産業医への健康相談・面談は意味がない?拒否されやすい理由や対処方法を解説

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20年の看護師歴では、呼吸器内科・神経内科・訪問看護・地域看護(学校検診、幼稚園、民間救急)での経験があります。特に在宅看護や地域医療分野を得意としています。
高齢者を中心とした在宅ケアでは、コミュニケーションを大切にし、利用者の人生観や人生史の語りを傾聴すること、生きがいや希望、叶えたい未来を言語化するサポートをすることなど、その人らしさに寄り添うケアを実践してきました。
看護師ライター活動では、看護師に役立つ情報記事、医療企業メディアでのコンテンツ制作、看護師と子育ての両立を奮闘するママ看護師に役立つ記事、医療機関のSNS投稿文などを執筆してきました。
現役看護師として医療現場の体験をもとにリアルな声や情報を盛り込んだ制作を心がけています。
趣味は、子連れ旅行と野球観戦です。

【略歴】
2001年3月 〇〇看護学校卒業看護師免許取得
2001年4月 総合病院 入職 呼吸器内科病棟と神経内科病棟を経験
 L 実習指導者、学会発表、呼吸療法認定士取得
2010年4月 訪問入浴,デイサービス看護師
2012年2月 結婚のため退職  出産育児期間
2016年2月 訪問看護ステーション 入職
2021年1月 看護師ライター活動開始
2021年10月 小学校検診帯同看護師
2024年6月 民間救急同乗看護師:幼稚園看護師

2001年に正看護師免許を取得後、病院で8年間病棟勤務を経験しました。呼吸器内科では、酸素療法や人工呼吸器管理をはじめ、呼吸機能訓練、栄誉管理に携わりながら日常生活援助を行いました。その後、神経内科病棟に配属になり、神経難病患者の療養支援を経験しています。

病院勤務のあと、地域医療での看護に興味関心を持つようになり、訪問入浴、デイサービス、訪問看護と地域で生活する利用者の生活支援に携わりました。
病院勤務での経験をもとに、在宅で生活する利用者の体調にあわせた安全で快適な環境を整えるサポートや介護系地域サービスとの連携など、利用者とその家族のニーズを満たすために多角的なケアを実践してきました。

その中でも特に大切にしてきたことは、利用者や家族とのコミュニケーションです。ケアの中で語られる人生観や人生史を傾聴し、その人らしい人生の実現ができるサポートを心がけ、人生の希望や目標、叶えたい未来を具体的に言語化・ビジョン化することも得意です。
病院や訪問看護ステーション所属中には、学生指導やプリセプター活動、学会発表の経験もしています。看護のよろこびややりがいを言語化して、つたえること、発信することに使命感をもち社会貢献したいと思っています。

監修者

元々臨床医として生活習慣病管理や精神科診療に従事する中で、労働者の疾病予防・管理と職業ストレス・職場環境の密接な関係認識するに至り、病院からだけでなく、企業側から医師としてできることはないかと思い、産業医活動を開始しました。

また、会社運営の経験を通じ、企業の持続的成長と健康経営は不可分であること、それを実行するためには産業保健職の積極的なコミットメントが必要であると考えるに至りました。

「頼れる気さくな産業医」を目指し、日々活動中しています。
趣味は筋トレ、ボードゲーム、企業分析です。

【保有資格】
・日本医師会認定産業医
・総合内科専門医
・日本糖尿病学会専門医
・日本緩和医療学会認定医

「産業医面談って意味ないのでは?」という疑問を持ったことはありませんか?
健康診断後のフォローや労働環境についての相談についても、プライバシーが守られるか不安だという声もあるでしょう。
しかし産業医面談は、心身ともに健康な働き方を手に入れるために有効活用すべきものです。

この記事では、産業医面談のメリットやその目的について具体的に解説するとともに、労働者が面談を拒否した場合の対処法についても詳しく紹介します。

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産業医って何?労働者の健康管理を行なう医師のことです!

