産業医のキャリアを考える人必見!臨床との両立は可能?非常勤でも働ける?よくある疑問を解決

企業の健康経営において重要な役割を果たす産業医。近年、キャリアのひとつとして産業医を目指す医師も増えています。これは、政府が掲げた「働き方改革」を受けて、健康経営に積極的に取り組む企業が増え、産業医の受け皿が広がったことにも起因しています。
一方で、企業の健康経営方針と医師の方針が異なり、入職後アンマッチとなるケースも少なくありません。産業医を目指すのであれば、産業医としての働き方やニーズを理解し、具体的にキャリアプランを考えていくことが大切です。

産業医を目指すには

産業医に就くための要件としては、医師免許があることに加えて厚生労働省により定められた要件を満たす必要があります。場合によっては、要件を満たすまでに1年以上かかることもあるため、産業医の資格取得からキャリアプランとして考えておく必要があります。多くの医師は、医師会の研修もしくは産業医科大学の講座の受講で産業医資格を取得しています。

日本医師会認定産業医

日本医師会の研修を受ける場合、産業医になるための基礎知識・技術を学ぶ「産業医学基礎研修」の50単位以上(もしくはそれ同等以上)を修了することで日本医師会認定産業医の称号が付与されます。

産業医科大学 産業医学基礎研修会 集中講座

50単位を6日間で一気に取得できる集中講座も年に2回行われています。ただ、こちらは非常に人気が高く、数年待つ可能性もあります。

産業医科大学 産業医学基本講座

1年以内に産業医資格を得たいのであれば、産業医科大学の「産業医学基本講座」を受ける方法もあります。産業医科大学での受講のほかに、東京事務所での受講も可能です。夜間や土曜に開催されるコースは、仕事に就きながらの受講もしやすくなっています。

産業医としての働き方

産業医には「専属」と「嘱託」の2種類の働き方があります。それぞれの特徴を解説します。

専属産業医として働く

専属産業医は、その名のとおり企業の専属として勤める医師になります。企業に所属し、勤務時間もその企業に即した形となります。9時~17時などの一般的な企業の勤務時間帯にあわせて働くことがほとんどです。
専属産業医を必須とするのは従業員が1,000人以上の大手企業などで、アクセスが良い都心部に関しては絶対的に求人数は少なめ。キャリアも必要なので、難易度は高いといえるでしょう。

嘱託産業医として働く

嘱託で勤務する場合は、業務委託というかたちで契約を結びます。勤務日は企業と話し合いのもとで決めますが、非常勤となるので、月1回~週1、2回が多いようです。
専属産業医の場合、兼業は基本的に禁止されていますが、嘱託産業医は兼業可能。診療所や病院での本業を続けながら産業医として働くことができます。また、産業医として働く上で、臨床での経験値は従業員との面談などに大いに役立ちます。
産業医は、勤務時間も自由度が高いので、複数の企業を掛け持つ医師も少なくありません。時間を上手く調整できれば数十社の企業を掛け持つこともでき、その分多く収入を得ることも可能です。専属産業医と比べると受け皿も多く、嘱託産業医を経験してから専属産業医を目指すケースも多いです。

産業医に求められること

産業医のニーズが高まっている一方で、企業が求めるスキルと差異がある産業医がいるのも事実です。今の社会で、産業医に求められていることとは何なのでしょうか。

産業医のニーズは企業により異なる

産業医の役割は、企業で働く従業員の健康管理です。これは、専属でも嘱託でも変わりません。しかし、産業医に何を求めるか、これは、企業によって異なる部分もあります。
例えば、デスクワークが中心の企業では、一般的な産業医業務のほかに運動不足からくる生活習慣病の対策の提案を求められることがあります。工場など業務中の事故やケガが考えられる事業場では、安全対策を重視した活動が求められるでしょう。その企業の従業員の健康維持・安全の確保において何が重要かを考え、実行する力が必要です。

主体性を持って取り組む姿勢が必要

現代は働き方が多様化し、それはそのまま従業員の健康問題の多様化にもつながっています。従業員の安全・健康確保のためには、産業医が積極的に状況を把握し関わっていくことが重要です。主体性を持つことができれば、自ら企業について理解し、状況を把握して、その企業の課題を見つけることもできてくるでしょう。健康問題に対する課題をいち早く見つけて改善策を提示する積極的な姿勢が求められています。