衛生管理者試験の出題内容、申込手続きを解説!よくあるQ&Aもまとめました

衛生管理者試験の出題内容、申込手続きを解説!よくあるQ&Aもまとめました 

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衛生管理者試験は「第一種」「第二種」の2種類

衛生管理者とは、健康管理や職場環境の改善などを通して、労働者の健康障害や労働災害を防止する役割を持つ者のことです。衛生管理者は労働安全衛生法で定められた国家資格であり、常時50人以上の労働者を使用する事業場において選任が義務付けられています。

衛生管理者資格には第一種と第二種の2種類があり、試験の出題内容や対応可能な業務範囲が異なります。

第一種衛生管理者試験の出題内容

第一種衛生管理者は、放射線業務や鉛業務、粉じん作業などの有害業務を含むすべての業種で選任できるため、試験でも有害業務関連の問題が出題されます。

第一種衛生管理者試験の出題数は44問、試験時間は3時間で、出題範囲は以下のとおりです。

  • 労働衛生(有害業務に係るもの):10問(80点)
  • 労働衛生(有害業務に係るもの以外のもの):7問(70点)
  • 関係法令(有害業務に係るもの):10問(80点)
  • 関係法令(有害業務に係るもの以外のもの):7問(70点)
  • 労働生理:10問(100点)

ただし、すでに第二種衛生管理者免許を持っている方は、「特例第一種衛生管理者」の区分で受験可能です。特例第一種衛生管理者試験の出題数は20問、試験時間は2時間で、出題範囲は以下のとおりです。

  • 労働衛生(有害業務に係るものに限る。):10問(80点)
  • 関係法令(有害業務に係るものに限る。):10問(80点)

出典:公益社団法人 労働安全衛生技術試験協会 「受験資格(第一種衛生管理者・第二種衛生管理者)」

第二種衛生管理者試験の出題内容

第二種衛生管理者は金融業やサービス業、情報通信業など、有害業務が発生しない一部の業種のみで選任できます。第二種衛生管理者試験の出題数は30問、試験時間は3時間で、出題範囲は以下のとおりです。

  • 労働衛生(有害業務に係るものを除く。):10問(100点)
  • 関係法令(有害業務に係るものを除く。):10問(100点)
  • 労働生理:10問(100点)

出典:公益社団法人 労働安全衛生技術試験協会 「受験資格(第一種衛生管理者・第二種衛生管理者)」

衛生管理者試験の難易度・合格率について

衛生管理者の受験者数は増加傾向にあり、近年人気が高まっている国家資格です。ここでは、第一種・第二種衛生管理者試験の難易度と合格率について紹介します。

第一種衛生管理者試験の難易度・合格率

令和3年度の第一種衛生管理者試験の受験者数は68,210人、合格者数は29,113人で、合格率は42.7%でした。

その他の国家資格と比較して合格率が低いというわけではありませんが、簡単に合格できる試験ではありません。したがって、出題傾向の把握や対策を怠らず、しっかり準備することが重要です。

合格基準は「科目ごとの得点が40%以上かつ、合計得点が60%以上」となっています。科目ごとに必要な正答数は、以下のとおりです。

  • 労働衛生(有害業務に係るもの):4問以上/10問
  • 労働衛生(有害業務に係るもの以外のもの):3問以上/7問
  • 関係法令(有害業務に係るもの):4問以上/10問
  • 関係法令(有害業務に係るもの以外のもの):3問以上/7問
  • 労働生理:4問以上/10問
  • 400点満点中240点以上の正解が必要

