産業保健活動を進めるうえで、以下のような疑問や悩みをもつ企業担当者の方も多いのではないでしょうか。
「産業医のカウンセリングでは何を話すのだろう?」
「産業医のカウンセリングはそもそも必要?」
「カウンセリング体制の整備のために産業医を選任したいけれど、何から始めたら良いのかわからない……」
そこで今回は、産業医によるカウンセリングの目的や重要性、期待できる効果、産業医選任の際の相談先などについて解説します。産業医の選任やカウンセリングに関して詳しく知りたい方は、ぜひご一読ください。
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そもそもカウンセリングとは?
カウンセリングとは、医師や臨床心理士、カウンセラーなどの専門家が相談者から悩みを聞き、専門知識を活かした指導や援助を行なうことをいいます。具体的な指示や投薬といった治療だけでなく、傾聴を通して自分自身の力で立ち直るきっかけを与える、といったアプローチをする場合もあります。
相談者は、カウンセリングで話を聞いてもらうことで、自分の考えや気持ちを整理できるでしょう。そして、専門家の立場から適切な助言を受ければ、問題解決に向けたアクションを起こすキッカケになるかもしれません。
医師に相談した場合には、必要に応じて投薬治療などを行なうこともありますが、悩みを解決するための答えをもらえるわけではありません。話をすることで気持ちを整理し、問題解決の糸口を見つけるのが、カウンセリングの意義といえます。
産業医のカウンセリングでは何をする?
事業場で行なわれるカウンセリングはおもに「産業医」が担当します。では、産業医のカウンセリングでは具体的に何をするのでしょうか。
ここでは、カウンセリングの内容やカウンセリングを受けるタイミングなどについて解説します。
産業医のカウンセリングで相談できること
産業医によるカウンセリングは、「産業医面談」とも呼ばれます。おもなカウンセリング内容は以下のとおりです。
- 体調
- 生活習慣
- メンタルヘルス
- 労働環境
- ハラスメント
- 休職、復職、退職について
産業医には、「健康」に関する内容をまとめて相談できます。加えて、「健康」を維持するための「就業」についての相談も可能です。
産業医によるカウンセリングの内容
産業医は相談者の話を聞き取りながら、アドバイスや指導を行ないます。場合によっては、医療機関への受診を促すケースもあるでしょう。
その他、産業医は相談者の不調の要因がどこにあるかをカウンセリングのなかから見つけ出し、事業場で対応すべき内容であれば、要因の軽減や改善を図るために事業者に働きかけることもあります。
健康の不安や悩みを抱える相談者に対しては、健康診断の結果や最近の体調を確認し、健康的な生活を送るためのアドバイスを行ないます。
なお、産業医は医師ではありますが、原則、医療行為(投薬・検査など)は行ないません。この点が医療機関で働く臨床医との違いです。
産業医がカウンセリングを行なうのはどのようなとき?
産業医のカウンセリングは、おもに以下のタイミングで行なわれます。
- ストレスチェックで高ストレス者と判定された労働者が出たとき
- 健康診断結果で異常所見があると判定された労働者が出たとき
- 長時間労働者・メンタルヘルス不調者が出たとき
- 休職希望者、復職希望者が出たとき
- 雇入健診後、必要性が生じたとき
- 上記カウンセリング後、追加のフォローが必要なとき など
上記のような事項が発生した際には、該当の労働者に産業医によるカウンセリングをすすめます。このような状況を放置してしまうと、心身の不調はもちろん、あらゆる病気の発症リスクが高まるため、できる限り早めに対応しましょう。
産業医のカウンセリングで話した秘密は守られる?
産業医には、労働安全衛生法第105条により「守秘義務」が課せられています。したがって、基本的に労働者の同意がない限り、産業医に話した内容や健康に関する情報などが企業側に伝わることはありません。
また、産業医は中立の立場で企業と労働者に関わる存在です。守秘義務を守ったうえで、双方の橋渡しや専門的助言を適切に行なうのが、産業医の役割といえます。
なぜ産業医によるカウンセリングが重要なのか?
