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産業医ができること
産業医ができることは以下の2つです。
- 事業者や企業担当者と連携して業務調整を行う
- 治療のための医療機関の紹介
詳しく説明していきます。
(1)事業者や企業担当者と連携して業務調整を行う
産業医は労働者の健康を確保するために労働安全衛生法第13条の5に基づき、業務調整の必要性や具体的な配慮を、事業者に対して意見・指導を行うことができます。
例えば、ストレスチェックの結果、高ストレスと判定された労働者に対して、産業医は本人の申し出があれば面談を行い、心身の状態把握と高ストレスとなった要因が職場環境や業務に起因していないかを確認します。
産業医は必要に応じて、事業者や企業担当者へ業務内容や量の変更・配置転換の必要性を意見し、適切な措置を実施してもらうことができます。
もちろん業務調整の際は、労働者本人とも話し合いを行い、労働者の希望や心身の状態を把握した上で行うことが重要です。
産業医は医学的専門家であり、企業の業務に関しても十分に把握しておくことで適切な意見や措置を検討することができるため、企業側は日頃からしっかり連携しておきましょう。
(2)治療のための医療機関の紹介
先述した通り、産業医は基本的に診断や治療等の医療行為を行うことはできません。そのため、対象となる労働者に検査や治療が必要と産業医が判断した場合は、医療機関へ紹介を行う必要があります。
産業医は労働者が継続して健康で安全に働き続けるための指導や助言を行う役割を持っています。また、医学的な部分に関する判断は事業者や企業担当者にはとても困難なため、産業医の役割はとても重要なものと言えるでしょう。
主治医の診断書と産業医の意見書の役割の違いとは?産業医は診断書を発行できる?
主治医の診断書と産業医の意見書の違いを簡単にまとめると以下の通りです。
主治医の診断書:医師のみが作成できる書類で、病名や症状、詳しい診断内容や治療方法等を証明するもの
産業医の意見書:産業医が作成する書類で、従業員と面談を行った後、事業者が就業上の措置を適切に講じることができるよう、意見を述べるための報告書
具体的に、主治医の診断書は従業員の疾病や治療等の医療情報に加えて、一般的な日常動作・作業が可能かどうかをまとめた書類です。
一方、産業医の意見書は主治医の診断書や従業員との面談、業務内容を基に、業務を遂行することが可能かどうか、どの程度の配慮が必要かをまとめた書類です。
主治医と産業医は役割に大きな違いがあるため、発行できる書類にも違いがありますが、基本的に産業医は診断書を発行できません。
なぜなら医師法第20条により「医師は自ら診察しないで診断書を作成してはいけない」と明記されているため、診断書は診察を行った医師のみが発行できます。。
そのため、医師が産業医として対応している場合は、診断書を発行することはできません。複雑ですが、冒頭で説明している違いを踏まえて、産業医と主治医は分けて考えていた方が良いでしょう。
医師の診断書は休職・復職する時に必要!休職・復職の手続き方法も簡単に解説!
業務を継続していく上で心身の健康は必須です。しかし、「怪我や病気で自宅療養が必要」「精神的に辛く、仕事ができない」等、社会人人生の中では心身の不調が起こる可能性があります。
そんな時は無理をせず、しっかり休むために「休職」という選択をすることも必要です。休職(または復職)をする場合は医師の診断書が必要ということを知っている人は多いと思いますが、なぜ必要か知っていますか?