1科目でも40%を下回ると足切りとなり、合計点数が良くても不合格になる点に注意が必要です。

第二種衛生管理者試験の難易度・合格率

令和3年度の第二種衛生管理者試験の受験者数は36,057人、合格者数は17,922人で、合格率は49.7%でした。

第一種よりも合格率は高いものの、半分以上の受験者が不合格となっています。第一種、第二種ともに、十分な準備をして臨まなければ合格は難しいでしょう。

合格基準は第一種と同じく、「科目ごとの得点が40%以上かつ、合計得点が60%以上」であることです。科目ごとの合格ラインは、以下のとおりです。

  • 労働衛生(有害業務に係るものを除く):4問以上/10問
  • 関係法令(有害業務に係るものを除く):4問以上/10問
  • 労働生理:4問以上/10問
  • 300点満点中180点以上の正解が必要

なお、第一種・第二種ともに合格定員は設定されていないため、基準を満たしたすべての受験者が合格となります。

【第一種・第二種】衛生管理者試験の申込手続きについて

衛生管理者試験を受験するためには、受験資格を満たし、所定の申込手続きを行なう必要があります。ここからは、衛生管理者試験の受験資格や試験会場、申込方法、費用などについて紹介します。

なお、以下の内容は安全衛生技術試験協会のWebサイトを参照しています。内容が変更になる場合もあるため、詳細はWebサイトを必ず確認してください。

衛生管理者試験の受験資格

衛生管理者試験では、受験資格として学歴や実務経験などが求められます。

ここでは、公益財団法人安全衛生技術試験協会が定める受験資格のうち、一部を抜粋しました。詳細な受験資格については、安全衛生技術試験協会のWebサイトをご確認ください。

  • 学校教育法による大学(短期大学を含む)又は高等専門学校(専修学校、高等専門学校以外の各種専門学校、各種学校を除く)を卒業した者で、その後1年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの
  • 大学改革支援・学位授与機構により学士の学位を授与された者又は専門職大学前期課程を修了した者で、その後1年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの
  • 学校教育法による高等学校又は中等教育学校(中高一貫教育の学校のこと)を卒業した者で、その後3年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの
  • 10年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの

出典:公益社団法人 労働安全衛生技術試験協会 「受験資格(第一種衛生管理者・第二種衛生管理者)」

衛生管理者試験の試験会場・試験日程

衛生管理者試験の会場や日程は、各安全衛生技術センターのWebサイトで確認できます。
全国に点在する安全衛生技術センターは、以下の7つです。

  • 北海道安全衛生技術センター
  • 東北安全衛生技術センター
  • 関東安全衛生技術センター
  • 中部安全衛生技術センター
  • 近畿安全衛生技術センター
  • 中国四国安全衛生技術センター
  • 九州安全衛生技術センター

各安全衛生技術センターでは出張試験を開催しているため、最寄りの会場をチェックしておきましょう。

衛生管理者試験の受験申請書の請求手続き

衛生管理者試験の受験申請書は、公益財団法人安全衛生技術試験協会本部、各安全衛生技術センター、免許試験受験申請書取扱機関において、無料で取得できます。

また、郵送での請求も可能です。請求する際はメモ書に以下の内容を明記のうえ、返信用郵送料金分の切手を貼った宛先明記の返信用封筒(角形2号)を同封し、協会本部または受験希望の各センターに申請しましょう。

  • 免許試験受験申請書(受験する試験の種類を明記)
  • 必要部数
  • 電話番号(昼間連絡の取れる連絡先)

出張試験を希望する場合は、希望する地区名と必要部数を明記し、管轄のセンターへ申請します。なお、送料や各センターの住所は安全衛生技術センターのWebサイトで確認できます。

衛生管理者試験の申込方法

衛生管理者試験の申し込みは、以下の流れで行ないます。

  • 受験申請書を準備する
  • 受験申請書類を作成する
    ※添付書類や受験資格を確認し、試験手数料と証明写真を準備します。
  • 受験申請書を提出する
    ※出張特別試験の場合は、提出先や受付期間が地区ごとに異なるため注意が必要です。
  • 受験票を受け取る

