オンラインで産業医と面談が実施可能に!条件・注意点を解説

リモート 産業医面談

執筆者

人材マーケティング会社で求人広告の作成、進行管理業務に従事していました。その後、編集プロダクションにてフリーランスの編集ライターを経験いたしました。
産業看護師は未経験ですが、私と同じように未経験の方にも読みやすい記事を心がけ、執筆に取り組みたいと考えております。

監修者

元々臨床医として生活習慣病管理や精神科診療に従事する中で、労働者の疾病予防・管理と職業ストレス・職場環境の密接な関係認識するに至り、病院からだけでなく、企業側から医師としてできることはないかと思い、産業医活動を開始しました。

また、会社運営の経験を通じ、企業の持続的成長と健康経営は不可分であること、それを実行するためには産業保健職の積極的なコミットメントが必要であると考えるに至りました。

「頼れる気さくな産業医」を目指し、日々活動中しています。
趣味は筋トレ、ボードゲーム、企業分析です。

【保有資格】
・日本医師会認定産業医
・総合内科専門医
・日本糖尿病学会専門医
・日本緩和医療学会認定医

近年、新型コロナウイルス感染症の流行にともない、多くの企業がリモートワークを導入してきました。そのため、産業医面談においても、リモートでの実施を検討している企業は、増加傾向にあります。

そこで本記事では、産業医面談をオンラインで行なう際の実施方法や注意点、産業医の要件について解説します。また、産業医面談をオンラインで実施できない場合の対応策について紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

【産業医面談でお困りなら】リモート産業保健・月額3万円~
産業医訪問・オンライン面談、ストレス予防から
休職・復職者のアフターフォローまで対応

産業医面談はリモートで!2020年11月より実施可能

労働者の健康相談など、さまざまな目的で行なわれる産業医面談ですが、2020年11月よりオンラインでの実施も可能になりました。

新型コロナウイルス感染症の流行もあり、近年は急速にリモートワークが普及しました。オンラインであれば、在宅勤務が多い労働者や遠隔地で働く労働者でも面談を受けやすくなるため、労働者側にメリットがある内容です。

産業医側にも「移動時間の節約になるため、対応できる面談数を増やすことができる」といったメリットがあります。

オンラインでの産業医面談を活用することで、今までよりも効率良く産業保健業務を行なえるようになるでしょう。

【産業医】オンライン面談が選ばれる理由

産業医のオンライン面談が選ばれる理由は、「従業員が面談を受けやすくなる」ためです。産業医面談は、労働者から申出があった際に実施するものですが、多忙な従業員からは申出がなく、本来なら面談を要する状況が放置されてしまう危険性があります。

健康上の注意が必要な従業員に対して産業医面談を行なえずにいると、体調不良や疾患の発症を招きかねません。その結果、休職や退職につながる、または命に関わるケースもあるため、速やかに対処することが重要です。

オンライン面談のメリットは、パソコンやスマートフォンなどがあれば場所を問わず、自宅や出向先などでも受けられる点にあります。そのため、面談を受ける時間が確保しにくい従業員でも、オンライン面談なら受けやすくなるのです。

産業医面談をリモートでする際の医師(産業医)の要件とは

産業医面談をリモートで実施する場合には、産業医について以下のいずれかに該当することが望ましいとされています。

(1)面接指導を実施する医師が、対象労働者が所属する事業場の産業医である場合。
(2)面接指導を実施する医師が、契約(雇用契約を含む)により、少なくとも過去1年以上の期間にわたって、対象労働者が所属する事業場の労働者の日常的な健康管理に関する業務を担当している場合。
(3)面接指導を実施する医師が、過去1年以内に、対象労働者が所属する事業場を巡視したことがある場合。
(4)面接指導を実施する医師が、過去1年以内に、当該労働者に指導等を実施したことがある場合。

引用:情報通信機器を用いた労働安全衛生法第66条の8第1項、第66条の8の2第1項、第66条の8の4第1項及び第66条の10第3項の規定に基づく医師による面接指導の実施について | 独立行政法人 労働者健康安全機構 大阪産業保健総合支援センター