理由は、労働者には「自己保健義務」が労働安全衛生法で、企業側には「安全配慮義務」が労働契約法で定められているためです。
自己保健義務とは、労働者が労働災害を防止し、自身の健康を守るために、事業者が行う措置に協力しなければならないという義務です。
また、安全配慮義務とは、企業や事業者が労働者の健康や安全を確保して、継続して労働することができるよう、必要な配慮を行わなければならないという義務です。
実は、「休職時(復職時)に医師の診断書が必要」という法律で定められている義務はありません。
しかし、自己保健義務と安全配慮義務が各法律で定められている観点から、医学的専門家である医師の診断書を確認することで、労働者は心身の状態を把握し、企業側は労働自体が可能なのか、必要な配慮はどういったものなのかを検討することができます。
そのため、多くの企業では就業規則に「医師の診断書が必要」と記載されています。休職や復職を検討する際は、まず就業規則を確認するようにしましょう。
では、必要な書類も含めて、休職・復職時の手続き方法を簡単に解説していきます。
休職時
(1)会社の就業規則を確認
まずは会社の就業規則を確認しましょう。休職制度は法律で定められている制度ではないため、各企業の就業規則に基づいて対応が行われます。
そのため、必要書類の確認や休職可能な期間等の内容を確認しましょう。
(2)必要書類の提出を確認
各企業の就業規則によって必要書類は異なりますが、提出する可能性のある書類は以下の通りです。
- 診断書(主治医)
- 意見書(産業医)
- 休職届(休職者本人)
- 長期休暇報告書(管理監督者)
ただし、休職は怪我や病気、メンタルの不調が原因のため、突然発生する場合も多く、「診断書」提出のみで休職となることがあります。
そのため、突然休職となった場合も対応できるように、日頃から情報の共有やマニュアルを作成し、対応方法の確認を行っておくと良いでしょう。
(3)休職者へ定期的な連絡頻度や方法、健康保険や傷病手当金等について説明
休職は労働者にとって大切な療養期間です。心身にストレスや負担をかけないように、連絡する頻度はあらかじめ決めておき、できれば同じ担当者が行うと良いでしょう。
また、休職の間は会社からの給料が出ない場合が多いですが、健康保険の支払い等は生じます。また、治療費が必要のため、金銭面で不安が出る場合があります。企業側の担当者は、休職時に使える公的制度や手続きの方法を丁寧に伝え、できる限り不安や負担を少なくするようにしましょう。
復職時
復職時に必要となる可能性のある書類は以下の通りです。
- 診断書(医師)
- 意見書(産業医)
- 生活リズム表(休職者)
※生活リズム表はメンタルヘルス不調により休職した労働者に対して、規則正しい日常生活が送れているか、仕事の時間に合わせた生活が可能かどうか等の確認を行うことができるため、休職者へ提出を求める場合がある
(1)診断書の提出を提出
休職者が復職意思を企業側へ報告する際、医師の診断書を提出する必要があります。診断書の提出は法律で明記されていませんが、就業規則に記載されていることが多いため、確認して対応しましょう。
労働者が医師の診断書を提出することで、企業側は「本当に復職可能なのか」「どこまで回復しているのか」を確認することができます。
(2)産業医面談を行う(産業医の意見書の提出)
復職時に産業医と面談を行うことは、復職後も労働者が継続して業務を行い、再休職しないためにとても重要です。
なぜなら、医師の診断書はあくまで疾患自体の回復状況を判断するもので、産業医はその医師の診断書を基に、実際の業務内容や作業環境を踏まえた意見を企業側に伝えることができるからです。
最終的に復職を決定するのは企業側です。労働者の状態と業務内容を考慮し、適切な判断を行うためには、医師の診断書だけではなく、産業医の意見書も踏まえた判断が必要になるため、できる限り産業医面談を行うことが望ましいでしょう。
ただし、休職者本人が拒否している場合は、産業医面談を無理に受けさせることはできないため、注意しましょう。
(3)企業側が休職者の復職を決定
休職者の復職意思、医師の診断書、産業医の意見書、必要時は生活リズム表等の書類を確認し、問題がなければ復職を決定します。もちろん、復職の際は業務時間や業務量に配慮し、復職者がスムーズに復職できるようなサポートを行いましょう。
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医師の診断書の費用はだれが払う?
医師の診断書は医療機関によって異なりますが、1通2,000〜5,000円ほど費用がかかります。では、休職や復職で診断書が必要になった場合、診断書費用は誰が負担することになるのでしょうか?
診断書の費用は、企業によって労働者の自己負担か会社負担かまちまちですが、心身の不調による休職は個人都合と判断されることが多いため、労働者の自己負担となることが一般的です。
ただし、会社側が指定した医師に診断書を依頼する場合は、会社負担となることもあります。また、労災による休職の場合は、労災保険からの負担となるため、あらかじめ本人へ伝えておきましょう。
まとめ
産業医と主治医は異なる役割を持ち、遵守する法律に則った対応を行うため、それぞれできること、できないことがあります。
事業者や企業担当者は、産業医と主治医の違いを理解することで、心身の不調を抱える労働者への対応が突然必要になった場合もスムーズに行うことができるので、本記事を通してぜひおさえておきましょう。
現在専任している産業医がなかなかすぐに対応してもらえない
または、メンタルヘルスの診断ができないなど、お困りごとがあれば
どんな産業医が必要なのか、産業医の探し方から検討してみても良いかもしれません。
産業医の切り替えをご検討の企業様は、産業医選任時のポイントをまとめたガイドブックをご参考にしてみてください。
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