衛生管理者試験の費用

衛生管理者試験の受験手数料はこれまで6,800円でしたが、労働安全衛生法関係手数料令の一部が改正されたことにより、8,800円に変更となりました。

なお、手数料の変更は受験日ではなく、「受験申請の受付開始日」が基準になるため注意が必要です。変更後の手数料は、受験申請の受付が令和5年4月1日以降、学科試験の実施が令和5年6月1日以降の試験から適用されます。

知っておきたい!衛生管理者試験に関するQ&A

前述のとおり、衛生管理者試験の合格率は第一種・第二種ともに50%弱で、決して簡単な試験とはいえません。しかし、傾向を押さえてしっかりと対策をすれば、合格は十分可能です。ここからは、試験に関する疑問をQ&A方式で紹介します。

衛生管理者試験に過去問はある?

過去の試験問題は、インターネット上での確認が可能です。公益財団法人安全衛生技術試験協会のWebサイトでは、令和3年7月から令和4年6月までの試験問題と正答をチェックできます。

衛生管理者試験は独学で合格できる?

衛生管理者試験は独学での合格も十分可能です。セミナーに参加する方法もありますが、過去問や参考書、問題集での独学もできるため、まとまった時間が取れない忙しい方でも合格を目指せます。

ただし、独学だとわからないところを質問できる相手がいないため、取り組み方によっては課題が山積みになる可能性があります。

勉強方法としては、過去問で傾向をつかむこと、同じ問題集を繰り返し解くことがおすすめです。また、独学で勉強する場合はモチベーションの維持が大切になるため、適度に休みながら進める、勉強仲間を見つける、といった工夫をしましょう。

衛生管理者試験の空き状況はどこで確認できる?

衛生管理者試験の空き状況は、各安全衛生技術センターの申込状況ページから確認可能です。衛生管理者試験には受験定員が設定されているため、受付中でも空きが少なくなっていたり、満員になっていたりする場合があります。

試験の申込受付は、試験日の2ヵ月前から始まります。ただし、近年需要が拡大していることもあり、すぐに満員になってしまうケースもあります。受験を検討した段階で日程を確認し、受験申請書を取り寄せるなど、事前に申込準備をしておきましょう。

衛生管理者試験の試験日変更は可能?

受験票が発行される前なら、試験日を変更できます。ただし、受験票を発行したあとは、試験日の変更や試験手数料の返還は行なわれないため、確実に受験できる日を選択しましょう。

衛生管理者試験の持ち物について注意点はある?

受験票を受け取ったら、試験日程や氏名など、受験票の内容を必ず確認しましょう。安全衛生技術センターで受験する場合には、受験者数によっては第二希望の日程になっていることがあります。

また、受験票の余白(表面および裏面)には何も記載してはいけません。衛生管理者試験では定規・電卓の使用は可能ですが、以下に挙げた項目以外の機能を持つ電卓(関数電卓など)や、スマートフォンの電卓などは使用できません。

  • 四則計算
  • 開平計算
  • 百分率計算
  • 税計算
  • 数値メモリ
  • 符号変換
  • リセット
  • 消去
  • 電源入り切り
  • 「億」「千」「時間計算」「原価」等
  • 検算
  • 切上げ等のスライドスイッチ
  • 時計機能

その他、試験に関する不明点がある場合は、申請先の安全衛生技術センターに確認しておくことをおすすめします。

まとめ

今回は、人気の国家資格である衛生管理者試験について紹介しました。労働者の健康管理が重要視されている現代において、衛生管理者は必要不可欠な存在です。

業種や職種に関係なく、常時50人以上の労働者を使用する事業場では、衛生管理者の選任が法律上の義務であり、今後も高い需要が見込まれる資格といえるでしょう。

衛生管理者試験は、最難関の国家資格ではないものの、出題傾向を正しく把握し、十分な準備をしなければ、合格するのは難しいです。受験資格の有無や受験人数の制限などもあるため、資格取得を検討している方は安全衛生技術試験協会のWebサイトを事前に確認しておきましょう。

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