衛生管理者は、1事業場あたり労働者が50名以上在籍している場合、選任が義務付けられています。そのため、社長や上司から衛生管理者の資格をとるように指示があることも少なくありません。
衛生管理者資格は一種と二種に分かれているため、取得する資格を間違わないよう
本記事では、第二種衛生管理者を取るメリットや合格難易度、試験内容、勉強方法などを解説します。
第二種衛生管理者とは?
第二種衛生管理者は、情報通信業、金融・保険業、卸売・小売業など有害業務と関連しない業種で衛生管理をおこなえます。
一方、第一種衛生管理者は、有害業務も含めたどの業種であっても職務を遂行することができます。労働安全衛生規則 第7条では、衛生管理者の選任が必要な事業場の業種区分を下記の様に定めています。
そのため、事業場は、自身の業種にあった衛生管理者を決める必要がありますので、労働者に資格を取得するよう指示を出す際にはご注意ください。
業種 | 資格 |
---|---|
農林畜水産業、鉱業、建設業、製造業(物の加工業を含む)、電気業、ガス業、水道業、熱供給業、運送業、自動車整備業、機械修理業、医療業及び清掃業など | ・第一種衛生管理者免許若しくは衛生工学衛生管理者免許を有する者又は労働安全衛生規則10条 ・医師、歯科医師、労働衛生コンサルタント等 |
上記以外の業種 | ・第一種衛生管理者免許、第二種衛生管理者免許若しくは衛生工学衛生管理者免許を有する者又は労働安全衛生規則10条 ・医師、歯科医師、労働衛生コンサルタント等 |
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産業医とは?仕事内容とその役割・医師との違いを徹底解説第二種衛生管理者試験の合格率
令和4年度の合格者は、18,089人でした。(合格率は、51.4%)
第一種衛生管理者の合格率が、45.8%であったことと比較すると、第二種衛生管理者試験のほうが合格しやすいと言えます。本章では、合格基準やここ数年の合格率の推移など詳しく解説しています。
第二種衛生管理者試験の合格基準
第二種衛生管理者試験の合格基準は、科目ごとの正答率が40%以上、かつ全体の正答率が60%以上であると、安全衛生技術試験協会で定められています。第一種衛生管理者も同様です。また、合格者数に制限はありませんので、注意すべきことは、科目ごとの正答率です。
具体的には第一種・第二種衛生管理者ともに、「正答率が40%以下の科目が1つでもある場合は、その時点で不合格」と判定されます。
しかし、各科目で40点以上をとったとしても、全体の正答率が60%以上であることも合格基準に定められているため、全体の合格点を満たせず、不合格となる可能性があります。
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したがって、第二種衛生管理者の資格に合格するには、全科目で60%を取れるように勉強をしておくとよいでしょう。
合格基準
〈 学科試験 〉科目ごと(第一種衛生管理者試験の科目のうち範囲が分かれているものについては範囲ごと)の得点が40%以上で、かつ、その合計が60%以上であること。ただし、特別ボイラー溶接士試験及び普通ボイラー溶接士試験は得点の合計が60%以上であること。
第二種衛生管理者試験の合格率推移
過去5年の合格率は平均52%で、横ばいに推移しています。
第一種衛生管理者試験と比べても、過去5年間の平均合格率が約10%ほど高い傾向にあります。
実際の平成30年から令和4年までの合格率の推移と実績はこちらです。
第2種衛生管理者 | 受験者数 | 合格率 |
---|---|---|
平成30年度 | 32,985 | 52% |
令和1年度 | 33,559 | 55% |
令和2年度 | 22,220 | 53% |
令和3年度 | 36,057 | 50% |
令和4年度 | 35,199 | 51% |
第二種衛生管理者試験は、他の国家資格に比べて合格率は高いものの、出題傾向の変化により合格率が低下すると言われています。
そのため、これまでの勉強方法では合格できないことが増えることを想定し、過去問を利用して傾向を把握したり、最新情報を講習で学んだりするなどの対策が重要です。
第二種衛生管理者の試験内容