産業医とは、「事業場において労働者が健康で快適な作業環境のもとで仕事が行なえるよう、専門的立場から指導・助言を行なう医師」と東京都医師会は説明しています。

出典:公益社団法人東京都医師会|「産業医とは」

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産業医面談の目的は?健康診断やストレスチェックで労働者の体調を確認

産業医面談の目的はケースごとに異なりますが、共通の目的は「労働者の心身の状態の把握」と「今後の対応方法を検討し、企業側へ意見・指導する」ことです。

企業側は健康診断やストレスチェック後、長時間労働発生時、休職・復職の検討時、労働者の申し出がある場合などで産業医面談を実施し、ケースごとに対応を検討します。

ここでは、ケースごとの目的や対象者などを確認します。

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健康診断で業務に支障が出る可能性のある所見が認められた場合

このケースにおける産業医面談の目的は、労働者の健康状態の把握(症状がでていないか、生活や仕事に支障をきたしていないかなど)と就業措置を検討し、企業側に意見を行なうことです。

労働安全衛生法第66条の4及び労働安全衛生規則第51条の2の1に基づき、事業者は労働者の健康診断の結果(健康診断の項目に異常の所見があると診断された労働者のもの)について、3ヵ月以内に産業医の意見を聴かなければなりません。

産業医面談の実施については、法律で明記されていませんが、実施することでより適切な就業判定を産業医が検討できたり、労働者に対して医学的アドバイスを行なったりしてもらうことができるなどのメリットが多くあるため、実施することが望ましいでしょう。

ただし、産業医面談を設ける際は、対象の労働者の理解と同意を得て行ない、強制しないよう確認しながら行ないましょう。

長時間労働者が発生した場合

長時間労働者への産業医面談の目的は、長時間労働により疲労が蓄積し、疾患の発症リスクが高まっている労働者に対して、現在の健康状態を把握、本人への助言を行ない、その結果を踏まえた措置を検討することです。

事業者は、労働安全衛生法第66条の8の1、労働安全衛生規則第52条の2・第52条の3に基づき、時間外労働・休日労働が月80時間を超え、疲労の蓄積が認められる労働者(高度プロフェッショナル制度適応者を除く)から面談の申し出があった場合、産業医による面談を実施しなければなりません。
また、上記に該当しない場合も、時間外労働・休日労働が45時間以上を超え、健康への配慮が必要な労働者に対して、産業医による面談を行なうことが望ましいとされています。
※そのほかにも、研究開発業務従事者や高度プロフェッショナル制度適用者によって過重労働面談の対象条件が変わります。詳しくは下記表をご参考ください。

医師による面接指導の対象となる労働者 過重労働面談対象条件 該当する法律名
労働者(義務) 時間外労働・休日労働が月80時間を超え、疲労の蓄積が認められる労働者(高度プロフェッショナル制度適応者を除く)から面談の申し出があった場合 労働安全衛生法第66条の8の1労働安全衛生規則第52条の2、第52条の3
労働者(努力義務) 事業主が自主的に定めた基準に該当する者 労働安全衛生法第66条の9、労働安全衛生規則第52条の8
研究開発業務従事者(義務) (1)月100時間超の時間外・休日労働を行なった者 労働安全衛生法第66条の8の2、労働安全衛生規則第52条の7の2
(2)月80時間超の時間外・休日労働を行ない、疲労蓄積があり面接を申し出た者 労働安全衛生法第66条の8、労働安全衛生規則第52条の2
研究開発業務従事者(努力義務) (3)事業主が自主的に定めた基準に該当する者 労働安全衛生法66条の9、労働安全衛生規則第52条の8
高度プロフェッショナル制度適用者(義務) (1)1週間当たりの健康管理時間が40時間を超えた時間について月100時間超行なった者 労働安全衛生法第66条の8の4、労働安全衛生規則第52条の7の4
高度プロフェッショナル制度適用者(努力義務) (2)①の対象者以外で面接を申し出た者 労働安全衛生法第66条の9、労働安全衛生規則第52条の8

引用:長時間労働者への医師による面接指導制度について|厚生労働省

産業医は面談結果に基づき、事業者へ意見書などで意見や指導を行ない、事業者は就業措置を検討します。長時間労働者の発生における産業医面談は法律で義務付けられているため、確実に行ない、労働者の健康管理につなげていきましょう。

