長時間労働者には産業医面談が必要!時間外、休日労働時間の基準やポイントを解説

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はじめまして、shirocanと申します。
大学院修了後、フリーター期間を経て、教育系一部上場企業、人材系ベンチャー企業に勤務しました。ベンチャー企業勤務時より、様々な副業や活動を行ない、現在は法人経営のほか、webライター、キャリアアドバイザー、各種試験講師、研修講師などに従事しております。

執筆経験としては、副業系、投資、キャリア、金融、経営、ライフデザイン、中学高校大学受験における各教科の勉強法、各種資格試験の勉強法などがございます。翻訳、校正経験もございます。

文章を書くことが好きであり、はじめは副業で始めたライターのお仕事に充実感や責任感を覚え、約5年続けております。様々なジャンルを執筆する中で、常に学び続けることを忘れず、高品質の記事つくりに邁進しております。

監修者

働く人の心身の健康管理をサポートする専門家です。従業員の皆さんと産業保健業務や面談対応から健康経営優良法人の取得などのサービスを通じて、さまざまな企業課題に向き合っています。私たちは、企業経営者・人事労務の負荷軽減と従業員の健康を実現するとともに、従業員に対する心身のケア実現を通じ、QOL向上と健康な労働力人口の増加への貢献を目指しています。

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長時間労働者への産業医面談は義務?

企業には、長時間の時間外労働や休日労働を行なっている労働者に対して、産業医面談と呼ばれる面接指導を実施する義務があります。

産業医面談は、労働安全衛生法第66条の8で「長時間労働者への医師による面接指導制度」として定められており、適切な面接指導を実施しなかった場合は、法律違反となることもあるため注意しましょう。

面接指導の趣旨は、

「長時間の労働により疲労が蓄積し健康障害発症のリスクが高まった労働者について、その健康の状況を把握し、これに応じて本人に対する指導を行なうとともに、その結果を踏まえた措置を講じるもの」

とされています。

出典:厚生労働省『長時間労働者への医師による面接指導制度について』

長時間労働が続くと、労働者が脳・心臓疾患などを発症して働けなくなったり、企業が労働基準監督署の指導対象になったりするリスクがあります。リスクを避けるためにも、従業員の健康状態をしっかりと把握し、適切な産業医面談を行ないましょう。

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産業医面談の対象となる長時間労働者の基準とは

産業医面談の対象となる長時間労働者の基準は、厚生労働省により以下のとおり定められています。

(1)労働者(高度プロフェッショナル制度適用者を除く):月80時間超の時間外・休日労働を行ない、疲労の蓄積があり、面接の申出を行なった者

(2)研究開発業務従事者:(1)に加えて、月100時間超の時間外・休日労働を行なった者

(3)高度プロフェッショナル制度適用者:1週間あたりの健康管理時間(※)が40時間を超えた場合におけるその超えた時間について、月100時間を超えて行なった者
(※健康管理時間:事業場内にいた時間と事業場外において労働した時間の合計時間)

出典:厚生労働省『長時間労働者への医師による面接指導制度について』

なお、月80時間超の時間外・休日労働を行なった従業員については、産業医面談を希望する申出がない場合でも、産業医面談を実施するように努める必要があります。
また、高度プロフェッショナル制度適用者で、産業医面談の申出を行なった従業員に対しては、労働時間に関わらず産業医面談を実施しましょう。

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産業医面談の際に会社は何をすべき?押さえておきたいポイント

実際に産業医面談を行なうにあたって、具体的に何をすれば良いのかわからない方も多いかもしれません。ここでは、産業医面談の際に会社がすべきことやポイントを3つ解説します。

労働時間の状況を正しく記録する

従業員の労働時間を、客観的かつ正確に記録し把握することは、長時間労働を防止するうえでとても重要です。

労働安全衛生規則第52条の7の3では、タイムカードによる記録や、パソコンなどの使用時間の記録、その他の適切な方法で、従業員の労働時間を正しく記録することが定められています。