上記の産業医の要件においては、従業員が50人未満で産業医の選任がされていない事業場は対象外であり、新たに産業医を選任するか対面で面談を実施する必要があるため注意が必要です。

産業医選任ガイドブック
【関連お役立ち資料】

産業医面談をリモートで実施する際の環境・実施方法等の要件とは

企業がリモートにより産業医面談を実施する場合は、以下のいずれの要件も満たす必要があるため、導入時には注意しましょう。

(1)情報通信機器を用いた面接指導の実施方法について、衛生委員会等で調査審議を行った上で、事前に労働者に周知していること。
(2)情報通信機器を用いて実施する場合は、面接指導の内容が第三者に知られることがないような環境を整備するなど、労働者のプライバシーに配慮していること。

引用:情報通信機器を用いた労働安全衛生法第66条の8第1項、第66条の8の2第1項、第66条の8の4第1項及び第66条の10第3項の規定に基づく医師による面接指導の実施について | 独立行政法人 労働者健康安全機構 大阪産業保健総合支援センター

なお、リモートによる産業医面談においては、医師が緊急に対応すべき徴候を把握した場合、速やかに対応することが求められます。近隣の医師などと連携しての対応や、事業場にいる産業保健スタッフが対応するなど、緊急時対応体制が整備されていなければならないとされています。

産業医面談をリモートでする際に使う機器の要件とは

リモートで産業医面談を行なう場合、使用する通信機器については以下のすべての要件を満たさなければならないため注意が必要です。

(1)面接指導を行う医師と労働者とが相互に表情、顔色、声、しぐさ等を確認できるものであって、映像と音声の送受信が常時安定かつ円滑であること。
(2)情報セキュリティ(外部への情報漏洩の防止や外部からの不正アクセスの防止)が確保されること。
(3)労働者が面接指導を受ける際の情報通信機器の操作が、複雑、難解なものでなく、容易に利用できること。

引用:情報通信機器を用いた労働安全衛生法第66条の8第1項、第66条の8の2第1項、第66条の8の4第1項及び第66条の10第3項の規定に基づく医師による面接指導の実施について | 独立行政法人 労働者健康安全機構 大阪産業保健総合支援センター

リモートで産業医面談を実施する場合でも、産業医は対面時と同様に対象者の表情や声色の変化などから疲労やストレス、そのほかの心身の状況を把握することが求められます。そのため、些細な変化を見落とさないためにも安定した通信環境が必要です。また、産業医面談は対象者のさまざまな悩みが語られる場であることから、安心して話せるようにプライバシーや面接する環境に気を配ることが重要でしょう。

産業医面談をリモートでする際の注意点をチェック!

「自社でもオンラインで産業医面談を行なえるようにしたい」と考えている企業担当者の方もいらっしゃるかと思います。オンラインでの産業医面談ができる体制を整えるためにも、これから紹介する4つの注意点について把握し、事前に確認しておきましょう。

産業医・事業所がオンライン面談に対応しているか確認をする

まずは、契約している産業医や自社の事業場がオンライン面談に対応しているか確認しましょう。産業医によっては、そもそもオンライン面談を実施しない方や、メンタルヘルスだけは対面で実施し、それ以外はオンラインで対応可能という方もいます。

また、事業場側がオンライン面談に対応可能かも確認しましょう。事業場によっては、会議室のような個室がない場合や、オンライン面談に使用する機器がない場合があります。

個人情報保護のために情報セキュリティの確保をする

次に、情報セキュリティが確保されているかを確認しましょう。産業医面談では個人情報を扱うため、セキュリティを確保してから実施する必要があります。

例えば、面談の内容が第三者に閲覧できる状態にないかなど、情報セキュリティの担当部門とも連携しながら体制を整えていきましょう。

また、産業医側で作成した面談記録を企業の担当者の方が受け取る際も、情報が漏れないような共有方法を検討しておくことが重要です。

ツール・通信環境の設定・整備を整える

厚生労働省の通達には、オンラインで産業医面談を行なう場合の要件について、次のとおり定められています。

面接指導に用いる情報通信機器が、以下の全ての要件を満たすこと。

  1. 面接指導を行う医師と労働者とが相互に表情、顔色、声、しぐさ等を確認できるものであって、映像と音声の送受信が常時安定しかつ円滑であること。なお、映像を伴わない電話による面接指導の実施は認められない。
  2. 情報セキュリティ(外部への情報漏洩の防止や外部からの不正アクセスの防止)が確保されること。
  3. 労働者が面接指導を受ける際の情報通信機器の操作が、複雑、難解なものでなく、容易に利用できること。