ストレスチェックの結果、高ストレスと判定された場合

高ストレス者への産業医面談の目的は、労働者のメンタルヘルス不調のリスクを評価し、本人に指導や助言を行ない、メンタルヘルス不調を未然防止するとともに、事業者による適切な措置につなげることです。
ここで述べている高ストレス者とは、ストレスに関連する質問(ストレスチェック)に答え、その結果、ストレス度が高いと判定された労働者のことを言います。

基本的に、産業医面談の対象となった通知は労働者本人へ行われ、その労働者が面談の申し出を行なった際に、企業側は産業医面談を設ける義務があります(労働安全衛生規則第52条の16)

高ストレス者はそのままにしてしまうと、不安や悩み、ストレスに対して対応ができず、集中力の低下や判断力の低下にもつながり、怪我や事故などの安全面でも危険がおよぶ可能性があります。

また、うつなどの精神疾患の発症や最悪の場合、自殺に至る可能性もあるため、高ストレス者にはできる限り産業医面談を受けてもらうことが望ましいでしょう。

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休職中のフォローや復職について検討する場合

休職や復職における産業医面談の目的は、労働者本人の状態を正しく把握し、休職や復職後の就業措置について本人や企業側へ意見・指導を行なうことです。

休職や復職にともなう産業医面談について、法律に明記されているわけではありませんが、企業に課せられている「安全配慮義務」を果たすために重要です。

安全配慮義務とは、労働契約法第5条に以下のように明文化されています。
「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」

つまり、労働者に対して安全かつ健康的に業務が行なえるよう、企業側は休職・復職の際にも対応していく必要があります。

その他、労働者より希望がある場合

産業医面談を行なうことで、労働者が自身の課題や改善点に気付いたり、見直すきっかけになったりすることもあります。また、企業や産業医のサポートを受けることで、労働者の心身の負担の軽減につながり、継続して業務を行なうことにもつながります。

治療と仕事の両立をしている場合や医学的専門家の支援や意見が必要な場合などで、労働者から同意が得られたり、申し出があったりした際には産業医面談を設けることが望ましいでしょう。

産業医への健康相談で労働者が話すべきこととは

産業医への健康相談とは、前項で述べたケースや健康面での不安や疑問を持つ労働者が産業医へ相談し、それに対して産業医から健康に関する指導や助言をもらうことを言います。

産業医への健康相談でよくある内容

産業医への相談でよくある内容は、健康診断後の検査結果に関する内容です。健診結果から体調に不安を抱えた労働者が相談することがあります。

また、近年はメンタルヘルスに関する事例もあり、ストレスチェック後の高ストレス者面談や心理的な負担により欠勤や遅刻・早退が増えている労働者、精神疾患で通院している労働者からの相談が多くなっています。

産業医への健康相談で気を付けたいこと

産業医への相談で気を付けたいことは、以下の2点です。

(1)産業医は診断や治療は行なうことができない(企業内診療所の産業医である場合を除く)

産業医は医師免許を所有していますが、産業医の職務には医療行為は含まれていないため、基本的に診断や治療、注射などの医療行為を行なうことはできません。そのため、産業医への健康相談時に「薬の処方をしてほしい」や「注射をしてほしい」といったことはできません。

そのうえで、企業内診療所が設置されており、産業医が医師としても業務が行なえる場合もありますが、基本的に医療行為はできないことを押さえておき、健康相談をする労働者にも伝えておきましょう。

(2)健康相談後の対応は臨機応変に

健康相談の内容は労働者によってさまざまで、似たような相談内容であっても、相談している労働者の生活習慣や性格、業務に対する考え方や健康に関するとらえ方などのさまざまな要因で異なる対応が必要です。

医師のように診断や治療などの医療行為を行わないからこそ、産業医や企業は労働者が自分で自分の心身を守り、健康的に業務を継続していけるような意識づけをすることが大切です。

産業医への健康相談後は、事業者や企業担当者は産業医の意見を踏まえ、個々の労働者に合わせた対応を検討していくとよいでしょう。

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産業医面談は意味ない?健康相談するメリットをチェック!