また、産業医が面接指導を実施する際に、従業員の労働状況を正しく判断するため、企業は産業医に労働時間などの必要な情報を提供しなければなりません。

産業医面談後に必要な措置を行なう

産業医面談の実施後は、必要な措置について産業医からの意見聴取を行なう必要があります。その結果、長時間労働の対策が必要だと判断された場合は、産業医と人事担当者などで協議のうえ、以下のように適切な対策を行なわなければなりません。

  • 労働時間を短縮する
  • 業務内容を見直す
  • 所属部署を異動する
  • 就業場所を変える

また、メンタルヘルス不調などの症状が見られる場合は、必要に応じて精神科医などと連携し、対応を行なうとよいでしょう。
しかし、個別に対応するだけでは、職場環境の改善につながらないこともあります。ほかの従業員の健康障害を防止するためにも、衛生委員会の活用や、従業員が気軽に相談できる窓口の設置を検討するなど、企業全体で長時間労働の対策に取り組むことが重要です。

産業医面談の記録を適切に保存する

産業医面談の記録は、労働安全衛生法第66条の8の3項と、労働安全衛生規則第52条の6により、5年間の保存が義務付けられています。第三者が勝手に記録を閲覧できないようにしたうえで、実務で使うことも考慮し、探しやすい適切な形で保存するようにしましょう。

なお、面接指導を実施した産業医からの報告を、そのまま保存する形でも問題ありません。

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産業医面談は拒否されるケースも……強制はNG

長時間労働などで産業医面談の対象となった従業員がいても、強制的に産業医面談を受けさせることはできません。産業医面談は、あくまでも本人からの申出があったときのみ実施しましょう。

ただし、従業員に拒否されたらそれで終わり、というわけではありません。産業医面談の目的やメリットを従業員に説明するほか、従業員が希望したときはあらためて対応できる旨を伝えるなど、企業側から働きかけを行なうことも大切です。

長時間労働者に産業医面談を受けてもらうための準備

従業員の時間外労働や休日労働が80時間を超えてしまい、産業医面談が必要になった場合は、従業員にスムーズに面談を受けてもらうための準備を整えましょう。ここでは、長時間労働者に産業医面談を受けてもらうための準備と、そのポイントについて解説します。

産業医面談の開始、申出方法について周知する

産業医を選任したばかりだと、産業医面談について知らない従業員も多いでしょう。そのため、ポスターや社内掲示板などを使って、周知徹底を行なう必要があります。また、従業員が産業医面談を希望する際の申出方法についても、わかりやすく説明しましょう。

さらに、企業から長時間労働者に対して産業医面談の対象である旨伝える際には、プライバシーへの配慮が必要です。

産業医面談の申出がしやすいように配慮する

従業員のなかには「産業医面談を受けることで、自身の不利益になるのではないか」と不安に思い、産業医面談の申出をためらう人もいるでしょう。

そのような不安を取り除くためにも、産業医面談を受けることで人事考課に影響はないことや、産業医に守秘義務があることを説明し、従業員が安心して産業医面談を受けられるようにすることが大切です。また、従業員が産業医面談を受けやすくなるように、社外に相談窓口を設置するのもよいでしょう。

ほかにも、日頃から従業員と産業医が接する機会をできるだけ多く設け、従業員が産業医に気軽に相談しやすい環境を作ることも、産業医面談の申出のしやすさにつながるかもしれません。

まとめ

長時間労働は、メンタルヘルス不調や脳・心臓疾患につながる可能性が高いため、長時間労働者に対しては産業医面談を実施することが義務付けられています。

産業医面談の対象となる労働時間の基準は、労働者、研究開発業務従事者、高度プロフェッショナル制度適用者で、それぞれ異なるため注意しましょう。

産業医面談を実施するためには、従業員の労働時間を正確に記録することや、従業員に不安を与えないよう、産業医面談について周知徹底することが重要です。産業医面談は基本的に、対象となる従業員からの申出がないと実施できないため、申出を行ないやすいよう配慮しましょう。

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