第二種衛生管理者の試験内容は、有害業務に関わらない労働衛生、関係法令、そして労働生理の3種類となります。試験時間は合計3時間、設問数は全30問となります。出題形式は5枝択一式です。
資格名 | 試験内容 | 配点 | 試験時間 |
---|---|---|---|
第2種衛生管理者 | 労働衛生 (有害業務に係るものを除く。) |
10問(100点) | 3時間 13:30~16:30 |
関係法令 (有害業務に係るものを除く。) |
|||
労働生理 | |||
第2種衛生管理者 | 労働衛生 (有害業務に係るものを除く。) |
10問(100点) | 2時間15分 13:30~15:45 |
関係法令 (有害業務に係るものを除く。) |
しかし、一部の国土交通省が交付書類を保有している、かつ特定業務に一定期間従事した者は、労働生理に関する科目を免除されます。そのため、試験時間や設問数が短縮され、2時間15分で全20問を回答していくことになります。
船員法による衛生管理者適任証書の交付を受けた者で、その後1年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの
第二種衛生管理者に合格するための勉強方法
第二種衛生管理者の合格に向けた勉強方法は、過去の出題傾向を確認し、毎年出題される範囲からテキストや問題集に取り組むことで基礎知識を身につけ、効率的に学習を進めることができます。また、過去の問題にも取り組むことをおすすめします。
さらに、予算に余裕がある方には、講座への参加や通信講座を利用することも検討してみてください。
次に、より効率的に学習を進めていくための出題傾向について科目別にご紹介していきます。
平成28年6月1日に施行された労働安全衛生法改正に基づく、メンタヘルス指針やリスクアセスメント指針などの出題が見られるようになったことから、パターン暗記だけでは対応が難しい出題が増えてきています。合格率を高めるためにも下記の表にまとめた出題傾向を参考に理解度を高めてください。
出題科目 | よく出題される範囲 | 平成27~30年の過去4年間に出題された要注意項目 |
---|---|---|
労働衛生 | ・労働衛生疾病統計の食中毒に関する計算 ・一次救命処置や脳血管障害/虚血性心疾患などの救命処置 ・作業環境や作業、健康管理 ・喫煙対策 |
・メンタルヘルスケア ・熱中症のリスク評価指標であるWBGT ・労働衛生疾病統計のノロウィルスに関する計算 ・生活習慣病関連(動脈硬化) ・快適職場指針 ・THP指針 |
関係法令 | ・衛生管理者 ・衛生委員会 ・定期健康診断 ・温熱条件や採光と照明、清潔などの衛生基準 ・面接指導 ・産業医 ・統括安全衛生管理者 |
・雇入れ時の教育の省略 ・労働時間、労使協定による時間外・休日労働 ・就業規則 ・妊産婦 ・フレックスタイム制 ・ストレスチェック ※衛生基準は組み合わせ問題として出題が多くなっている傾向 |
労働生理 | ・呼吸/血液/心臓(循環)などの呼吸と血液循環 ・腎臓と尿 ・栄養の消化と呼吸 ・神経系と感覚器 |
・ストレス ・ホルモン ・代謝、疲労 |
参考:衛生管理者試験対策研究会 | 第2種衛生管理者 過去7回 本試験問題集(2018~19年版)|2018年発行
合格に必要な勉強時間
第二種衛生管理者試験の受験には、約60時間の勉強時間が必要と言われています。
1日1時間の勉強を続けると、約2ヶ月の勉強期間が目安となります。
他の難関資格では数年の勉強が必要なものもありますが、この資格は比較的短期間で合格を目指せるものと言えます。
しかし、個人差があるのも事実です。例えば、知識がない状態で、仕事や家事をしながら合格を目指す人であれば、一日の勉強時間が少なくなることも想定できます。
したがって、まずは自分にあった期間を定め、1日の勉強時間を決めるところから考えることをおすすめします。
実際に第一種衛生管理者資格を合格した弊社社員が学習方法や準備など、まとめたお役立ち資料もありますので、ご参考までに下記リンクからダウンロードください。
弊社の従業員が実際に一発合格した際の体験談をもとに、衛生管理者の役割や学習方法などをお役立ち資料にまとめました。このガイドブックでは衛生管理者の役割や学習方法から、合格後の実務までを本書にまとめています。ぜひ試験勉強前の参考情報として本書をダウンロードし、ご活用ください。
第二種衛生管理者は独学で合格できる?