引用:情報通信機器を用いた面接指導の実施について|厚生労働省

そのため、上記を満たしたツールや通信回線などを選ぶようにしましょう。

労働者への周知

次に、労働者への周知が必要です。流れとしては、オンラインでの産業医面談を導入する前に、衛生委員会でオンライン面談を導入するか否か、面談方法や注意点などについて審議しましょう。

衛生委員会でオンライン面談の導入が決定したあとは、社内の掲示物やポータルサイトなどですべての労働者に周知します。

産業医とのオンライン面接ができない場合の対応策とは

オンライン面談を導入したくても、産業医や事業場の都合により導入できないこともあるでしょう。その場合は、これから紹介するポイントを押さえて、衛生面に気を付けながら産業医面談を行ないます。

また、今はオンライン面談ができないけれど、将来的に導入したいと考えている場合は、ツールやセキュリティ面などの準備を、今から少しずつ進めていきましょう。

風邪の症状・発熱がある場合には産業医との面談を控える

オンラインでの産業医面談ができない場合、対面で実施することになりますが、感染症対策のためにも、風邪の症状や発熱がある場合は面談を控えるのが望ましいでしょう。

面談対象者としても、無理に出社して面談するよりも療養に専念したほうが得策です。事業主も事業場内で集団感染を起こさせないよう、体調不良者の対面での産業医面談は控えるようにしてください。

衛生面の環境整備を行う

新型コロナウイルス感染症だけでなく、時期によってはインフルエンザなどほかの感染症も流行します。そのため、日頃から衛生面の環境整備を行ないましょう。

例えば、次のようなものが挙げられます。

  • 面談前後の手洗いとうがいを推奨する
  • 入口にアルコール消毒を設置する
  • 面談の前後で部屋の換気を行なう
  • マスクの着用を推奨する

事業場によって衛生環境が異なるため、日頃から職場巡視でも確認しておきましょう。

産業医にオンライン面談の実施ができないか相談する

契約している産業医が今までオンライン面談をしたことがなくても、これから導入することを前向きに検討してくれるかもしれません。

オンライン面談には、産業医にとっても移動時間の節約などのメリットがあるため、事業者側のメリットだけではなく、産業医側のメリットも併せて伝えてみましょう。産業医がほかの企業からすでに相談されている可能性もあるため、早めに相談しておくことが重要です。

オンライン面談に移行できた場合の社内整備を整えておく

事業場の機器やセキュリティの課題によってオンライン面談ができないのであれば、要件を満たせるように社内設備を整えましょう。

今は対面でしか実施できなくても、将来的にオンライン面談を導入することを目指し、コツコツ準備を進めておくと良いですね。

【推奨】必要に応じて、事前事後に総務課等の担当者と打ち合わせをする

オンラインでの産業医面談には先述したようなメリットもありますが、人事・総務の担当者の方と産業医のコミュニケーションが取りにくいというデメリットもあります。

例えば、対面面談の場合は事業場に産業医がいるため、空き時間に人事・総務の担当者の方と産業医間で、確認事項や復職プログラムのすり合わせなどが可能です。

しかし、オンライン面談では対象者と産業医の1対1になるため、意識的に人事・総務の担当者の方が産業医と相談する時間を設定しないと、コミュニケーション不足になる可能性があります。

そのため、必要に応じてオンライン面談の前後に、人事・総務の担当者の方と産業医が打ち合わせする時間を設けるようにしましょう。

2021年3月公表!オンラインによる産業医活動の留意点

2021年3月31日に厚生労働省より「情報通信機器を用いた産業医の職務の一部実施に関する留意事項等について」が公表されました。

近年はリモートワークの普及にともない、産業医業務のオンライン化へのニーズが高まっています。本通達には、産業医および事業者が留意することについて記載されていますので、代表的なものについて取り上げます。

