- プレゼンが始まる前に、背伸びをして大きく3回深呼吸をする
ご自身のスタイルに合わせて、ぜひ明日からでもルーティンを採り入れてみてください。
メンタルコントロールの方法(2)アファメーションを行なう
アファメーションとは、ポジティブな言葉を自分にかけることで、理想の実現を図る一種の自己暗示のことです。
アファメーションでは、目標とする理想像を繰り返し自分に言い聞かせるのがポイントです。「プレゼンが大成功した」「すべてがうまくいっている」「良いアイデアが次々と浮かんでくる」などポジティブな言葉を脳に投げかけ、自己肯定感やモチベーションを向上させます。
さらに、自分自身が理想に近づいていることを実感するために、日々のなかで成功したことやうまくいったことをノートに書き出していくことを習慣にしてもよいでしょう。
ただし、「次は絶対に失敗しない」や「怒られずに済む」などの否定的な言葉は使わないように注意してください。否定的な言葉を使うと、脳が「失敗」「間違い」「叱責」といったネガティブなイメージを連想してしまうからです。
メンタルコントロールの方法(3)ストレスや不安を紙に書き出す
自分がストレスに感じていることや悩んでいることを紙に書き出すことで、物事を客観的にとらえられるようになり、心が整理されていきます。この方法はストレス抽出法ともいい、紙に書いていくうちに、今まで意識していなかったストレスや悩みの原因も見えてきます。
「○○な場面でストレスを感じることが多い」「上司の○○さんに関する悩みが多い」など、自身の抱える具体的な問題とその原因がわかれば、解決のために何をすればいいのかを正しく把握でき、適切に対処できるようになるでしょう。
メンタルコントロールの方法(4)自分自身への理解を深める
自分の強みや弱みを正確に知ることは、自分自身を理解するための第一歩になります。
しかし、多くの方は「弱みはたくさん思い浮かぶけど、自分の強みって何だろう……」と悩んでいるのではないでしょうか。Web上には性格診断をしてくれるサービスもあるので、活用するのも一つの方法です。
自分自身を理解したうえで、強みはどんどん伸ばしていき、弱みについては対処法を考えます。対処しようがない場合は、それがありのままの自分だと受け入れましょう。見方を変えれば、自分が弱みだと思っていることが強みになることもあります。
例えば、「一度に一つの物事しかできない」という弱みは、「一つの物事に集中して取り組める」という強みでもあるのです。自分自身の性質を客観的かつ冷静に分析し、理解を深めましょう。
メンタルコントロールの方法(5)マインドフルネス瞑想で精神を整える
マインドフルネス瞑想とは、リラックスしながら、自分自身の呼吸や体の内部に意識を向ける瞑想のことです。自分自身ととことん向き合う時間を作ることで、気持ちを落ち着けられるとともに、集中力をアップさせる効果も期待できるといわれています。
マインドフルネス瞑想では、リラックスできる体勢で目を閉じ、ゆっくりと自分の呼吸を感じてください。このときは何も考え事をせず、呼吸と体の内部に意識を向けましょう。初めはいろいろと考えが浮かんできたり、姿勢を変えたくなったりするかもしれませんが、次第に慣れてきます。
最初は10分程度から始め、少しずつ自分がストレスにならないくらいまで時間を延ばしていきましょう。マインドフルネス瞑想に「こうしなければならない」という決まりはないため、生活に取り入れやすいタイミングで実践してみてください。
メンタルコントロールの方法(6)仕事とプライベートのメリハリを付ける
仕事とプライベートのメリハリを付け、プライベートのときにはしっかり脳と体を休めることで、仕事のときに集中力を発揮できるようになります。
帰宅してからも持ち帰りの仕事をしたり、仕事の連絡を取ったりと忙しくしている方は、一日のなかで「一切仕事をしない、仕事のことを考えない時間」を作りましょう。その時間だけはパソコンやスマートフォンの電源を切り、自分のためだけに時間を使ってください。先にプライベートの予定を入れてしまうのもおすすめです。