産業医面談にはメリットが多くありますが、実は企業や労働者のなかには「産業医面談って意味あるの?」と疑問を持つ人もいます。

面談を行なう際は、時間や場所の確保が必要であったり、労働者によっては「会社や上司に話した内容が漏れるんじゃないか」と不安になり、面談を受けることへのハードルが高くなったりする可能性もあります。

しかし、産業医面談は企業側にも労働者にもメリットがあります。1つずつ確認していきましょう。

職場環境改善や労働者の健康保持につながる

産業医への健康相談は、労働者にとってより健康的に継続して業務を続けられるように職場環境を整えたり、労働者の健康管理をしたりすることが目的です。そのため、労働者の声を産業医に届けることで、より効果的に業務や職場改善について企業側に伝えることができます。

また、企業側も労働者にとって快適な職場環境をつくることで、労働者や職場が健康になることで、労働者が働きやすさを実感しやすくなり、モチベーション向上につながっていきます。その結果、労働者の離職率低下にともなって定着率がアップし、生産性を向上させることができます。

労働者との信頼関係の構築

産業医は守秘義務が課せられており、産業医として知り得た情報は本人の許可がない限り他者に伝えることは禁止されています。そのため、産業医面談で労働者が話した内容は、労働者本人の許可がない限り、企業へ伝えることはできません。

産業医は企業と労働者との中立な立場で対応を行なう必要があり、労働者にとっては企業に相談しにくい内容でも、安心して産業医に相談できる体制を作ることで、企業側に対する信頼関係の構築にもつながりますし、労働者はいつでも相談できる相手がいるという心の支えにすることができます。

医療機関に受診するより相談しやすい

健康に不安があるが、「仕事が忙しくて時間がない」や「症状もないし、大丈夫だと思う」などの理由で受診しない労働者に対しても、産業医面談はメリットになります。

産業医面談で受診が必要と判断した場合は、相談者の同意のうえで企業へ業務調整を依頼したり、専門の医療機関を紹介したりしてくれる場合もあります。

産業医面談も基本的に業務時間内で行なうことが望ましいため、仕事の合間に相談することができ、医療機関への受診より相談しやすい環境といえるでしょう。
また、2020年11月よりオンラインによる医師の面接指導の取り扱いが変更になったため、働き方に合わせた相談方法が労働者へ提案できるようになりました。テレワークやフレックスタイム、時短勤務などのさまざまな働き方に合わせて労働者が相談しやすい産業医面談を実施することでメリットをさらに大きくするでしょう。

産業医による面談は「意味がない」と労働者に拒否されやすい理由

労働者の健康管理や職場環境の改善を目的とした産業医面談ですが、なかには「意味がない」と拒否する労働者もいるでしょう。ここからは、労働者に面談が拒否されやすい理由と背景を解説します。

(1) 産業医の存在や面談の目的を理解していないから

労働者が産業医面談を拒否する理由として、産業医の役割や面談の目的が十分に理解されていないことがあります。そのほかにも、産業医面談が形式的なものと感じられたり、メリットが見えにくかったりする背景も影響しているといえます。

そのため、産業医面談の目的が、労働者の健康リスクの早期発見や心身の負担の軽減、職場環境への適応の確認にあることを、事業者が労働者に周知することが重要です。面談を受けることで、健康管理へのアドバイスが得られたり、職場環境の改善につながったりすることを丁寧に伝えましょう。

産業医 面談 実施する意味産業医面談とは?話す内容やメリット・デメリット、注意点を解説

(2) 面談をしても状況が変化しないから

過去に産業医面談を経験しても状況が変わらなかったと感じた労働者が、面談は「意味がない」と拒否する場合もあるでしょう。例えば、体調不良を相談したにもかかわらず効果が実感できなかったり、長時間労働や業務量の調整についての悩みを訴えても、人員配置や業務効率化の見直しが進まず、同じような状況が続いてしまったりする場合が考えられます。