労働者の健康維持・向上のために、産業医によるカウンセリングは重要とされています。ここでは、その理由について解説します。
産業医の選任義務があるから
そもそも事業者は、事業場の規模に応じた人数の産業医を選任する義務があります。産業医は労働者の健康管理のために必要不可欠な存在であり、快適に働ける職場づくりに貢献します。
なお、事業場の規模に応じた産業医の選任人数は、以下のとおりです。
- 常時使用する労働者数が50人以上3,000人以下の規模の事業場:1名以上選任
- 常時使用する労働者数が3,001人以上の規模の事業場:2名以上選任
参考:産業医について~その役割を知ってもらうために~|厚生労働省
また産業医には、企業に専属で勤務する「専属産業医」と、他の仕事と兼務する「嘱託産業医」があります。常時1,000人以上の労働者を使用する事業場と、有害業務に携わる常時500人以上の労働者を従事させる事業場では、「専属産業医」の選任が義務付けられています。
なお、労働者数50人未満の事業場では産業医の選任は努力義務です。まずは自社の事業場が要件に当てはまるかどうかを確認しましょう。
産業医の機能・面接指導が強化されたから
2019年4月に施行された「働き方改革関連法」により、「産業医・産業保健機能」と「長時間労働者に対する面接指導」が強化されました。
具体的な強化内容については、以下のとおりです。
- 産業医の独立性と中立性
- 産業医への権限と情報提供の充実や強化
- 産業医の活動と衛生委員会等との関係の強化
- 健康相談の体制整備、健康情報の適正な取扱い
- 長時間労働者に対する面接指導
「長時間労働者に対する面接指導」では、長時間労働による心身の不調を見逃さないために、産業医の面談による労働者の健康管理の強化が求められます。
このように、法改正の後押しもあり、産業医の役割や産業医のカウンセリングが注目されているのです。
参考:「産業医・産業保健機能」と「長時間労働者に対する面接指導等」が強化されます|厚生労働省
産業医のカウンセリングで期待できる3つの効果
産業医のカウンセリングでは、具体的にどのような効果が期待できるのでしょうか。本章では、産業医のカウンセリングで期待できる3つの効果について解説します。
産業医のカウンセリングの効果(1)生産性向上
労働者の健康維持に努め、心身の不調にすばやく対処することで、仕事に対する意欲や集中力が高まり、結果的に企業の生産性向上につながります。また、労働者一人ひとりが心身ともに好調であれば、その良い雰囲気は周囲にもプラスの影響を与えるはずです。
一方、労働者の健康状態が悪ければ、欠勤や休職が相次ぐ可能性もあります。そうなってしまうと、フォローにあたる労働者の負担が増え、新たな不調者を生むという悪循環に陥るケースも考えられます。
特に小規模な事業場では、一人にかかる業務量の割合が比較的高くなりやすいため、労働者の健康状態の良し悪しは、企業の業績に直結します。
産業医のカウンセリングの効果(2)離職率の低下
産業医のカウンセリングでは、離職率を下げることも期待できます。信頼できる産業医がいれば、労働者が悩みを相談しやすくなり、健康状態の改善につながるでしょう。
産業医のカウンセリングにより悩みや健康状態が改善されれば、労働者のパフォーマンスは向上工場します。たとえ休職したとしても、産業医から適切なフォローを受けることで、症状の再発や離職を回避することができるでしょう。
離職率を下げるためには、問題が小さいうちに、労働者にカウンセリングを受けさせることが大切です。
産業医のカウンセリングの効果(3)職場環境の改善
企業には、労働者の安全に配慮する「安全配慮義務」が課されています。つまり、労働者が安全かつ健康的に働けるように配慮することが、企業の責務といえます。
したがって、産業医によるカウンセリングの後、事業者は産業医と連携して、労働条件の見直しや職場環境の改善などに取り組む必要があります。
産業保健活動の専門家である産業医は、企業側からは見えにくい問題や、労働者の抱える悩み・ストレスを見つけ出し、指摘することができる貴重な存在です。労働者の適切な健康管理には、産業医との連携が不可欠であるため、産業医と積極的にコミュニケーションをとり、企業の方向性を共有しておくようにしましょう。
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まとめ
産業医によるカウンセリングは「産業医面談」とも呼ばれます。産業医は労働者の話を聞き、専門家の立場から指導・助言をし、健康管理のサポートを行ないます。産業医には「守秘義務」が課されているため、労働者本人の同意がなければ企業側は労働者の情報を知ることはできません。
また、事業場における産業医のカウンセリングには、生産性向上、離職率の低下、職場環境の改善といった効果が期待できます。事業者は産業医と積極的にコミュニケーションをとり、労働者が健康で働きやすい職場環境づくりを目指しましょう。
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