プライベートの時間を大切にしてリフレッシュできると、ストレスが軽減します。こういった心身のケアの積み重ねが、仕事のパフォーマンスを向上させるのです。
メンタルコントロールの方法(7)理想の人物像を設定する
頭のなかに良いイメージを浮かべると、自分自身の感情が前向きになり、精神を安定させることができます。
自分にとっての理想の人物像を頭のなかで設定し、その人ならどのような発言をするか、どのように行動するかまでイメージします。うまくいかないことがあったときや、落ち込んだとき、新しい挑戦に尻込みしたときなどに、「○○さんならどうするだろう」と考えてみるのもおすすめです。
そうすることで、自分の目標がより具体的になって行動に移しやすくなり、仕事へのモチベーションアップにもつながるでしょう。
メンタルコントロールの方法(8)成果を出した人を真似る
理想の人物像を自分で設定するのが難しい場合は、すでに成果を出した成功者の仕草や発言、価値観などを徹底的に真似る「モデリング」をしてみましょう。
「自分の頭で考えて物事にあたってこそ、成長があるのでは?」と考える方もいるかもしれませんが、「学ぶ」の語源は「真似ぶ(まねぶ)」であると言われています。つまり、真似ることは、学ぶことであるといえるのです。
なお、成功者を真似る際には、「自分にはできるわけがない……」「あの人には特別な才能があるから……」などというネガティブな感情を持たないことが大切です。余計な思考を排除し、ポジティブな気持ちで徹底的にモデリングをすることで、これまでとは異なる視点で物事をとらえることができるようになります。
メンタルコントロールの方法(9)ネガティブな思い込みを捨てる
マイナス思考な方は、「自分には無理だ」「どうせまた失敗する」といったネガティブな感情が先行してしまい、やりたいことがあったとしてもなかなか行動に移せません。そこで、あらゆる場面で足枷になるネガティブ思考は、この機に思い切って手放しましょう。
例えば、「どうせまた失敗する」というネガティブな感情は、「また失敗したとしても、チャレンジした分だけ経験値を得て成長できる」とポジティブにとらえることもできます。このように、物事を逆の視点からとらえることを「リフレーミング」といいます。
いつもポジティブな方は、無意識のうちにこのリフレーミングを実践しています。「私は失敗したのではない。1万通りのうまくいかない方法を見つけただけだ」という名言を残したエジソンも、リフレーミングをしていたといえるでしょう。
メンタルコントロールの方法(10)完璧な自分を目指さない
メンタルコントロールをする際には、初めから完璧な自分を目指さないようにしましょう。完璧を目指すほど、失敗したときに気分が落ち込み、挫折しやすくなります。
失敗しても気持ちを切り替え、反省して次にどう活かすかを考えることが重要です。ミスをする可能性がある前提で仕事に向き合うことで、ミスがないか念入りに確認したり、ミスを起こしにくい方法を考えたり、という対策がとれます。
誰にでもミスはあると考え、最初から完璧を目指しすぎないことが大切です。
メンタルコントロールの方法(11)価値観の違いを受け入れる
「自分と他人の考え方や価値観は、違って当たり前」という前提でいることで、ネガティブな感情になる場面が少なくなります。
人は、自分が期待したとおりの反応が相手から返ってこないとイライラしがちです。しかし、10人いれば10通りの価値観があり、他人を自分の思い通りに動かすことはできません。
「こういう人もいるんだな」「新しい考えだな」と、価値観の違いや多様性を認めることは、心に余裕を持つことにつながります。他人はそう簡単には変えることができないので、いっそ受け入れてしまったほうが、自分自身の心が楽になるでしょう。
メンタルコントロールの方法(12)生活習慣を整える