事業場の対応としては、産業医の助言を積極的に取り入れて職場環境の改善を進め、労働者が改善を実感できるような面談後のフォローを充実させることが求められます。

(3) ストレスや不調を抱えている自覚がないから

労働者が産業医面談を「意味がない」と感じる理由には、業務が忙しく、自分の疲労やストレスに気付けないこと、体調不良を一時的なものとらえて深刻に考えないこと、精神的負担を自覚していないことが挙げられます。「自分は元気だから面談は不要」と考えたり、「問題のある労働者と見なされるのでは」と不安を感じたりしてしまう場合もあるでしょう。

このような不調に自覚が伴わない場合に有効なのは、ストレスチェックです。労働者に自覚がない場合でも健康リスクの兆候を把握できるので、産業医面談につなげて早期に対応することができます。

(4) 相談することが不安だから

労働者が産業医面談を受けるのをためらう背景には、「上司や人事に話したことが筒抜けになるのでは?」という懸念や、「評価や異動に影響を与えるのでは?」という不安があります。

例えば「長時間労働による疲労」を相談した結果、「仕事の効率が悪い」と評価され、昇進が見送られるのではないかと不安になる労働者がいるかもしれません。また、産業医に完全な守秘義務があるのか疑問に思っている人もいるでしょう。

事業者には、不安を感じている労働者に対して産業医面談の守秘義務を十分に説明したり、 匿名相談を導入したりして、労働者が安心して相談できる環境づくりが求められます。
企業全体で「労働者の健康維持のために産業医面談を活用する」という意識を持ち、不安を解消していきましょう。

産業医面談を意味がないものにしないためにはどうすればいい?

産業医への健康相談を事業場内で実施する際は、スムーズかつ効果的に行なえるような体制を整えたうえで行なうことが重要です。

体制を整える場合の注意点として、以下の点を確認しておきましょう。

(1)産業医面談の周知

まずは、産業医の存在や産業医面談のメリット、対象や実施までの流れなどを労働者に周知する必要があります。

事業場それぞれの周知方法があると思いますが、社内掲示板やメールを用いた周知、職場巡視や衛生委員会での周知、また、企業担当者や上司から労働者へ直接「産業医面談というものがあるよ」とメリットや方法を含めて声かけをすることも十分周知になります。

その際は、本記事でも先述している「産業医面談は意味ない?健康相談をするメリットをチェック!」の部分をぜひ活用してみてください。

(2)相談しやすい場所の確保

産業医面談を実施する際は、相談内容が外部に漏れず、相談者が安心して話ができる場所を用意する必要があります。面談場所が社内の労働者がよく通る部屋の前だと、相談者はほかの労働者に相談している内容が聞こえてしまうのではないかと気になり、産業医との面談に集中できない可能性があります。産業医も相談者本人の状態を正確に把握できなくなることが考えられるためです。

社内で産業医面談を行う場合は、相談内容が他の労働者に漏れないよう社内で産業医面談を実施するのであれば、産業医面談を実施している労働者が相談したい内容が社内の労働者から漏れない場所で実施するなどの配慮を行ない、相談環境を整えることが大切です。

(3)オンラインでも実施可能な環境の整備

これまで原則対面だった産業医面談が、新型コロナウイルスの流行やオンライン化の推進に伴い、2020年11月より「情報通信機器を用いた労働安全衛生法の規定に基づく医師による面接指導の実施について」が改正され、オンライン面談の実施が可能になりました。

そのため、全国どこでも遠隔での対応が可能となり、テレワークなどで出社していない労働者や時間が取れない労働者、新型コロナウイルスの感染拡大により産業医が事業場を訪問できない場合も面談実施が可能となりました。

ただし、オンライン面談を行なう際も対面時と変わらず、労働者の心身の状況の確認や必要な指導が適切に行われるようにするため、厚生労働省の「情報通信機器を用いた面談指導の実施について」に記載されている内容を確認し、必要があれば準備する必要があります。