結論として、第二種衛生管理者は独学で合格可能です。
社会福祉士や宅建などの国家資格と比較すると、勉強時間も少なく出題範囲も制限されているため、合格しやすい資格といえます。
しかし、本記事でもご紹介したように、近年精神障害による労災請求件数の増加や、健康や勤務問題による自殺が約半数を占めることから、労働者の安全と健康意識が高まっています。
こうした背景から、メンタルヘルスケアや過重労働による健康障害など新しい知識に関する出題も多くなっている傾向です。
新しい分野の出題が増えたことにより、平成27年以前の合格率は、例年おおよそ65%前後で推移していましたが、平成30~令和4年の合格率は、平均52%まで低下しています。
このことを踏まえ、各科目に対しての理解を深めるために、下記のような勉強方法の組み合わせもご検討ください。
おすすめの勉強方法は、下記の通りです。
衛生管理者試験の勉強方法(1)テキストを繰り返し読む
衛生管理者試験の勉強方法(2)同じ問題集を何度も解く
衛生管理者試験の勉強方法(3)過去問に挑戦する
衛生管理者試験の勉強方法(4)講習に参加する
衛生管理者試験の勉強方法(5)通信講座を活用する
衛生管理者試験の勉強方法(6)アプリで学習する
衛生管理者試験の勉強方法(7)Youtubeを活用する
参考:衛生管理者試験の勉強時間はどれくらい?短期間で一発合格するための勉強方法とは | 産業保健の知恵袋 サンチエ
より詳細な勉強方法を学びたい方は、下記記事よりご確認ください。
【あわせて読みたい関連記事】
衛生管理者試験の勉強時間はどれくらい?短期間で一発合格するための勉強方法とは第二種衛生管理者の資格を取得するメリットは?
ここでは、第二種衛生管理者を取得するメリットと、どんな人が取るのかを紹介します。
【メリット1】有害業務に携わることがない
第二種衛生管理者は、「有害業務に係るもの以外のもの」を衛生の観点で問題ないか、管理することを許された資格になります。
そのため、危険な有害業務に携わる不安もなく衛生管理者の職務を果たすことができます。
【メリット2】合格率が高く短い期間で資格取得が可能
第二種衛生管理者になるために必要な期間は最短で2か月必要とされています。また、合格率は第一種よりも高く、毎回半数以上の受験者が合格しています。そのため、第一種衛生管理者が必要な業種でない場合は、第二種でも十分な資格と言えます。
【メリット3】キャリアップにつながる
仕事によっては、衛生管理者資格を持っていることが昇進の条件として求められる場合があります。さらに、衛生管理者の資格を持っていると、資格手当を支給する会社も存在します。
これらのことから資格を取得すれば、必ずしもどの職種でも昇進や昇給が約束されるわけではありませんが、このようなチャンスが増えることは確かです。
まとめ
今回は、第二種衛生管理者試験の内容や勉強時間、合格のための勉強方法について詳しく解説しました。
最近では法改正のタイミングとともに出題範囲が広がっていますが、第一種衛生管理者と比べると合格率は高いため、自分に合った勉強期間を設定し、出題傾向を把握して準備すれば、短期間で合格することも可能です。
衛生管理者の資格取得に興味がある方や、資格取得を効率的に進めたい方は、ぜひお役立ち資料をダウンロードしてください。
弊社の従業員が実際に一発合格した際の体験談をもとに、衛生管理者の役割や学習方法などをお役立ち資料にまとめました。このガイドブックでは衛生管理者の役割や学習方法から、合格後の実務までを本書にまとめています。ぜひ試験勉強前の参考情報として本書をダウンロードし、ご活用ください。