参考:情報通信機器を用いた産業医の職務の一部実施に関する留意事項等について |厚生労働省

衛生委員会・安全委員会などのオンライン開催が可能

リモートワークの普及にともない、事業場の安全衛生委員会もオンライン、もしくはオンラインと現地のハイブリットで実施されていることがあります。

産業医がオンラインで安全衛生委員会に参加する場合は、「情報通信機器を用いた労働安全衛生法第17条、第18条及び第19条の規定に基づく安全委員会等の開催について」(令和2年8月27日付け基発0827第1号)に基づく必要があるとされています。

本通達には、映像や音声が安定していることや、個人情報の漏洩防止などについて定められています。

参考:情報通信機器を用いた労働安全衛生法第17条、第18条及び第19条の規定に基づく安全委員会等の開催について(令和2年8月27日付け基発0827第1号)|厚生労働省

職場巡視は実地で行なうこと

産業医の業務のうち、職場巡視は実地で行なわなければなりません。職場巡視では、事業場の作業環境や作業内容を確認する必要があり、製造工程や使用する化学物質などに大きな変更が生じる場合は、産業医が実地で確認することが適当であるとされています。

なお、職場巡視の頻度は、少なくとも毎月1回(労働安全衛生規則第15条で定める条件を満たす場合、少なくとも2ヵ月に1回)、産業医が実地で実施する必要があると定められています。

【あわせて読みたい関連記事】

産業医 職場巡視産業医による職場巡視とは?目的や頻度・流れについても解説 ※無料チェックシートあり

評判のエス・エム・エスの「リモート産業保健」をご紹介!

産業医面談をリモートで実施したくても難しそう、新たに産業医を選任したいけどどうやって探せばいいかわからない、産業医との契約にも手間がかかりそう・・・などと考えてしまう方もいるかもしれませんね。

エス・エム・エスの「リモート産業保健」は、産業医面談だけに留まらず、労働安全衛生法をはじめとした法令遵守にまつわる産業保健業務全般を提供するサービスです。産業医とともに産業看護職も加わり、訪問とリモートを組み合わせて産業保健業務を支援していきます。おもなサービスとしては産業医訪問・リモート面談、メンタル不調者の面談対応、職場巡視、ストレスチェックの実施サポート、衛生委員会の立ち上げ・運営支援や各種記録の作成のサポートなどがあります。

企業側の窓口は産業看護職が担当しており、メンタル不調者へのリモート面談や衛生委員会の議事録作成および司会進行などの産業保健業務は産業看護職が中心となってサポートをしていきます。産業医と産業看護職の2名体制のため、はじめて産業保健業務を立ち上げる場合でも安心して任せることができます。

導入にあたってのコストも気になるところですね。「リモート産業保健」では、契約時の初期費用は5万円から、基本プランは月額3万円と低コストで導入が可能です。。訪問時は訪問時間や訪問内容に応じて交通費を含めた別途料金がかかりますが、事前に見積もりを依頼でき、予算をふまえて内容を検討できるため安心です。

リモート産業保健
【産業保健関連サービス】

従業員の働き方に合わせ、産業医の業務内容や報酬の交渉、契約などの面倒な手続きがないため、低コストで法定義務を満たしたい、リモート対応できる産業医を選任したいなど自社に合った産業医を探している企業にもおすすめです。まずは基本プランを導入し、状況に応じてプランの変更や追加対応なども可能です。産業医との契約に不安がある場合は、エス・エム・エスの「リモート産業保健」からスタートしてみてはいかがでしょうか。

リモート産業保健サービス資料
【関連お役立ち資料】

まとめ

今回は、産業医面談をオンラインで行なう際の実施方法や注意点、オンラインで実施できない場合の対応策などを紹介しました。

「オンライン面談に興味があるけれど導入方法がわからない」「仕組みの整備が大変そうで着手できていない」「社内に産業医がいない」などお悩みの企業担当者の方には、産業医・産業看護職の2名体制でフルサポートする「リモート産業保健」のサービス利用がおすすめです。以下よりお役立ち資料をダウンロードしてください。

リモート産業保健サービス資料
【関連お役立ち資料】