産業医による面接指導について、さらに確認したい方はこちら
産業医面接指導の対象者と流れ、内容やオンライン面接に関して解説

オンラインによる産業医面談を検討している際は、確認して準備しておきましょう。

(4)緊急時の対応のマニュアル化

企業は産業医面談の実施時に、産業医が緊急に対応すべき徴候などを把握した場合、迅速に対応できるよう、緊急対応や医療機関との連携方法などをマニュアル化し、体制を整えておくことも重要です。

これは、オンライン面談の実施時に整えるべき体制として、厚生労働省の「情報通信機器を用いた面談指導の実施について」に記載されていますが、通常の産業医面談実施時もぜひ整えておくとよいでしょう。

企業はいざ緊急対応が必要となった場面に備えて、緊急時の対応マニュアルを、面談前に確認しておくことで、スムーズに緊急対応や医療機関との連携を行なうことができます。緊急時の対応で困ることがないよう事前に準備しておきましょう。

(5) 面談結果に応じて適切な対応をする

産業医面談の結果を踏まえた事業場の対応は、労働者の健康状態の維持・改善だけでなく、企業の生産性向上やリスク管理においてもとても重要です。労働者が安心して働ける環境づくりへの取り組みや信頼関係の構築は、休職や離職を未然に防ぐことにもつながります。

人間関係のトラブルが心身の不調の原因となっている場合は、配置転換やチーム再編、コミュニケーションの改善に取り組み、労働者に疲労の蓄積が見られる場合には、労働時間や業務量を見直して心身の不調の悪化を防ぎましょう。

(6) 社外相談窓口を案内する

産業医面談を拒否した労働者には、代替手段として社外相談窓口を案内しましょう。第三者機関の活用は、上司や企業へ情報が漏れてしまわないか懸念したり、不信感で面談を拒否したりする労働者にも安心感を与えることができます。

具体的には、労働条件の悩みは労働基準監督署を、メンタルヘルスについては外部EAP(従業員支援プログラム)を、精神的な問題への対応を求める場合には、各都道府県・政令指定都市に設置されている公的な精神保健福祉センターを案内します。

匿名相談を希望する場合には、電話やSNS、メールなどさまざまな方法で相談でき、無料で利用ができる「こころの耳相談」も有効です。

労働者には、社外相談窓口の種類や連絡先、相談方法を具体的に伝え、不利益な扱いはされないことをしっかり明示するようにしましょう。

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事業場の特徴や課題に合わせた産業医

事業場の業種や勤務形態、男女や年齢層などの特徴やどういった疾患や怪我が多いのか、メンタルヘルス不調を訴える労働者が多いのかなどの課題を踏まえて産業医を選任することで、より労働者が産業医に相談しやすい環境を整えることができます。

例えば、女性が多い職場で女性特有の健康課題が見られる場合に男性の産業医を選任すると、女性労働者は相談しにくくなってしまいます。

また、メンタルヘルス不調による休職や退職が見られる事業場では、精神科や心療内科を専門とする産業医を選任する方が、労働者も企業側も相談しやすく、より良い改善をする可能性が高いため、選任する際のポイントとして重要です。

コミュニケーション能力のある産業医

産業医面談は、面談を通して労働者の心身の健康状態を把握したり、医学的専門家として適切な判断や意見をしたりするための材料になるため、コミュニケーション能力のある産業医は、より的確な判断をしてくれる産業医といえるでしょう。

コミュニケーション能力があることで、労働者も「話しやすかったし、また相談してみようかな」と面談に対して前向きにとらえることができ、仮に労働者の体調不良が見られても、早期発見・対応につながるため、選任する際のポイントとして押さえておくとよいでしょう。

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まとめ

産業医面談は労働者の健康管理や企業が安全配慮義務を果たすためにとても重要な役割を担っています。事業場に産業医という医学的専門家がいることで、未然に防ぐことができる課題がきっと見つかるでしょう。

企業が抱える健康課題には、予測して未然に予防することと見つかった段階で早期に対応することの両方が必要で、それらを的確に行なえるのが産業医です。ぜひ、この機会に産業医の選任と産業医面談の活用を検討してみてはいかがですか?

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