メンタルの不安定さの原因は、生活習慣の乱れにあるかもしれません。睡眠不足や過度のストレス、不摂生な食生活は、自律神経を乱れさせ、心身の不調につながります。
朝すっきりと起きられるだけの睡眠時間を確保したうえで、毎日決まった時間に就寝・起床したり、栄養のある食事をとったりすることが大切です。また、日々のストレスや疲労をためず、その日のうちに解消していくことが、心身の健康を保つうえでとても重要といえます。
いきなり規則正しい生活にシフトするのが難しい場合には、「毎日決まった時間に起きる」「野菜の摂取量を増やす」など、取り入れられそうなものから始めてみましょう。
メンタルコントロールの方法(13)毎朝日光を浴びる
毎朝日光を浴びることも、メンタルコントロールに役立ちます。日光を浴びると、脳のなかで「セロトニン」という神経伝達物質が分泌され、ほかの神経伝達物質がもたらす感情(ドパミンの喜び・快楽、ノルアドレナリンの恐怖・驚き)などをコントロールしてくれるのです。
セロトニンの低下によって、ドパミンやノルアドレナリンのバランスが崩れると、感情の起伏が激しくなるといった精神症状を引き起こすことがあります。そのため、メンタルを安定させるうえで、セロトニンを分泌させることはとても重要です。
セロトニンを効率的に分泌させるには、朝起床してすぐ日光にあたり、全身で光刺激を受けます。起床したらまずカーテンを開け、日光にあたることを習慣にするとよいでしょう。
メンタルコントロールの方法(14)息抜きの場所を用意する
メンタルコントロールをしていくうえで、心のゆとりは重要です。日々の生活や職場のなかに、気分転換できる場所や習慣を用意しておきましょう。
具体的には、以下のような方法がおすすめです。
- 休憩室でお茶を飲む
- 好きな音楽を聴く
- 趣味のコミュニティに参加する
- 友人とランチをする
仕事中のイライラや日々のストレスをこまめに発散していれば、ストレスでメンタルが不安定になることを防げます。発散方法や所属するコミュニティの種類が複数あれば、どのような状況でも息抜きしやすくなるでしょう。
まとめ
本記事では、メンタルコントロールの具体的な方法14選を紹介しました。考え方や生活習慣を変えることで、物事をポジティブにとらえ、仕事で良いパフォーマンスを発揮できるようになります。すぐに実践可能な方法ばかりなので、できるものから生活に取り入れてみましょう。
メンタルコントロールは、労働者個人の自己実現だけでなく、会社全体の生産性にもかかわってきます。そのため、労働者のメンタルヘルスの管理を行なうことは、会社にとっても重要な課題です。
とはいえ、自社のスタッフだけでメンタルヘルスの問題を解決するのは、困難な場合が多いでしょう。その際には、外部の機関に相談することも一つの方法です。
リモート産業保健では、業界最安値の月額3万円から、自社従業員のメンタルコントロールのために有効な施策となる、産業医の選任、ストレスチェックの実施、相談窓口の設置・運営といった産業保健活動を一括サポートいたします。
産業医選任やオンライン・訪問面談、職場巡視、
衛生委員会の立ち上げ・運営など産業医と産業看護職2名体制で支援
役立つ資料も各種ご用意しておりますので、ぜひお気軽に下記リンクよりダウンロード、もしくはお問い合わせください。
>>【無料】産業医を初めて選任する企業様向けのガイドブック。
産業医の探し方や必要書類などの産業保健基礎知識をつけたい方はこちら
「そのほかにおすすめなお役立ち資料やセミナー情報」はこちら
産業保健師監修/職場メンタルヘルス実践ガイドブック【リモートワーク企業必見】離職率・休職率を下げる!リモートワーカーのメンタルヘルスケアとは?「実例から学ぶ健康経営の導入方法」:健康経営を導入する際の具体的な方法を、成功事例から学ぼう!【産業保健師監修】はじめてのストレスチェックガイドブックハラスメント相談窓口サービス資料産業医面談完全ガイドブック